「ここが成都の街並みですね…」
呂蒙は今成都にいた。
護衛として周泰もいたのだが不測の事態を考え少し離れた所にいた。
「雪蓮様の為にガンバr……痛!」
呂蒙は気合を入れ作戦を実行しようとした時何者かにぶつかってしまった。
「ごめん…怪我はない?」
「大丈夫です。こちらこそ……ああ!!眼鏡が!!」
ぶつかった拍子に呂蒙の掛けていた眼鏡が落ちて割れてしまったのだった。
それに気付いた相手はすぐ謝った。
「あっちゃ~…お詫びに買わせてくれないか?」
「そんな!!いいですよ私がボーっとしてたんですし」
「でも…ぶつかったのは俺なんだし…ね」
「ありがとうございます」
(やさしい人だな~なんかキラキラしてるし…でも今から私は………)
相手の申し出に申し訳ないと思いながら呂蒙は従うことにした。
「そういえばちゃんと歩ける?」
「は…はい」
やはり歩くのは困難で右へふらふら左へゆらゆらと歩いていた。
「……こっちだよ」
「!!」
それを見て男はいきなり呂蒙の手を取り歩き始めた。
呂蒙はその行動に驚いたが頬を赤くしてついて行った。
きゅる
どこからともなく音が聞こえて。
彼女はさらに頬を赤くした。
「!!」
「もしかしてお腹減ってる?」
「い…いえ」
きゅ~~
否定したもののその音はさらに大きき主張した。
「…は…恥ずかしいです」
彼女の表情を見て可愛らしいと思いながら男は提案した。
「それじゃあ眼鏡を買う前に点心でも食べよっか」
「はい…」
こうして洋服屋から一転食べ物屋に向かった。
「ここどこですか?」
「ここは中華がおいしいお店なんだ」
「ちゅうか?」
そいつが連れて行ったのは『猫飯店』という中華屋だった。
どういうことかわからない呂蒙…
火と魏では和洋中何でもあるので呉の人間である呂蒙には理解できなかった。
「あら…いらっしゃい」
「どうも…席あいてる?」
「ええ!!少々お待ちくださいね」
店員の娘に席を案内された。
「注文決まった?」
「ハイ」
菜譜に目を通した二人は注文を頼んだ。
男は餃子と麻婆飯を呂蒙は回鍋肉定食を頼んだ。
「その麻婆飯って美味しいんですか?」
彼女は麻婆飯見て驚いた。
確かに麻婆飯はこの時代なかったのだった…
男はその姿を見て聞いてみた。
「食べてみる?」
「いいんですか?」
「いいよ………はい」
そうするとレンゲによそって彼女の口元までもってきた。
その行動に彼女は戸惑った。
「あ…あの…」
「……どうしたの?」
しかし男はどうして戸惑っているのかわからなかった。
彼女は恥ずかしいと思いながらも覚悟を決めた。
「い…いえ………パク」
「どうかな?」
「~~~♪おいしいです♪」
そんなことをしながら注文した物を食べきった二人だった。
すると店長が注文をしていない胡麻団子を二人の卓に置いたのだった。
「これは?」
「いつも贔屓にしてもらっている気持ちです」
店長の行為に甘えることにした二人は胡麻団子を食べることにした。
「はむ…~~~♪これおいしいです♪なんていう物ですか?」
「?胡麻団子だけど…食べたことなかった?」
「はい♪」
彼女の食べる姿はリスが食べてるような感じがして可愛かった。
その姿を見た男は自分の分もあげよう考えた。
「じゃあ俺の分もいいよ」
「ありがとうございます」
彼女は終始胡麻団子を堪能した。
「じゃあご飯も食べたし改めて眼鏡を買いにいこっか」
「はい!」
お腹が膨らんだ二人は改めて洋服店を目指した。
「いらっしゃいませ~」
「眼鏡を見たいんだけど」
「でしたらこちらです……」
「この中から似合う物を選ぶか…」
「はい!!」
眼鏡売場に案内され彼らは眼鏡を吟味し始めた。
「う~んこれじゃあないな…これかな」
「これなんかどうかな?」
そう言って男が渡したのは片眼鏡だった。
呂蒙はそれを手にし掛けてみた。
その姿を見た彼女は嬉しそうに男に聞いた。
「ぴったりです♪どうですか?」
(今までぼやけて見えてたけどこれならはっきり見えます…この方本当に輝いて見えます)
「とても似合ってるよじゃあこれにする?」
「はい!!」
そして男がその眼鏡の代金を払い店を後にした。
「本当にありがとうございました」
「いいよ気にしなくて…そういえばまだ名前聞いてなかったね」
「そうですね」
今まで食事や買い物をしたのにもかかわらずまだ名前を教えあっていなかったのだ。
「俺の名前は北郷一刀だ」
「え………」
呂蒙はまさかと思った。
「どうしたの?」
「北郷…一…刀…」
名前を口にした呂蒙を見て一刀は思ったことを口にした。
「そっか王がこんな所にいるのが不思議に思ってるのか。他の国は知らないがこの国では普通だからな~」
呂蒙は一刀の言葉を聞いてその場で泣き崩れ謝罪し続けたのだった。
突然の行動に一刀は混乱した。
「な…なぜ泣いているんだ」
「ご…ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……」
彼女の行動で周りに人が集まってきた。
一刀はとりあえずこの状況をどうにかしようと考えた。
「とりあえず場所を移動しよっか」
「…(コクン)」
呂蒙は無言で頷いたので手を引きその場を後にした。
「…落ち着いた?」
「はい…」
一刀は馴染みの和風喫茶『花より団子』に行った。
そして抹茶と桜餅を注文し呂蒙の気持ちを落ち着かせた。
落ち着いたのを確認すると一刀は質問した。
「じゃあ聞いていいかな?なんで俺に泣いて謝り続けたのか…」
「わかりました…北郷さんに処断されるのでしたら喜んで話します」
「処断?なんで?」
一刀は初対面の人間にいきなり処断と言われ疑問に思った。
呂蒙はそのわけを言う為名前を言った。
「私は呂蒙…字を子明と言います」
「!!」
「そして先日の天の御遣い拉致と北郷さんの暗殺…その実行犯です」
「!!!!」
一刀は言葉を失った。
目の前にいるのが自分達を手に掛けようとした人物に見えなかったからだ。
一刀は気持ちを落ち着かせながら目的を聞き出そうとした。
「どうして今日成都に来たの」
「孫策様の命で火炎と曹魏との同盟を破棄させる為に魏の悪評などを流しに来ました」
「それじゃあなぜ偽名を使わなかったの?呉の事を考えたら俺の名前を聞いた時殺したり出来ただろ?」
「それは…………」
「それは?」
呂蒙は少し頬を赤らめて俯いてしまった。
そしていきなり立ち上がり大きな声でわけを言った。
「それは、北郷さんが悪いんです!!」
「声大きいよ。それに俺が悪いって…?」
「ごめんなさい…でも本当の事です北郷さんが私に優しくするから」
前の戦いでは一刀の人柄など見れなかった呂蒙。
なので暗殺や拉致なとやれたのだが一刀の人柄がわかってしまった以上孫策の命令を忠実に実行することができなくなったのだった。
その言葉を聞いた一刀は考えた。
この子が俺を暗殺しようとした…でもそれはきっと孫策の指示でしたんだろう
それは家臣としては正しい行動だろう…
どちらかというと今の行動の方がおかしい
きっと個人の感情で動いたんだろう
俺の事を信じてくれてる
だったらその気持ちに応えてあげたい
俺の答え…
それは…
そして一刀は口を開いた。
「わかった…だったら俺の下に付かないか?」
「え…」
意外な言葉に呂蒙は驚いた。
一刀はそのことを無視して言葉を続けた。
「それが嫌なら呉に帰ってもいいけど」
「ちょっと待ってください。私は北郷さん達にあんなひどいことをしたんですよ」
彼女は自分のした事を許せなかった。
しかし一刀は違った。
「ああ…わかってる。でもそれは仕方がなかったことだろ…俺個人の事を言えばほとんど体も回復してるし」
「許して下さるのですか?」
「ああ…だからさ嫌じゃなかったら……さ」
笑いながら一刀は言った。
その表情を見た呂蒙は決断した。
「…明命!!」
すると二人の目の前に周泰が現れた。
「は!」
「私は北郷さんに降ります。孫策様に伝えなさい!!」
「はうわ!!嫌です!!私も降ります」
「明命…どうして?」
「それは…お猫様がとても暮らしやすい国だからです。お猫様が暮らしやすいと言う事はこの国を統治している人はいい人だからです」
(恋と同じ感じがする…)
周泰は猫が好きで成都に入ってからも警護の合間に猫たちを見ていた。
その猫たちの表情も優しい表情をしていた為周泰も悩んでいたのだ。
呂蒙の言葉を聞いて周泰も決心したのだ。
一刀は二人を見てもう一度確認した。
「わかった…二人とも降ってくれるね」
「ハイ!!私の名は呂蒙、真名は亞莎です」
「周泰と申します。明命と申して下さい」
こうして新たに亞莎と明命を仲間にしたが一刀は気付いていなかった。
この事が原因でとんでもないことが起こるとは…。
つづく
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呉軍が動き出したぞ~~~
うまく書けたかな…?
不安です…。
誹謗中傷はやめて下さいね…。
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