Neo名探偵レナレナ 事件ファイル1 雛見沢連続殺人事件 出題編
登場人物紹介
名探偵レナレナ(竜宮礼奈):
雛見沢が世界に誇る事件解決率99%の名探偵。レナレナが指摘した犯人と真犯人が違うというごく些細な過ちを除けば彼女に解けない事件はない。
圭一に恋する夢見がちな乙女でもある。しかし一方ではニートの聖帝レナパパを父に持ち、自身もニート水鳥拳を操る武闘派でもある。
PC版制服立ち絵に従い、ボディーラインは直線を描いており、思春期少女にあるべきカーブが存在しない。
名探偵詩音(自称北条詩音):
レナレナ探偵事務所の副所長にして、レナレナと実力を互角にする名探偵。思考中枢を仮想的に複数個に分けた後、直列に繋ぐ「直列思考」の持ち主で、雛見沢のあらゆる事件の犯人が双子の姉、園崎魅音によるもので犯行であることを瞬時に見抜く。北条悟史の妻を名乗るが本人にはあまり相手にされていない。
古手梨花:
レナレナ探偵事務所の会計担当にして日本有数のBL作家。まだ幼い少女であるが、自分がループして何度も殺されているという妄想を元に書いた『ひぐらしのなく頃に』が大ブレークして一躍有名になる。お金に汚く過去2回脱税と横領で捕まっている。現在も訴訟中。沙都子を愛しているが、ミトコンドリアより劣る程度の関心しか持たれていない。作中出て来ない。
メガネ(富田大樹):
レナレナ探偵事務所の雑用。事件が起きる度にどうでも良い所でどうでも良く殺されているが、メガネは無機物でかつ空気であるために事件にはならない。富田のくせに生意気にも北条沙都子に惚れているが相手にされていない。
ぽっちゃり(岡村傑):
レナレナ探偵事務所の雑用。メガネと同じくどうでも良い所で殺されているが、ぽっちゃりは所詮ぽっちゃりでかつ空気であるために事件にはならない。岡村のくせに生意気にも古手梨花に惚れているが、利用されるだけされてコンクリ詰めで捨てられる未来しかない。
右代宮秀吉(エセ関西人):
レナレナ探偵事務所によく依頼を頼みに来る食品加工会社の社長。脱がずにはいられない裸族。読者サービス担当。
大石蔵人:
レナレナ探偵事務所と組んで数々の事件を解決してきた名刑事。しかし始末書だらけで一向に出世しないまま定年を迎えようとしている。ちなみに一番多く逮捕したのはレナレナ。
前原圭一:
口先だけの小物。自称『ひぐらしのなく頃に』の主人公。あまりの小物っぷりに女性の保護欲を刺激し、少女たちからは人気がある。しかしそれを自分のビッグぶりによるものだと勘違いしている救えない人物。レナレナに想われているが気付いていないし気もない。
プリティー(北条沙都子):
プリティー・オブ・ザ・イヤー連続受賞者。沙都子は白であり、あらゆる一切の犯行とは関係がない。レナレナの妹分。圭一と付き合っているが、レナレナはそれに気付かない。
妖怪シュー舐め(羽入あぅあぅ):
自称雛見沢の守り神オヤシロさま。しかしその正体は人の後をついて回ってシュークリームをねだる妖怪シュー舐め。その為に雛見沢の住民たちが騙されたと集団訴訟を展開中。作中出て来ない。
(・3・)(園崎魅音):
犯人役から犯人役兼死体役を誇る万能のエンターテインメント。空気が読めないというただそれだけの属性で芸人の頂点まで上り詰めた努力の人でもある。
筋肉(富竹時報):
原作とコンシューマー版と漫画版と実写版でいずれも体型が異なるが、本作では筋肉。結局どんな体型にしろ掻き毟るのが存在意義。極度のロリコンであり、ランドセルを脱いだらもう老女としかみなさない。
知恵先生:
不恋(こいさず)を貫く女教師。カレー以外に興味はない。カレーに害をなす者は生徒であろうが容赦なく葬る。
右代宮譲治(破廉恥ヘタレケダモノボインマスターメガネ):
今回のゲストキャラ。ギャラ交渉の末(うめぇ棒1本で)犯人役に落ち着く。秀吉の息子。秘密にされているが筋肉の弟でもある。貧弱な坊やだったが色々あってボインに目覚めた。
大魔王牧野
ひぐらしのラスボス。世界征服を企む未来の宇宙から来た超能力者。
新シリーズで悪の大魔王としての本領を発揮する予定だったが、新シリーズが出なかった。
私の名前は竜宮礼奈。
自宅を事務所にして探偵事務所を開いている。
人は私の事を名探偵レナレナと呼ぶ。
今日は私が解決した事件の一つを紹介しようと思う。
Neo名探偵レナレナ 事件ファイル1 雛見沢連続殺人事件出題編
平成2×年 初夏
「偉いこっちゃ。偉いこっちゃ。偉いこっちゃでぇ~っ! こりゃぁ~のん気に服なんか着ている場合やないでぇ~っ!」
私が自宅を兼ねた探偵事務所でかぁいいものに囲まれてはぅ~としているとクライアントが現れた。
クライアントの名は右代宮秀吉。
東京で中堅規模の食品加工会社を経営する社長。そして、事あるごとに脱ぎだして全裸を晒そうとする変態。
秀吉は東京からわざわざこの雛見沢までやって来ては私に事件の解決を依頼する。まあそれだけ私の実力が全国区に知れ渡っているということでもある。
私はこれまで秀吉の依頼を引き受けて数々の難事件を解決して来た。その中には数多くの刑事事件、殺人事件を含む凶悪事件が含まれている。
その為に今では難事件が起きる度に警察が私への捜査協力を求めることも頻繁に起きている。
私にとってみれば警察は民間人クライアントと並んで大事なビジネスパートナーである。
最近の警察との事件捜査協力では圭一のトランクス喪失事件がある。
私はこの事件をわずか3分で解決した。トランクスは私の頭の上にあった。
事件を即座に解決してみせた私は大石蔵人という警官の招きに応じて興宮警察署を訪れた。そして牢屋の内部警備の仕事を3日間預かり、タダ飯までご馳走になった。
私の生き様は、人の役に立つすることをすれば一生食いっぱぐれることがないことを実例として物語っている。
「それで、秀吉さんはそんなに慌ててどうしたのかな、かな?」
上着もズボンも脱ぎ去り、今まさに嬉々とした表情で青と白の縞々のトランクスに手を掛けている変態に問いかけてみる。
「だから大変なんやでぇ~っ!」
変態は大声で大変と叫びながらトランクスを脱ぎ去った。
「フンッ」
そして誇らしげな顔で脱ぎ去ったトランクスを椅子に座る私の頭にかぶせた。
「これは事件を依頼する前金として受け取っておきぃな。何、礼はいらんでぇ」
澄んだ瞳で全裸の変態が私を見ていた。
秀吉の瞳はピュアな少女のようにキラキラと光っていた。
そんな秀吉に対して、私は鉈の柄で思い切り全裸中年の額を叩いてやった。
「痛いっ! 痛いっ! 痛いでぇっ! 痛すぎてリアクション取りづらいんやで、ほんまっ! でも、この痛みが癖になるんや。エクスタシ~~~~♪」
痛がる全裸に向けて今度は刃を向けながら高く高く鉈を掲げる。
「名探偵レナレナはね、人を憎んで罪を憎まないんだよっ!」
次のフォングシャで全てを終わらせる……っ!
「待ってくださいっ、所長っ!」
私が鉈を変態に向けて振り下ろそうとした瞬間だった。
長い髪をリボンで軽くまとめた少女が飛び込んできて私の鉈を止めた。正確には私の頚動脈を狙って肉厚のナイフを躊躇なく突き立ててきたので防御に回らざるを得なかった。
「どうして止めるのかな、詩ぃちゃん?」
お返しとばかりに詩音の手首を切り落とそうと渾身の一撃を振り下ろす。
「所長が、その人を殺そうとするからですっ!」
だが、詩ぃちゃんことレナレナ探偵事務所副所長園崎詩音は私の攻撃を読んでいた。左手に隠し持っていたスタンガンを取り出し二刀流となって私の一撃を止めた。
やはりこの女、伊達にグギャるだけの実力を秘めてはいないっ!
「だってこの変態は、脱ぎたてのパンツを頭にかぶせて来たんだよ!」
「所長はこの間、圭ちゃんの脱ぎたてのパンツを盗んでくんかくんかほ~むほむしてて警察に捕まっていたじゃないですかっ!」
「あれは盗んだんじゃなくて、圭一くんのパンツが泥棒に盗まれないように保護していただけなのっ! それに、圭一くん以外のパンツをかぶるなんて変態のすることだよっ!」
ぶつかり合う刃物と刃物。
「私だって悟史くん以外のパンツをかぶるのは嫌に決まってますよ。昨日も頭にかぶっていて思いましたけれど、私は悟史くんのパンツにくんかくんかほ~むほむする為に生まれてきたんだって! 悟史パンツこそ私の人生そのものだって!」
激しい斬り合い。一瞬でも気を抜けば命はない。
「だったら、詩ぃちゃんにも私の気持ちはわかるでしょ? 変態のパンツをかぶせられた私の気持ちがぁっ!」
「わかりませんよっ! だって秀吉さんはクライアント。お金を運んで来てくれる人なんですよっ! お金なしで人は生きられないんですよっ!」
室内に響く金属音。
お金という単語に私の動きが止まった。
「それに私まだ、先月のお給料をもらってないんですよっ!」
詩音から目を、目を逸らすしかない。
「経理の梨花ちゃんはどうしたのかな、かな?」
古手梨花はレナレナ探偵事務所が誇る優秀な会計担当。
腹黒性悪狸娘ではあるけれど、お金の計算に関しては誰よりも卓越した能力を持つはず。
「梨花ちゃまはあぅあぅちゃんをオヤシロさまだと偽って村人から全財産を騙し取った罪&横領&たかのんさんを手伝って村人の木人形狩りをした罪で捕まって現在最高裁で争っているじゃないですか。懲役100年か101年かで激しくバトルしてますよ」
チッ。腹黒過ぎたか。
「えっと、この鉈を現物支給ってことじゃダメかな、かな?」
手に持っている財産をそっと差し出してみる。
「いやですよ。私、鉈マニアじゃありませんから」
だが、詩音は現物の受け取りを拒否した。
「悟史くんの盗撮、もとい保護観察用機材のローンがまだ残っているんですから、早く現金で支払ってくださいね、所長」
私は今、貨幣という制度を作った人類を心底憎いと思った。
「O.K.秀吉さん。この名探偵レナレナがお話を聞いてあげるんだよ、だよ」
しかし私は所詮資本主義の空気の中でしか生きられない穢れた人間。
「おぅ。ようやく出番かいな」
そんな私を秀吉は腕を組みふんぞり返りながら見ていた。
自信満々に股間を突き出すような感じで。
殺意の衝動を必死に抑えながら話を聞くようにする。
「それで、一体どんな事件が起きたのかな、かな?」
「ワシは、盗撮の被害を受けておるんやっ!」
秀吉は机をバンッと力強く叩いた。
「ワシのこの、淫らで熟れた肉体をどこの誰かはわからんが盗撮してるんやっ! 間違いありまへんわっ! 昨日も自宅であるダンボールハウスのある公園の噴水で入浴中の所をバシャッてストロボで撮影されてもうたでぇっ!」
妻である絵羽に追い出され、野外で一人暮らしをしている秀吉は力説している。
その熱心な口調ぶりから嘘ではないらしい。となると……。
「犯人は警察だと思いますよ。猥褻物陳列罪で逮捕する為の証拠を揃えているんじゃないでしょうか? 捕まれば死刑は堅いですね。というか死刑ですよ。だから今すぐ報酬を支払ってください」
「公安かもしれないんだよ、だよ。変態活動防止法の適用者としてマークしているんじゃないかな、かな? 捕まったら死刑は確実なんだよ、だよ。だから今すぐ報酬を支払って欲しいんだよ、だよ」
大石に聞いてみれば犯人がわかるかもしれない。
「違っう~~っ! ワシを毎日交番まで運んで休憩させてくれる親切なお巡りはんも変防法適用者は死刑だと親切に教えてくれる公安はんも犯人やおまへんでぇ。確かめたさかい」
「じゃあ、犯人は一体誰なんだろ、だろ?」
最も可能性が高そうな組織が犯人候補から消えてしまった。
「だから、名探偵のレナレナはんに真犯人をみつけて欲しい思うのですわ。報酬は100万払いますぜ。いや、ワシの淫らな肉体を守る為や。200万でどうや?」
秀吉は股間を突き出しながら息巻いて提案してきた。
200万は魅力的だ。1本10円のうめぇ棒なら20万本買える。しかし……
「お引き受けしますっ!」
「詩ぃちゃん、勝手に引き受けないでよ」
こんなにやる気の出ない依頼も久しぶりだ。
金額よりもプライドを大事にしたい。
「所長……今月のお給料……」
「プライドなんて犬にでも食わせてやれば良いよね、よね」
資本主義が憎い。でも私はその資本主義の中で生きるしかない。腐海の中でしか生きられないナウシカな人類と何が違うのか。
「おそらく犯人はワシのこの淫らな肉体を写真にとって脅してくるつもりに違いないでぇ。言うことを聞かなければワシの全裸写真をインターネットに載せて全世界に発信すると。全世界の主要サイトが全てワシの全裸写真で埋め尽くされるんや。ゲッヘッヘ」
「悪質なサイバーテロですね」
「インターネット利用者の何%かは確実に失明するね、ね」
事件は人類の存亡を賭けた戦いにグレードアップしてしまった。
「それもこれも、ワシが秀吉っちゅう世界でも有数の人気キャラなのがあかんのですわ。ワシの名前とキャラなんぞ色々な所でパクられっ放しですからなぁ」
「詩ぃちゃん……報酬を受け取るまでは刺しちゃダメだよ、だよ」
「あっ、つい……」
ナイフで額を割ろうとしていた詩音を止める。
「まず最も被害が深刻なのがバカテスの木下秀吉や。美少年で一人称がワシで女子ばかりでなく男からもモテるなんてワシのキャラの完全コピーとしか思えまへんわ。完璧にパクられてもうたわ」
「待ってください、所長。せめてこの勘違い男のキャッシュカードの暗証番号を聞いてからでないと」
「はっ!」
危ない。金のなる木を切ってしまう所だった。
「そして最近アニメ化されたっちゅぅ、戦国乙女とかいう作品の豊臣ヒデヨシ。ワシを少女化して主人公にすれば売れるっちゅう、いやらしいほど資本主義の原理に即した作品があるそうやないか」
「アンタ……アニメ製作会社の人に謝んなさいっ!」
「お前のようなヤツがいるから、地球から戦争がなくならないんだよ、だよっ!」
私と詩音は激高に身を任せて鉈とナイフを振り下ろす。
正義の怒りが秀吉の暴言を封じるっ!
「「うわらばぁああああああぁっ!?」」
が──
「あれっ? 見えない障壁がっ!?」
「はぅ~。不思議なんだよ、だよっ!?」
私と詩音の刃は秀吉に届かなかった。
「フッ。ワシの美中年オーラは刃さえ通じんのやでぇ」
勝ち誇る秀吉。
その隣には頭から血を流して床に倒れるメガネとぽっちゃりの姿。
2人は即死状態だった。
鋭利な刃物で頭を抉られたような跡があった。
凶悪殺人事件に間違いなかった。
一体、誰がこんな酷いことを?
まあ、そんな些細なことはどうでもいいか。
そんなこの世で最もどうでも良いことより、今は秀吉の依頼を解決して報酬をもらうことの方が大切だ。
「秀吉さん。この事件、名探偵レナレナと……」
「名探偵詩音ちゃんが見事解決してみせましょうっ!」
200万円は私たちに勇気と希望をくれた。
レナレナ探偵事務所の本領を発揮する時が来たっ!
私と詩音は早速秀吉を盗撮している犯人を捕まえるべく捜査を開始した。
だが詩音は探偵事務所を出たと思ったら地面を向いて何やらブツブツと呟き始めた。
こ、これは……詩音が「直列思考」を始める時の合図っ!?
まさか、もう犯人を探り当てたと言うの!?
まだ、何も捜査していないというのに。
「フッ。謎は全て解けましたよ」
妖艶に髪を掻き揚げてみせる詩音。忌々しい大きな胸を揺らしに揺らして演出強化。
男ばかりか少女さえも己のファン層に取り込もうという洗練された仕草。
どうやらこれは本気で謎が解けたらしかった。
けれど、この短時間にどうやって?
「雛見沢で起きる事件で名探偵詩音の手に掛かれば解けない事件などありませんっ!」
誰もいない方面にカメラ目線で指を突き刺す詩音。既に2時間サスペンスの主人公になった気でいる。
「犯人は……いつも、お姉っ!」
詩音の決め台詞が炸裂する。
探偵に最も必要なもの。
それは決め台詞であることは今更言うまでもない。
そして詩音の決め台詞は既に体は子供頭脳は大人の少年メガネ探偵と同じ域に入るほど堂に入っている。それ即ち英霊の域。生きる伝説と詩音は化した。
「それじゃあ私は、今回の事件の真犯人であるお姉を捕まえに行ってきます!」
そして言うが早いか詩音は飛び出していってしまった。
「詩ぃちゃんの推理能力が超一流なのは認める。けれど、本当に魅ぃちゃんだけが犯人なのかな?」
魅音は雛見沢で起きる全ての犯罪事件に絡んでいる。即ち魅音が雛見沢全ての悪(アンリマユ)であることは疑いようがない。
例えばこの間の前原圭一パンツ喪失事件の時も犯人の一人は魅音だった。
私は圭一から保護したパンツを独り占めするような下衆な真似はしなかった。
ちゃんと魅音にも分け与えておいた。
彼女が留守の間に部屋の座布団の上にそっとプレゼントしておいた。魅音が望んでいたパンツをようやく私が尖兵となって手に入れたという手紙を添えて。
魅音は私と一緒に大石に捕まった。
だが、魅音の罪はこれだけに留まらなかった。
北条悟史のパンツが大量に盗まれた事件の犯人も魅音であったことが、詩音による現場検証から明らかになった。
更に、前原圭一の部屋から北条沙都子のパンツが発見された一件も、圭一と沙都子の証言から犯人が魅音であることが明らかになった。
以上のように魅音が雛見沢で起きる全ての事件の犯人であることは間違いない。
しかし、それだけで事件の全てが説明できるわけではない。それは、共犯の存在があるからだ。
今回の秀吉盗撮事件も魅音が犯行に関わっているのは私も間違いないと思う。
だが、魅音1人を犯人として仕立て上げ、自分はのほほんと日常生活を送ろうとする共犯の存在があるのではないか?
そんな気がしてならない。
「共犯を、探し出さなきゃ」
(・3・)を操っているに違いない共犯者を求めて私は走り出した。
私は早速捜査を開始した。
捜査の基本は足だ。
私は足を使って情報を集めることにした。
秀吉は普段東京に住んでいる。
そして東京で盗撮の被害を受けた。
雛見沢の住民の中で東京の事情について知っている者はそう多くない。
そこで私はまずナウなヤングでバカ受けしそうなシティーボーイ前原圭一にチョベリグな話を聞いてみることにした。
「圭一くん、まだ学校にいるかな、かな?」
前原圭一は雛見沢分校に通う学生で私の恋人。
2人は将来を誓い合った仲で、後数年もすれば夫婦になることが決まっている。
きっと次の私の誕生日には圭一から婚約指輪が贈られるに違いない。
その圭一は芸術家の父の仕事の関係で東京より雛見沢に引っ越して来た。だから十数年間東京に住んでいたわけで、東京の事情は雛見沢の誰よりも詳しいだろう。
きっと事件解決への有益な手掛かりも提供してくれるに違いない。
「だけど圭一くん、もう授業は終わっているはずなのに一体どこにいるのかな、かな?」
校舎の中を隈なく捜したが圭一の姿はない。
『ちょっと圭一さん。こんな所でいきなりキスするなんて誰かに見られたらどうするつもりなんですの?』
『だって俺、今日まだ沙都子と2回しかキスしてなかったんだぜ』
『昨日10回以上キスしたじゃありませんの』
『昨日は昨日。今日は今日。沙都子の方からキスしてくれるまで俺はここで駄々をこね続けるぜ』
『まったく……ホントしょうがない殿方ですわね。今度はちゃんと目を瞑ってくださいまし』
『わかってるって。愛してるぜ、沙都子』
『わたくしもですわ、圭一さん』
校舎裏から小さな会話が聞こえてきた。
声の主と内容はよくわからないが誰かがいるのは確かだった。
早速校舎裏へと向かう。
すると、いた。
目的の人物である圭一と、私の妹分である北条沙都子の姿が。
「圭一く~ん、沙都子ちゃ~ん。お~い」
手を振りながら2人に駆け寄る。
「うっ、レナっ!?」
「レナさんっ!?」
2人はパッと離れた。
私の目の錯覚であることは100%間違いない。しかし、2人は抱き合って顔を寄せ合っているように見えた。何をしていたのだろう?
まさか、2人はキスしていたんじゃ!?
……なんて、驚ける素敵な感性をこの名探偵は残念ながら持っていない。
私は合理思考の持ち主。
まあアレだ。
このイベントは人気取りの為のラブコメ勘違い的な要素に違いない。
三角関係的なものを匂わせて人気のてこ入れを図る。
常套手段にして姑息な手段だ。
今のもきっと、沙都子の目にゴミが入ったのを圭一が取っていたという使い古された手に違いない。
しかし私の恋のライバルが沙都子というのは設定がいかにも粗末過ぎる。
沙都子は私にとって妹分の少女。
圭一にしても妹分であって、恋愛対象の女として見るのは不可能なことだろう。
あんな子供と本気で恋愛なんてあり得ない。
沙都子が相手では三角関係的構図は決して成立しないのだ。
『圭一さん、今わたくしたちがキスしていたことはレナさんにはナイショですわよ』
『俺たちが愛し合っていることをレナや魅音に知られるとうるさそうだからな』
私の人生に脚本を書いている者が存在するなら、三角関係はもっとリアリティー溢れる人物で構成して欲しいものだ。
まあ、私と張り合える女がこの世に存在するとも思えないけれど。
「で、ど、ど、ど、どうしたんだ、レナ?」
「そ、そそ、そうですわ、レナさん。そんなに息を切らせて一体どうなさったんですの?」
2人は何か焦っている。
一体、どうしたのだろう?
まあこの広大な大宇宙の調和に比べれば人間は如何にも不安定な生き物だ。
理由もなく焦ることもあるだろう。
そんな些細なことよりも今は事件の手掛かりを得なければ。
「今事件の捜査中なんだよ。圭一くん……と沙都子ちゃんに情報を提供して欲しいんだよ、だよ」
さあ、秀吉盗撮犯人を絞り込んでいく為の聞き込みを開始しよう。
前原圭一(14+-α歳)の証言:
Q.事件に関して
どんな事件起きているのだか全然わからないのだが? そうだな、今年の風邪は悪質らしい。しかも雛見沢は老人人口が多いから死に至る恐ろしい病になってしまっているとか。山田さんのおばあさんと鈴木さんのおじいさんは風邪が元で今月相次いで亡くなってしまったらしい。雛見沢で今一番騒がれている事件だな。
秀吉? ああ、あの全裸のおじさんか。興味ないな。
Q.結婚時期に関して
男としてのケジメは付けたいし、何より俺が早く結婚したい。それで3日前にプロポーズしたんだが、まだ返事をもらえてないんだよな。俺、本当に好かれているのか少し不安になってくるぜ
Q.竜宮礼奈に関して
友達だな
Q.園崎魅音に関して
(・3・)だな
Q.今日のパンツに関して
赤ビキニのセクシーパンツだぜ
聞き込みをしてわかることは、人間は嘘をつく動物であるということ。
私は「嘘だっ!」と大きな声で叫び出したいのを必死にこらえた。
何故なら、圭一は3日前に私にプロポーズしていない。
だから結婚時期に関する圭一の返答は嘘でしかありえない。
そして、私に対する圭一の返答が友達というのも大嘘だ。
2人は恋人で深く愛し合っている者同士なのだ。
何故、圭一がこんな嘘をつくのか?
「やはりこの事件の裏には何か大きな陰謀が隠されている?」
雛見沢には鬼隠し、オヤシロさま、御三家と数多くの暗部が存在する。
もしや、圭一に危険が迫っていて、それで彼は真実を喋ることができないのではないだろうか?
きっとそうに違いない。
私が事件を一刻も早く解かない限り、圭一に平和は訪れないのだ!
北条沙都子(11+-α歳)の証言:
Q.事件に関して
その、急に事件と言われても困りますわ。そうですわね、個人的に最近困っていることは筋肉さんによるストーキングでしょうか? 梨花もあぅあぅさんももう生きて雛見沢に戻って来ることはないでしょうから、ストーキングの対象がわたくしに集中してしまっていますの。
秀吉さん? よく知りませんし、お答えできることはありませんわ。
Q.恋愛に関して
実はわたくし、3日前にさる殿方からプロポーズされまして、お受けしようかどうか悩んでいますの。わたくしもその方を愛しておりますし、今すぐにでもお受けしたいのです。けれど……母は何度も結婚と離婚を繰り返した方でしたので、わたくしも同じようになってしまうのではないかと不安が拭い払えなくて。
Q.竜宮礼奈に関して
良きお姉さんですわ
Q.園崎魅音に関して
空気の読めない(・3・)ですわ
Q.今日のパンツに関して
えっ? 答えないといけませんの?
白と水色の縞々ですわ。圭一さんがストライプを大好きなものですから、できる限り御要望には応えるように……
沙都子も嘘をついている。
沙都子のような子供にプロポーズするような酔狂な男がいるはずがない。
それに圭一が好きなパンツの柄は今私が穿いている真っ白のはず。
では、何故嘘をつくのか。
「やはり、圭一くんと同じで大きな陰謀に巻き込まれているから?」
そうだ。それしかもう合理的に説明できる術が存在しない。
そうだ!
2人は、大いなる悪に脅されているに違いない。
『ああっ、そう言えば破廉恥ヘタレケダモノボインマスターメガネ、略して破ヘケボメの右代宮譲治さんが何かの目的で秀吉さんの写真を集めているそうですわ』
『じゃあ、盗撮の犯人も破廉恥ヘタレケダモノボインマスターメガネ、略して破ヘケボメの譲治さんで決まりだな』
私の愛人と妹分を脅しているのは一体誰なの?
どんな巨大な陰謀が働いているというの?
「おいっ、レナ」
「大丈夫だからっ! 圭一くんと沙都子ちゃんは絶対にこの名探偵レナレナが救ってみせるからっ!」
言うが早いか走り出す。
名探偵である私が2人に接近したと知れば、悪の組織もそれだけ2人に対する監視を強めるだろう。
下手をすれば2人の命が狙われる事態にもなりかねない。
この事件に私の大事な2人をこれ以上巻き込むわけにはいかない。
「突然走り出して一体どうしたと言うのですのぉっ!?」
「2人は名探偵レナレナが絶対に守るから心配しないで欲しいだよ、だよぉ~っ!」
振り返らずに走り去っていく。
愛する2人を守る為に私は敢えて走り去らなければならなかった。
『レナの奴、一体どうしたんだ? 俺たちのことを守るって言っていたけど』
『その、わたくしたちの仲を応援してくださるということじゃないかと思いますわ』
『ああ、なるほど。そう考えれば説明が付くな。そっか、レナ公認になったのか、俺たち』
『だから、その……応援してくださる方もできたことですし、圭一さんのプロポーズを、わたくし、お受けしたいと思いますわ』
『本当か、沙都子!』
『ええ、幸せにしてくださいましね、圭一さん♪』
『幸せは2人でなるもんだぜ、沙都子♪』
圭一との愛に満ちた新生活を送る為に、私は敢えて彼の元を離れなければならなかった。
探偵とは何と辛い職業なのだろう。
「でもこれも、将来の2人の為に必要なことなのっ!」
涙を堪えて必死に走っていく。
巨大な悪の陰謀に巻き込まれている圭一と沙都子の元を離れて走る。
すると、学校の最深部、カレー王国の前へと到着した。
カレー王国は雛見沢分校の教諭である知恵留美子、通称不恋(こいせず)の知恵先生が育てているカレーの具材となる野菜畑のこと。
カレー王国に手を出すことは絶対の死を意味しており、(・3・)はカレー王国不法侵入の罪により今月既に3回惨殺されている。
この名探偵といえども恐怖を感じざるを得ない。
「竜宮さんじゃありませんかカレー。こんな所で一体、どうしたのですかカレー?」
突如背後から声を掛けられ、ビクッと全身が震える。
しまった。知恵に生殺与奪の権利を握られてしまった。
迂闊に振り返ればその瞬間、大型L字定規で首を刈られてしまう。
「……名探偵レナレナは事件の捜査中なんだよ、だよ」
肩を落とし、抵抗する意思がないことを示してから返答する。
「なるほどカレー。地上の愛と正義の為に働いているのですねカレー。先生も協力いたしましょうカレー。カレー王国に手を出したら容赦なくその命を刈らせて頂きますが」
「ありがとうなんだよ、だよ」
訊いても仕方がない気がするが、知恵にも尋ねてみることにする。
知恵留美子(本人希望永遠の18歳)の証言:
Q.事件に関して
最近のレトルトカレーはよくできています。ですが、お手軽に美味しいカレーが食べられるようになった為に、自らの手でカレーの美を創ろうとする人々が減ってしまわないか大変です。それから大魔王牧野が世界征服の野望に燃えて動き出しているそうです。
右代宮秀吉? カレー以外に興味はありません。
Q.結婚時期に関して
もう1度同じ質問をしたら竜宮さんの首を刎ね落としますよ
Q.竜宮礼奈に関して
レナレナだと竜宮さんは学校に通っている設定でしたっけ?
Q.園崎魅音に関して
(・3・)ですね
Q.今日のカレーに関して
今日はご飯の上にご飯をかけて食べるライスカレーに挑戦したいと思います。
「貴重な御意見をありがとうなんだよ、だよ」
「どういたしましてカレー」
やはり、何の役にも立たない聞き込みとなってしまった。
まあ、こんな時もたまにはある。
「そう言えば先ほど、園崎さんが裏山に行くと言っていましたカレー。見つけたら私の所まで来るように言ってくださいカレー。邪教の主食ハヤシライスを食した罪で斬首にしますので」
「貴重な情報をありがとうなんだよ、だよ」
最後の最後に貴重な情報が得られた。
私が魅音を捕まえて、共犯者の存在を喋らせてやろう。
喋らなければ知恵の所まで連れて行くと脅して。
ちなみに喋ったら言い付け通りに知恵の元まで連れて行く。
「それでは竜宮さん、新しいカレーについて……」
「レナレナは忙しいからもう行くんだよ、だよ」
知恵のカレー談義に付き合っている暇はない。
私は裏山に向かって走り始めた。
雛見沢分校と裏山の中間地点にある古手神社の前にやって来た。
古手神社の防災小屋を改造した2階のスペースには、かつて神主代理の古手梨花、その縁戚を自称する羽入あぅあぅこと妖怪シュー舐め、そして北条沙都子が住んでいた。
しかし現在梨花は収監中で、あぅあぅは集団訴訟を展開されて雲隠れしており(おそらく梨花の手引きで間違いない。いずれ内臓や眼球だけ国外脱出を図りそうな気がする)、沙都子は色々あって前原家で暮らすようになっている。
従って今、古手神社は誰も管理する者がいない無人の社となっていた。
無人の社に……。
「やぁ。今日も良い天気で絶好の筋肉日和だよ。さあ、梨花ちゃんもあぅあぅちゃんも僕の逞しい筋肉たちを見てくれぇっ!」
筋肉が、いた。
筋肉はもう開かれることがない防災小屋の閉じられた窓に向かってマッスルポージングを取っている。
黒いビキニパンツ1丁で懸命に筋肉を見せ付けている。
カーテンが開かれることはもうないであろう窓に向かって。
「筋肉さん、梨花ちゃんとあぅあぅちゃんはもう……」
二度と会えない。
その言葉が出そうになるのをグッと飲み込む。
「僕は諦めていないさ。僕の持つ人脈の全てを使えば、梨花ちゃんの懲役が100年の所を99年に短縮できるかもしれない。そうすれば生きている間に会える可能性が広がるさ」
「99年経ったら、梨花ちゃんはランドセルじゃなくなってますけれどね」
「僕の知り合いに梨花ちゃんなんて性悪狸はいないさ。雛見沢で唯一ハァハァできるのは沙都子ちゃんだけだね」
筋肉はペッと唾を吐いた。ペドらしい最悪な切り捨て方。
「それで、レナちゃんは僕に何か用かい? 僕の逞しい筋肉を見にきたのかな? だけど、僕に惚れて告白なんてのは勘弁してくれよ。ランドセルを脱いだ熟女と付き合うなんて考えただけでゾッとしちゃうよ」
「……事件の捜査中です」
筋肉をこの手で葬ってしまいたい。
けれど、この筋肉は実は秀吉の隠し子。
事件に関して有益な情報を持っているかもしれない。
それを得るまでは葬れない。
私は筋肉の話を聞いてみることにした。
筋肉(30+-α歳)の証言:
Q.事件に関して
そんなことより僕の逞しい筋肉を見て欲しいな。ちなみに僕はロリ巨乳よりもペッタンコの方が大好きさ。第二次性徴は不要だよ。だから、ロリ巨乳の沙都子ちゃんは僕にとっては微妙な面があるのだけれど、梨花ちゃんもあぅあぅちゃんもいない以上、沙都子ちゃんを追うしか僕が雛見沢に来る意味はないね。たかのん? 誰だい、そのババアは?
秀吉父さんの盗撮事件の犯人? 愚弟である破廉恥ヘタレケダモノボインマスターメガネ、略して破ヘケボメの譲治の仕業だと思うよ。
Q.恋愛に関して
僕はYes,ロリータ。No,タッチ。僕はこの気高き精神を持つ紳士だから、少女たちに手を出すような真似は決してしないよ。僕の愛は24時間こっそりと見守り続ける純愛型だよ。まあ、幼稚園児や小学生から求婚されたらすぐにオーケーするけど。そして12歳過ぎたら離婚するけどね。
Q.竜宮礼奈に関して
胸の大きさは沙都子ちゃんと比べ物にならないほど小さくて良いと思うけれど、所詮はランドセルを脱いだセーラー服ババアだね。バアさんは用済みだよ。
Q.園崎魅音について
(・3・)だね
「ちなみに僕の今日のパンツは黒いビキニパンツさ。3年間穿き続けた熟成ものさ」
「尋ねてないです」
私は圭一や沙都子のパンツの柄を知りたいだけで、こんな変態のパンツの柄には興味がない。
しかも、この筋肉が現在身に付けているのは黒ビキニパンツのみ。見ればわかる仕様。
「おっと、その瞳は僕がパンツの中に何か凶器を隠していると疑っている眼だね。仕方ない。僕の公明正大性を証明しようじゃないか」
そう言って筋肉はパンツを脱いで私の頭にかぶせた。
「さあ、僕が何も隠していないことをその両の眼が腐るまで確認してくれぇっ!」
股間を突き出してグルグルと回しながら己の無実を訴える筋肉。
その表情は実に誇らしげ。
父親である秀吉と実にそっくりだった。
この親子、絶対に後で殺すっ!
「それで、筋肉さんは破廉恥ヘタレケダモノボインマスターメガネ、略して破ヘケボメの譲治さんが今どこにいるか知っていますか?」
だが、今は事件を解決して報酬を受け取る方が先。
「愚弟ならボインボインうるさいのでボインな魅音ちゃんなら裏山にいるよって教えたら走り去っていったよ。大きな胸が好きだなんて、人類として恥ずべき愚弟だよ。やれやれ」
筋肉は大きな溜め息を吐いた。
「譲治さんと魅ぃちゃんが裏山にっ!?」
これはもう、何かの意図がある遭遇としか思えない。
私は筋肉の相手をするのをやめて、大急ぎで裏山へと向かった。
10分ほど走り続けてようやく裏山の入り口と言える獣道の入り口に辿り着く。
「この先は裏山……沙都子ちゃんが仕掛けたデストラップの待ち構える場所」
雛見沢で愚か者のする行動の一つに、案内人なしで裏山に入ることが挙げられる。
沙都子の悪戯であるトラップワークは、その本人のプリティーさに似ずに凶悪だ。
沙都子本人か、沙都子の残り香を嗅ぎ分けて罠を探知できる梨花と悟史と詩音、もしくは幾ら罠に掛かって死んでも全く惜しくない(・3・)、空気ズ、筋肉、秀吉、破ヘケボメなどが道案内人を務めずに山に入ることは死を意味する。
だが、事件の重要参考人に違いない魅音と譲治がこの裏山にいる以上、私も入らない訳にはいかなかった。
「圭一くん、名探偵レナレナを守って欲しいんだよ、だよ」
私は勇気を振り絞って裏山へとその1歩を踏み入れ──
「はぅうううううううううううぅっ!?」
地雷を踏んで大きく大きく吹き飛ばされた。
飛ばされている間、前スリットの大きく開いた服からパンツが誰かに見えてしまわないか不安で不安で仕方がなかった。
そして私は裏山の中腹ほどに落ちた。
「あれっ? 全然怪我してない?」
高度100m以上に吹き飛ばされたはずの私は掠り傷一つ負っていなかった。
ニート聖拳の修行を通じて体術を鍛えた私ではあるが、高所からの自由落下はさすがに厳しい。
それでも怪我をしなかったということは、何かクッションになるようなものがあったということ。
しかし、100m以上の高さから落ちて怪我一つないフカフカなクッションとは一体何だろうか?
気になった私は下を見て確かめた。
「み、み、魅ぃちゃんっ!?」
私の下にいたのは園崎魅音こと(・3・)だった。
私は仰向けに倒れた魅音の胸の上にお尻をついて座っていた。
「それじゃあ名探偵レナレナは、魅ぃちゃんの胸をクッションにすることで助かったの?」
その事実に思いが至った瞬間、私に浮かび上がった感情は感謝ではなく怒りだった。
「この、忌々しい胸にレナレナは助けられたって言うの!?」
私のスタイルは超スレンダー。
胸なんてただの飾りだということを、胸なんて脂肪の無駄遣いに過ぎないことを私は自分の身をもって証明している。
私より胸の勾配の少ない女といえばこの雛見沢では梨花以外に存在しない。
そして、悪の園崎魅音は私とは真逆の体型を持つ忌々しい悪女。
節電、エネルギーの消費削減が叫ばれる昨今の世の中に脂肪の無駄遣いをしている雛見沢全ての悪。
しかも、その脂肪の無駄遣いを誇っているのだから始末に終えない。
まったく、Fカップのブラがキツいとかほざくコイツが悪でなくて何だと言うの?
こっちはAAAでも余るっての!
憎い。憎過ぎる。死んじゃえば良いのに。
「よし、エネルギー節約の為に、無駄な脂肪は切り取ろう」
私は名探偵レナレナ。
全世界の平和の為に正義をなさなければならない。
これは決して私怨ではない。
(・3・)「ぶっひゃぁあああぁ。おじさんの胸の上に鉄の塊が乗っているように重いよぉおおおぉ!」
……私怨でも良いかもしれない。
「魅ぃちゃん、乗っているのはレナレナなんだけどな、な」
(・3・)「乗っていたのがレナじゃ鉄よりも重いのも納得だよ。おじさん、こんなに納得がいったのは不憫なレナの胸を大きくして欲しいと願ったら、神龍に我の力を越える願いは叶えられないと断られた時以来だよ」
「死ねっ、この世全ての災厄っ!」
私は鉈を魅音の忌々しい胸に向けて全力で振りぬいた。
「待ってください、所長っ!」
だが、私の鉈が魅音の心臓を切り裂く直前に止めたのは突如現れた詩音だった。
正確には詩音の釘バットが私の顔面を容赦なく潰そうとしていたので、私は鉈を防御に回すしかなかった。
「何で邪魔をするのかな、詩ぃちゃんっ!」
詩音の釘バットに向かって鉈を振り下ろす。
釘で武装を強化しているとはいえ、所詮その本体は木製。
私の一撃ならば木製武器を真っ二つに粉砕するぐらいは訳がない。
「それは所長が、お姉が犯人だと確かめる前に殺そうとするからですよっ!」
だが、私の攻撃を読んでいた詩音は鉈を横からバットでなぎ払った。
「だけどこんな害虫、生かしておくと世界の為にならないよ、よっ!」
「それには100%同意します。でも、お姉が犯人だという確たる証拠を掴まないと、秀吉さんから成功報酬がもらえないじゃないですかっ!」
詩音がバットを振り回してその先端の釘で私の体を抉りに掛かる。バットはリーチが長いだけあって攻撃に回られると厄介な得物だった。
「じゃあ、魅ぃちゃんが犯人である証拠を聞き出してから命を刈るってことでどうかな、かな?」
「そうしましょう」
詩音との和解が成立した。
やっぱり戦争は良くない。
(・3・)「ぶっひゃぁああぁ。胸の大きさが梨花ちゃん並しかない鉄体重女のレナと外見だけは世界一美人なおじさんに似ているけれど、その中身は似ても似つかないバカでバカでバカで仕方ない恥ずかしい妹詩音に囲まれるなんて。おじさんの人生は本当に不幸で不幸で仕方ないさね」
詩音とアイコンタクトを交わす。
後少しだけ死刑執行は待つことを確認。
私たちが狂気に刈られてしまわない内に(・3・)への調査を行うことにする。
(・3・)(15+-α歳)の証言:
Q.事件に関して
(#・3・)「詩音の今日のパンツの色は黒だよ。妹の癖に色気づくなんて10年早いよ。姉より優れた妹は存在しないって何でわからないのかね? まったく、バカで愚かで救い難い娘だよ」
(#・3・)「レナの今日のパンツの色は白だよ。梨花ちゃん並に腹黒い癖に白穿いて清純派を気取るなんて許せないよ。まったく、悪どくて愚かで救い難い娘だよ」
(#・3・)「右代宮秀吉? あんな、昨日1日分鎖骨の手入れを怠るような不潔中年のことなんて知らないね。まったく、鎖骨の手入れを怠るなんて人類として許せないよ」
Q.恋愛に関して
(・3・)「詩音はいい加減悟史に欠片も相手にされていないことを気付くべきだと思うよ」
(・3・)「レナはいい加減圭一に欠片も相手にされていないことを気付くべきだと思うよ」
(・3・)「おじさんの美貌に圭ちゃんも悟史もメロメロなのさ」
Q.竜宮礼奈に関して
(・3・)「バカな娘だね。死ぬしか直せないね」
Q.園崎詩音に関して
(・3・)「バカな娘だね。死ぬしか直せないね」
Q.園崎魅音に関して
(・3・)「あらゆる面でこの世最高の美人だね」
Q.秀吉盗撮の犯人に関して
(・3・)「自意識過剰もいい所だね。誰があんな中年オヤジを盗撮するかっての」
腹立たしい証言だった。
「犯人について証言していない所が腹立たしいですね」
詩音が溜め息を吐く。
私も同じ気持ちだ。
仕方ない。魅音を陥落させる為に更なる情報を聞きださなくては。
「詩ぃちゃん。犯人逮捕に協力して欲しいんだよ、だよ」
「わかりました」
園崎詩音(15+-α歳)の証言:
事件に関して:
お姉が犯人で間違いありません。犯人はいつもお姉です
結婚時期に関して:
私はもう悟史くんの妻であるつもりです。後は悟史くんが恥ずかしがらずに婚姻届に判子を押してくれれば北条詩音の出来上がりです
竜宮礼奈に関して:
所長です。給料早く払ってください
園崎魅音に関して:
お姉は他人です
「詩ぃちゃんの証言から、魅ぃちゃんが犯人である可能性が高まったんだよ、だよ。これは詳しく調査する必要があるね、ね♪」
鉈をペロっと舐める。
口さえ残っていれば、両手両足なんて必要ないかもしれない。
ゾクゾクしてきた。
(・3・)「おっと、そろそろ撮り溜めたアニメを消化する時間が来たね。こんなバカ娘たちにいつまでも付き合っていたらおじさんまでバカになってしまうよ。それじゃ!」
魅音は全力で駆け出し始めた。
山頂に向かって。
(・3・)「ぶっひゃっひゃっひゃっひゃ。高速ワープだね。ぶっひゃっひゃっひゃ」
そして(・3・)は地雷を踏んで大空へと飛び立っていった。
園崎家とは反対に向かって。
あの(・3・)、一体何しに裏山に来たのだろう?
まあ、所詮は(・3・)だし、その行動に意味なんてないのかもしれない。
「所長、私はお姉を捕まえて事件に関する情報を聞き出してきます」
敬礼する詩音。
「私は裏山に来ているはずの破廉恥ヘタレケダモノボインマスターメガネ、略して破ヘケボメの譲治さんを捜して話を聞くことにするよ」
私も詩音に倣って敬礼を返す。
私たちは別れて真犯人の探索に回ることにした。
「譲治さん、裏山に来ているはずなのに、一体どこにいるんだろう?」
譲治を捜し始めてもう1時間になる。
しかし、いまだに譲治はみつからない。
筋肉の話に拠れば、ボイン(・3・)という忌々しいだけの存在を求めて譲治がこの山に入ったのは確実なのに。
「まさか、譲治さんも大いなる陰謀に巻き込まれたんじゃ?」
その可能性は十分に考えられた。
秀吉と全く関係なさそうな圭一や沙都子でさえ巨大な陰謀に巻き込まれているのは明白。
秀吉の実子である譲治が無関係でいられるはずがない。
それに気付いたら、急に譲治の身の上が気になり始めた。
「早く、早く見つけなくちゃっ!」
譲治に死なれたら、秀吉盗撮事件の犯人がわからなくなる。
そうなったら秀吉から報酬がもらえなくなってしまう。
私は懸命に石をひっくり返して譲治が隠れていないか捜した。
そして、見つけてしまった……。
「遅かった……」
私は裏山の中腹の獣道から少し奥まった地点で譲治を発見した。
しかし、竹やりとボーガンで全身を蜂の巣にされていた譲治は既に息をしていなかった。
メガネキャラにとって本体であるメガネが砕けていた。
「素人が裏山に足を踏み入れるからこうなるんだよ、だよ」
この山のデストラップは戦闘民族雛見沢人以外が挑むには無謀すぎる。
譲治さんの死はそれを改めて思い知らせてくれた。
「まあ、破廉恥ヘタレケダモノボインマスターメガネ、略して破ヘケボメの譲治さんの死はどうでも良いのだけど、秀吉さん盗撮犯人のヒントを得られなかったよぉ。はぅうぅ」
落胆の声が上がる。
事件の重要参考人だった譲治の死は、レナレナ探偵事務所にとっては死活問題だった。
譲治の死なんて別に空気ズの死亡ぐらいどうでも良いこと。でも、その譲治の死によって今生きている私が大変な難儀をしている。
そう。私が、難儀を……。
「もしかして、やっぱり譲治さんも巨大なる陰謀に巻き込まれたのでは!?」
そうだ。そうに違いない。
考えてみれば譲治が獣道から外れた地点で死んでいるのは何か違和感がある。
譲治はこのトラップ満載地点に誘い出されたのではないか?
そう考える方が譲治がこんな場所で死んでいることの説明が付く。
しかしそうなると、犯人は何故譲治の殺害を謀ったのだろうか?
譲治に恨みがあったから?
いや、譲治みたいなミジンコは放っておいても風と共に飛ばされてどこかに消えてくれるはず。
となると、譲治が誰かと接触するのを妨害したくて殺したと見る方がより妥当ではないかと思う。
譲治が会おうとしていた人物。または、譲治に接触を図ろうとしていた人物。
該当する人物は2人。
1人は、譲治が追い駆けていたおっぱいお化け園崎魅音。
もう1人は、事件解決の為に譲治を追い駆けていたクール超ビューティー私。
魅音と譲治は共に秀吉盗撮事件の重要参考人であり、もっと言えば犯人に違いない存在。
そして私はその事件を追う者。
譲治が巨大な陰謀に巻き込まれない筈がなかった。
「譲治さんが既に死んでいるということは……魅ぃちゃんが危ないっ!」
魅音の命もまた危機に晒されているに違いなかった。
魅音まで殺されてしまえば、秀吉盗撮事件の犯人が誰だか永久に分からなくなってしまう可能性がある。
そんなのは名探偵のプライドが許せない。
そして、報酬が得られないのは死活問題だった。
私は魅音を追っているはずの詩音を慌てて追い駆けることにした。
そして私は裏山の入り口付近で帰ろうとしている詩音に遭遇した。
「詩ぃちゃん。魅ぃちゃんはどうなったの?」
詩音は1人で歩いていた。
「……お姉には後一歩の所で逃げられてしまいました」
振り返った詩音がそう言った。
「そうなんだ。ところで、その血は一体どうしたのかな、かな?」
詩音が持っていた釘バットには夥しい量の血がついていた。
そして詩音の顔と服にも大量の血の跡が。
人間であれば致死量を悠に上回る大量の血が詩音の体についていた。
「実は山の中で凶暴な野生のアフリカゾウに遭遇しまして。それで戦っていました」
「なるほど。ゾウさんはイメージと違って乱暴だっていうからバトルにもなるよね、ね」
仲間を信じる。
それはこのひぐらしで最も重要なこと。
だからレナレナ探偵事務所の仲間である詩音のいうことを私は信じる。
「それで魅ぃちゃんは事件に関して何か言っていた?」
「残念ながら何も。でもあの逃げっぷり、お姉は絶対に犯人に違いありません。ううん、盗撮だけじゃありません。もっと巨大な陰謀の一端を担っている気がします」
「やっぱり。この事件にはもっと巨大な裏があると見て間違いなさそうだね、だね」
詩音もまた盗撮事件の裏に更に巨大な陰謀を感じ取っていた。
さすがはレナレナ探偵事務所の副所長。その嗅覚は伊達ではない。
「だけど、魅ぃちゃんに逃げられてしまったとすると、犯人に辿り着く為に誰に話を聞けば良いのかな、かな?」
頭を捻る。
「やっぱり、秀吉さんの息子である譲治さんと隠し子である筋肉さんじゃ?」
「譲治さんは陰謀に巻き込まれてもうこの世にはいないんだよ、だよ」
「何とっ!? ……まあ、譲治さんの生き死にはどうでも良いですけれど、犯人候補が消えたのは痛いですね」
詩音は悲しそうに首を横に振った。
「となると、筋肉さんに話を聞かないといけませんね」
「さっき一応証言は取ったのだけど、やっぱり、もっと突っ込んだ調査が必要かな、かな」
そう言えば盗撮の犯人を譲治と断言したのは筋肉だった。
筋肉に更に話を聞けば、確信に至った理由がわかるはず。
「よし。筋肉さんに話を聞きに行くんだよ、だよっ!」
「はい、わかりました」
2人して筋肉がいるであろう古手神社に向かうことに決める。
「た、大変だぁ。レナ~っ!」
「大変なんですの、レナさ~ん!」
私たちが走り出そうとした瞬間、圭一と沙都子がこちらに向けて走って来た。
「どうしたのかな、圭一くん?」
圭一は全力疾走で近付いてきており、それ自体が何か大きな事件が起きたことを物語っていた。
「筋肉がっ、トミーが死んだんだぁっ!」
私たちの元までやって来た圭一が肩で息をしながら述べる。
「「えええぇええええぇっ!?」」
圭一の一言は私たちを驚愕させた。
筋肉の死はどうでも良かったが、彼が死んでしまっては盗撮事件の犯人がわからなくなってしまう。
「圭ちゃん、どうして筋肉さんは死んだのですか?」
「巨大な陰謀なのかな、かな?」
事件解決の為の足場がどんどんなくなってしまう。
「実は、筋肉さんがわたくしに全裸で筋肉を見せ付けてきて、怖くなったわたくしが、梨花から譲り受けた注射器を……ウプッ」
圭一は沙都子の口を発現の途中で塞いだ。
「筋肉トミーは沙都子の行動とは何ら無関係に、富竹時報の生き様を見ろと言って喉を掻き毟ったんだ。まったく、トミーらしい時報っぷりな最期だったぜ」
「名探偵レナレナは圭一くんを信じるっ!」
仲間を信じる。
それこそが私たちがこの世知辛い世の中で生きていく為に最も必要なこと。
「だけど、このタイミングで掻き毟るというのには何か巨大な陰謀が働いているとしか思えませんね」
「確かに、そうだね」
このタイミングでの時報発動は何か巨大な陰謀が働いているとしか思えなかった。
やはりこの事件は単なる盗撮などではない。
地球の存亡を賭けた戦いの序章に違いなかった。
「事件をもう1度整理してみるんだよ、だよ」
詩音、圭一、沙都子の前で現状を整理し直してみる。
「まず、事件だけど、秀吉さんの盗撮犯人を追っているのが名探偵レナレナたちの元々の任務なんだよ、だよ」
「盗撮犯人を捕まえないことにはレナレナ探偵事務所は潰れてしまいますもんね」
「秀吉さんの盗撮犯を捕まえるのなら、住居がある東京に行って調査しないといけないのではありませんの?」
「沙都子。しっ。あまり的確なツッコミを入れると、俺たちの新婚生活にも悪影響を及ぼしかねない。せっかく今さっき入籍を済ませてきたってのによ」
元々の事件は盗撮。だが──
「今回の1件はただの盗撮事件では終わらなかったんだよ。まず、事件を引き受ける過程でレナレナ探偵事務所の所員である富田くんと岡村くんが何者かにより惨殺された」
「空気の死自体はどうでも良いですが、巨大な陰謀の一旦であることは間違いないですね」
「富田って誰ですの?」
「だから沙都子、ツッコミを入れるんじゃない」
手始めにうちの所員を狙った所から、黒幕はよほど私たちの事件への介入を阻止したかったと見て間違いないだろう。
「そして、圭一くんの証言からわかった山田さんのおばあさんと鈴木さんのおじいさんの不審死。明らかに大きな陰謀の臭いがするんだよ、だよ」
「大問題ですね。地球の存亡を賭けた戦いに足を突っ込んでしまった気分です」
「いや、風邪が元で亡くなったと俺は言った筈だぞ」
「圭一さんこそツッコミを入れてはダメですわ」
詩音の言う通り、やはりこの事件は最後の最後には地球の命運を賭けた大一番になりそうな気がしてならない。
「そして筋肉さんの証言を元にやって来た裏山で見つけた右代宮譲治さんの惨殺死体。譲治さんは誘い出されたに違いないので明らかに大きな陰謀の臭いがするんだよ、だよ」
「破廉恥ヘタレケダモノボインマスターメガネ、略して破ヘケボメの譲治さんの死自体はどうでも良いですが、犯人候補の有力人物がこの世からいなくなったことは面倒ですね」
「あの、もしかしてわたくしのトラップが譲治さんに作動を……」
「大きな陰謀許せないぜっ! 沙都子に罪を擦り付けようだなんて許さんっ!」
譲治が死んだことにより秀吉の事情を最もよく知る者がいなくなってしまった。
「更には犯人の一味当確の魅ぃちゃんには山中で逃げられてしまった」
「お姉が犯人なのはもう決まりです。だから捕まえたら全てを吐き出させないといけませんね」
「(・3・)さんを拷問に掛けてもエクスタシ~~♪と叫ぶだけで逆効果だと思いますわ」
「(・3・)だからな」
事件解決できるかどうかはもはや(・3・)の確保に掛かっていると言っても過言ではない。
「そして筋肉さんにもう一度話を聞こうと思って麓まで降りてきたら、圭一くんたちが筋肉さんの死を知らせてくれたんだよ、だよ」
「盗撮事件の関係者が次々と死んでいく。ミステリーの王道ですよね」
「ですから筋肉さんはわたくしが射した注射器で……ウプッ」
「許せないぜ、大いなる陰謀っ!」
改めて整理し直してみるとこれが単なる盗撮事件では済まないことがわかる。
2人の尊い人命が失われ、更に4人のどうでも良い人名が失われた。
そして背後には更に巨大な陰謀が蠢いている。
盗撮犯人は誰なのか?
山田さんのおばあさんと鈴木さんのおじいさんを殺害した犯人は誰なのか?
犯人の1人と思われる魅音は一体どこにいるのか?
事件の裏に蠢く巨大な陰謀とは一体何なのか?
黒幕は一体誰なのか? 何が目的なのか?
いまだ事件は多くの謎を抱えていた。
解決編に続く
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【ひぐらしのなく頃に】の二次創作です。
まあそんなことよりも6月24日は沙都子誕生日です。
祝いましょう。アップしましょう。
無理とか実力がないとかそんなことは聞いていません。
どうやって祝うか。ただそれだけです。
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