私の名前は夏侯 妙才
この身、この命、全てを曹操様、華琳様に捧げた
邪魔なのよ
シュウランサ~ン シュウランサ~ン シュウランサ~ン
「秋蘭さ~ん」
「秋蘭殿、お気を確かに」
「・・・・稟・・・・風・・・・」
「お久しぶりです秋蘭殿」「ご無沙汰してます~」
「お前達、どうしてここに・・・・・私は・・・・何を・・・・」
「周囲をご覧ください。ここはまだ処刑場です」
「・・・・姉者は・・・・姉者はどうなった・・・・」
「春蘭様の処刑は見送られたようですね~、その代わり、お兄さんが捕まってしまったのです」
「北郷・・・・そうだ、北郷は?北郷は無事か!?」
「かなりの深手を負っていたようですが、命に別状はないでしょう」
「春蘭様も、お兄さんも、ひとまず無事なのです」
「・・・・・・そうか」
「ですから、自害なんてしないでくださいね~。秋蘭さんに自害されては、風はお二人を救えないのですよ」
「お二人を助けられるのは秋蘭殿しかいないのですよ?今は体制を建て直し、機会を待ちましょう」
「・・・・・わかった」
集まった民衆の数がだいぶ減っていた
きっと、呆然と立ち尽くしたままだったのだろう
「秋蘭様が立ち尽くしてくれたおかげですぐに見つけることができたのです。大助かりなのです~」
「積もる話もありますが、まずはここを離れるべきかと
蜀から大使として来ている白蓮殿あたりが支援者なのでしょう?早く合流すべきです」
「!!・・・なぜ白蓮殿とわかった?」
「後方に季衣を見かけました。そして前方に一刀殿と兵士数名、外に運び役も用意しているはずです
今の都でこれだけの支援を我らに実行出来るとしたら、白蓮殿しかいません」
「・・・と言うことは」
「華琳様もお見通しでしょうね~、早く合流して都を離れるべきなのですよ」
「うむ、その通りだ」
私達3人は季衣を拾い、白蓮殿の待つ馬車へと走った
「秋蘭、一体何があったんだ?部下達は?春蘭はどうなった??」
「白蓮殿、一刻の猶予もありません。このまま都を離れ一時身を隠すべきです」
「ど、どうしてだ?北郷と3人がまだ帰ってきてないんだぞ」
「今はこの場を離れるのです!」
「わ、わかった。ここからだと西に落ちるしかないな、おい、西へ向けて出してくれ」
処刑場が外で助かった
これなら城門を通ることもない
馬車に揺られ西へ進むこと数刻
都からだいぶ離れることができた
「ここまで来れば大丈夫だろう。秋蘭、そろそろ話してくれないか?」
「・・・・白蓮殿、実は」
・・・・・・・・・・・・・・・・
「北郷が捕まり作戦は失敗・・・・私の部下は?3人はどうなった!」
「北郷以外は、死にしました」
「そんな・・・・・・・そうか・・・グス・・・・あいつらは・・・・クッ・・・・立派に死ねたか?」
「見事な最後でした」
「そうか・・・・ウッ・・・クッ・・・ウウウ」
生き残ったのは馬車の一人と合図の1人
白蓮殿の部下から3人の死者を出してしまった
白蓮殿とあの者達の結束は知っている
残酷だが、隠すことはできない
「すまない白蓮殿・・・・私の責です。私が・・・・華琳様の言葉に動揺しなければ」
「・・・やめるんだ秋蘭・・ンック・・・今は責任をどうこうする時じゃないだろう・・・グス」
「・・・・」
「あの・・・・白蓮さん」
「ん・・・・なんだい季衣」
「その、僕がわがまま言って、それで、白蓮さんは、仕事よりも僕を優先してくれて、こんなことになっちゃって
僕、なんて言っていいのかわかんないけど、僕、白蓮さんと、部下の人たちに感謝の気持ちでいっぱいで
白蓮さんと出会えて本当によかったと思います。でも、今は白蓮さんは蜀に戻るべきです!」
「季衣・・・・」
「都ではきっと白蓮さんを手配して探してると思います。今すぐ蜀に戻って司馬懿のこと・・・・・
華琳様のことを伝えてください。そうしないと、白蓮さんの蜀まで大変なことになっちゃう」
「・・・・季衣は、どうする?」
「僕は・・・・秋蘭様達と残って、兄ちゃんと春蘭様を助けます!」
「そっか」
白蓮殿の胸に季衣が飛び込んだ
「季衣」「白蓮さん」
「季衣、必ず無事でいてくれよ。私も、私に出来ることをするよ」
「ありがとう・・・・・お姉ちゃん」
抱擁をする二人は、本当の姉妹にしか見えなかった
「ここがあの都か~、なんだよ、ずいぶん殺伐としてるな」
桃香様に言われて白蓮を迎えに来たのはいいけど、白蓮はどこにいるんだ?
「あの~、蜀の公孫賛を探してるんですけど、どこにいるかわかりますか?」
「はぁ?蜀の大使様のことか?だったらこの道を真っ直ぐ行って・・・・・ry」
「ありがと!おっし、あっちだな」
人が多いから馬を走らせることはできないけど、急いだ方がいいよな
「って、火事か?」
すげえ煙があがってるぞ
あれって白蓮のいる方角だよな?
「って、なんだりゃ!」
蜀の大使館が晋の兵に囲まれてる
しかも焼き討ちされたみたいで燃えちゃってるよ
「お、おい!ここは蜀の大使館のはずだよな?何があったんだ?」
「蜀の大使公孫賛は魏の残党と共謀し、晋を貶めようとした罪人だ。我らは公孫賛の行方を追っているのだ」
「白蓮が罪人?どういうことか詳しく教えてくれないか?」
「貴様、なぜ公孫賛を真名で呼ぶ」
(しまった!)
「ちっ、あたしは錦馬超!ぶっ飛ばされたい奴からかかってきやがれ!」
「馬超だと!こいつは大物がかかったぞ!であえー!であえーーーー!」
「うわわわわ、なんなんだよこいつら!」
桃香はまだ宣戦布告してないはずだろーーー
どうなってんだよーーーー
「しゃおらああああああー!くっそーー数が多すぎるぜ」
「ひるむな!相手は男っぽい女1人だ!」
「うっせぇ!!ちくしょうきりがねえ、悪いけど一旦引かせてもらう!」
「逃がすな!追え!!」
「あたしと黄鵬の足に追いつけると思うなよ!行け、黄鵬!」
「なんて早さだ。とても追いつけん」
それからあたしは黄鵬と都中を駆け抜けた
なんとか追っ手をまけたけど
「これからどうしたらいいんだよ~。白蓮を探した方がいいのかなぁ、それとも帰って報告した方がいいのかなぁ」
どうしよう・・・・・
「ああああああああーもう、考えてもわかんないよ。入れ違いで帰ったかもしれないよな」
なんかやばいことやったみたいだし、都の中にいるとは考えにくい?
「はぁ、仕方ない、一旦戻るか」
戦争の準備もある、早く帰ろう
「なんだったんだよあたし・・・・おなか空いたな・・・・はぁ」
とぼとぼと黄鵬に乗りながら1人・・・・
それから都を出て蜀への道を引き返してたんだけど
やっぱ腹減ったよなぁ
あれ、なんかいいにおいがしてきたぞ
「腹減ったなぁ、少し分けてもらおっか」
匂いのする方へ黄鵬を向けた
黄鵬も空腹だったみたいで一目散だぜ
「すいませ~ん、少し食料を分けてもらえませんか?って秋蘭!!」
「翠か??」
「お、おう、って季衣も稟も風もいるのかよ!」
意外な奴らと出会っちゃったな
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救世主現る?