No.193844

孤高の御遣い Brave Fencer北郷伝19

Seigouさん






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2011-01-03 23:47:22 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:36472   閲覧ユーザー数:26011

ここは長安の玉座

 

 

反董卓連合の戦いが終わり次々と将達が帰還する中で、月達は最後の一刀が到着するのを待っていた

 

そして

 

月「あ!徐栄さん!ご苦労様です!」

 

徐栄「・・・・・身に余るお言葉です」

 

詠「ご苦労様、霞達からあんたの仕事振りは聞いたわ」

 

徐栄「・・・・・はい」

 

主に挨拶をする徐栄

 

そんな中で将達は、一刀がいないことに気付いた

 

霞「・・・・・なぁ徐栄、一刀はどこ行ったんや?」

 

嵐「また後から来るのか?」

 

菖蒲「どうしたんですか?」

 

雫「一刀様は?」

 

恋「かずと・・・・・どこ?」

 

音々音「真っ先に恋殿に挨拶に来ないとは、無礼な男なのです」

 

張済「兄上は、どうしたのですか?」

 

徐栄「・・・・・そのことで、御報告があります・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後徐栄は、戦いが終わった後のことを全て話した

 

 

月「・・・・・そんな・・・・・一刀さんが」

 

詠「・・・・・・・・・・」

 

霞「嘘やろ・・・・・」

 

嵐「・・・・・あの馬鹿者」

 

菖蒲「・・・・・一刀様・・・・・」

 

雫「・・・・・そんな・・・・・・そんな・・・・・」

 

恋「・・・・・かずと・・・・・」

 

音々音「・・・・・・・・・」

 

張済「・・・・・兄上」

 

徐栄「・・・・・申し訳ありません・・・・・自分が付いていながら・・・・・本当に申し訳ありません!」

 

各将達は徐栄の報告を聞き、一刀の決死の覚悟を思い知った

 

そして

 

霞「・・・・・っ!!」

 

嵐「・・・・・っく!!」

 

霞と嵐は玉座の間を飛び出そうとする

 

詠「ちょっと待ちなさい霞、嵐!!どこに行くの!!?」

 

霞「決まっとるやろ!!一刀を探しに行くんや!!」

 

嵐「ああ!!行くぞ、霞!!」

 

詠「落ち着きなさい!!探しに行くって言っても、あんた達一刀がどこに居るか分かってるの!!?」

 

霞「それは・・・・・」

 

嵐「ぐっ・・・・・」

 

詠「闇雲に探しても時間の浪費にしかならないわ!!それにまだここの治安は全然改善されていない、霞と嵐の力が必要なの!!」

 

霞「・・・・・でも・・・・・それじゃあ一刀はどうなるんや!?もし怪我でもしていたらどうするんや!?」

 

詠「忘れたの!?あいつは・・・・・一刀は・・・・・恋に勝ったのよ!!」

 

霞「・・・・・・・・・・」

 

嵐「・・・・・・・・・・」

 

詠「あいつはきっと自力で帰ってこれる、だからそれまで待ちなさい!」

 

霞「・・・・・・・・・・」

 

嵐「・・・・・・・・・・」

 

月「霞さん、嵐さん・・・・・お二人の気持ちはわたしにも分かります・・・・・でもここは詠ちゃんの言う通りにして下さい・・・・・」

 

霞「・・・・・・・・・・分かったわ」

 

嵐「分かりました、月様・・・・・・・・・・」

 

そう言って霞と嵐は自分の席に戻っていった

 

月「・・・・・では皆さん、これからのことについての会議を始めたいと思います」

 

詠「・・・・・みんなも知っての通り、この長安は・・・・・・・・・・」

 

そうして会議は進んでいくが、将達の耳には半分も入っていなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

霞「(・・・・・一刀)」

 

一刀のことについて霞は思い出していた

 

初めて会ったのは天水の玉座、その時のあいつは見たこともない服を着て、髪を長く伸ばしていた

 

初めて見たときは、こんな優男が噂の山賊狩りだなんて信じられなかった

 

でもその後、一対一の試合をして完膚なきまでに負けた

 

思えばあの時からなのかもしれない、胸のときめきを感じたのは

 

前から死ぬ前に一度だけ胸のときめきを感じたいとは思っていたけど、今はそれがあいつで良かったと思う

 

霞「(・・・・・絶対生きとってや、一刀)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

嵐「(・・・・・あの馬鹿者が)」

 

思えばあの一言からだった

 

『だったら華雄、自分で自分の真名を付ければいいんじゃないか?』

 

嵐という真名を貰って、その後せがんで稽古を付けて貰って、自分はここまで強くなれたと思う

 

しかし、今はどうだ?

 

あいつがいないだけで胸の中の不安感が一層深くなっていく

 

今の自分は、一刀と会う前の自分と大差無いのではないか

 

こんな自分を見たら一刀はどう思うだろうか

 

嵐「(・・・・・っ・・・・・しっかりしろ!嵐!)」

 

そう自分に言い聞かせるが、胸の中の不安は拭えなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

菖蒲「(一刀様・・・・・)」

 

初めての二人の任務はあの盗賊討伐だった

 

その後不可抗力で、一刀の水浴びを覗いてしまった

 

その時に初めて聞いた一刀の歌

 

あの清んだ透き通るような声

 

今は一刀の声を聴けないと思うだけで胸が締め付けられるようだった

 

菖蒲「(一刀様・・・・・どうか、御無事で・・・・・)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雫「(・・・・・・・・・・)」

 

一刀のことについて、雫は自分なりに整理していた

 

長く伸ばした髪に、恋に匹敵する武

 

そして、誰も思いもしないような政策を次々と出せる知識

 

彼は天の御遣いと巷で言われている

 

本人は否定していたが、自分はその通りだと思う

 

でも今は、そんなものは二の次になっていた

 

虎牢関で彼が抱き締めてくれた時、自分は何も考えられないくらい幸せだった

 

徐栄の報告を聞いた時、何故あの時自分も残らなかったのかと自分に対して怒りを覚えた

 

できれば今すぐにでも探しに飛び出して行きたい

 

しかし、自分一人が探しに行ったところでどうにもならないことぐらい分かっていた

 

雫「(・・・・・一刀様・・・・・一刀様・・・・・)」

 

雫はとにかく祈ることしかできない自分を呪っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

恋「(・・・・・かずと・・・・・)」

 

思えば自分はいつも一人ぼっちだった

 

自分にはこの武しかない

 

でも、自分はいつも頂にいて、隣に誰かが居てくれることなんて無かった

 

そんな寂しい思いをしている時に彼がやってきた

 

彼は自分と同じ頂に自然と舞い降りた

 

そして、『君は、一人じゃないよ』、と言ってくれたような気がした

 

彼のそばにいるだけで今まで感じたことの無い安心感を得ることができる

 

恋「・・・・・かずと・・・・・」

 

ギュウッ

 

恋は一刀から渡された龍滅金剛刀を抱きしめて、一刀の無事を祈っていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

音々音「(・・・・・まったく、恋殿を心配させるなんて・・・・・)」

 

始めて会った時にはただの胡散臭いやつ程度にしか思っていなかった

 

しかしその後、自分の敬愛する恋と互角の勝負をしたあいつに驚いた

 

汜水関ではただの一人も戦死者を出さなかったあいつの指揮振りに尊敬を覚えた

 

頭を撫でてくれた時、恋殿と居る様な感覚を覚えた

 

音々音「(・・・・・絶対・・・・・生きていやがれなのですぞ・・・・・)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月「(・・・・・一刀さん・・・・・)」

 

初めて会ったのは、市民の暮らしを見ようと勢い余って森の中にまで足を運んでしまい、そこで盗賊さんに襲われたときだった

 

その後ろ姿に、思わず見惚れてしまった

 

洛陽で一刀の演奏や歌を聴いたときには、弾む恋心を抑えられなかった

 

一刀が殿として残ったと聞いたときは、心臓を直接鉤爪で鷲摑みにされたような感覚を覚えた

 

月「(・・・・・どうか・・・・・どうか無事でいてください・・・・・一刀さん・・・・・)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして会議は終わり各将達はそれぞれの持ち場へ散らばっていった

 

 

 

 

 

 

 

詠「・・・・・はぁ・・・・・たぶん皆の頭には半分も入っていなかったわね・・・・・」

 

各将達の落胆振りに、流石の詠も驚いていた

 

まさか一刀の影響力がこれほど根深いとは思ってもいなかったのだから

 

詠「・・・・・まぁ・・・・・それはボクも同じか・・・・・」

 

詠はかつての一刀との会話を思い出していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

回想

 

 

 

 

 

一刀「何だ詠?話って?」

 

詠「一刀、あんたの旗についてなんだけど・・・・・」

 

一刀「は!?俺の旗だって!?」

 

詠「そうよ、これからあんたも将として動くのよ、それくらいは「ちょっと待ってくれ!!」・・・・・どうしたのよ?」

 

一刀「それは拙いだろ!俺はついこないだこの陣営に入ったばかりだぞ!それに俺は客将だ、そんな出過ぎたことをしてしまったらそれこそ全軍の指揮を下げる結果に終わってしまうぞ!」

 

詠「そんなことは無いわ、あんたは恋と互角の勝負が出来る事を武官や文官達にすでに証明しているのよ、それに月もこのことは承諾済みよ」

 

一刀「とにかく!その件については俺は承諾できない!そんなことしてしまったら、目立ってしまって客将でいる意味がなくなってしまう!それこそ俺の行動が制限されてしまうさ!」

 

詠「・・・・・・・・・・」

 

一刀「詠・・・・・詠の気持ちは分かるけど、俺はなるべく出過ぎたことはしたくない、詠だって月より俺が目立つなんて事許せないだろ?」

 

詠「・・・・・それはそうだけど」

 

一刀「一つの陣営に頂点は二つも要らないさ、俺はあくまで月に好意で力を貸している客将、北郷一刀だ」

 

詠「・・・・・分かったわ・・・・・月にも伝えておく・・・・・」

 

一刀「ありがとう、詠」

 

詠「(だからなんでそこで言うのよ!)/////////////」

 

一刀「???」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

回想終了

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

詠「・・・・・・・・・・」

 

あいつはいつもそうだ

 

その気になれば董卓軍の二番目の権力者にだって成れるくらいの実力を備えているのに、決して出しゃばらずに月を押す

 

まぁそのおかげで、天水での月の評判はうなぎのぼりだったんだけど

 

洛陽では本当にあいつに助けられた

 

あいつがいなければ洛陽の治安はあそこまで改善されることは無かっただろう

 

詠「・・・・・いつの間にか、ボクもあいつに心酔していたのかもね・・・・・生きていなさいよ一刀・・・・・死んでたりしたら許さないから・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後董卓軍一同は、これから拠点となる長安を良くしようと活動しだす

 

しかし、一刀という武の中枢、そして精神的な支えを失った董卓軍の傷跡は予想よりも深かく、その動きは遅かった

 

だが徐栄と張済は、一刀の開いた穴を埋めようと懸命に働き、長安は治安についてはまあまあというところまで改善されていったのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

袁紹軍陣営

 

 

 

 

 

 

 

麗羽「斗詩さん、猪々子さん、まだ見つかりませんの!!?」

 

斗詩「そんな簡単に見つかったら苦労しませんよ~!」

 

猪々子「これだけ探しても見つからないって事は、あいつらもう別の州に行っちまったんじゃねえのか!?」

 

袁紹軍は総出で趙忠と宋典の行方を追っていた

 

麗羽「・・・・・もういいですわ!!」

 

斗詩「え!?どういうことですか!?」

 

猪々子「何言ってんだよ!?姫!?」

 

麗羽「探さなくてもいいと言っているのですわ!!」

 

斗詩「そんなことしたら麗羽様、この国を追放されてしまいますよ!!」

 

猪々子「そうだぜ姫!!」

 

麗羽「ふん、何故わたくしがこんなことをしなければなりませんの!?わたくしもあいつらに騙された被害者なのですわよ!」

 

斗詩「麗羽様~、そんなこと帝に言ったら追放どころか即死刑にされちゃいますよ~!」

 

麗羽「そんなこと知ったこっちゃありませんわ!!」

 

猪々子「あ!?どこ行くんだよ姫~!」

 

悪態をつきながら、麗羽は自分の部屋を無理やり退出していった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

劉備軍陣営

 

 

 

桃香「皆♪これから頑張ろうね♪」

 

「・・・・・・・・・・」

 

桃香「♪♪♪~~」

 

帰ってからというもの桃香はご機嫌だった

 

鈴々「お姉ちゃんどうしたのだ?」

 

星「鈴々、分からぬか?」

 

鈴々「ぜ~~んぜん」

 

朱里「やっぱり、一刀さんのせいでしょうね」

 

雛里「それしかないかと」

 

愛紗「一刀様////////」

 

星「ふふふふ♪」

 

星は愛紗の反応に気付いた

 

愛紗「なんだ、星?」

 

星「いや、愛紗は一刀殿に完全に惚れ込んでしまったようだなと思ってな♪」

 

愛紗「そ、それは・・・・・/////////////////」

 

耳まで真っ赤になってしまう愛紗だった

 

星「はははははははは♪まぁその気持ち分からんでもない、もし一刀殿が一国の主であったなら、わたしも彼に仕えたいと思うだろうしな♪」

 

愛紗「そうだな・・・・・わたしももし桃香様より先にあの方にあっていれば、そうなっていたのかも知れんな」

 

星「ほぅ、珍しく素直ではないか?」

 

愛紗「あの方はわたしの特別だ、もちろん桃香様の次にな」

 

星「ふふふふ♪」

 

一刀の会話が尽きない二人であった

 

朱里「そういえば、皆さんの武器については鍛冶屋さんに話してきましたか?」

 

愛紗「ああ、帰ってきてすぐ」

 

星「ああ」

 

鈴々「鈴々も渡してきたのだ!」

 

星「しかし、その際に鍛冶職人から聞いたのだが・・・・・」

 

雛里「何をですか?」

 

星「職人曰く、どうやってここまで傷つけることができたのか信じられない、だそうだ」

 

愛紗「そして、ここまで傷つけた武器を見てみたい、と仰っていたな」

 

桃香「へ~~~~、やっぱり一刀さんの武器って凄いんだね~~~」

 

星「あの方は、自分がこの世界の人間ではないと仰っていたが・・・・・」

 

愛紗「それに、この時代の人間でもないと言っていたな」

 

鈴々「う~~~~ん、どういう意味なのかわかんないのだ~」

 

朱里「・・・・・いずれにしても、皆さんの武器はしばらくは予備の物で我慢して貰うしかありませんね」

 

雛里「はい・・・・・それに今回の戦でわたし達は、かなりの兵士さん達を無くしてしまいました」

 

桃香「・・・・・そうだね、今後こういうことが起こらないようにわたしも頑張るから・・・・・皆!これからもよろしくね!」

 

愛紗「はっ!桃香様!」

 

星「御意!」

 

鈴々「鈴々にど~~んと任せるのだ!」

 

朱里「御意です!桃香様!」

 

雛里「御意です!」

 

その後桃香達は、今までの汚名を返上しようと一斉に行動しだした

 

留守にしていた間に増えてしまった盗賊を討伐し、少なくなってしまった兵士達で必死に治安維持活動を行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

孫策陣営

 

 

 

 

 

呉に着いた途端に雪蓮達一行は美羽に呼び出された

 

 

 

 

雪蓮「まったく、帰って早々呼び出し食らうなんて」

 

冥琳「しかし、今回は雪蓮だけでなく呉の将達全員を呼びつけてきたんだぞ」

 

祭「うむ、ただ事ではないな」

 

蓮華「まさか、罠ということは?」

 

穏「蓮華様、それは有り得ません~」

 

明命「どうしてそんな事が言えるのですか?」

 

穏「蓮華様、明命ちゃん、雪蓮様はまだ袁術さんの客将なんですよ~、それをいきなり殺すようなことをすれば周りは敵だらけになってしまいますよ~」

 

蓮華「しかし、相手はあの袁術よ!」

 

思春「そうだぞ穏!蓮華様の身に何かあったらどうするんだ!」

 

穏「今回の戦で我々は多少なりとも戦果を上げています、今もその情報を袁術さんの領土にも流していますからね~、これで雪蓮様を殺すなんて事すれば、自分達の身の方が危うくなりますよ~」

 

思春「しかし!」

 

純夏「しっ!そろそろ着くわよ!」

 

そう言っている間にも一同は美羽のいる玉座に着いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美羽「おお・・・・・来てくれたか孫策・・・・・」

 

七乃「・・・・・・・・・・」

 

彩「・・・・・・・・・・」

 

美羽の横にはいつも通り七乃と彩が居座っていた

 

雪蓮「ええ、来たけど・・・・・どうかしたの?」

 

美羽「・・・・・・・・・・」

 

雪蓮は元気の無い美羽に違和感を感じていた

 

美羽「孫策・・・・・わらわは、北郷に言われた通り自分の街を見てみたのじゃ」

 

雪蓮「・・・・・・・・・・」

 

美羽「はっきり言って、酷い有様じゃった・・・・・この町をこんな風にしてしまったのはわらわのせいだと言われても・・・・・何も言えん」

 

雪蓮「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

雪蓮は黙って美羽の言葉を聞いていた

 

美羽「じゃから孫策・・・・・」

 

そう言いながら美羽は玉座から雪蓮の元まで来た

 

美羽「・・・・・今まで・・・・・すまなかったのじゃ!!」

 

一同「!!!???」

 

いきなり土下座してきた美羽に呉一同は面食らった

 

七乃「・・・・・・・・・・」

 

彩「・・・・・・・・・・」

 

七乃と彩は黙って見守っていた

 

雪蓮「ちょ!ちょっと!袁術ちゃん!?」

 

美羽「わらわは今まで、孫策達に酷い事を沢山してきたのじゃ!侘びの言葉も無い!わらわの頭くらいならいくらでも下げるのじゃ!!」

 

雪蓮「わ、分かったから頭を上げて!袁術ちゃん!」

 

そう言いながら雪蓮は美羽の傍へ駆け寄り、美羽を抱き起こした

 

美羽「わらわ達が孫策達から奪った江東の地は、全部返還するのじゃ」

 

雪蓮「え!?」

 

一同「!!??」

 

またもや美羽の爆弾発言に一同は驚く

 

七乃「そのことなんですけど、孫策さん」

 

雪蓮「なに?」

 

七乃「わたくし達は、孫策さんに帰順しようと思っているんですよ」

 

「!!??」

 

またもや驚く呉一同

 

江東を返してくれるどころか、こちらに帰順するという七乃の言葉に

 

彩「こんなことを言うのは筋違いだと思うのだが・・・・・この南陽の街を良くするために孫策殿達の力をぜひ貸して頂きたい」

 

美羽「その為に、わらわ達は協力を惜しまないのじゃ!」

 

雪蓮「・・・・・分かったわ、これからよろしくね袁術ちゃん♪」

 

美羽「うむ♪わらわの真名は美羽じゃ!受け取って貰えるかの?」

 

雪蓮「わたしの真名は雪蓮よ♪」

 

七乃「美羽様が預けるならわたしも♪わたくしの真名は七乃と申します♪」

 

彩「我が真名は彩、そう呼んでくれ」

 

そんな具合で、呉一同と袁術一同はお互いに真名を預けあっていった

 

しかし、江東の地を返還し帰順するといってもそれをいきなり民衆に報じれば混乱を招くだけなので、その場は一時解散で雪蓮達は建業に戻っていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

百合「はぁ~~~、あの袁術さんが~~」

 

雪蓮「ほんと、驚いたわよ」

 

冥琳「北郷には感謝してもしたりないな」

 

???「ねぇねぇ、お姉ちゃん達、シャオにもその北郷っていう人の事教えてよ」

 

話の輪に加わってきたのは、孫尚香、真名を小蓮

 

雪蓮「いいわよ♪一刀はねすっごくいい男なのよ、シャオもきっと気に入ると思うわよ♪」

 

純夏「なんせ、雪蓮のような女を惚れさせるような男だからね」

 

小蓮「ふ~~~~ん、それって純夏さんも?」

 

純夏「あああああたしは別に!!///////////」

 

小蓮「あははははは♪純夏さんってば本当にわっかりやす~~~~♪」

 

雪蓮「あはははは♪ほんよとね~~~♪」

 

純夏「ぐっ!・・・・・まったくこの姉妹達は・・・・・」

 

百合「それはそうと~、わたくしもその北郷さんのことは気になりますね~」

 

小蓮「うんうん♪お姉ちゃん聞かせて♪」

 

雪蓮「はいはい・・・・・百合もシャオも山賊狩りの北郷一刀のことは知っているわよね?」

 

小蓮「うん、確か黄巾党滅亡の要因で乱の後でも各地で山賊達を討っているっていう・・・・・」

 

雪蓮「そ♪その北郷一刀がなんと董卓軍にいたわけよ♪」

 

純夏「一刀とは戦場で何度も戦ったわ」

 

明命「物凄く強かったです」

 

蓮華「こちらの将が全員で掛かっていってようやく互角だったわ」

 

百合「え!?」

 

小蓮「嘘!?お姉ちゃん達が全員で行って互角だったの!?」

 

小蓮は目を丸くして驚いた

 

思春「しかもこちらの武器は北郷一人にボロボロにされていましたからね」

 

小蓮「え!?まさか南海覇王も!」

 

雪蓮「ええ、今鍛冶屋に治させているわ」

 

小蓮「・・・・・南海覇王に傷を付けるなんて、その北郷っていう人どんな武器使っていたの?」

 

冥琳「小蓮様、山賊狩りといえば・・・・・」

 

小蓮「・・・・・うん、聞いたことある、背中に大きな大剣を背負って、腰の方にも小さい剣を差しているって」

 

雪蓮「その剣の性能がねやばいのよ、あれは南海覇王の上を行っているわ」

 

小蓮「それは大きい方?小さい方?」

 

雪蓮「両方よ♪」

 

小蓮「両方!?」

 

そしてその後も呉陣営の一刀の話題は続いていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀の話が終わり解散する一同

 

そんな中、雪蓮と冥琳は中庭に居た

 

雪蓮「・・・・・冥琳」

 

冥琳「なんだ?雪蓮」

 

雪蓮「一刀にはあまりにも多くの借りを作りすぎちゃったわね」

 

冥琳「・・・・・そうだな」

 

雪蓮「ねぇ、何とか一刀をこっちの陣営に引き入れられないかしら?」

 

冥琳「それは難しいな、あれほどの者を董卓が手放すとも思えん」

 

雪蓮「そうなのよね~・・・・・あ~~あ、何で一刀ったらこっちに来てくれなかったのかしら?」

 

冥琳「そんな都合よく事が運ぶんなら我らはとっくに天下を手にしているさ」

 

雪蓮「そうよね・・・・・母様も死なずにすんだかもね・・・・・」

 

冥琳「・・・・・雪蓮」

 

雪蓮「気にしないで、母様が死んだのは天命だったのよ、仕方が無いわ・・・・・」

 

冥琳「・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後、小蓮と百合も美羽達と真名を預けあって、三人は相当な仲良しになっていった

 

美羽の領土は雪蓮達に吸収される形となり、美羽に付き従っていた豪族達も呉に吸収されていったのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曹操陣営

 

 

 

虎牢関の戦いでかなりの功を得た華琳一行

 

その影響力は兗州、予州、豫州にまで及び華琳達は魏の国を立ち上げることを宣言した

 

桂花と零は一刀から凪に渡された紙とそれに書かれた字を見て

 

『こんなもの作れるはずがない』やら『こんな細い字、何で書いたのかしら?』

 

など一刀の持っていた紙について議論していた

 

そんな中

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風「へ~~、あのお兄さんが~~・・・・・」

 

稟「一刀殿が・・・・・」

 

華琳「風?稟?あなた達一刀を知っているの?」

 

風「はい~、お兄さんとは徐州で会ったことがあるのですよ~」

 

稟「一刀殿らしいですね」

 

董卓連合が解散された後、華琳達が帰還してすぐに風と稟が華琳のもとを訪ねてきた

 

華琳と桂花と零の難題を掻い潜り一発で合格、晴れて曹操陣営に入ったのだ

 

凪「風様と稟様は、一刀様のことをどれくらいお知りなのですか?」

 

風「どれくらいと言われると難しいですが~、華琳様のお話を聞く限りだと華琳様達と同じくらい知っていますかね~」

 

稟「そうですね、彼は不当な暴力を見過ごすことのできない人ですからね」

 

華琳「・・・・・どうやら本当に会ったようね」

 

凪「はい、わたし達の知っている一刀様と一致しています」

 

沙和「華琳様~、華琳様にまたお客さんが来てるの~」

 

華琳が風と稟に一刀の事について尋ねていると沙和がやってきた

 

華琳「また?今日は千客万来ね」

 

零「だれなの?」

 

沙和「え~とね~・・・・・張郃儁乂さんだって~」

 

桂花「え!!?」

 

華琳「張郃・・・・・まさか!麗羽の所の張儁乂だっていうの!?」

 

桂花「その通りです!華琳様!」

 

零「そういえば桂花は、前に袁紹に仕えていたことがあったわね、知っているの?」

 

桂花「知っているも何も袁紹軍で悠姉様を知らない者なんていないわよ!・・・・・ある意味で」

 

華琳「?・・・・・ある意味」

 

桂花「悠姉様は、女性の体に触るのが好きな悪癖の持ち主なんです」

 

華琳「・・・・・まぁいいわ、会ってみる価値はあるでしょう・・・・・みな、来なさい」

 

そして、そのまま華琳達は執務室を出て玉座の間へと歩いていった

 

桂花「ううぅ~~~~・・・・・」

 

玉座に向かっている間でも桂花は憂鬱だった

 

零「桂花、どうしたのよ?」

 

凪「桂花様?」

 

桂花「わたし、悠姉様だけは苦手なのよ~・・・・・」

 

零「男嫌いな桂花も女嫌いになることもあるのね」

 

桂花「悠姉様は特殊なのよ!あんた達も気をつけた方がいいわよ~~」

 

そんな話をしていると

 

春蘭「あ!華琳様!」

 

華琳「あら、春蘭、秋蘭ちょうどいいわ、あなたた達も来なさい」

 

秋蘭「何かあったのですか?」

 

華琳「ちょっとした来客よ」

 

春蘭「はい!」

 

秋蘭「はっ!」

 

春蘭と秋蘭も玉座の間へついていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

華琳「入ってきていいわよ」

 

悠「はっ!」

 

この国の挨拶をし、悠は玉座の間へ入っていく

 

華琳「(桂花、あれがそうなの?)」(ひそひそ)

 

桂花「(間違いありません、悠姉様です)」(ひそひそ)

 

悠「曹操様、此度は突然の訪問を受けていただき、誠にありがとうございます!」

 

華琳「張儁乂の武勇は聞いているわ、私は会うだけでも価値があると思っているわよ」

 

悠「ありがとうございます!」

 

華琳「それで、張儁乂、あなたはどうしてここに来ているの?あなたは麗羽・・・・・袁紹のところに居たはずよね?」

 

悠「まぁ、理由としては単純なんですけど・・・・・」

 

華琳「聞きましょう」

 

悠「袁紹軍もそろそろ飽きてきたし、そちらの方が楽しめそうだからです♪」

 

春蘭「貴様!そんなふざけた理由で鞍替えをしようというのか!」

 

秋蘭「・・・・・・・・・・」

 

秋蘭も悠を疑いの眼差しで見ていた

 

春蘭「華琳様!こんな優柔不断な奴を招いたところで、いつ華琳様を裏切るか知れません!」

 

華琳「春蘭、少し黙っていなさい」

 

春蘭「は、はい・・・・・」

 

華琳「(桂花、張儁乂とはこういう人物なの?)」(ひそひそ)

 

桂花「(間違いありません!悠姉様はこういう人です!と言うより、こっちの方がむしろ信用できますよ!)」(ひそひそ)

 

華琳「・・・・・・・・・・」

 

それからしばらく考え込む華琳

 

そして

 

華琳「分かったわ、張郃儁乂!あなたを我が陣営に招きましょう!」

 

春蘭「華琳様!いくらなんでも軽率だと思います!」

 

秋蘭「わたくしも・・・・・同意しかねます」

 

華琳「桂花から聞いたけど、張儁乂とはこういう人物らしいわよ・・・・・張郃儁乂!これから宜しく頼むわね!」

 

悠「おお!良かった!断られたらどうしようかと思ってたんだ!」

 

華琳「そんなことで受け入れないほど、この曹孟徳の器量は小さくないわ・・・・・張郃儁乂、わたしの真名は華琳よ、以後そう呼びなさい」

 

悠「あたしは、姓が張、名を郃、字は儁乂、真名は悠だ!」

 

華琳「みなも真名を預けなさい」

 

春蘭「わたしの名は夏侯元譲、真名は春蘭だ、悠」

 

秋蘭「夏侯妙才、真名は秋蘭だ、悠」

 

凪「我が名は楽進、真名は凪です、悠さん」

 

沙和「沙和は于禁、字は文則、真名は沙和なの、悠さん」

 

零「姓を司馬、名が懿、字を仲達、真名は零よ、悠」

 

風「風は程昱、字は仲徳、真名は風なのです~、宜しくなのです、悠さん~」

 

稟「わたしは、姓は郭、名を嘉、字は奉孝、真名は稟です、悠殿」

 

悠「おう!よろしくな華琳、春蘭、秋蘭、凪、沙和、零、風、稟・・・・・それと、ひっさしぶりだな~~~♪桂花♪」

 

桂花「ひっ!!・・・・・お久しぶりです、悠姉様・・・・・」

 

悠「また世話になる、よろしくな♪」

 

桂花「・・・・・・・・・・」

 

かなり憂鬱そうな桂花がいた

 

悠「お?どうした?また前みたいにして欲しいか?」

 

シュン!

 

秋蘭「!!??」

 

凪「!!?」

 

悠は一瞬で桂花の後ろに移動し

 

モミモミモミモミ

 

桂花「ひゃあああああああああ、悠姉様止めてください!」

 

桂花の胸を揉み始めた

 

悠「なんだよ♪初めてじゃないんだ♪それにこうして揉んで大きくしてやろうとしてるんだぜ~~~♪」

 

モミモミモミモミ

 

桂花「ひゃうん!そんな悠姉様・・・・や・・・・め・・・・て・・・///////」

 

体を弄られているうちに、桂花は力なく床に倒れ伏した

 

華琳「・・・・・//////」

 

春蘭「おい悠!貴様!華琳様の前で何をやっているか!」

 

悠「なんだ?春蘭もやってほしいのか?」

 

ヒュン!

 

そう言って悠はまたしても一瞬で春蘭の後ろに移動した

 

秋蘭「!!?これは!?」

 

凪「は、速い!!?」

 

モミモミモミモミ

 

春蘭「うひゃああああああああ!!こら!止めんか!」

 

悠「おお!なかなかいいものを持っているじゃないか♪」

 

モミモミモミモミモミモミモミモミ

 

春蘭「ひゃああああああああああああ!!助けて!華・・・琳・・・・さ・・・・ま・・・・///////」

 

そのテクニックに魏武の大剣と恐れられた春蘭も屈してしまった

 

稟「あ・・・・ああ・・・・その後・・・・春蘭様と悠殿は・・・・寝台へと・・・・そしてくんずほぐれずぷーーーーーーーーー!!」

 

噴出す鼻時のアーチ

 

風「はい~~、稟ちゃん、とんとんしましょうね~~、と~~んとん」

 

稟「ふがふが・・・・・あ、ありがとう風・・・・・」

 

華琳「(ふふふふ♪面白くなってきたわね♪)」

 

その後、悠は各将達と真名を交換していった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???(・・・・・ブザマダナ)

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

一刀は前と同じ夢を見ていた

 

???(ソレデケッキョク、オマエハナニカヲナシトゲタノカ?)

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

???(イチオウイッテオクガ、コンカイノイクサデモトコウキントウノモノタチハホトンドシンデシマッタゾ)

 

一刀「・・・・・っ」

 

???(ツマリ、コレデオマエノヤッテキタコトハホボムダニナッテシマッタトイウコトダ)

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

???(オマエハソレデマンゾクカ、タッタヒトリノニンゲンノタメニコレダケノニンゲンヲギセイニシテマンゾクナノカ?)

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

???(オマエハコノセカイニトッテナンダ?・・・・・テンノミツカイ?キュウセイシュ?イイカタヲカエテスクイヌシカ?)

 

一刀「・・・・・俺はこの世界にとって・・・・・ただのイレギュラーでしかない」

 

???(アアソウダヨ、ソノトオリダヨ、ワカッテイルナラコレイジョウヨケイナコトハシナイコトダナ)

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

???(オット、マタジャマガハイッタヨウダナ、マタアウコトモアルトオモウガコンカイハココマデダ)

 

謎の物体はそう言い残し、一刀の意識は覚醒していった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

???「か・・・・さん!・・・・・さん!・・・を・・・て下さい!」

 

???「・・・・と!・・・・さませ!・・・・と!」

 

一刀「・・・・・ぅ・・・・ぁ・・・ぁ・・・・・・」

 

自分に呼びかける声が聞こえてきて、一刀は目を覚ました

 

時雨「一刀さん!」

 

華陀「おお、起きたか!一刀!」

 

一刀「え?時雨さん?・・・・・それに華陀?」

 

時雨「よかった、よかった・・・・・」

 

時雨は、涙を流しながら一刀の手を握っていた

 

華陀「ようやく起きたか、いくらなんでも寝坊が過ぎるぞ」

 

一刀「俺は・・・・・何があった・・・・・」

 

時雨「狛煉が血だらけの一刀さんを背負って、ここまで連れてきたんです」

 

華陀「俺は偶然この荊州の村に寄ったんだが、村の人達が大混乱だったぞ、その原因が一刀だと聞いた時は心臓が飛び出そうだったぜ」

 

一刀「・・・・・俺は・・・・・どれくらい寝ていたんだ?・・・・・」

 

華陀「一週間だ、矢傷を調べてみたが、かなりの毒が塗ってあったぞ、あれで死ななかっただけでも大したもんだ」

 

一刀「・・・・・そうか」

 

そういいながら一刀は起き上がろうとする

 

時雨「一刀さん!まだ寝ていてください!」

 

華陀「まだお前の体の毒は抜けていないんだぞ!一刀!」

 

一刀「・・・・・でも」

 

華陀「いいから寝てろ!!」

 

一刀「・・・・・・・・・・分かった」

 

華陀の迫力に押され、一刀は再び寝台に横になった

 

その時

 

村長「おお!一刀殿!目を覚まされたか!」

 

一刀「村長さん、お久しぶりです、それとご迷惑をおかけしました」

 

村長「いえいえ、一刀殿には世話になりっぱなしでしたからな、これくらい安いものです!」

 

一刀「ありがとうございます・・・・・」

 

一刀は初めに来た荊州の村に戻ってきたと実感して、なんともいえない気持ちになった

 

村長「それにしても一刀殿、何があったのですか?」

 

華陀「そうだな、これほどの傷、よほどのことがあったとしか思えない」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

時雨「一刀さん、話してくれませんか?」

 

一刀「・・・・・分かりました」

 

それから一刀は自分がこんな状態になった過程を包み隠さず話した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「・・・・・というわけなんです」

 

時雨「董卓さんが・・・・・」

 

華陀「なるほど、董卓は無実の罪を押し付けられたんだな」

 

村長「一刀殿が山賊狩りとして活躍していたことは知っていましたが、まさかそんなことになっていようとは・・・・・」

 

一刀「・・・・・ねぇ、皆」

 

「??」

 

いきなり力なく項垂れ神妙になった一刀に一同は唖然とした

 

一刀「俺は・・・・・正しかったのかな?」

 

「・・・・・・・・・・」

 

一刀「確かに、俺は月・・・・・董卓を助けることができたと思う・・・・でも、そのために俺はあまりにも多くの人々を犠牲にしすぎた・・・・・」

 

「・・・・・・・・・・」

 

一刀「俺のやったことは「正しかったに決まっているだろ!」・・・・・華陀?」

 

華陀「確かに、一部の人がそんな話を聞いたらお前のやったことは間違っていたと言うかもしれない」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

華陀「だけど俺は、お前のやったことが正しかったと思う、お前のような奴がいる限り、この国はまだまだ捨てたものじゃないって思えるんだ」

 

一刀「(俺はもともとこの国の人間じゃないんだけどな)」

 

一刀はそう思うが、そんな心情に関係なく華陀は続ける

 

華陀「だから一刀、他人がどう思おうが俺は一刀のやったことが正しいと!・・・・・そう思うことにする・・・・・だからお前も胸を張っていいんだ!」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

時雨「一刀さん、わたしも一刀さんのやったことは正しかったと思います」

 

一刀「・・・・・時雨さん」

 

村長「ワシもですぞ、一刀殿」

 

一刀「・・・・・村長さん」

 

村長「一刀殿は色々ありすぎて疲れておるんですじゃ、療養がてらご自身の気持ちを整理して下され」

 

時雨「はい、それまでこの村で休んでください、一刀さん」

 

一刀「・・・・・分かりました・・・・・お言葉に甘えます・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後一刀は杖をつきながら村人達に挨拶して回った

 

しかし

 

村人達「北郷隊長!!!おかえりなさい!!!」

 

かつて自分が訓練した村人達にもみくちゃにされ

 

村娘達「きゃーー一♪♪♪刀様ーーーーーー♪♪♪」

 

怪我をした一刀を物凄く心配していた村娘達に囲まれ殆ど療養どころではなくなっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、一刀が荊州北部の村に帰ってきて僅か10日後

 

時代は動く

 

袁紹軍が何を血迷ったのか幽州を攻め公孫賛を追い出し、公孫賛は劉備のいる平原へ逃走

 

しかし、その後袁紹は平原にも軍を進め劉備軍をも追い出した

 

袁紹軍の傍若無人な振る舞いに帝は頭が沸騰していたという

 

これは、そんな劉備軍の逃走中のできごと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桃香「・・・・・それにしても、これでよかったのかなぁ?」

 

朱里「桃香様、相手は20万を越す大群だったのです」

 

雛里「それにひきかえ、わたし達の軍はどう頑張っても4万です」

 

星「それに加え、平原の戦いともなれば我らは20万の袁紹軍にはとても敵いませぬ」

 

鈴々「それにしても袁紹のやつ、なんであんなに兵を持っていたのだ?」

 

愛紗「鈴々の言うことも尤もだ、袁紹は先の連合で殆どの兵を失ったはずなのに」

 

白蓮「まだ自分の領に兵を残していたんだろうな・・・・・麗羽はああ見えて抜け目ないからな」

 

そんな会話をしながら桃香と白蓮を合わせた4万の軍勢は荊州北部に足を運んだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桃香「わぁ~~~~、この村凄く活力があるねぇ~~~」

 

白蓮「本当だな・・・・・」

 

自分達が統治していた州より遥かに多くの商人達が行き来していることに桃香達は驚いていた

 

ここまで来ると村と言うより町に近いかもしれない

 

朱里「・・・・・おかしいですね」

 

星「・・・・・そうだな」

 

朱里と星はそんな村の様子に違和感を感じていた

 

愛紗「朱里、星、どうしたのだ?」

 

朱里「この辺りには、ここまで発展できるほどの名産品は殆どないはずです」

 

星「うむ、わたしもこの村に来たことはあるが、その時はこれほど発展してはいなかった」

 

鈴々「にゃ?じゃあどうしてなのだ?」

 

雛里「村人達に聞いてみるしかないかと・・・・・」

 

桃香「それじゃあさっそく、すみませ~ん♪」

 

愛紗「ああ!桃香様!」

 

さっそく行動しだす桃香に愛紗は呆れていた

 

このあたりは流石桃香といったところか

 

そして、付近にいた村人に話しかける

 

桃香「すみません!ちょっとお聞きしたいことがあるのですが!?」

 

「はい、何でしょう?」

 

桃香「どうしてこの村は、ここまで発展しているのですか?」

 

「そりゃあこの村は紙を大量に生産しているからね、商人達が来るのもあたりまえさ」

 

星「おかしいですな、このあたりは紙の生産地でもなんでもなかったはずですが」

 

「そりゃあそうさ、紙の生産が始まったのは二年位前だったからね」

 

雛里「なぜいきなりそれほどの紙を作ることができたんですか?」

 

「そりゃもちろん北郷様のおかげさ♪」

 

「!!??」

 

劉備軍一同は驚いた

 

何故ここで一刀の名前が出てくるのか分からなかったのである

 

桃香「そ、それはどういうことですか!?」

 

愛紗「どうして一刀様の名前が出てくるのだ!?」

 

「どうしてって・・・・・北郷様が紙を作る技法を教えてくれたからですよ」

 

「・・・・・・・・・・」

 

一同は唖然としていた

 

この時代では紙は貴重品、それをこれだけ量産できると言うのは相当なものである

 

朱里「・・・・・・・・・・」

 

雛里「・・・・・・・・・・」

 

朱里と雛里はかつて一刀が出した紙について思い出していた

 

あれはもしかしたらここで作っているのかもしれない

 

そう考えただけで朱里と雛里は目を輝かせた

 

「そういえば、北郷様は今この村に帰ってきていますよ」

 

桃香「ええっ!!!?」

 

愛紗「何!!!?」

 

鈴々「お兄ちゃんが!!!?」

 

星「一刀殿が!!!?」

 

白蓮「北郷一刀が!!!?」

 

朱里「はわわ!!?」

 

雛里「あわわ!!?」

 

一同は飛び上がらんばかりに驚いた

 

桃香「どこですか!!?一刀さんはどこにいるんですか!!?」

 

「ええ!?」

 

愛紗「早く答えろ!!さもないと・・・・・」

 

新しく作った青龍堰月刀を村人に突き付ける

 

「ひいっ!!?」

 

星「こら!」

 

ビシッ!

 

愛紗「あだっ!」

 

背後から愛紗が星から脳天に空手チョップをお見舞いされるという珍しい形となった

 

星「愛紗よ、少し落ち着け・・・・・すまない、で、一刀殿はどこにいる?」

 

「は、はぁ・・・・・北郷様なら、あちらの村長の家で療養中です」

 

桃香「え!?療養中って!?」

 

愛紗「一刀様に何かあったのか!?」

 

「なんでも村に帰ってくる前に誰かから矢を受けて、その傷が元で・・・・・ってちょっと!!?」

 

桃香「ありがとうございます!!!」

 

一同は村人の話を最後まで聞かずすっ飛んで行ってしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

村長の家

 

 

華佗「・・・・・よし、出来たぞ、これを飲めば体の解毒代謝が飛躍的に上がるはずだ、舜琴さんこれを薬草に包んで飲ませてくれ」

 

時雨「はい・・・・・どうぞ、一刀さん」

 

煎じた薬を蒸らした薬草に包み込み一刀に飲ませ様とするが

 

一刀「すみません、時雨さん・・・・・ぐぅぅぅ!」

 

毒により体の奥底から何とも言えない不快感が溢れ出し、一刀は蹲る

 

華佗「これはいかんな・・・・・村長さん、一刀を支えてください」

 

村長「分かりましたですじゃ」

 

薬を飲ませる為に一刀の体勢を起こし薬を飲ませようとする

 

その時

 

桃香「一刀さん!!」

 

一刀「え?・・・・・桃香!?」

 

いきなり、扉が開け放たれたと思ったらそこには劉備陣営がいた

 

部屋の寝台に横になっている一刀を発見するなり

 

桃香「ぐすっ・・・・・一刀さ~~~~~~ん!!」

 

愛紗「一刀様~~~~~~~!!」

 

むぎゅううううううううううううううううううう

 

一刀「うおおおおおおおお!!?(む、胸が~~~~~!!)/////////」

 

いきなり抱き付いてきた桃香と愛紗の胸にサンドイッチにされ、一刀は混乱していた

 

村長「・・・・・・・・・・」

 

時雨「・・・・・・・・・・」

 

華佗「・・・・・・・・・・」

 

村長と時雨と華佗は、いきなりのことに呆然としていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桃香「・・・・・一刀さん、本当にごめんなさい・・・・・」

 

愛紗「申し訳ありません、一刀様・・・・・」

 

白蓮「本当にすまなかったな、北郷・・・・・・」

 

一刀「もういいんだよ、終わったことなんだから」

 

一刀から事の顛末を聞いて、桃香達は改めて自分達のやってしまったことを猛省した

 

白蓮「北郷、わたしは公孫賛、真名は白蓮という、今までのお詫びにこの名を預けたいと思う」

 

一刀「聞いていると思うけど、俺には真名はない、だから一刀と呼んでくれ」

 

白蓮「分かった、一刀」

 

星「それにしても華佗殿、一刀殿の傷はまだ良くならないのか?」

 

華佗「ああ、矢に塗られていた毒がやっかいでな、これはちょっとやそっとじゃ良くはならない、完治するまでにはあと数ヶ月はかかる」

 

星「・・・・・そうか」

 

ちなみに朱里と雛里は村長と事前に話をして、4万の軍を一日だけ置いてほしいと願い出ていた

 

それに村長は快く承諾し、桃香達の軍は一日だけ御厄介になったのだった

 

ちょっと前のこの村では4万もの人を受け入れることは到底無理であったろう

 

しかし一刀の紙の生産によって発展したこの村の蓄えは半端なものではなく、4万の人くらいではへこたれなかった

 

一刀「それにしても、桃香達はどうしてここにいるんだい?」

 

桃香「わたし達は、これから益州に行こうとしているんです」

 

一刀「・・・・・え?」

 

星「どうかされましたか?一刀殿?」

 

一刀「(どういうことだ?)」

 

蜀漢が建国されるのはもっと先のはず、なのにこんな反董卓連合が終わった直後に劉備が蜀を建国するなんて話は聞いたことがない

 

一刀は、史実と完全にずれたこの世界にわけが分からなくなっていた

 

一刀「つまり今益州では、内戦勃発の兆候が見られるから、そこを突いて一気に入蜀しようというんだな」 

 

桃香「はい、その通りです・・・・・」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

桃香「一刀さん、わたしは間違っていますか?例え負けると分かっていても袁紹さんと戦うべきだったんでしょうか?」

 

一刀「・・・・・いや、桃香の判断は間違っていない、俺が桃香の立場だったら同じ判断をすると思うし」

 

桃香「一刀さん・・・・・」

 

一刀「だから皆も桃香を支えてやってくれ」

 

愛紗「はい!」

 

星「承知!」

 

鈴々「もちろんなのだ!」

 

朱里「・・・・・あの、一刀さん」

 

一刀「ん?なんだい?」

 

朱里「前に一刀さんは言っていましたね、自分はこの世界の人間ではないと」

 

雛里「それと、この時代の人間でもないって」

 

一刀「・・・・・その通りだ」

 

朱里「やっぱり・・・・・雛里ちゃん」

 

雛里「うん・・・・・朱里ちゃん」

 

朱里「あなたは、紛れもない天の御遣い様です!一刀さん!」

 

雛里「一刀さん、わたし達と一緒に来てくださいませんか?」

 

桃香「それいいかも♪一刀さん、わたし達と一緒に来てください♪」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

愛紗「お願いです一刀様!我らを導いてください!」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

鈴々「一緒に行くのだ!お兄ちゃん!」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

星「一刀殿、一緒に来ては下さらぬか?」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

白蓮「今までのお詫びをしたい、一緒に来てくれ、一刀!」

 

一刀「・・・・・すまない、それはできない」

 

「・・・・・・・・・・」

 

劉備軍一同はかなりがっくり来てしまう

 

一刀「朱里、雛里・・・・・君達は俺の事を天の御遣いって言うけど、俺は本当にそんな大層なものじゃないんだ」

 

朱里「そんなことありません!一刀さんは自分の事を過小評価し過ぎです!」

 

雛里「そうです!この村だって一刀さんの出した策によって発展したと聞いています!」

 

桃香「一刀さんは神輿でいいんだよ!神輿としてわたし達の傍に居てくれればそれでいいんだよ!」

 

一刀「・・・・・桃香・・・・・これを見てくれ」

 

そう言いながら、一刀は自分の掌を桃香に見せた

 

桃香「?・・・・・どうしたんですか?」

 

桃香は、その豆だらけの手の平を見て尋ねる

 

一刀「俺の手は・・・・・血で汚れている・・・・・文字通りの人殺しの手なんだ・・・・・」

 

桃香「・・・・・・・・・・」

 

一刀「仮に俺が神輿になったとしても、血まみれの神輿なんて誰も担ぎたくもないだろ?」

 

桃香「そんなことないよ!」

 

愛紗「そうです!それに一刀様は、山賊狩りとして多くの賊を討ち不当な暴力に喘ぐ多くの民草を救っています!それのどこが人殺しなんですか!?」

 

一刀「・・・・・俺が前に居た世界、君達の言う天の世界は、争いの無い平和な世界なんだ」

 

「・・・・・・・・・・」

 

一同は一刀の話を興味深そうに聞いていた

 

一刀「もちろん、広い範囲で見れば戦争をしている国もあるけれど、俺の国は何かを決めるにしても、地域の代表者が集まって話し合い、武力で物事を解決するなんて事はよほどのことがない限り絶対にしない国なんだ」

 

桃香「・・・・・それは、凄いです」

 

桃香は一刀の国こそ、まさに自分の理想の国だと思った

 

それゆえに、次の一刀の言葉を聞いて落胆してしまう

 

一刀「だから・・・・・俺の国からすれば、俺は紛れもない大量殺人犯・・・・・犯罪者でしかないんだ・・・・・」

 

桃香「・・・・・・・・・・」

 

星「・・・・・一刀殿は、自分の行いを後悔しているのですか?」

 

一刀「・・・・・そうかもしれない」

 

星「・・・・・・・・・・」

 

一刀「だから・・・・・俺は皆と一緒には行けない」

 

「・・・・・・・・・・」

 

その余りに悲痛な一刀の表情と姿に一同は何も言えなかった

 

一刀「・・・・・そうだ、朱里、雛里、代わりと言ってはなんだけど君達に贈り物をあげよう」

 

朱里「はわわ!?わたし達にですか!?」

 

雛里「あわわ!どのようなものでしょう!?」

 

一刀「ん・・・・・これだよ」

 

そういいながら一刀は寝台の横から紙を取り出した

 

朱里「あ、あの一刀さん!」

 

一刀「なんだい?」

 

朱里「この紙は、この村で作っているのですか?」

 

一刀「いや・・・・・これは俺が前に居た世界から持ってきた物なんだ、ここではこれほどのものは作れない」

 

朱里「そうですか・・・・・」

 

雛里「でもでも!この村は凄いです!これほど大量の紙を生産できるなんて!」

 

一刀「それも後で見学してくれればいいよ、今は中身を見てくれ」

 

朱里「はい!」

 

そう言って朱里は一刀から渡された紙を広げた

 

そこには

 

朱里「・・・・・・・・・・・・・はわわ!?凄いでしゅ!!」

 

そこには、一刀の居た世界での政策が記してあった

 

市役所、消費税、直接税、間接税、町の区画整理エトセトラ、エトセトラ

 

今の時代の書物では決して得られることのできない政策が書かれていた

 

朱里「一刀さん!これは洛陽でも実施したのですか!?」

 

一刀「いや、流石にそこまでの時間はなかったからね、そこに書かれていることの半分も達成できなかった」

 

雛里「そうですか・・・・・」

 

一刀「後は君達次第だ、頑張ってくれ」

 

朱里「はい!ありがとうございます!!」

 

雛里「このご恩は一生忘れません!!」

 

一刀「大袈裟だよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして次の日

 

 

 

 

 

 

鈴々「それじゃばいばいなのだ!お兄ちゃん!」

 

一刀「ああ、また会おうな、鈴々」

 

なでなでなでなで

 

そう言って一刀は鈴々の頭を撫でてあげた

 

鈴々「にゃははは~~♪なんだか気持ちいいのだ~~♪////////」

 

桃香「一刀さん、本当に一緒に来てくれないの?」

 

一刀「俺は、桃香達が思っているほど強い人間じゃない、桃香達の力にはとてもなれない」

 

星「あなたは十分に強いではありませんか、少なくともわたしと愛紗と鈴々を同時に相手にできるくらい」

 

一刀「そんなものは見せ掛けの強さだよ、俺が求めているのはそんな強さじゃない」

 

愛紗「では、一刀様はどんな強さを求めていらっしゃるのですか?」

 

一刀「・・・・・・・・・・」

 

しばらく考え、そして一刀は口を開く

 

一刀「・・・・・俺が守ると決めた人達を守る、その信念を貫けるだけの強さが欲しいんだ」

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桃香「・・・・・本当に残念」

 

星「仕方ないでしょう、あのお方には大変なご迷惑を掛けてしまったのです、今更協力してくれと言うのも虫のいい話でしかありません」

 

愛紗「・・・・・・・・・・」(しょぼ~~~~~~~~~ん)

 

一番残念そうにしていたのは愛紗だった

 

星「・・・・・それにしても、あの方は本当に不思議なお方だ」

 

白蓮「ああ、それはわたしも感じていた」

 

桃香「え?え?一刀さんが凄いのは前からじゃないの?」

 

星「確かにそうなのですが、その志も胆力も全くもって見事の一言、一人の武人でいながら、まるで一国の君主のような雰囲気すら持っているのです」

 

愛紗「わたくしも、もし桃香様よりも先にあの方に会っていれば、あの方に仕えたかもしれません」

 

桃香「そうだね、もしもっと早く一刀さんと会っていたら一緒に桃園で誓っていたのかもしれないね」

 

鈴々「鈴々、お兄ちゃんとだったら誓ってもよかったのだ♪」

 

愛紗「そうなっていれば、どれほど良かったことか・・・・・」

 

今となってはせん無きことと分かってはいるが、どうしても思い描いてしまう

 

そんな自分達と一刀の姿を

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

どうもseigouです

 

みなさん!あけましておめでとうございます!

 

新年が明けて最初の投稿です

 

皆さんはどんなお正月をお過ごしですか?

 

自分は相変わらずパソコンと睨めっこしています

 

執筆を進ませるには、休みの日という安定した時間は絶対必要です

 

さて、月達と離れ離れになってしまった一刀

 

今後も一刀の苦悩は続きます

 

恋に渡った龍滅金剛刀の運命やいかに

 

では、待て!次回!


 
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