No.217606 真・恋姫無双 例え総てを失っても 4話2011-05-19 21:12:43 投稿 / 全5ページ 総閲覧数:5413 閲覧ユーザー数:4323 |
凪の一刀への問いに一同は驚愕した。
特に魏の者達の動揺はすごく、春蘭や霞は一刀を問い詰めようとすると
「皆様、一刀様を責めないでください。悪いのは全て私達・・・私のせいなんです」
黄叙が涙を流しながら皆を止めた。
「どういうことだ黄叙!!お前は「止めなさい春蘭!!今は一刀と・・・「璃々」の話を聞きなさい」!?どういうことですか華琳様?黄叙が璃々ちゃんだと?華琳様は何かをお知りなのですか?」
黄叙を問い詰めようとした春蘭を止めた華琳の言葉に皆が驚愕した。
黄叙こと璃々も同様になぜ自分の事を知っているのか困惑していた。
「・・・やっぱり、華琳だったか。もう一人いるなと気配は感じていたけど敵意はなかったからそのまま紫苑さんに話したけど」
「気付いてたのね。・・・ならあの時体の事は言わなかったの?」
「華琳さん、それは私が璃々の事だけを北郷さんにお聞きしたからだと思いますわ。黄叙さんが璃々なのではと思い北郷さんにお聞きしました。それに北郷さんは答え「璃々の事」を話してくださいました。璃々の発言から北郷さんの体は璃々がいた世界でそうなったのでしょうけど直接璃々が関わってなった事ではないので話さなかった。・・・そういう事ですね北郷さん?」
「・・・ええ、紫苑さんの言うとおりです」
一刀は紫苑の推測を認めると徐に服を脱ぎだした。
その行為に普通なら顔を赤くしたり、その行為を非難しそうな者達も固唾を飲んで見ていた。
一刀が服を脱ぎ下着一枚になった所で皆の顔が驚愕の色に染まった。
「・・・まずはこの体の事を説明する前に皆にもこれまでの俺を・・・そして黄叙いや璃々ちゃんの事を聞いて欲しい」
一刀がそういうと紫苑に話した事を皆にも話し出した。
数多くの世界を旅した事。
此処に戻ってくる前にいた「三国が滅んだ世界」の事。
其処に着いたときに目の前に紫苑達親子が瀕死で倒れていた事。
二人共を救う力がなくて璃々だけを助けた事。
生き残っていた三国の人達と共に五胡と戦った事。
そして・・・
「此処からは紫苑さんや華琳にも詳しく話さなかったところだ。五胡との最終決戦の時だ。それまでに生き残っていたのは思春・猪々子・月・音々音・璃々・・・そして三国合同国家を率いていた皇帝美羽だった」
皇帝が美羽だと聞いて全員が美羽の方を向き「こいつが皇帝??」と言う顔をした。
とうの美羽は皆が一斉に自分の方を向いたのにびびって涙目になった。
「・・・一応言っておくが皇帝となった美羽はただの我儘な子供ではなかったぞ。・・・相当堪えたらしい張勲・孫策・袁紹の死がな。張勲は早くに死んだらしい。五胡から民を守るためにな。張勲の死を聞いた美羽はただ泣くだけだったそうだ。そんな美羽に声をかけたのが孫策だった。孫策も孫権を失ってすぐぐらいだったらしい。「共に歩みましょう、私達はすでに仲間なのだから。もし七乃を失ったのが悲しすぎて歩めないというのなら私を頼りなさい。・・・ねぇ、美羽?私達義姉妹にならない?」と言われたらしい。それからの美羽は見違えたと皆も言ってたよ。そんな中起こったのは袁紹の死だったらしい。袁紹は他の将と違って病死だったらしい。病床の中で袁紹は美羽に言ったらしい「貴女は私のようになるな。自分には何も出来ないと嘆くだけしか出来ないようには」とね。・・・その翌日だったらしい、袁紹が亡くなったのは「何も役に立てぬまま死んですみません」といいながら」
一刀の話を聞いていた名前が出た人達、特に袁家の二人は涙を流していた。
「・・・のう北郷とやら。童の話の話の途中なのは承知の上で一つだけ聞きたいのじゃ。・・・その世界の童はどんな皇帝だったのじゃ?」
「・・・まだ話してない所にも関係あるが一言でいうと・・・ここにいる全ての軍の長だった者たちの全てを持っている完璧なる指導者だった。孫策の武・華琳の知・劉備の理想・董卓の慈愛・袁紹の誇り・公孫賛の勤勉さの全てを。彼女と一番一緒にいた思春が言っていた。あの日からの美羽は凄かったと。自分が学ばなければいけない事には貪欲だった。少しでもその事を知っている者には頭をさげ教えを乞い睡眠も殆どとらずに頑張っていたと。俺はよく知らないがあの周瑜ですら彼女の身を心配するほどだったらしい」
その言葉に呉の者達は特に驚き、周瑜は少し顔を引きつっていた。
「話を戻すよ。最後に孫策の死だ。彼女は美羽を庇って死んだ。五胡の妖術師の卑劣な策のせいで。・・・死んでいった者を操って襲わせたんだ。その中に張勲と孫権がいた。二人とは戦えないと戦意を失ってしまった美羽を庇い孫策は死んだ。その事に怒り、美羽が本気を出し五胡を倒した。その時の孫策の遺言で美羽は三国を率い皇帝となった」
美羽がどのように皇帝になったのかを聞き終えた三国の将は驚きを隠せないでいた。
「なんと壮絶な世界だったのだ」と。
そんな中一人だけ何かを決意した顔をしていた。
「・・・美羽の話はこれぐらいかな。話を俺の事に戻すよ。最終決戦の時、俺は敵大将と戦っていた。そいつは人を超えた存在だったといってもいい。そんな奴と戦い結果は相打ち。俺は死ぬはずだった。その運命を変えたのが・・・これだ」
一刀が取り出したのは一冊の本
「なっ!?それは太平要術!!」
「そう、手に入れた者の欲する知識を写す本だ。これに現れた術を使い・・・みんなが己の命と引き換えに俺を救ってくれた。・・・俺の中には思春・猪々子・月・音々音・美羽の魂がある。璃々も一緒に行ったらしいが璃々だけ弾き飛ばされたらしい。なぜかは分からないが。生き返った俺はそれを知り結局皆を救えなかった事に絶望して・・・感情を失った」
「もう皆と共に喜び、共に怒り、共に悲しみ、共に楽しむ事は出来ない。・・・そして命こそ助かったが失ったのがこの四肢だ」
そう話し終わった一刀の体は
右手前腕・左足の膝から下・右足の全てが絡繰の物となっていた。
「旅した世界の一つにこういった技術が発展していた世界があってね。そこの知り合いに作ってもらった。たとえ感情を失っても、皆の温もりを感じる腕を失っても俺の魂が望んだから。皆との再会を。ただそれだけを」
一刀の話を聞いた皆には確かに見えた。
感情を失い冷たい無表情な一刀が、一刀の魂が微笑んでいるのが。
後書き
遂に一刀のみに起きた全てが判明しました。
ただ、過去の話はまだまだ出てきますが。
これからもよろしくお願いします。
次は「外史をかける一刀」の方を投稿します。
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真・恋姫無双 例え総てを失っても 4話を投稿します。
今回で一刀のみに何があったか全て判明します。