No.198602

真・恋姫無双 魏が滅亡した日

見習いAさん

家族の病状も安定し、日常に戻って来れました。ご心配をおかけして申し訳ありません。

2011-01-29 23:46:58 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:7802   閲覧ユーザー数:6506

 

泰山のふもと、埃まみれの3人は焚き火を囲み食事を取っていた

空腹だったのか、黒い長髪の女性は山菜や蛙、蛇の肉を一気に口に運んだ

 

「姉者、落ち着いて食え」

 

「おお、すまん・・・・」

 

元気のない姉妹を心配そうに見つめる少女、彼女も空腹だったようで

手元の食料を口一杯にほおばりたいところだった

しかし

 

「春蘭様・・・・これ」

 

季衣は手元の食料を春蘭に差し出した

 

「馬鹿、腹が減っているのは皆同じだ。季衣が気を使うことなどない」

 

「でも、春蘭様は今日もずっと偵察任務をこなしていましたから」

 

「華琳様のためだ、どうと言う事はないさ、ほら季衣、遠慮せず食べろ」

 

そう言うと今度は春蘭が手元に残った食料を季衣に与えた

 

そんな二人をどこか羨ましげに見つめる秋蘭は

 

綺麗に描かれた夜空の満月を見つめた

 

これほど綺麗な満月は生涯に一度見られないと言っても過言ではない

 

(どうかご無事で、華琳様)

 

忘れもしない

忘れられるわけが無い

あの日

 

魏は滅亡した

一刀の消滅から2年、魏は大きな問題もなく栄え続けた

民はようやく手にした平和を享受

呉、蜀と共に安定した成長を見せた

 

魏は三国で最も巨大で最も管轄地域が広い

しかしそれは所属武将の多忙を呼ぶことにもなる

華琳をはじめ魏の将は皆、各々の役目を果たすべく必死に働いた

特に文武2つの中心となった秋蘭の比重は重く、その仕事量を華琳から心配されていた

 

弱みを見せない秋蘭はその後も仕事に没頭した

秋蘭に限らず、春蘭も、桂花も、稟も、風も、親衛隊の二人も、三羽鳥も

皆、国のため、華琳のためと仕事に没頭していた

 

秋蘭は思う

 

(あの時、華琳様を孤独にしてしまった)

 

都で必死に働いたあの頃、皆の思いは共通だったと思う

 

(北郷がその場にいないことを死ぬほど悔しがるような国を作る。帰ってきたら・・・・)

 

北郷が消えたあの日、華琳様は皆を集め事情を説明した

 

凪達三人や季衣、流琉は寄り添うように泣き崩れた

 

姉者は顔を隠し大きな声で何かを叫びながら城から走り去った

 

風と稟は予想が的中したと言った表情だが、手の震えは隠し切れなかった

 

驚いたのは桂花の反応だ

 

桂花は楽しそうに笑っていた

 

表情は笑っているがその目から涙が止まることはなかった

 

そして霞は、一刀を探すと魏から去った

私は皆の表情を眺め、次に華琳様を見た

凛々しきお姿は曇り一つ無い

ああ、いつもと同じ華琳様だ

 

そして、私の意識はなくなった

 

(北郷を忘れられない寂しさ、それを紛らわしていただけだったのだろうな)

 

寂しさから逃げるため仕事に没頭した

 

その結果、大事なことを見落としてしまった

 

別れ際、北郷が華琳様に言ったそうだ

 

「寂しがり屋の女の子」

 

私も姉者も、誰もその可能性に気づかなかった

あの華琳様が「寂しがり屋」などと想像できなかった

 

(一番寂しかったのは華琳様だったのだ。それを・・・・)

 

仕事に没頭するあまり、いつしか華琳様の周囲から人が消えた

私ですらお会いできるのは月に数回、それも短時間だった

 

そしてあの日

 

朝廷の呼び出しを受けた華琳様はそのことを誰にも告げず出頭

 

同時に洛陽はじめ主要都市の武器庫を押さえられ、一斉蜂起が始まった

 

蜂起の首班は司馬仲達

 

魏の主要な将は役目を果たすため横の繋がりを疎かにしてしまい、なんら抵抗できなかった

 

姉者と季衣以外、皆がどうなったのか情報がない

 

華琳様は無事なのか、今欲しい情報はそれだけだ

「おや、姉者も季衣も寝てしまったか」

 

食事を終えた二人は眠ってしまったようだ

よほど疲れていたのだろう、こんなに疲労困憊な姉者を見るのは初めてかもしれない

 

秋蘭は二人を起さないよう、満月に向かって小さな声でつぶやいた

 

「なあ一刀、定軍山で救ってくれたこの命、代わりになるなら捧げる、だから・・・・戻ってきてくれ」

 

最後は涙声だった

秋蘭もまた、涙の筋を残したまま眠ってしまった

 

その日、秋蘭は心地よい夢を見た

 

魏が滅亡した日から、いや、もっと以前、一刀が消えた日から感じられなかった安心感

 

何かとても暖かい物に包まれたような、それでいて心が安らぐ

 

このまま目覚めないでほしい

 

そう思いながらも朝の日差しに照らされ、意識は覚醒して行く

 

「ん・・・んん」

 

まだ頭が覚醒しきっていないが、何かに抱かれていることに気づいた

 

「・・・・・・っ!」

 

光に反射する白い着物

 

そして、あの寝顔

 

「かず・・・・と?」

 

「・・・・ふわぁ~~・・・・おはよう秋蘭」

 

手を離すと伸びをする一刀と思われる人物

 

秋蘭は驚きのあまり反応できない

 

異変にきづいたのか春蘭と季衣の二人も目を覚ました

 

「んぅ・・・どうした秋・・・・蘭・・・・っ!!」

 

「・・・・春蘭様?・・・・って兄ちゃん!」

 

「なんだよ変な顔して、俺の顔に何かついてる?」

 

一刀が帰ってきた

あとがき

 

性懲りも無く帰ってまいりました

前作が情けない形になってしまい本当に申し訳ありません

 

無理せず、書きたいことを自由に書けたらと思います

完走したいです

 

母の病状がようやく安定、食事も通常の物が食べれるようになりました

2度の再入院

主治医の先生から人工呼吸器設置の了承を迫られるなど

本当に大変でした

 

やっと余裕が出来たので、これからまた楽しく書けたらと思います

 

よろしくお願いします

 

 
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