この宇宙に存在する、数多の外史-。
北郷一刀という存在を中心に、あるいは基点として、それこそ無限に増え続ける、人々の夢、想念といったものが、その形を成したそれらの”世界”。
あるものは言った。
それらはまるで、ビーダマ(玉型であれば特に何でも良し)を敷き詰めた箱のようなものだと。
であるならば、その玉と玉の間には、当然のように”隙間”が生まれる。その隙間を、外史の管理者たる者たちは、”狭間”、と呼んでいる。
そんな狭間の中のひとつに、ポツン、と。扉が一つだけ存在しているところがある。その扉には一枚の札がかけられており、こんな文字が書かれていた。
”牙狼一座の楽屋”
今回は特別に、その楽屋でのある日の一幕を、お届けしたいと思う。
それでは、楽屋の扉を開きましょう……(笑。
?「うむ。流石はsiriusさんだ。ほんとにいい仕事してるww
は~。
……何度見ても、流石の完成度だな~。うん。癒される^^。」
煙草を口にくわえたまま、椅子の上でぼ~っと、目の前のPCを見て和んでいる一匹のワンコロがそこにいた。
?「ワンコロちゃう!狼!うるふ!そこんところ間違わないように!」
……なんでこっちの声が聞こえてんのかしら?私の声は聞こえないようにしてるはずなんだけど。
?「……あれ?誰も居ないな?……う~む。空耳だったかな?」
……とりあえず耳はいいみたいね、この犬っころ。あ、いえ、自称狼。
そう。
この、真っ白い狼(という割りに、なんか大きな牙が生えてるけど)こそが、この部屋の主である、外史の観測者兼、記録者の一人、名前は、牙狼 say。
……普段、本世界ではさえないただのおっさんなのだけど、ここに来る時は、あの姿で居ることが多いの。……いろいろ都合がいいんですって。何の都合がいいのか知らないけど。
say「……ん~?なんか、微妙に悪口言われてる気がするけど、気のせいか?」
……勘だけはやたらいいのよね、この犬っころ。どこぞの飲んだくれの小覇王じゃあるまいし。
??「へっくしっ!!」
??「何だ、雪蓮?……風邪か?」
??「ん~。そんなことはないと思うんだけど。……だれか、私の噂でもしてるのかな?」
……一瞬、なんかどっかの外史の様子が入ったけど、ま、とりあえず気にしないでおくとして。……あら?誰か来たみたいね。
由「やっほー!今帰ったで~!」
瑠「……お腹すいたです」
輝「もう一寸まっててね、確か、この間買ったケーキがまだあるはずだから、それでみんなでお茶しましょ」
蒔「お、いいな、それ。……ミルフィーユはあたしんだぞ?」
命「私は抹茶ケーキがいいの。輝里よ、宇治茶はあるのか?」
輝「ありますよ~。しかも、ぎょ・く・ろ、です」
命「おお~。それは楽しみじゃ~」
……なんか、すっごいぞろぞろ入ってきたわね。
say「お、お帰り~。……朔耶と沙耶と狭霧は?」
輝「今日はもう直帰するって。三人とも、暫く出番ないから、このままどっか、温泉でもいって来るって」
say「ふ~ん。……土産、何か買ってきてくれるかな?」
わいわいと。
そんな他愛もないことを話しながら、部屋の真ん中にちゃぶ台(懐かし)をだして、お茶の準備を始めるその娘たち。
-彼、牙狼sayがただ今記録中の、とある外史の登場人物たち。そして、彼が生み出した、彼の夢の中の娘たち。
黒髪ツインテールのつり目少女-、東乃輝里(とおのかがり)。
茶髪ショートカットの男の子みたいな少女-、南由(みなみゆい)。
銀髪ツインテールの無表情な子、乾瑠里(いぬいるり)。
真っ赤な長髪がよく目立つ、長身の女性-、北深蒔(きたみまき)。
黒髪三つ編みの、(ちっさい癖に)胸の大きな少女-、皇命(すめらぎみこと)。
彼女たちは今、向こうの世界から、その精神だけを離して”ここ”に戻ってきている。-いえ、正確には順序が逆ね。
彼女たちは、彼女たちが”本来属する”世界から、彼女たちがsayの手によって産み落とされた本来の平行世界から、”あの”外史の登場人物となるべく、ここを経由して、向こうに出演しているのである。
ただし、向こうに渡るとここでの記憶はすべて、封印が施される。それは、あの外史のバランスを崩さないため。
彼女たちは、あの外史においては、あくまでも、あの外史で生まれた人物として、存在をしていなければいけない。でなければ、彼女たちの精神は自己崩壊を迎えることになる。……まあ、理由については、”管理者の一人であるわたし”も、判ってはいないんだけどね。
……話がちょっとそれちゃったけど、あの子達の観察に戻るとしましょうか。
輝「ところで父さん。さっきから何見てるの?」
由「ん~?……あれ?これって、輝里とちゃうん?」
瑠「ですね」
say「おう。以前、siriusさんに頼んだ輝里の絵が、ようやく届いてな。ずっと見てたんだよ。いや~、ほんとに完成度が高い!もう、あの人は神だね!」
蒔「ほほ~、どれどれ?……むぅ。これはまた、なんとも見事な……」
由「せやな~。会ったこともない人間の絵を、ここまで正確に描けるっちゅうのは、確かにすごいもんやで」
へ~。輝里ちゃんの絵ね~。しかもsiriusちゃんの作ときましたか。どれどれ、私も一度、拝見させていただきましょうか……。
……すご。
これ、公式だといっても、誰にでも通用するんじゃないかしら。
輝「……でも、なんか、恥ずかしいな……」
say「そうか?」
輝「うん。……なんか、照れる///」
由「ええな~。輝里だけ。なあ~、お父はん?うちらのは、頼んでくれへんの?」
蒔「そうだよな。一人だけというのは、不公平だと思うが?」
命「そうじゃ、そうじゃ。私らのも頼んでくれれば良いではないか」
そりゃ確かにそうよね。
say「いや、こればっかりは俺だけの都合じゃ、どうにもならないからな。siriusさんに描いて欲しいって人、他にも大勢居るだろうし。今回はホント、たまたま運が良かっただけだよ」
瑠「……で、そのたまたまに、なんで輝里さんを選んだんですか?」
say「へ?」
由「せやせや。別にうちらでも良かったやん。……なんで輝里だったん?(チャキ)」
say「ちょ!由!首に短刀当てるのやめ!」
蒔「あたしも是非に聞きたいな?(ジャキ)……なんで輝里だったんだ?」
say「ひえっ!?蒔まで斧を振りかぶんない!!話す!!ちゃんと理由を話すから!!」
あらあらw大変ねー、sayちゃんも。……さてさて、どんな理由で輝里ちゃんを選んだのかしら。
say「あーこわ。ホントにうちの娘たちときたら、嫁の貰い手が無くなるぞ?……まあ、誰にもやる気はないが」
由「……えーから、ちゃっちゃと理由を言い。……今度は当てるだけやすまへんで?」
say「わかった!わかったから武器しまう!……俺が、今回輝里を選んだ理由はな」
全員『理由は?』
say「……………あみだ、だ」
全員『……………………へ?』
say「いや~、誰を頼むか本気で悩んだんだけどさ。どう~しても決めらん無くてね~。……しょうがないから、あみだくじで決めた。ま、輝里の運が良かったってことだwはっはっは!!」
由「……蒔ねえ」
蒔「……ああ。……殺っとくか」
命「縛り首が良いかの?それとも、牛裂きにでもするか?」
じりじり。
say「ちょ?!三人とも、目が、マジなんですけど?!」
瑠「……駄目ですよ、三人とも。殺ったりしたら。……こんなのでも一応、私たちの父さんですから」
say「おお!こんなのってのがちょっと引っかかるけど、瑠里はいい子だ~!」
瑠「だから、殺るより漢女の刑ぐらいに留めておきましょう。……いま、呼びますから」
say「うげっ!?ちょ、ちょい待ち瑠里!それだけは、それだけはかんべんs」
蒔「由」
由「はいな!」
がっし。
あ、捕まった。
瑠「……あ、貂蝉さんですか?狼を一匹差し上げたいと思うんですが、卑弥呼さんと一緒に取りに来ていただけますか?……ええ、好きにしていいです。口にできないあんなことやこんなことまでしても」
say「瑠里ー!やめてー!筋肉だるま×2はやめてー!ヒモパンも褌もやだー!」
……え~っと。
とりあえず、牙狼sayちゃんがどうなったかは、お伝えするのやめておくわね。……残酷、というか、見るもおぞましいというか、聞くのも嫌というか。
……まあ、死んではいない…でしょ。……多分。
じゃ、今日のところは、狼が一匹、化け物の餌食になったところで、お開きとしますね。
今回のこのリポートは、この私、永遠の超絶美少女、時と外史を駆ける占い師こと、管路ちゃんがお送りしました。
それではみなさま、
またどこかの外史で、お会いいたしましょう?
ふふ。
ではでは、再見~!
お終い
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はい、皆さんこんばんは。
さて今回は、siriusさまがうちの輝里を描いてくださった、
その記念(?)に、ちょっとした番外編をお送りします。
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