No.205561

真・恋姫夢想 ~とある桂花のデレ日記~

狭乃 狼さん

ちょっとした妄想が出たので書いてみた。

普段、一刀に対してツンデレ比率10:0の桂花。

ところがその日記には・・・・・・・。

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2011-03-07 20:22:58 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:37675   閲覧ユーザー数:28473

 

                         ~とある桂花のデレ日記~

 

 

 

 

 

 〇月×日。

 

 

 今日は三国会談の日。

 

 

 いつものように、りりしくお美しい華琳様を補佐しながら、私もその場でいろいろな懸案に取り組んでいた。

 

 その最中、この席の主役であり、都の主であるあいつに、私はその視線をちらりと移す。

 

 いつもほかの女の尻ばかり追い掛け回しているあいつ。

 

 けれど、この席ではさすがに、真面目に会議に臨んでいる。

 

 ・・・・・・・・・この場に集まり、そんなあいつの顔を見てると、私はいつもこう思う。

 

 

 ・・・・・・やっぱり、かっこいい、と。

 

 

 もちろん、そんなこと、あいつや他の者たちの前では決して言ったりしない。

 

 でも。

 

 初めて会ったあの時から。

 

 まだ、華琳様の軍師ではなく、食糧管理官でしかなかったあの時。声をかけてきたあいつを見て、一瞬で”恋”をした。

 

 でも、生来天邪鬼な私。素直さなんて、これっぽっちも無い私。照れ隠しに思わず、思いつく限りの悪態をついていた。

 

 それ以来、あいつの前に出ると、どうしても素直じゃない自分だけが出て来てしまう。

 

 「こっち来るんじゃないわよ!この全身精液男!近寄ったら妊娠しちゃうでしょ!離れなさいよね!てか、今すぐ死んじゃいなさいよ!」

 

 ・・・などなど。

 

 我ながら、良くこれだけ出てくるものだと思う。

 

 妊娠できるものならしてみたい。彼の子供を生んでみたい。そして温かい家庭を築いてみたい。

 

 でも、あいつを目の前にすると、口から出るのはこれでもかというぐらいの悪口ばかり。

 

 ・・・だからせめて、日記の中ぐらいは、素直でいたい。

 

 ・・・天の御遣い、北郷一刀が、心の底から好きな、荀文若で。

 

 

 

 △月□日。

 

 今日は大失敗をした。

 

 華琳様の政務を手伝っている最中に、うっかり墨を、華琳様の全身にぶちまけてしまった。

 

 ・・・・・怖かった。

 

 華琳さまの、あの笑顔が。

 

 そして、その華琳さまから与えられた罰。

 

 「今夜、一刀の所に行きなさい」

 

 顔は心底嫌そうな顔をしつつ、私の心は喜びではちきれそうになっていた。

 

 ・・・べつに、そのためにわざとやったわけじゃないわよ?

 

 で。

 

 夜になって私は彼の部屋に行った。

 

 久々に彼に愛してもらえると。

 

 有頂天で彼の部屋の前に来た。そして、聞いた。見てしまった。

 

 「一刀・・・今日はいつも以上に、激しくしてよね?」

 

 「・・・めずらしいな、華琳がそんなことをいうなんて」

 

 彼と華琳さまが、”こと”の真っ最中だった。

 

 わずかに開いていた扉の隙間から、部屋の様子を伺う私。そして、華琳さまと目が合った。に、と。華琳さまは口の端を吊り上げて、笑われた。

 

 はじめから、そのつもりだったのだと。

 

 そして、その目が語っていた。

 

 「逃げちゃだめよ?」

 

 と。

 

 華琳さまは、私が一刀に嫉妬する様を、楽しもうとしておられるのだろう。けど、私の嫉妬は一刀にではなく、華琳様に向けられているのだと。もしそのことに気づかれたら、華琳さまはどう思われるだろうか。

 

 ・・・二人の”こと”がすべて済んだ後、私はその場をすぐに離れた。

 

 そして、自室の寝台で、一人枕を濡らした。

 

 「・・・・・・一刀の、馬鹿」

 

 

 

 某月某日。

 

 今日も今日とて、あいつ用の落とし穴を作る私。

 

 ・・・・・・なんで、好きな相手にそんなことをするのか。

 

 だって、私の作った罠にかかって、私に食って掛かって来ている間は、私があいつを独占できるのだもの。

 

 ・・・・・・怒った顔もすてきだし♪なーんて、なーんて!!

 

 

 けど。

 

 今日はちょっと失敗した。

 

 「・・・・・・で、どうやって出ようか、桂花」

 

 「し、知らないわよ!大体、あんたが落ちるときに、私の服をつかむのが悪いんでしょうが!」

 

 「いや、人の服をつかんだのは、桂花のほうじゃ」

 

 つまり。

 

 こいつは見事罠にかかったんだけど、その時、私はその傍にいて、彼が落ちると思ったその瞬間、思わず手を伸ばして彼の服をつかんでいた。

 

 いや、確かに自分で罠を掘っておいて何だと思うけど、つい・・・・・・ね?

 

 でもって、経緯はともかく、今現在、私は彼と一緒に落とし穴の中。しかも、もうそろそろ夜になろうかという時刻。季節的にも、正直今の格好では、朝まで過ごすのは難しい時期。

 

 ・・・このまま見つからず、二人そろって凍死・・・・。

 

 なんか、心中みたいで良いかも。

 

 ・・・・という冗談はさておいて。

 

 「・・・ほんとにどうしよう?このままじゃ、二人そろって凍え死にかねないしな・・・」

 

 いや、解決策はあるわよ?あるけど・・・言えない。・・・・でも、まだ死にたくない。彼と幸せになるまでは、死んでなんかたまるもんですか!・・・こうなったら。

 

 「・・・脱ぎなさいよ」

 

 「は?」

 

 「は?じゃないわよ!あんたばか?!このままじゃ二人そろって凍え死ぬかもって、たった今あんたが言ったでしょうが!だ、だからその、は、肌で暖めあうしか・・・無いでしょうが」

 

 も、顔から火が出そう。恥ずかしくて死にそう!

 

 「・・・いや、でもさ。桂花はその」

 

 「・・・・あんたの事は確かに嫌いよ!こうして傍にいるのも嫌よ!でも!ここで死んで、華琳さまにもうお仕えできなくなるより、はるかにましよ!良いから早く脱げー!」

 

 「おわーっっ!?」

 

 ・・・で、まあ。

 

 あの、大陸一の種馬が、真っ裸の女と一緒にいて、何もして来ないわけが無く。・・・まあ、うれしい誤算だったということで♪

 

 

 

 「・・・ふう。今日はこのぐらいかしらね」

 

 ぱたん、と。

 

 日記帳を閉じ、鍵をかけ、さらに鍵のついた机の、さらに隠し棚にしまい込む。

 

 「・・・・もし、これを見られでもしたら、自殺ものよね。・・・一刀に見られたら絶対に」

 

 日記をしまった私は、自嘲気味に笑いながら、机を離れて部屋から外に出る。すると、一刀と桃香、蓮華、華琳さまが、仲良く歩いているのを、遠目に捉えた。

 

 「・・・・・・・(うらやましい・・・・・・)」

 

 素直になれない自分。

 

 天邪鬼な自分。

 

 それが本当に恨めしい。

 

 他の者たちみたいに、素直になれたらどんなに楽か。

 

 でもできない。

 

 そうなった瞬間に、何かを失ってしまいそうで。

 

 「・・・・・・・・いつか、あんな風に、一刀と笑いあえたら良いな・・・・・・・。子供でも、抱きながら・・・・なんて///」

 

 

 そんな日が来ることを、心の中で願いつつ、私は一目散に駆け出す。

 

 「こらー!そこの万年発情期の種馬ー!華琳様から離れなさーい!!」

 

 いつもどおりの悪態をつきながら。

 

 そんな私にすら、その笑顔を向けてくれる、その人に。

 

 

 ―――私がこの世で、ただ一人愛する男(ひと)。

 

 北郷一刀の下に。

 

 精一杯の愛を込めて。

 

 天邪鬼な、この言葉を向けつつ。

 

 「……触るな!近寄るな!話しかけるな!それだけで妊娠しちゃうでしょうが!この歩く孕ませ機!あんたなんか、だいっ嫌いなんだからねーーー!!」

 

 

 

                                おわり。


 
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