No.197435

真・恋姫無双呉ルート(無印関羽エンド後)第三十七話

海皇さん

 皆さんこんにちは。

 今回から本編再開となります。

 本当は新年企画もう少しやりたかったんですが、どうやら読者の方々の評判があまり良くなかったみたいですので、打ち切りとさせていただきました。

続きを表示

2011-01-23 17:07:10 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:5248   閲覧ユーザー数:4415

 俺が、あの不思議な夢を見てから一ヶ月が過ぎた。

 

 あれから孫呉は俺と愛紗の提案した新しい政策を次々と実行し、国をさらに繁栄させていた。

 

 その結果、孫呉の傘下に入る勢力も出てきて、その結果、孫呉はかつての袁術の勢力も吸収して、大陸の中でも一二を争うほどの勢力にまで成長していった。

 

 一方、中には成り上がり者の孫呉を敵視する勢力も存在した。

 

 その筆頭が現在揚州を統治している劉繇である。

 

 漢の皇族の一人であり、揚州の州牧でもある劉繇からすれば、日に日に勢力を増している孫呉は、危険な存在なのである。その為現在、劉繇は揚州中の豪族、有力者達と大規模な連合を組もうとしているとの事だ。

 

 

 

 俺の知っている歴史では、孫策が孫家の頭首となって初めての戦で戦い、勝利したのはこの劉繇だったはずだ。もっともすでに歴史から大幅に外れているから、ほとんどどうでもいいことだが・・・。

 

 しかし、劉繇との戦いか・・・。

 

 もし俺の知っている歴史どおりなら、あの武将が孫呉の傘下に入るはずだ・・・。

 

 まあ今のところ劉繇との戦いはまだ先だろうけど・・・。

 

 

 

 それはともかくとして、孫呉を取り巻く大陸の情勢も変化を始めていた。

 

 曹操の勢力は反董卓連合の際に行方不明になっていた漢の皇帝、劉協を保護、自身の本拠である許昌に連れ帰った。

 

 一方、もう一つの袁家の勢力である袁紹軍は、冀州を手に入れて公孫賛を滅ぼし、河北において曹操に並ぶ勢力として君臨していた。

 

 なお、公孫賛だが、何とか落ち延びて、劉備に保護されたらしい。

 

 生きていて良かったというべきか・・・。

 

 なお、その劉備なのだが、現在徐州の地の州牧になっている。

 

 史実では確かすぐに呂布に奪われてしまうんだけど、あいにく恋は今俺達の軍に居る。だから奪われるとするなら・・・、袁紹か曹操辺りだろうな。

 

 そして俺達にとって現在最大の脅威とも言える劉表軍なのだが、今のところは何も軍事行動を起こさず、内政の充実等に努めているらしい。

 

 もっとも袁術攻略の時みたいなこともある為、油断は全く出来ないが・・・。

 

 そして現在、孫呉では新しい問題が浮上していた。

 

 

 

 

 「許貢が曹操に内通していた、ねえ・・・」

 

 「はい、私が調べたことによりますと、曹操に対して孫呉を共に討とうという書状を送っていたとのことです」

 

 玉座の間に集まった俺達は、諜報から戻った明命の報告を黙って聞いていた。

 

 

 

 報告の内容は、孫呉に帰順した諸侯の一人である許貢が、魏と内応していたというものだった。しかし、雪蓮達はそれほど驚いていなかった。

 

 もともと許貢は、雪蓮の台頭を好ましく思っていなかった諸侯の一人であり、いかに帰順したといってもいつ裏切ってもおかしくない人物であったのだ。

 

 しかし、今はまだ内政の整備が十分ではないため、もし許貢と曹操に攻められたらかなり厄介である。

 

 「ここはやはり、許貢を討つべきだな」

 

 「ええ、そうね。まあ遅かれ早かれ裏切られて討伐することになったんだろうし・・・」

 

 冥琳の言葉を聞いた雪蓮は許貢を討伐することに決めたようだ。

 

 

 

 だが・・・・、

 

 

 

 史実の歴史では、許貢を殺されたことが原因で、許貢の食客が孫策を闇討ちにして、その時の傷が元で孫策は死亡するんだけど・・・。

 

 この外史も一応史実の三国志通りに行くのなら、許貢を殺したことが原因で、雪蓮が殺されることになりかねない。

 「・・・なあ、雪蓮」

 

 「ん?何?」

 

 一応無駄かもしれないけど、言ってみるか。

 

 「もし許貢と戦うんなら、許貢を殺さずに生け捕りにしてもらえないかな?」

 

 「へ?なんでよ」

 

 俺は隣に立っている愛紗をちらりと見る。愛紗も俺が言いたいことを理解しているのか頷いた。

 

 「・・・まあ、天の御使いとしてのお告げなんだけど・・・」

 

 「「「「!?」」」」

 

 お告げ、というのは、俺がこの歴史に関わること、もしくは未来の知識を話すときの隠語である。

 

 「許貢を殺したら、雪蓮は殺される、って出ていた」

 

 「殺される!?」

 

 俺の言葉に愛紗を除く玉座の間にいた全員が驚愕の叫びを上げた。

 

 俺としては予想できた反応なので、そのまま説明を始める。

 

 「ああ、許貢を殺したら許貢の食客に恨まれて殺されるっていうお告げが出ている。だから許貢はできる限り生け捕りにしたほうがいいんじゃないかな?」

 

 俺が話し終えると玉座の間はざわざわと騒然とした雰囲気になった。

 

 「むう・・・、雪蓮、どうするつもりだ?」

 

 「・・・・・・」

 

 俺のお告げ(未来の知識)に周りが騒然とする中、冥琳は雪蓮にどうするつもりか尋ねる。雪蓮はしばらくの間沈黙をしていたが、しばらくすると口を開いた。

 

 「・・・そうね、私もまだ母様と父様の悲願を成し遂げてないから、死ぬわけにはいかないしね。分かったわ一刀。出来る限り許貢は生け捕りにするわ。・・・まあ、向こうがなりふり構わずかかってきたら、どうしようもないけど」

 

 雪蓮はそう言って俺の案を了承してくれた。

 

 ふう・・・。よかった。これで雪蓮が死ぬことはなさそうだ・・・。

 

 だけどこの世界は外史、必ず正史通りに動くとは限らない。現に既にかなり正史から離れている部分もある。もしかしたら、雪蓮も正史とは違う死に方をするかもしれない。

 

 それでもとりあえず雪蓮が許貢の食客に暗殺されることは防げそうだ。

 

 まあ一応用心はしておくか・・・。

 

 

 

 その後は出陣する将、軍師を決めたり、兵数、糧食の量等を決めるといったいつものように軍議を行い、最終的に許貢討伐に向かう将は雪蓮、祭さん、明命、軍師は穏と冥琳という風になり、出陣の日は、二週間後となった。

 

 

 

 

 

 劉表side

 

 「親父よ、本当に許貢の野郎に任せて大丈夫だったのかよ」

 

 劉盤は手に持った果実をかじりながら、父である劉表に若干不審そうに尋ねた。

 

 「いくら策を授けたっつってもよ、さすがに孫策ぶっ潰すのは無理なんじゃねえのか?」

 

 「ふん、初めからあやつには期待などしてはおらんわ」

 

 劉盤の言葉を聞いた劉表は薄い笑みを浮かべながらそう返した。

 

 「奴などただの捨て駒よ。せいぜい孫呉をかき回せればよし、程度にしか考えておらん」

 

 「ああ、そうかよ、まあ別に俺はいいんだけどな」

 

 劉表の言葉に納得したのか劉盤は再び果実にかぶりつく。

 

 「だがよお、もったいねえんじゃねえのか、あの首飾りよ。売ればどれだけ値打ちがついたことか・・・」

 

 「ん?ああ、『天智玉』か。あんな呪いの品など、大して惜しくもないわ」

 

 「おう、親父も験担ぎをするんだな」

 

 「それはな。戦というのは時の運も絡むからな。多少はそういうものにもすがりたくなるものだ」

 

 「なるほどな~・・・、ま、確かに紂王が死ぬ前に身に着けていた首飾りなんて、縁起が悪いわな」

 

 「その呪いの品をそれとしらずに受け取った許貢も哀れだがな」

 

 「送ったのは親父だろうが」

 

 「くっくっくっく、違いないな、息子よ」

 

 劉表は笑みを浮かべながら、杯を傾けた。

 

 

 

 

 あとがき

 

どうも皆さん、本編再会いたしました。

 

本当は新年企画をもう少し続ける予定だったのですが、もう新年じゃないことと、何故か

 

あまり読者の方の人気がいま一つということで、打ち切りとさせていただきました。

 

今回は孫策暗殺事件の序章です。ようやくここまでこれた・・・、という感じです。

 

これから最終章までどれだけかかることやら・・・。

 

まあ不安はありますでしょうが、どうか応援してください。あと、どうかコメントもよろしくお願いします!

 

何?今回かなり短い?・・・すみません仕事忙しくて・・・。

 

 歴史豆知識

 

 作中に出てきた天智玉、とは、殷の暴君である紂王が、死の間際に見につけていた装飾品である。

 作中の設定では、劉表はこれを洛陽の王宮で発見し、そのまま持ち帰った後、許貢に同盟代わりの手土産として与えた、という設定です。

 

 ちなみに中大兄皇子こと天智天皇の名前もこれが由来です。

 

 立派な名前かと思ったら実はとんでもないものがゆらいだったんですね・・・。

 

 さらにその弟の大海人皇子こと天武天皇の由来は周の武王とのこと。

 

 兄貴を紂王(の装飾品)になぞらえて、自分はそれを討った王になぞらえるとは・・・、この兄弟、よほど仲が悪かったみたいですね・・・。

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
42
3

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択