「”性格反転酒”?」
「そ。・・・・・・面白そうだったから、冗談半分で買ってみたの。でも、自分で飲むのなんだったし、誰に飲ませようかと思ったんだけど」
「・・・で、結局”これ”に飲ませたわけ」
「ええ。・・・まさか、”本物”とはね」
皆さん、多分信じられないと思いますが、今、この俺、北郷一刀の膝の上でごろごろとのどを鳴らしている、ある人物がおります。
猫耳のフードを被った、あの人。
そう、桂花です。
「ごろごろごろ・・・・・・かずとさま~♪にゃあん」
ぐはあっ!!
・・・・・・これは、強烈だ。
普段、人のことを”性欲魔人”だの”歩く孕ませ機”だの言ってる桂花が、俺にこんなに甘えてくるなんて・・・・・・!!
「・・・ま、お酒のせいだとしても、よ。ふふ、これはこれで可愛いじゃない。桂花、これから一刀と二人で、たっぷり可愛がってあげるわ」
ふふふ、と。華琳が桂花に触れようとする。
でも、ちょっと待てよ?
性格が反転してるなら、もしかして。
パシッ!!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
あ、やっぱり。
桂花が思いっきり、華琳のその手を”拒絶”した。
しかも、
「触んないでよ!この変態女!!」
と、いつも俺に向けているその表情で、思いっきりのたまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。えっ・・・と。
「あの、華琳・・・さん?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
完全に、固まっておられます。
さらに、桂花がそれに、追い討ちをかけていきました。
「私に触れていいのは一刀さまだけよ!貴女みたいな同姓にしか興味の無い、特殊性癖を持った(ぴー)女がさわんないでよ!」
(ぴー)の部分は削除させていただきました。・・・というより、耳が聞くことを拒否しました。脳が記憶することを拒否しました。
・・・覚えていたら、後が怖いから。
「・・・・・・・・は、はは、ははは、ははははははははは!!」
・・・あ、華琳が壊れた。
「け~い~ふぁ~?・・・・・・い~い、度胸をしているじゃない?この私に、それだけの罵声を浴びせたんですものね~?」
「ちょ!落ち着け華琳!これは、お前が飲ませた酒が原因だろ?!桂花の本心のわけが・・・!!」
「何を言ってるんですか、一刀さま!これはすべて、このいやしい桂花めの本心です!いままでだって、こんな女の慰みものになり続けていたかと思うと、死んでしまいたいぐらいです!!」
だれか!この人の口をふさいでください!
「・・・・・・・(ぷっちん)」
あ、なんか、切れた。
「くあずとお~~~~ッッッ!!桂花をこっちによこしなさい~~~!!」
だめだ。目が完全に逝っちゃってる。ここはもちろん、
たたかう。
じゅもん。
逃げる。
・・・・・・逃げる以外出来るかーーーーっっっ!!
「むあちなさい、一刀お~~~~!!」
「やあん!かずとさま~!桂花こわいです~!!」
そんな甘えてる状況じゃないっての~!!
で。
どうにかこうにか、華琳の魔の手(?)から逃げることに成功した俺は、完全に酔いが回って寝ている桂花をおぶって、庭の茂みに隠れました。
「・・・すー。・・・むにゃ。・・・かずとさま・・・あいしてます・・・」
「・・・ったく。のんきなもんだな、この酔っ払いは。・・・にしても」
性格が反転して、俺を愛してるなんて言うってことは、つまり、俺は心底、桂花に嫌われてるってわけか。
・・・なんか、今更だけど、すっごい、その、ショックなわけで。
口ではなんと言ってても、いつもいつも俺のことを気にはかけてくれてたし、まんざらでもないかなーなんて、そうおもってたんだけど。
「はあ・・・。なんだろなー、このむなしさというか、こう、心にぽっかりとあいた穴は」
と、ポツリと俺が言った時だった。
「ん・・・あれ?・・・わたし・・・」
「お。目が覚めたか、桂花?」
「・・・・・・かず、と・・・・・?え?!な、なな、なんで私、あんたの膝でなんか寝てんのよ!?しかもこんな茂みで?!・・・はっ?!まさか、私に一服もって気を失ってる間に、あんなことやこんなことをしようとしてたんじゃないでしょうね?!」
あ、いつもの桂花に戻った。
「覚えてないのかよ?華琳に性格反転酒を飲まされたこと」
「・・・・・・・そういえば、そんなものを華琳さまにいただいた様な・・・・・・。もしかして、わたし、とんでもないことをしたんじゃあ・・・・・・」
「した、というより、言った、と言うべきだろな。・・・華琳の事を変態呼ばわりとか」
「じょ!冗談じゃないわよ!私がそんなことを言うわけ・・・!!・・・ほんとに、言ったの?わたし、華琳さまにそんなことを」
ん、と。
隠していても、どうせすぐにわかることだから、おれは正直に、事の顛末を聞かせた。
真っ青。
桂花の、俺の話を聞いた後の顔だ。
「・・・・・・・華琳さまのところに行くわ」
「おい!本気かよ!?今行ったら確実に殺されるぞ!」
「・・・構わないわ。変なお酒のせいとはいえ、華琳さまにした暴言は、私の命を持って償う。それが私の、華琳さまへの、最後の愛の示し方よ。・・・そのお手で、この命を散らしていただくのが、ね」
・・・・・・・俺には、もう、止められなかった。
そして。
「もういいわ」
『・・・・・・・・・・・・は?』
えっと。
一体どういうことでしょうか?
目の前の、玉座に座っている華琳は、思いっきり、すっごい笑顔だった。
「・・・あの、さ?・・・華琳、さん?なんで、そんなに機嫌がよろしいのでしょうか?」
思わず敬語になってしまった。
「どうと言うことは無いわ。・・・一刀?さっきのあのお酒、名前はなんだったかしら?」
「なんだって、”性格反転酒”、だろ」
「そうよ。でね、それにこう書いてあったのよ。・・・反転は、表面のものだけってね。しかもよ。想いが深ければ深いほど、その反転は強烈になるって」
にこにこと。笑顔を作っておられる覇王さま。
「つまり、それだけ桂花の、私への愛が深かったってことよ。だから、あれだけの台詞がその口から出たってわけ。・・・桂花」
「は、はい!」
「・・・今夜、閨にいらっしゃい。・・・た~っぷり、可愛がってあげる。ちょっとだけ、先の台詞へのお仕置きも込みでね」
「華琳さま・・・・・・///」
え~と。
つまり、華琳はもう怒ってなくて、桂花も無事ですむって事か。
うん。よかったよかった。
・・・・・・・・・・でも、そっか。
想いが深ければ深いほど、反転は強烈になる、か。
・・・・・・・・それだけ、おれは桂花に嫌われてるって事か。
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はあ。
「それから一刀?」
「・・・なに?」
「もうひとつ、あのお酒に書かれていたことを、教えておいてあげる。・・・あれね、同姓に対してしか、反転の効果は無いから」
「・・・・・・・・・・・・・・は?」
えと。
それはどういうことでしょうか?
「異性に対してはね、その本心が、大きく表に出てくるんですって。想いが強ければ強いほど、強烈な形になって、ですって」
「・・・・・・・えっ・・・と。それはつまり、俺は桂花に嫌われているわけでなく」
「良かったわね?あの娘、それほど深く、あなたを愛しているってことよ」
「・・・・・・・・・・・///」
なんか、顔がすっごく熱かったです。
そしてその日の夜。
桂花は、華琳にたっぷりと、可愛がってもらったらしい。
そして、その最中に、異性に対するあの酒の効果も、彼女から聞かされたらしく。
「寄るんじゃないわよ!この変態!!妊娠しちゃうでしょ!あっち行ってよね!・・・何でそんな笑顔なのよ!罵られて喜ぶなんて、本当に変態なわけ?!あんたは!?」
にやにや。
「う。・・・・な、なによ?」
「べっつにー?桂花の本心はよお~~~~っく分かってるからさ。・・・何言われても気にならないだけ」
「///(ぼっ!)・・・ば、馬鹿言ってんじゃないわよ!あ、あんなの、嘘に決まってるでしょ!?わ、私があんたを・・・なんて、そんなこと」
「いーのいーの。・・・全部、分かってるからさ♪」
「・・・・・~~~~~~っ!!この馬鹿!女の敵!全身精液男!あんたなんか、あんたなんか・・・・・・・っ!!」
「だいっ嫌いよおおおおおっっっっ!!///」
えんど。
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ちょっと思いついたネタです。
非難轟々は承知の上ww
それではどうぞ。