No.192316

真・恋姫†無双~天より来たりし戦士~ 第10話

マーチさん


よく3つ目の武器についてコメントしてくださる方がいます。

IMI社製(=デザートイーグルのことかな?)とか、ロケットランチャーとか、核兵器とか、いろいろ予想立ててくれる人もいます。

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2010-12-28 17:34:42 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:3127   閲覧ユーザー数:2655

 

 

 

 

「一刀様・・・・・・これは・・・・」

 

 

 

声を震わせる周泰。

 

 

一刀は、現状を把握しようとする努力で精一杯で、周泰の声が聞こえていない。

 

 

 

「ちぃっ・・・!!」

 

 

 

一刀の舌打ちが、周泰に『彼も混乱している。』ということを悟らせる。

 

 

だが、ここで一刀の『軍人の精神』がフル稼働。彼に冷静さを取り戻させる。

 

 

 

 

「(火災は・・・・・大規模。ここは風下だから、そのうちここまで来るだろーな。)」

 

 

 

吹き付ける風の強さから考えると、火がまわるまで時間はあまり掛からないだろう。

 

 

 

そして次に、下の大通りをのぞく。

 

 

大通りでは、武装した兵の集団がウロウロ歩いている。

 

 

 

「(黄色い布・・・・・コイツら何してんだ??何かを探してるのか??)」

 

 

 

 

 

「あ、あの・・・・かず―――」

 

 

「周泰。」

 

 

「は、はいっ!」

 

 

 

「この街から脱出するぞ。敵は『黄色い布を身に着けた武装者』。生存者はなるべく拾ってく。いいな?」

 

 

 

『目標』、『敵』、『副次任務』を周泰に伝え、同意を求める一刀。

 

 

 

「わかりましたっ!!」

 

 

 

周泰が返事をしたその時。

 

 

 

「こんな所にもいたか。」

 

 

 

「周泰っ!!」

 

 

 

《ガキィィィィィン!!!》 

 

 

 

 

 

炎は、街の大半を包み込んでいた。

 

 

街のいたる場所で、得体の知れない音や、叫び声が聞こえる。

 

 

 

街は、『崩壊』の一途を辿る。

 

 

 

そんな中、街の一角で歓声が上がった。

 

 

 

 

 

 

「褚貢を討ちとったぞぉ!!!!」

 

 

 

 

歓声の中心にいるのは、薙刀を携えた一人の女性。

 

 

 

「さて、これで『お仕事』は終わりねぇ。」

 

 

「曼成様、部隊の指示をお願いします。」

 

 

 

『曼成』と呼ばれるその女性は、懐から取り出した黄色い布をリボンのように使って髪型をポニーテールへと変える。

 

 

 

「はぁい♪みんなぁ、これから南門に向かうわよぉ。道中で出逢った人は、みんな狩っちゃってねぇ☆」

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「「「「「「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

雄たけびを上げる部下達を見て、曼成は嬉しそうに微笑む。

 

 

 

「うんうん、みんな元気ねぇww」

 

 

「そうですね。士気が高いということですね。」

 

 

「晋ちゃんと螺羅ちゃんはしっかり『任務』をこなしてるのかなぁ???」

 

 

「はっ、そろそろ『門』に向かう頃だと思われます。『南』の方は火災で近づけなくなっているので、『南担当』の趙弘様は漢忠様と合流するかと。」

 

 

「そっかぁ。」

 

 

 

 

 

 

「お~い、螺羅ぁ~!!」

 

 

「晋!」

 

 

 

殺戮劇の中、晋と螺羅は合流を果たしていた。

 

 

晋は、周りにいる部下を気遣うことなく、服が血で真っ赤になっている螺羅に抱きつく。

 

 

 

「っ・・・・!!」

 

 

「ん~・・・・螺羅と血の匂い♪」

 

 

《ガンッ!》

 

 

「いたっ!!」

 

 

 

螺羅は顔を真っ赤にさせ、自身の胸に顔をうずめている晋を頭突きする。

 

 

 

「このバカっ!!時と場所をわきまえろっ!!」

 

 

 

 

殴られた箇所を擦りながら、晋はケラケラと笑う。

 

 

 

 

「ゴメンゴメンww」

 

 

「・・・・・・ふん。」

 

 

 

その時、晋は『ある事』に気づいた。

 

 

 

「羅螺、剣は??」

 

 

羅螺は自前の双剣を持っていなかったのだ。

 

 

と同時に、晋は羅螺の身体の何箇所かに存在する『包帯』に気づいた。

 

 

「あれ、包帯してるの??」

 

 

「気づくのが遅いわ。」

 

 

「羅螺、なんかあったの!?」

 

 

「・・・・・・。」

 

 

 

羅螺は、自身の傷を見つめながら語り始めた。

 

 

 

 

 

行動を起こして少し経った頃、一軒の宿屋で妙な音を聞いた。

 

 

 

《タタタタタタ・・・・・・!!!》

 

 

 

気になった私は、宿の二階に向かった。

 

 

すると、そこには仲間の死体がたくさんあった。

 

 

死体は、『二種類』あった。

 

 

 

一つは、膝から下が切断された死体。

 

 

壁がちょうどそれと同じくらいの高さで裂けていたから、きっと壁越しに斬られたのだろう。

 

 

もう一つは、身体のいたる所に穴が開いた死体。

 

 

それが、とある部屋の出入り口で折り重なるように倒れていた。

 

 

刃物にしては傷口がが小さすぎる。かといって、弓矢の類ではない。その時は、何なのか全くわからなかった。

 

 

すると、上から声が聞こえた。

 

 

 

「~~~~。」

 

 

 

聞き取れなかったが、それは明らかに人の声。

 

 

私は、窓から屋根に上った。

 

 

 

 

上った瞬間、男と女が見えた。

 

 

距離的に近かったのは女のほうだったから、そいつに斬りかかった。

 

 

 

「周泰っ!」

 

 

 

女は長刀で私の攻撃を防いだ。あれは速かったな。

 

 

だから、私はもう片方の剣で、その女を突き刺しにかかった。

 

 

 

その時だ。

 

 

 

 

《タタタァン!!!》

 

 

 

妙な音が炸裂したと同時に、激痛が走った。

 

 

そのせいで、剣を手放してしまった。

 

 

自身の身体を見ると、肩と二の腕から血を出していた。

 

 

 

「はぁっ!!」

 

 

 

そして、女に蹴飛ばされた私は、屋根から落ちた。

 

 

背中を打ち付けられ、身動きが取れなくなった時、男が屋根からこちらを見た。

 

 

 

冷酷な目で、無表情に、私を見ていた。

 

 

 

《タァン!!タァン!!タァン!!》

 

 

 

妙な音が再び―――とその瞬間、地面に何かが当たり、その次に、腰とわき腹に激痛が走った。

 

 

見ると、そこから血が出ていた。

 

 

 

「その後、近くの兵士に助けられた。とまぁ、こんな感じだ・・・・・。」

 

 

「・・・・その男の得物、『飛び道具』の類かな?」

 

 

「目にもとまらぬ・・・・いや、目にも映らぬ速さで、『何か』を飛ばす。どちらかというと『妖術』だな・・・。」

 

 

 

妖術という言葉に、どこか不満そうな晋。

 

 

 

「僕は妖術とかは胡散臭くてなんか好きになれないなぁ。」

 

 

「・・・・・とにかく、私はしばらく戦えん。応急処置はしたが、腕が上がらん。それに傷の中に『何かが入ってる』気がしてムズムズする。」

 

 

「そっか、わかった。羅螺はゆっくり休んでてよ。僕達の大事な『頭脳』でもあるんだからさ。これから先は僕達に任せといて。」

 

 

 

 

「・・・・・む、そうだ。」

 

 

「ん?」

 

 

「あの男、たしか―――・・・」

 

 

 

 

 

その頃、周泰と一刀は街の『出入り口』にいた。

 

 

東西南北に4つの門として存在する内、二人がいるのは『東門』だ。

 

 

ちなみに、西門付近一帯は火災で立ち入りができない状態になっている。

 

 

 

 

大勢の市民が門に集まり、我先にと言わんばかりに街を出ようとして混雑している。

 

 

 

 

「混んでるな・・・・。」

 

 

 

髪をガシガシと掻き、周泰の方を見る。

 

 

 

「・・・・・どうかなさいましたか??」

 

 

 

周泰の肩には、『突然襲ってきた女』によって刺された傷が存在し、布を巻いたが血は止まらずの状態だった。

 

 

 

「応急処置するぞ。」

 

 

「え・・・?」

 

 

一刀はタクティカルベストから小さな袋を取り出し、それをビリッ。と破って開ける。

 

 

 

「一個しかねぇから、大事にしたかったんだが・・・・(ボソッ)」

 

 

 

「そ、それは・・・・?」

 

 

「『止血剤』。まぁ、『天』の薬の一つだな。ちょっと沁みるから、ガマンしろよ?」

 

 

そう言い、一刀は袋の中に入った粉を、周泰の傷にかける。

 

 

 

「~~~~っ!!!!」

 

 

「次は・・・」

 

 

一刀は次に、自分のランニングシャツの一部を千切り、それを傷口に巻く。

 

 

 

「・・・・ん。できた。よく頑張ったな。」

 

 

 

「ご・・・・めんなさい・・・・大事な薬を・・・・・私なんかに・・・・」

 

 

痛みを堪えながら、周泰が謝ろうとする。

 

 

一刀は周泰の頭をガシガシと撫で、うっすらと笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

「仲間の救うためだ。惜しかねぇよ。」

 

 

 

一刀の言葉を聞き、周泰もニコッと微笑む。

 

 

 

「ありがとう・・・・ございますっ・・・・!!」

 

 

 

「気にすんな。」

 

 

 

 

「さてと。」と言いながら、一刀は立ち上がった。

 

 

 

 

 

「周泰。お前は城に帰ってこの事を蓮華に伝えるんだ。」

 

 

 

『お前は』ということは、一刀とは別行動をする。という意味につながる。

 

 

それを素早く察知した周泰は、不安げに問いかけた。

 

 

 

「一刀様は、どうなさるのですかっ??」

 

 

 

 

 

その瞬間。

 

 

 

 

「てっ・・・・・敵だあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

誰かの叫びが、東門付近の全ての人間の動きを止めた。

 

 

 

《ゾシュゥ!!!》

 

 

 

生々しい音と共に、再び声が聞こえる。

 

 

 

「我々は、革命軍であるっ!!!」

 

 

 

 

「漢王朝を打ち倒し、新たな国を作り上げるっ!!君達には、その礎として――――・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「死んでもらうっ!!!!!!!!」

 

 

 

 

「行けぇ!!」という声と共に、黄色い布の兵がこっちに向かって走ってくる。

 

 

 

 

 

 

「俺はここに残る。市民を逃がし切らねぇと。」

 

 

 

「そっ、そんなっ!!無茶ですっ!!」

 

 

「無茶かどうか、それは俺が決める事だ。」

 

 

 

「・・・でも、私は一刀様を置き去りにすることはできませんっ!!」

 

 

 

一刀はハァ。とため息をつき、向き直ってから周泰の頭を優しく撫でる。

 

 

「あぅっ!?」

 

 

「安心しろ、俺は『天から来た戦士』だ。死線なら何度もくぐり抜けてきてる。そう簡単にゃくたばらねぇよ。」

 

 

 

遠くで燃えている炎が、一刀の笑顔を明るく映し出す。

 

 

 

「あ・・・・・////えと・・・・」

 

 

「さ、行け。」

 

 

 

一刀は周泰に背を向け、走り出す。

 

 

 

「一刀様。」

 

 

「ん?」

 

 

「どうかご無事で・・・・・・!!」

 

 

「おうっ。」

 

 

 

周泰も立ち上がり、一刀に背を向ける。

 

 

そして二人は同時に、逆方向に走り出した。

 

 

 

 

 

 

一刀は走りながら、ペイロードを構える。

 

 

 

そして、逃げ惑う市民の群れを突き抜け、突撃してくる兵士の前に立つ。

 

 

 

その距離、約70メートル。

 

 

 

 

「おい、止まれぇぇぇ!!!」

 

 

 

兵士達は、一刀の警告を無視して、突撃を続ける。

 

 

 

「止まれってんだろバカヤロー・・・・・!!!!」

 

 

 

 

《ドッゴォォォォォン!!》

 

 

 

その数秒後

 

 

 

轟音が、突撃を止めた。

 

 

 

 

放たれた砲弾は、突撃してきた兵士を何人かまとめて吹き飛ばした。

 

 

 

完全に動きが止まった突撃兵達の中から一人の男が姿を現し、ニッコリと笑いながら近づいてくる。

 

 

 

その姿を見た一刀は、ニッ。と笑う。

 

 

 

 

「やあ。生きていたんだね。」「よぉ。生きてたんだな。」

 

 

 

 

「北郷。」「漢忠。」

 

 

 

 

 

「残念だけど君を」「どかねぇのなら」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   「「殺す。」」

 


 
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