No.225692

真・恋姫無双 魏が滅亡した日 Part41 好敵手

見習いAさん

郭嘉なら赤壁をどう戦ったのでしょうね

2011-07-01 18:07:55 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:2580   閲覧ユーザー数:2346

武器と武器がぶつかり火花が飛び散る

二人の周囲には、台風の勢力圏に入ったような突風が巻き起こった

 

そんな戦いに目もくれない稟と冥琳

それぞれの後方に控える騎馬隊は、二人を守るため殺気を絶やしていなかった

 

すると、冥琳が右手を上げ後方の兵へ合図を送る

 

合図を受けた兵は2人の間に机と椅子を並べると

机の上に酒と簡単な料理を配置した

 

冥琳は呉側に設置された椅子に着き

 

「一献付き合わないか?」

 

と、稟を誘う

 

稟は少しだけ思案すると魏側の椅子に座った

 

「そう硬くなるな」

 

冥琳は稟の杯に酒を注いだ

 

「軍師の仕事は、血気にはやる将に戦場を与え、主君に勝利を献上すること」

 

二人の視線が、突風を巻き上げ打ち合い続ける霞と雪連に向けられる

 

「だとすれば、我々の仕事は終わりなのだよ」

 

稟が杯を取る

 

「・・・・そうかも知れません」                         

二人は同時に杯の酒を飲み干した

 

「稟の狙いは合肥ではなく建業だった。そしてその目論見は雪連と私が来なければ成功していただろう

建業を落とし中央を制圧すれば呉の中枢は麻痺する。

しかし・・・・・それは一時的な話だ」

 

冥琳は稟へ2杯目を注いだ

 

「蓮華様には亞莎がついている。建業が落ちたとなれば、亞莎は迷わず合肥を晋へ差し出すよう進言するだろう

晋への返還が終われば、合肥の呉軍14万が建業を取り返しに来るのは必然。

張遼と言えど1000程度では話にならぬのではないか?」

 

冥琳は手酌で2杯目を注いだ

 

「名軍師郭奉孝はこの背水の陣をどう凌ぐつもりだったのか、友人として話てくれまいか」

 

二人は同時に杯を乾かした

 

「合肥は、魏、呉、晋と、3度も体制が変わることになります。

晋と言えど整備に時間がかかり、晋軍50万は合肥に釘付けとなる

そして、建業を取り返しに蓮華殿が来て下されば、いかな呉軍と言えどこちらも建業に釘付けにできる

1000の騎馬隊で敵軍60万以上を無力化できるはずでした」

 

「やはり死兵だったか。・・・・・ふっ、来て良かったよ」

 

「来てよかった?」

 

「ああ、私達が来なければ、優秀な将と兵、そして最大の好敵手をむざむざと失うところだったのだからな」

 

稟の作戦は自らの命を捨てた囮だった

 

「それだけではない。言ったであろう、蓮華様の命の危機と」

 

冥琳の言葉に心外そうに

 

「蓮華殿に危害が加わらぬよう、配慮したはずなのですが」

 

「・・・・ふぅ、軍師と言えど、そちらの方は奥手と見える」

 

「仰っている意味がわかりません」

 

冥琳は稟と自分の杯に3杯目を注ぐ

 

「呉が稟と張遼を手にかけたとなれば御遣いが黙っておるまい。

あやつは感情的になると歯止めがきかぬところがあるしな」

 

「一刀殿が?」                          

「北郷の力は計り知れん。あの力が暴走し、怒りが収まらなければ、呉を破壊しつくすかもしれん」

 

「一刀殿はそんな・・・・」

 

「だから稟は奥手だと言っているのだよ」

 

2人は3杯目を同時に飲み干した

稟の顔が赤いのは酒の影響だけだろうか

 

「それに蓮華様のことだ、北郷の大切な人を殺めた責を抱え、自らをさらに追い込んでしまうだろう。

それこそが蓮華様の危機なのだよ」

 

「さらに追い込む・・・・やはり蓮華殿の行動には華琳様の意向があったのですね」

 

今度は稟が冥琳の杯に4杯目を注いだ

返杯として冥琳が稟の杯に4杯目を注ぐ

 

「ああ、華琳の狙いは雪蓮じゃない。最初から蓮華様だ。

私達を排除させたのも、私達が邪魔である以上に

蓮華様への精神攻撃の意味が強かったのだろうな」

 

「心を攻める・・・・ですか。華琳様がそのような方針を取るとは信じられませんでしたが」

 

「今の華琳は私達の知る華琳ではない、そういうことさ」

 

「ですがわからない。華琳様は蓮華様を精神的に追い詰めどうするつもりだったのでしょう」

 

「はっきりしたことはわからぬ。ただ、北郷の言っていた三国志が関係していると私は見ている」

 

「三国志・・・・・まさかっ!」

 

「詳しく聞いたわけではないが、三国志における晩年の孫権は疑心暗鬼に陥り、多数の味方を粛清したと」

 

稟と風の二人が立てた仮定「華琳は一刀の世界の三国志を再現しようとしている」説

その仮定に冥琳もたどり着いていた

 

「確証はないが・・・・な」

 

冥琳が酒を飲み干すと、稟も釣られたように飲み干した

二人とも既に4杯目である                            

その後も二人は飲み続けた

酒が回りお互い砕けた話も出始めると、その矛先は戦い続けている二人に向いた

 

「しぇれんは仕事もせずあそんでばかり、いつも尻拭いばかりさせおって、おかわりー」

 

「わらひたち文官がどれほど我慢していることか・・・・・ああ、わらひだって仕事をさぼってひるまっから飲んでみたいでふ!」

 

そんな軍師二人の状況を知らず、二人の戦狂いはまだ切りあい続けている

 

「・・・・・・・冥琳殿」

 

「・・・・・・・うむ、稟」

 

稟と冥琳は立ち上がるとフラフラした足取りで霞と雪蓮のところへ向かった

相変わらず突風を巻き起こし武器と武器をぶつけ合っているのだが、二人にはそれが見えないようだ

 

「「いい加減にしなさい!!」

 

「うひゃ!」   「め、冥琳?」

 

軍師二人の一喝で突風がぴたりと止まった

 

「どないしたんや稟??って酒くっさ!」 「冥琳ちょっと飲みすぎじゃないの?」

 

稟の目は据わっていた

 

「そんなに戦いたいですか・・・・そんなに戦いが好きですか・・・・」

 

「何があったんや稟・・・・」

 

「・・・・いいでしょう、お二人には取っておきの戦場を与えます。冥琳殿」

 

「うむ、二人には、今より晋軍50万へ突撃を仕掛けてもらう」

 

「はぁ?」「へ?」

 

稟はめがねをくいっとあげた

 

「晋は呉が先制攻撃をするとは考えていません。お二人が晋軍50万に風穴を開ければ・・・・」

 

「うむ、それに合わせ合肥に控えている呉軍が一気に攻勢に出るだろう。亞莎の指揮なら間違いはない」

 

「呉は正式に晋へ宣戦布告することとなり、魏、呉、蜀の関係を修復することも可能です」

 

「二つの刃が大陸を救うのだ。最高の戦場ではないですかな?」       

霞と雪蓮は顔を合わせた

 

「孫策と決着つけられんかったのは心残りやけど、最高に燃える戦場やな」

 

「そうね、こんなに燃え上がった闘志を沈めるには丁度いいわ。やってやろうじゃない」

 

二人はガッチリと握手を交わした

 

「頼みましたよ。霞」  「雪蓮、頼んだぞ」

 

「任しとき!」 「冥琳愛してる~」

 

二人はそれぞれの指揮する騎馬隊へ戻っていった

 

稟と冥琳はその場に倒れこんだ

明らかに飲みすぎだ

 

「あの方達の体力はどうなっているのでしょう。ゥゥゥ・・・・」

 

「ウッ・・・・雪蓮を見ていると人ではないのではないかと思うときがあるな」

 

軍師の仕事

将に戦場を与え、主君に勝利を献上する

二人は仕事を全うした

 

ここからは武の出番だ

 

「おい孫策、ついてこれんようなら容赦なく置いてくでー!」

 

「なめんじゃないわよこの露出狂!あんたこそ置いてかれないようにね!!」

 

「お前に露出がどうの言われたないわあ!!」

 

魏と呉が誇る最強の二部隊は合肥を囲む晋軍50万へ向け移動を開始した


 
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