No.216994

真・恋姫†無双 ~君思うとき、春の温もりの如し~ 3話

lovegtrさん

第3話です。今回は反董卓連合前夜。
美羽様と七乃さんが登場!
そして呉独立の為の戦いが始まります。

2011-05-16 01:55:59 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:8258   閲覧ユーザー数:6360

「こんなのが届いたんだけど」

雪蓮姉さんに呼ばれ、執務室に行くとある檄文を渡された。

それには袁術の従姉・袁紹からのもので、洛陽で暴政を行っているという董卓の討伐を呼びかける内容であった。

「これは……参加するのか姉さん?」

「それを今から袁術ちゃんに聞きに行こうと思うの。

これでも私たち袁術ちゃんの『客将』だからね…」

袁術か…

「……だからあなたも付いてきなさい」

「…わかった。準備をするから待っていてくれ」

 

事の始まりは少し前に遡る。

後漢王朝第十二代皇帝・霊帝の昇天。

そこから始まる大将軍・何進と十常侍との確執、そして霊帝後継者・少帝弁の暗殺。

混乱をついて、地方領主であった董卓による劉協の王位継承…そして最後は何進、十常侍暗殺という血みどろ暗殺劇が行われた。

 

そしてある噂が広まる。

皇帝にたてた董卓は裏で劉協を操り、権力を欲しいまましていると。

そしてやりたい放題している董卓のせいで、今洛陽は荒んでいると…

「袁術ちゃん。こんなのが来たんだけど、何か知ってる?」

「なんじゃそれは?」

今俺達の前にいるのは袁術、字は公路。

子供のように見えるが、袁一族のひとりで荊州の太守である。

そして俺達の『今』の主である。

「袁紹からの檄文よ」

「えぇと…なになに…みんなでとうたくをやっつけよぉー…」

「董卓さんって洛陽を制圧しちゃってるってひとですかー?」

「そのようね」

今話した袁術の隣にいるのは張勲。袁術の側近であり、袁術をとても溺愛している。

「妾にはこんなもの来てないぞ!めかけの娘のくせに、ひどいのじゃ!」

「どうしますー?他の諸侯にも送られてるみたいですし、参加しないとダメそうですよぉ?」

「でも、めかけの娘の下につくなぞいやじゃ!」

「……」

俺は袁術を見たあと視線を張勲に向ける。張勲は俺の視線に気がつくと

「でも美羽様ー。ここで大活躍したら美羽様の人気はうなぎのぼりぃー。

みんなが美羽様、美羽様って言って、美羽様が皇帝になることも不可能じゃないですよ♪」

「妾が皇帝に!?」

「そうしたら大好きな蜂蜜をたくさん食べれますよー」

「お腹いっぱいはちみつ…ジュルリ

……わかったのじゃ!仕方なく参加してやるのじゃ!」

袁術は片手を挙げて大きな声で答えた。

「よっ!皇帝美羽様誕生バンザイ!やりたい放題!将来愚帝って呼ばれることまちがいなし!」

「うむうむ。もっと褒めてたも!」

張勲が袁術を囃し立てると、他の袁術の家臣達も袁術たちを一斉に褒めだした。

「……ここは相変わらずね」

姉さんは誰に聞こえるでもなくつぶやいた。

袁術との謁見を終え、広間を出ると出口で張勲に呼び止められた。

「あとで私の政務室に来て下さい」と耳打ちされた。

姉さんにそっとそのことを伝え、俺は思春と共に張勲の部屋に向かった。

部屋の前には張勲が待っていた。

「思春。頼む」

「御意」

思春に合図を送るとどこかに消えていった。

「お待ちしておりました。こちらにどうぞ」

張勲に促さえ俺は部屋に入った。

「久しぶりじゃな…一刀」

「久しぶり、美羽」

部屋の中には袁術、美羽が居た。

「元気にしてたか?」

俺が椅子に座ると、美羽は俺の膝の上にちょこんと座った。

「うむ!変りないぞ!」

美羽はにこりと笑って答えた。

「……一刀…すまなかった…」

「何がだい?」

「この2年のことじゃ。…妾がもっとしっかりして居れば呉のみんなはバラバラにならずに済んだのに…」

「仕方が無いことさ。それに今はみんな一緒だからね…気にしてないよ」

そう言うと美羽の頭を優しく撫でた。美羽はくすぐったそうに目を細めた。

それから俺と美羽はいろいろ話な話をした。

 

美羽には夢がある。その夢を叶えるために当時母さんを失って力を失っていた俺たち呉を取り込んだ。

俺たち呉も王である母・孫堅を失ったあとで、呉の分裂を防ぐため、美羽の夢を叶える手助けをするのを条件に保護を受け入れた。

互いの利益のために手を結んだのだ。

「もう行かなくちゃ」

「もう行くのか?もうちょっと良いじゃろ?」

「だめだよ。もう時間だ」

「そうかぇ…今度は何時会える?」

「そうだな…今度は董卓討伐の為の行軍の時かな?今回はいっしょに出るんだ、いつでも会えよ」

美羽は「そうか……」というと俺の膝から飛び降り

「ではまた会えるのを楽しみにしておるぞ!」

「ああ、またな…」

部屋を出ると部屋の外にはまだ張勲、七乃が居た。

「…ありがとうございます」

いつものニコニコした顔ではなく、真剣な顔をした七乃が頭を下げた。

「なんの事だい?」

「美羽様が笑っていられるのは一刀様のおかげです」

「俺は何もしてないよ…七乃がそばにいるから美羽も安心するんだ」

「でも、一刀様のおかげです♪」

いつもの顔に戻った七乃は笑顔でそう答えた。

「…一刀様。そろそろ……」

部屋の見張りに向かわしていた思春が戻ってきた。

「わかった。…それじゃ七乃、またね」

「ええ」

話を終え、俺と思春は姉さんの所に向かった。

 

姉さんの屋敷に戻った俺たちをみんなが出迎えた。

「お帰り、雪蓮。……どうだった?」

「あの場所は何時いっても嫌な感じねー。もううんざりよ…」

「それで、連合には参加するのか?」

「えぇ、袁術ちゃんも参加するって」

「これでいよいよ孫呉独立のため動き出すんじゃな」

「ああ、そうだな。

しかし、その前に反董卓連合に参加し、他の諸侯の動きを見極める必要がある。」

「その後の俺達の取るべき道を見極めるためか…」

「ここから私たち呉の戦いが始まる。みんな頼りにしてるわよ」

いよいよ始まる孫呉独立の戦いの為、みんなは準備を始めた。


 
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