No.224298

正史と外史の狭間で~拠点・三君主の会議?~その3

ですてにさん

動画作成から逃げるように作成したが、どうしてこうなった。

状況:三国志9英雄集結の呂布傘下に恋姫勢の一部が集合中。
ヒロイン勢は真・恋姫無双の各ルートエンディング後からやってきた。
一刀は、差はあるものの、それぞれ各世界からいなくなっている。

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2011-06-23 14:22:08 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:6642   閲覧ユーザー数:5296

「涅槃にでも連れていくつもりか・・・」

「えー? 一刀にもらった新しい身体があるのに、なんでさっさと涅槃に帰らないといけないのよー」

 

ぶーぶー、と自由人・雪蓮は不満を漏らす。その駄々っ子ぶりは下手な子供よりも性質が悪い。

 

「確かに、我らの身体は、北郷の生命力で維持出来ているようなものだ。

一心同体のようなもの。だから、共にあり続けるのは、おかしくはないが・・・」

「うんうん。だから、一刀と一緒に各世界を飛び回るのも面白いと思うのよ。

それで日銭を稼ぎながら、旅して回って、子供も産んでー」

「雪蓮さん、それはずるいー。第一、私の世界じゃ、雪蓮さんはちゃんと王をやってるもん」

「譲位するから問題ないわ」

「即答!?」

「だって、どの世界の私も考えることは変わらないわよー」

 

あまりに簡単に想像できる情景。

蓮華はますます頭を抱え、桃香も攻勢の切り口を失い、口と胸を膨らませて、不満顔をしている。

胸を強調しているつもりはないのかもしれないし、

案外、計算ずくでポーズを取っているのか、それは桃香にしかわからない。

 

ただ、茫然自失としていた華琳を復活させる『苛立ち』の元になるのには十分だった。

 

「桃香、口と一緒に胸まで強調しなくて結構。雪蓮、元王の肩書の『元』を消すことはそう難しくないわよ?」

「復活するなり、毒舌だよぉ・・・」

「ちょ、ちょっと、華琳?」

 

華琳の反撃の始まりである。

冥琳は意地悪そうな微笑みを浮かべ、様子を見守ると決めたようだ。

 

「王である世界なら、暴走を抑える意味でも、そのまま王でいてもらう。

この辺りは、どの世界であっても蓮華や冥琳と連携を取れば、いくらでも可能でしょう。

王の肩書がついていてすら、そもそも自由人すぎるきらいがあるのだから」

「・・・かりーん?」

「あとは、ここにいる雪蓮は呉の世界に強制送還。蓮華、再譲位してしまいなさい」

「ふむ、手綱はこちらで締めればいいし、私の時間もある程度空くわね。

小覇王と大都督の再降臨となれば、民の士気向上も間違いない」

「げっ。蓮華まで裏切った・・・」

「裏切りではありません。国力向上に繋がるのなら、我ら孫家が呉の民のために、尽くすのは当たり前のこと」

「微笑みながら言うなー! 蓮華、自分の都合とか計算を、呉の家族の為って言葉で隠してるだけでしょうが!」

「さぁ? 裏にどんな思惑があろうとも、呉の地に住む家族の為になるのです。

私のよく知る姉さまであれば、選択権が無いのも重々お判りのはず」

「めいりーん、蓮華が黒いー。よよよ・・・」

「嘘泣きはおやめ下さい・・・」

「・・・容赦ないわね。だけど、私たちと一刀が離れれば、私達の生命も危ういのよ?」

「えぇ、ですから、一刀に呉の地に帰ってきてもらえれば、問題ありませんね?」

 

お互いの言葉に微笑む合う姉妹。一刀の争奪戦は一瞬たりとも、油断はならないのだ。

 

「はいはい。一刀は別。第一、奉先の生命力すら変換して流し込んでもらった雪蓮や冥琳の身体は、

そんじゅそこらの死神も尻尾撒いて逃げ出すわよ。一刀が命をかけて、成功させた解呪よ。

ちょっと離れたぐらいで崩れるものですか」

「ちぇっ、流れ的に押し切れると思ったのにー」

「うう、この展開だと、私は圧倒的不利だよ・・・。華琳さんみたいに一人で太刀打ちも出来ないし」

「確かにそうね。ただ、貴女の武器は・・・ほら、援軍よ」

 

振り返れば、メイド服姿の詠が月と共に、お茶と湯呑みを持参している。

渡りに船、地獄に仏、大海の木片とかなんとか。

 

「詠ちゃん! 本当にいいところに来てくれたよー!

このままじゃご主人様を獲られるところだったんだよー」

「いったい顔を見るなり何なのよ・・・」

 

月と共に慣れた手つきで、皆に茶を振舞っていく詠。

華琳から見ても、淹れ方もちゃんと堂に入っていて。

 

(欲しいわね・・・。詠は軍略の才、月は政務の才にそれぞれ長けている。

それでいて、侍女の仕事も出来て、愛らしい姿で仕えてくれるとくれば・・・)

 

「だから、詠ちゃん。すごくこれは一大事な・・・って、どうしたの、華琳さん」

「桃香、詠と月をもらうわよ」

「えええええ? 許可じゃなく命令!? それもいきなり?」

「へうっ!?」

「華琳の病気が出たな・・・」

 

ぼそりと呟く蓮華や冥琳の言葉などなんのその。華琳は目を輝かせて続ける。

 

「だって、こんなに愛らしい姿をして、侍女としても、軍師、内政官としても優秀。

欲しくなるのは自明の理じゃない。手に入れたくなるのは当然よ」

「そうそう。だから、華琳は美女二人を手にして、一刀を諦め・・・」

「無いわね」

「ちぇっ」

 

ある意味の図々しさも、君主には必要なのかもしれない。

 

「あー、のー、ねー! ボクたちも、あのバカも、あんた達に決められたからって、

それでどこかの世界や国に行くわけがないでしょうが!」

「え・・・?」

「桃香以外はわかってやってたんでしょ。いくら、三国の君主が行き先を決めたって、

アイツは自分の意志で帰るべき世界を見定める。それは誰かどう命令したって、ひっくり返りはしない。

だから、アイツは今でも必死に毎日悩んでるんでしょうが」

「統一への道筋が見えてきて、この特別な外史も終端に向かっている。

そう判っている以上、ご主人様は一生懸命考えてます。痛々しいぐらいに」

「だから、ボクらは決めた。月やボクは、蜀という国に属するわけじゃなく、北郷一刀個人に仕えている存在」

「ご主人様に向かうべき処に、私達の身の置き場があります」

「アイツの歩む道を、ボクの知謀全てを持って、切り開く。それが賈文和の歩む道よ」

「・・・ふーん。国ではなく、一刀個人に対しての忠誠、か」

「そうよ。それが月とボクの答え。アイツにはもう伝えてある。だから、とことん悩んで、道を見つけてくれればいいって」

 

不敵に笑う雪蓮に、表情を変えず、淡々と当然のように回答する詠。

 

「いいじゃない。連れていくじゃなくて、最後まで付いていく、か。そういう覚悟ってありよね」

「私達は一度死んだ身だ。新たな王を掲げるのも悪くないな」

「そういうことだから、蓮華。今度はおふざけも何も無し。私達は、北郷一刀個人につくわよ」

「ちょ、ちょっとあんた達・・・」

「・・・姉さまや冥琳が、そう誓うのなら、私には止められない」

「大丈夫よ、詠。簡単なことだったのよ。一刀に救われたこの命。一刀に捧げなくて、どう返すって話」

「早速、北郷に報告に行くとしよう。それでは、蓮華さま、失礼致します」

「ああ」

 

颯爽と去る、二人の背中を見ながら、華琳が蓮華に問いかける。

 

「・・・いいの? 蓮華」

「真剣に決めたことなら、私に止める権利はないわ。華琳もそう判るから、今度は止めないのでしょう」

「・・・ええ、そうね」

「それにそれに、ご主人様が行くと決めたところには、優秀な将が四人も一緒なんだよね♪」

「桃香。貴女、妙に鋭いわね・・・雪蓮に冥琳、詠に月。小国なら余裕で建国できる面子だわ」

「ご主人様はそんなことを望まないと思いますけど・・・」

「ええ、そうよ。ただ、それが出来る面子というのが、恐ろしいところね」

 

華琳の言葉に「はっ!」という顔をして、桃香がすくっと立ち上がる。

他の四人はその様子をきょとんとした目で見つめて、何事だろう、と思う。

 

「ごくごくごく・・・お茶美味しかった! ごちそうさま! 私、ご主人様のところに行ってくる!」

「え? 今、雪蓮さん達が向かったところですよ?」

「うん。お願いに行くんだ。名将四人を抱えるご主人様に、どうか私達の世界を選んで下さいって」

「強制は意味がないって話じゃなかった、桃香?」

「そうだよ、詠ちゃん。だから『お願い』なんだよ。ご主人様の決断を後押しするならありでしょ?」

 

お茶の香りを楽しみつつ、華琳は桃香の言葉に微笑んで見せる。

蓮華にしても、その手があったか、という風情で。

 

「いい案じゃない? 発案者の立場に免じて、一番手は譲ってあげる」

「ありがとう、華琳さん! 行ってきます!」

 

あっという間に視界からいなくなる桃香。ほんわかしている風貌からは想像も出来ない俊敏さである。

 

「愛紗が嘆くな。いつもあの機敏さがあればと。ところで・・・私達は後からでいいのか、華琳」

「せっかく、月と詠が淹れてくれたお茶よ。じっくり楽しまないと失礼というものだわ」

 

華琳の焦りの無さは何だろう、と考える蓮華。その思考を補足するように、月が言葉を紡いだ。

 

「今、ご主人様のところへ行っても、収拾がつかないですね・・・」

「うん。雪蓮がいる時点でどう見ても、説得、なんて雰囲気にならないわね」

「・・・すまない。なんというか、言葉が無いわ」

「詫びることなど・・・いえ、悪いと思うなら、閨の順番をそれとなく調整してもらえるといいわね」

「あー、実質その辺りって、蓮華が取り仕切ってるんだったわね」

「皆に誠実だから、不満も少ないって聴きます」

「あ、その、なんだ。みんな家族のようなものだから・・・」

 

困り顔の蓮華だが、事実取り仕切っている立場で、否定することも出来ない。

自分だけ回数も多くするなんて出来ない彼女は、逆に皆の信頼を集める結果ともなっていた。

 

「・・・わかった。今晩、私と一緒ということで、手を打ってもらえないか」

「真っ赤になってそういうことを言う蓮華・・・最高よ。喜んで同禽しましょうか」

(詠ちゃん、華琳さんの悪い癖が・・・)

(止められないわよ・・・)

 

かくして、恋姫たちの一日は過ぎゆく。天の御使いを犠牲として・・・。


 
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