がんばる。
とても幸せな夢を見ている気がした。
辺りは一面の花畑で、私は自由に空を舞っている。
そんな争いとは無縁な世界に漂っていると、自分の犯した罪さえ些細なことのようだ。
いや、夢を見ていたのはむしろ今までの方なのかもしれない。
もしそうであるならば、一体どれほど救われるだろう。
板張りの廊下が軋み、来訪者の存在を知らせてくれる。
とはいえこの部屋を訪れる人物など、今のところ屋敷には一人しかいない。
「様子はどう?」
開かれた襖の向こう側に永琳の姿を確認し、輝夜は声を掛けた。
「今は眠っているわ。薬も飲ませたから、このまま落ち着いてくれるといいのだけれど」
「随分と錯乱していたものね、あのイナバ」
そのときのことを思い出したのか、輝夜の顔に笑みが浮かぶ。
屋敷の中が世界の全てである今の彼女にとって、日常に起こる僅かな変化さえも娯楽の一つだ。
「ところであのイナバはどうするの? 飼うの?」
※改行は調整済み、画像は表紙と裏表紙
Tweet |
|
|
2
|
0
|
追加するフォルダを選択
鈴仙祭で無料配布予定のコピー本、その1ページ目です
文庫サイズで本文7ページの短編
スペース:ん-2
サークル「ICE TEA」
続きを表示