さらさらと流れる川
心地の良い、木漏れ日の中
聴こえる、草木の息吹
ワシの、『お気に入り』の場所
そして、今でも忘れることのない・・・
『よう・・・なんか釣れたか?』
【お主】の声
照れくさそうに、頬を軽く掻きながら言うお主に
ワシは、小さく笑みを浮べたまま答える
『釣れたさ・・・とびきりデカイのがのぅ』
それが、ワシの始まり
【太公望】として、ワシの物語が始まった瞬間じゃった
《真★恋姫†無双-真紅の君-》
第壱話 姫君と賢者の出会い
ーーーー†ーーーー
「随分とまた・・・懐かしい夢を見たものじゃな」
ゆっくりと覚醒していく意識のなか、太公望は小さく呟く
それと合わせるよう、ゆっくりと開かれていく瞳
真紅の瞳
その瞳が最初に映し出したのは、真っ青な空と温かな太陽だったな
時刻は大体、昼になった頃だろうか
そんなことを考えながら、太公望はゆっくりとその場から立ち上がった
それから、スッと自身の周りを見回す
「ここは・・・どこかの森の中、かのぅ」
目を細め、彼は小さく呟く
彼の言うとおり・・・ここは、どこかの森の中のようだった
しかも周りを見る限りでは、その森の中でも結構奥の方らしい
少なくとも、すぐには出られそうもない
「はてさて、どうしたものかのぅ
此処が何処かもわからんうえ、いきなり森の中とはな」
『面倒じゃなのう』
そう愚痴をこぼしながら、彼はゆっくりと瞳を閉じる
それから、深く深呼吸を始めた
「まずは・・・辺りを探るとするか」
その言葉と同時に、彼は意識を自身の耳へと集中する
すると、彼の耳には鳥の鳴き声から木々のざわめき・・・この森の音という音が、鮮明に響いてきた
これは、氣を使って自身の『聴覚』を最大限にまで上げているためだ
仙人のもとで修行した彼にとって、氣の扱いはお手の物だった
その応用も、また然り・・・だ
「見つけた」
そして、彼は見つけ出した
閉じていた瞳を開き、ニヤリと笑みを浮かべる
「やはり・・・見知らぬ土地であろうと何だろうと、まずやるべきことに変わりはないのう」
笑みを浮かべ言いながら、彼はいそいそと何かを準備し始める
背負っていた奇妙な装飾の施された棒の先端に、慣れた手つきで糸を括り付けたのだ
それから、それを何度か軽く振って感触を確かめる
これは・・・
「さぁ行くぞ! 新たな川が、ワシを呼んでいるうぅぅぅぅ!!」
完全に『釣り』の準備
そう・・・彼がその強化された聴覚によって発見したもの
それは・・・『川』だったのだ
何故、最初に川を探したのか?
理由は簡単だ
何故ならば彼は、無類の釣り好きなのだから・・・
ーーーー†ーーーー
木々の生い茂る森の中
その中を颯爽と歩いていく、二人の女性の姿があった
一人は赤い衣服を身に纏う、大きな弓を携えた妙齢の女性
もう一人は、桃色の髪を靡かせ同じく赤い衣服を身に纏う美しき女性
その腰には、立派な装飾の施された一本の剣
彼女はその剣をそっと握り、僅かに笑みを浮かべながら歩いている
「確かにこの森のほうに落ちたわよね、【祭】」
「うむ、確かに見ましたが・・・」
桃色の髪をした女性の言葉に、妙齢の女性・・・祭と呼ばれた女性は答える
どこかバツの悪そうな表情をしながら
「【策殿】、やはり止めませぬか?
何か物の怪の類やもしれんし、それに策殿の身に何かあったらワシが【冥琳】に殺されてしまう」
「大丈夫だって
たとえ物の怪の類が出てこようとも、私が遅れをとるわけないじゃない
それに、何となくそんなんじゃない気がするのよ」
祭と呼ばれた女性の言葉に、彼女は笑顔でそう答えた
その答えに、女性は溜め息をつく
「勘・・・ですかの?」
「そ、勘よ♪」
あっさりと、勘だと言い放つ彼女
その表情は本当に楽しそうだ
彼女の名前は【孫策-ソンサク-】 字を【伯符-ハクフ-】 真名を【雪蓮-シェレン-】
『江東の虎』と恐れられた英雄を母にもつ、この後の世に大きくその名を轟かせる者の一人だ
そんな彼女達が、何故このような森の中を歩き回っているのか?
それは、今から少し前にまで時を遡る
ーーーー†ーーーー
~数時間前 『荊州・南陽』
「退屈ぅ・・・」
部屋にある机・・・そこに突っ伏したまま、私は呟く
目の前にあるのは、山のような書簡
私から自由を奪う憎い奴らだ
私はその山のような書簡から目をそらし、ゆっくりと立ち上がる
そして、部屋の窓を開け放った
瞬間、広がるのは、どこまでも続く『青』
雲ひとつない、気持ちの良い晴れ渡った空
「よし・・・決めた」
私はそんな空を見つめ、あることを決めた
何を?
そんなの決まっている
「気分転換でもしてこよっと♪」
そう、気分転換だ
誰が好き好んで、こんな良い天気に部屋に篭り書簡と睨めっこなどしなくちゃならないのよ
少なくとも、私は御免だわ
大体、こういうの私にはむいてないと思うしぃ♪
こうして私は机の上に積み上げられた書簡をほっぽり出し、その開け放たれた窓から外へと飛び出していった
自慢の桃色の髪を、風に揺らしながら・・・
私の名前は孫策 伯符
真名は雪蓮
このとき私は袁術の客将という立場で、彼女のわがままなどのせいで鬱憤が溜まっていた
そのため、仕事などが手につかずにいた
だから、私は気分転換もかね外に飛び出したのだ
このときはまだ、私は知らなかった
この気分転換が、私にとって・・・忘れることのできない『出会い』を与えてくれるなんて
ーーーー†ーーーー
・・・場所は変わり、私は今中庭を歩いている
とりあえず気分転換といったものの、何処へ行こうかと考えながら
「あんまし遠くには行けないし・・・かといって、街をブラブラするのも飽きちゃったし」
小さく呟きながら、私は考える
まいったわ・・・中々思いつかないものね
「どうしよっかなぁ・・・」
参ったとばかりに、天を見上げる私
はっきりと言うと、この時の私は油断していた
だからだろう・・・
「なにを、どうするというのかな?」
後ろにいた眼鏡をかけた悪魔の存在に、気づけなかったのわ
「ヒッ!?」
私はその声に、慌てて振り返る
と、そこにいたのは二人の女性
一人は赤い衣服の妙齢の女性
【黄蓋】 真名を【祭】という
母の代から私達の側にいる頼もしい女性だ
そしてもう一人の赤い悪魔「ほぅ・・・死にたいようだな」・・・眼鏡をかけた美しい女性の名は【周瑜】
真名を【冥琳】
小さい頃からの付き合いで、所謂幼馴染といった仲だ
そんな二人の接近に気づかないくらいに、私は考えごとに没頭していたようだ
だけど、これはマズイ・・・よりにもよって、冥琳に見つかってしまうなんて
はやく逃げないt「何処に、行くのかしら?」
ガシッと、肩にかかる重圧
噴き出る冷や汗
彼女・・・冥琳からの逃亡は、決行の前に失敗に終わった
「先ほど部屋に行った時に見たのだが、確かこの私でさえかなり時間をかけてしまうほどの書簡があったはずだが
それをどうやってこの短時間で終わらせたのか、できればご教授いただきたいものだなぁ」
「あはは・・・冥琳、笑顔が恐いよ?」
「さて雪蓮、少し“お話”をしようか」
「ま、待ってください冥琳さん!
そのお話をするのには、手をゴキゴキと鳴らす必要はないんじゃないでしょうか!!?」
「なに、気にするな」
「気にするわy・・・って、痛い!?
冥琳、ほんと待って!!
そんな顔を思い切り掴んでなにす・・・」
アッーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
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「なるほど・・・仕事をサボって、気分転換をしようとしてたのか」
「冥琳痛い!! 反省してる!! 私反省してるから、その手をどけて!!どけてください!!頭が、頭がわれるうぅぅぅ!!?」
「おお、すっかり忘れていた」
その言葉と共に、ようやく開放される私
うぅ・・・頭痛い
「もう、冥琳ったら容赦ないんだもん」
「あれだけの仕事残してサボろうとしてた貴女に、手加減するわけないでしょ?」
ご、ごもっともです
「でも、あんな量見たら誰だって逃げ出したくなるわよ」
「だからって、何も言わずに飛び出すのは感心しないな」
「言ったら許可してくれるの?」
「ふむ・・・とりあえず、一発殴るな」
「ちょっ・・・」
ゾッとした
冥琳の顔、あれマジで殴る気だったわ
「でもまぁ・・・」
ふいに、冥琳が空を見上げる
それから、何故か・・・小さく笑った
どうしたんだろう?
心配になって、私が冥琳に声をかけようとした時だった
「護衛に祭殿を連れて行け・・・そうだな、夜までには帰ってくるんだぞ」
「へ・・・?」
冥琳の口から、信じられない言葉が飛び出したのだ
私は驚きの余り固まってしまい、冥琳の隣にいた祭も・・・信じられないといった表情で冥琳を見つめていた
「どうした、雪蓮?」
「いや・・・いいの? 行ってきても」
「今言っただろう?
護衛には祭殿を、あと夜までに帰ってくるようにと」
「ええ、確かに聞いたわ・・・けどほら、冥琳怒ってたから
駄目なのかなぁと」
「あぁ、なるほどな」
『そんなことか』と、冥琳は笑う
それからまた、空を見上げる
「なに、今日は少し『良い夢』を見てな・・・気分がいいんだ
だから、今日は特別だ」
良い夢、か
ちなみに・・・
「普段なら?」
「殴ってるな」
「わぁい、特別最高~♪
祭、早くいくわよ~♪」
「ならば、ワシは馬の準備をしてくるとするかのう
どうせ策殿のことじゃ、街は見飽きたといいそうじゃしな」
・・・わかってるじゃない
「冥琳よ、外に出てもかまわんのじゃろう?」
「ええ、そのための祭殿です」
「よっし、それじゃ行くわよ祭」
「これ策殿、待ちなされ! 策殿!」
後ろから慌ててついてくる祭の姿に笑みを浮かべながら、私は走る
その様子を笑顔で見送る『親友』に手を振り、私達は中庭を後にしたのだった
「さて・・・どうなることやら」
ーーーー†ーーーー
「う~ん・・・やっぱり、外に出て正解♪
あんな空間にいたら、窒息しちゃうわ」
「ははは、確かにあの量はちとキツイですしなぁ」
街の外、私の隣にいる祭が笑う
彼女も少し前に一度私の部屋を見たため、あの惨状を知っている
「そうよ、あれはもう人を殺せるわ
ていうか、私が殺されそうだったもの」
「最近、色々とありましたからなぁ・・・そのせいで、あのように大量の仕事が回ってくるのでしょうな」
「ほとんどが【袁術ちゃん】ところの仕事なんだけどね」
「策殿・・・」
袁術
私の母【孫堅】が死んですぐ、その領地を奪い去った奴
そのおかげで、私達孫家は奴らによってバラバラにされ利用されている
正直今すぐにでも殺してやりたい・・・だけど、まだだ
冥琳も言っていた
まだ時期じゃない
今はまだ・・・・・・・
「策殿・・・」
「大丈夫よ・・・大丈夫だから」
言い聞かせるように、私は呟く
いけない・・・あいつらのことになると、つい熱くなってしまう
「そういえば、今日は冥琳の奴やけに気前が良かったのう」
それに気づいているのだろう・・・祭は話題を変えてくれた
まったく、祭には本当にかなわない
「そういえばそうね
なんか、『良い夢』をみたとかいってたけど」
言われてみれば、確かにそうだ
今日の冥琳は確かに優しかった(粛清時を除く)
『良い夢』か・・・
「いったい、どんな夢をみたのかしらね」
「そうじゃな」
二人で空を見上げる
透き通った青・・・私達は知らずのうちに、笑顔になっていた
そのとき・・・・
私たちは見たのだ
この晴れ渡る青空を・・・昼間にも関わらず見えるほどに
光り、流れる・・・一筋の流星を
~紅く輝く、【真紅】の流れ星を~
「なんじゃ・・・あれは」
「あれは・・・流れ星?」
「このような昼間から見えるとは、何やら不吉じゃのぅ」
確かに、祭の言うとおりだ
こんな昼間から見えるほどの光を放ち、そして・・・あの真紅の輝き
見る人がみれば、確かに不吉にも見える
だけど・・・なんでかな
私にはあの光が、とても綺麗に見えたんだ
だから・・・
「あの方向は・・・森の辺りか」
「いってみましょう」
「・・・は?」
「行くって言ったのよ、祭!」
「ああ、待ちなされ策殿!?」
慌てる祭を待たずに、私は馬を走らせる
向かうのは、あの流れ星が落ちていった森
私の【勘】が言っている
今行かないと、多分私は・・・後悔する
そんな気がする
だから私は・・・
「ほら祭、はやくはやく
流星は待ってくれないわよ?」
行こう・・・あの光を、もう一度見るために
ーーーー†ーーーー
『くっそ・・・ぜんぜん釣れねえ』
『魚も、お主には釣られたくないようじゃのう』
『てめっ・・・い、言うじゃねえか』
ああ・・・そうじゃ
いつもそうじゃった
ワシの言葉に、お主はいつも大袈裟に反応して
それが面白くて、ワシはさらにお主をからかって
それが、いつものワシらの風景
今でも思い出せる・・・
『ちくしょう・・・今にみてろよ!?
お前よりもでっけえの釣り上げて、お前を土下座させてやんよ!』
『○○○が?
ワシよりもでかいのを釣り上げる?
ははは、よかろう・・・・期待せずに、待っておいてやるわ』
『だああぁぁ、ちったぁ期待しろよ!?』
変わらない・・・大切な記憶
ーーーー†ーーーー
「はは・・・ワシらしくもない
いつのまにかワシは、こんなにも女々しくなっておったのか」
溜め息とともに、太公望は小さくそう呟く
“らしくない”
そういったときの彼の表情は、とても辛そうで・・・それに彼自身も気づいていたのか、慌てて首を横に振った
「いかんいかん・・・いくら“このような場所”を見つけたからといって、こんなに感傷的になってはいかん」
“このような場所”
そう・・・それが、先ほどの表情になってしまった原因
現在彼は、森の中に流れる川で釣り糸をたらし座っていた
川の周りはひらけており、木々は生えていなかった
そこに、彼はいたのだ
一見すれば、ただの川
だがこの景色に、彼は・・・太公望は言葉を失ってしまったのだ
「しかし・・・本当に、“あの場所”に似ておるわ」
太公望が呟いた“あの場所”
そこに、ここが驚くほどに似ていたのだ
それが、先ほどまでの表情の原因だった
「似ておるから・・・色々思い出してしまうんじゃろうな」
言って、太公望は空を見上げる
「じゃから・・・期待なんてしてしまったんじゃ」
~わかっておる
誰よりも
それはありえないことじゃと
わかっておるんじゃ
お主には、もう会えないということも
じゃがな・・・~
「やはり、期待してしまった
ここにこうして、いつものように釣りをしていたら・・・お主の声が聞こえるんじゃないかと
いつものように、聞いてくるんじゃないかと」
『なぁ・・・』
ふぃに・・・ガサリと、近くから草木の揺れる音が聴こえた
太公望は、その音を聞きハッとなる
音は彼の少し後ろのほうから聴こえてきたようだ
いったい・・・誰が?
突然のことだが、いつもの彼ならすぐに行動できた
だが・・・何故か体が動かない
何故?
いや、理由ならわかっていた
(まさか・・・)
期待してしまった
彼は、この気配に
どこか懐かしさを感じさせる、この気配の主に
彼は、“期待してしまったのだ”
そのとき・・・肩にかかる、柔らかな感触
そこから広がっていく、優しい想い
(まさか・・・まさか、お主なのか?)
膨らんでいく期待
そんな彼に、かけられるのは言葉
彼が待っていた、『あの言葉』
『ねぇ・・・』
ーーーー†ーーーー
「けっこう奥まできましたなぁ」
隣を歩く祭の言葉に、私は無言で頷く
祭の言うとおり・・・あれから、私達は結構奥深くまで歩いてきた
だけどまだ、あの真紅の流星の痕跡らしきものは見つからない
「ワシらの見間違いだったのかのう」
「それはないわ」
即答
祭はそれを聞いて、苦笑していた
「勘・・・ですかな?」
「そ、勘♪」
「ならば、もう少し探してみますかな」
「そうこなくっちゃ」
そう、勘だ
私の勘がいっている
あれは、決して見間違いなんかじゃないと
あの光りは、きっとこの先にあると
そういってるのだ
「しっかし・・・おかしいのぅ」
「どうしたの祭?
何がおかしいの?」
歩きながら、祭が小さくもらす
その言葉に、私は一度足を止めた
「いや、このような場所に・・・こんな大きな森、あったかのう?」
「・・・は?」
「いや、ふと気になっての」
「あったもなにも、こんな大きな森
昨日今日でできるわけないじゃない・・・昔からあったに決まってるでしょ?」
「そうじゃな・・・」
急に何を言い出すのかと思えば、そんなことか
だけど、どうしたんだろう?
「ちょっと、祭大丈夫?」
「大丈夫・・・なはずじゃが、少し疲れたのかのう?」
「なら、どこか休める場所を・・・あら、ちょうど良かったみたいよ♪」
「?」
「ほら、あそこ」
私は祭にもわかるよう、そこを指差した
そこは、木々の続くこの森には珍しくひらけていた
耳をすませてみると、微かだが水の流れる音が聴こえる
恐らく、あそこに川が流れているのだろう
休むには丁度よさそうな場所だった
「さぁ行きましょ、祭」
「うむ」
祭に声をかけ、それから歩き出す
隣には、先ほどと同じく祭がついて歩く
「しかし、いったいなんじゃろうな・・・この妙な感じわ」
「この森があったかどうかってこと?
そんなの気のせいだって・・・疲れてるのよ、そこで休めば大丈夫だって♪」
祭にそう言って私は、そこに足を踏み入れる
そして・・・・
「ここで少しやす・・・めば・・・・・・・」
言葉を失ってしまった
その景色に、文字通り・・・私は言葉が出なくなってしまったのだ
そこにいた、一人の青年によって
美しく整った顔立ちから女性にも見えるけど・・・私は男だと思う
理由?
勘に決まってるじゃない
とにかく、その青年の美しさに・・・不覚にも、私は見惚れてしまったのだ
それは一枚の画のようで、どこか神秘的な雰囲気さえ感じた
そしてふと思い出す、あの流れ星
真紅の流れ星
それを思い出した瞬間、私の視線がとらえたのは・・・同じだった
同じ・・・あの流星と同じ、【真紅】の輝き
彼の、真紅の瞳
そのままそこに立ち尽くす私・・・だがふいに、隣にいた祭が小さく声をもらした
「美しい・・・のう」
「そうね・・・綺麗よね」
祭の言葉に続くように、ようやくでた言葉
祭を見れば、同じように立ち尽くしていた
「本当に・・・綺麗」
口では説明できないほど、この景色は美しくて
ただただ、本当に綺麗で
だから・・・
「策・・・殿?」
手を・・・伸ばしてみたくなった
その光りに、触れてみたくなった
「策殿!!」
「大丈夫・・・大丈夫よ」
慌てる祭に、私は笑いかける
それから、ゆっくりと足を進める
向かうのはもちろん、彼のところ
大丈夫・・・幸いにも、話題ならある
見たところ、彼は釣りをしているようだし・・・なら、なんて声をかければいいかなんて簡単だ
「はは・・・」
どうしよう
私・・・今、すごい緊張してる
ただ話しかけるだけなのに
こんなこと初めて
けど・・・今さら引けない
なにより、今声をかけないときっと私は後悔する
そんな気がする
だったら、いくしかないでしょ?
「ふぅ・・・」
気づいた時には、もう彼のすぐ後ろにいた
私はそっと・・・彼の肩に、手をのせる
さぁ私、覚悟を決めて
ここから・・・ここから始めるのよ
できるだけ自然に、いつものように笑顔で
そして・・・私は、かれに向かって言ったのだ
私にとっての『始まりの言葉』を
『ねぇ・・・釣れてるの?』
混ざり合う・・・二つの道
真紅の姫君と真紅の賢者の出会い
全てはここから始まったのだ
「【姫発】・・・・?」
「・・・・はい?」
そう・・・これは、『合図』
彼の、そして彼女の
二人の物語
その始まりを告げる合図
全ては、この時より始まった
~その真紅の輝きは、人々の心を奮い立たせ・・・~
のちに、とある詩人が唄った二人の出会い
そして、始まり
これはこの【外史】に降り注いだ光り・・・そのうちの、真紅の光りが照らす
【真紅の君】の物語
★あとがき★
とりあえず、なろうんとこまでウプしとこうかなと
まぁ、電波ないから間が空くんだけどww
とりあえず、ここら辺までは若干の修正のみなんでw
対して、変わらないかも
まぁ、当時は直接TINAMIで書いてたから・・・内容量が、どうしてもすくなかったんですよね
ワードで書いてコピるっていうのに気付いたのが、魏伝の参話の途中からっていうww
それでは、また次回お会いしましょうww
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第壱話、公開~
まぁここまでは、あんまし修正とかはいってないです・・・たぶん