…ゴソゴソ …シュルルル
近くで何かの音がしている。朝の気配もあり音も気になったため体を起こし周りを見渡す、
そこには着替えをしようとこちらに背を向け下着に手を掛けようとしている司馬懿がいた。
その背中の素肌はシミ一つ無く(綺麗だ)
後ろからでも十分にわかるたわわに実った二つの双丘(でかい)
余計な肉が無く華奢な感じがする腰周り(細い)
布からはパンと張った肉付きのよいお尻(見事)
見惚れている一刀だった。
一方、司馬懿は邪まな視線を感じた方を見ると一刀と目が合った。
「「あっ」」
一瞬両者が固まり一呼吸間があり、次の瞬間
「きゃーーーーーーーーー!!!!」
耳を劈く悲鳴が上がった。
宿屋の人及び他の宿泊客は何事かと部屋の前に集まり扉を叩く。
「お客さん、どうしました?!」「なんだ、なんだ?」「何があった?」「賊か?」等々人々が口々に叫ぶ。
宿屋の人が扉を開け目にした物は涙目になりながら自分自身を抱きかかえている下着姿の司馬懿であった。
「「あっ」」目が合った、それはさらに混迷を呼び
「きゃーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
再び耳を劈く悲鳴が上がった。
それから程なくして女将によって事態がようやく収拾された。
ちなみに司馬懿の下着姿の最初の目撃者北郷一刀は剣を頭に受け(勿論鞘に収まった状態で)絶賛気絶中 チーン
「北郷!これでこの外史も終わりだ!!」
神殿が、大地が揺れだす。唯の地震ではない。
世界全体が揺れている。そんな感じの揺れであった。
そして足元が割れ始め裂け目から見えるのは闇。
全てを飲み込もうとしている闇であった。
崩れ落ちて最中愛おしいものたちの名を叫ぶ。
「愛紗!」
「ご主人様!」
「鈴々!」
「お兄ちゃん!」
「朱里!」
「ご主人様!」
「みんなーーー!!」
「ご主人様!
一刀(さん・様)!」
「っ!!」ガバッ!
「今のは!?」
体を起こしたその際水で濡らされた手ぬぐいが落ちたが
そんな事を気にせず、さっき見た夢の内容が自分にあった過去だと気が付き
(そうだ。俺は以前、迷い込んだ三国志の中で愛紗達と出会い旅をし、
仲間を増やし国を立ち上げ、呉や魏と戦争をして勝ち、
俺の命を狙ってきた管理者と名乗る左慈や干吉たち白装束の連中と戦ってみんなと離れ離れになったんだ…)
重い気持ちになった…
なぜ今まで忘れていたのだろう?
愛したあの子達の事を…
暗い気持ちでいたそのとき
「どうしました北郷さん?」
再び目を覚ましたが様子の違う一刀に声を掛ける司馬懿
(あ、そうだ。目を覚ましたら司馬懿が着替えをしていてそれで…)
剣を頭に受け気絶をした事を思い出した。
(司馬懿の下着姿…)
そこはそれ健全な青少年な一刀君、司馬懿の下着姿を思い出し邪まな心が顔を覗かせた時…ジャキッ!!「ヒッ?!」
殺気と共に剣が首筋に当たる。
「オハヨウゴザイマス。ホンゴウサン」
「オハヨウゴザイマス。シバイサン」
まともに目を合わせられなかった。
「イマナニカオモイダソウトシマセンデシタ?」
「イイエナニモ」
「ソウデスカ。・・・朝餉をいただきに行きましょうか?」
「あのさっきの事なんですが…」ジャキッ!!「ヒッ?!」
「サッキナニカアリマシタカ?」
「ナニモナカッタデス。」
そう答えるしかなかった。
下の階に降り卓をはさんで向かい合って朝餉をとり
食後のお茶を啜っている時、一刀は司馬懿に話を切り出した。
「あの…俺思い出したんだが「ピクッ!」今朝…」ジャキッ!!
「ワスレロトイッタハズデスガ」再び殺気と剣が一刀に向けられる。
だが一刀はそれに怯えつつも意を決して口は開く。
「ち違う!そのことじゃなくてここに来る前のことだよ。」
「ここに来る前?「そう」でも北郷さんここに来る前ってにほんのせいふらんちぇすかってとこにいたんでしょう?」
「いや、聖フランチェスカとここに来る間だよ。」
「っ! ………」
司馬懿は驚き考え込んでいた。
「?どうしたの?」
「…そのお話ここを出てからしましょう。」
「え?話なら此処でって…、おいちょっと待って。」
司馬懿は驚いている一刀を脇目も振らず店から出て行き、
町を離れ、近場にあった森へ辿り着いたところで足を止め振り返って一刀に話を促す。
一刀もいつもと違う司馬懿の雰囲気に圧倒されながら思い出した事を話し始めた。
話を聞き終えた司馬懿が最初に言った一言は、
「そうですか。思い出しましたか。」
「え?」
以前居た世界の事を驚くわけでもなく、逆に記憶を失っていたのを知っているような口ぶりであった。
「北郷さん、あなたが以前居た世界は『外史』と呼ばれる世界です。もちろん此処もです。」
「『外史』… そういえば貂蝉や左慈達もそんな事を言っていたな。
…何であなたが『外史』の事をしっているんですか?
それを知っているということは司馬懿さんあなたもやつらの仲間!?」
驚き咄嗟に距離を置き身構える。
司馬懿はそれに気に掛けず話し始めた。
「貂蝉様や左慈様、干吉様は『外史』の管理者です。「管理者?」はい、私は管理者候補ですが。」
「じゃあまた俺を消しに来たのかい?」
「いえ、それならばあなたを拾った時点でそうしています。」
「ならなぜ俺をこのままにしておく?そのままにしておいて何を企んでいる?」
「企みなんて無いですよ。唯あなたは特殊な存在なのですよ。以前の『外史』での左慈様達との決戦後、
本来ならばあなたは元の世界に戻るか、『外史』の狭間に落ちて消えるかのどちらかだったんですが
そのどちらでもなく新たに派生したこの『外史』に落ちてきたのですから。」
「え!?下手してたら消えてたの俺?それに特殊な存在って…」
「特殊です、『外史』の突端を開いただけではなく、別の『外史』に落ちたりなんて普通ありえませんから。」
「普通って「先ほども言ったように元の世界に戻るか、『外史』の狭間に落ちて消えるかのどちらかです。」…聞けば確かに普通じゃないな。」
妙に納得してしまう。
「でもどうして俺は此処に落ちてきたんだ?」
当然の疑問が出てくる。
「わかりません。」
しかし司馬懿から出てきた答えは答えではなかった。それに対し質問しようとしたところで司馬懿は
「わかりません、が推測は幾つかあります。
・この『外史』が北郷一刀を求めた。
・誰かが北郷一刀を求めた。
・北郷一刀自身が『外史』を求めた。
・その他
以上4点が現在考えられることです。」
あくまで推測ですがと念を押しながらと司馬懿は言う。
「最後のはともかく、他の3つはあるの?」
「普通ならありえません。さっきも言ったとおりこれはあなたが特殊な存在だからこそ考えられることです。
先ほどもいったように推測の域を出ませんが…原因は今は思いつきません。」
「で、『外史』の管理人さn「管理者候補です。」管理者候補さんは俺をどうするの?」
「どうもしませんよ。というか、どうしようもないんです。
迂闊なことをして正史と外史のバランスを崩してしまうかもしれないからです。」
(そこまで影響あるのかなあ?)
「影響があるかどうかもわからないんですよ、正直。「しゃべってないよ。」顔に書いてありました。」「あ、そう。」
いまいち理解できなかった。自分が特殊な存在といわれても、前の外史でも『天の御遣い』という肩書きがあったが結局最後までその肩書きに余り馴染めずいた。
もっともそれが功をそうしてかみんなから慕われていた要因でもあった、よく周りからは君主のくせ威厳が無いだのなんだのと言われていたんだが
本人に至っては普通に接しているつもりであったのだから、この辺りは本人の無自覚なところだろう。
「どういう影響があるかわからないんで、代わりの方が来るまで当分私が監視と護衛をかねての任務にあたる事になってますんで。
とりあえず死なせはしません。」
「…ありがとう。代わりって?(なんとなくいやな予感はするんだが)」聞かずにはいられなかった。
「聞いてません(想像は付きますが)。」
安心はできなかった。だが代わりが来るまでの当分の間この女性と旅を続けられる、と内心喜んだ。
だがそんな甘い考えは次に出た言葉によって打ち消された。
あとがき
一刀の記憶を取り戻すイベントはどうしようかと迷いました。
普通に目が覚めて「記憶が戻りました」じゃ面白くないと思いこういう風になりました。
ま、一刀ならではの美味しい目と痛い目です。
後、着替えのシーン上手く出せたでしょうか不安です。
ではではまた次回ぃ~
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第4話となります。
一刀と司馬懿が旅を始めて一週間
ある出来事が一刀に襲い掛かる…