侍女A 「でね____なのよ」
侍女B 「嘘~、あの二人が~~?」
キャハハハハ
一刀 「〈ズズズ……〉 ふう」
俺の名前は北郷一刀、
突然タイムスリップして中華三国時代にやってきた高校生だ。
今はこの孫呉の屋敷で雑用として住み込みでお世話になっている。
一刀 「はぁ、この時代のお茶はうまいなぁ」
まったり陽気な昼下がり。 屋敷の使用人達は俺を含め束の間の休憩中。
侍女A 「一刀君このお茶請けどうぞ」
一刀 「あっ、いいんスか? いただきます」
パリ ポリ
侍女B 「それにしても今日は一段と酷い顔ね、大丈夫?」
一刀 「心配無用、我々の世界ではご褒美ですから」
侍女A 「ご褒美?」
一刀 「はい、冥琳さんの折檻は己を成長させ開花させる為の試練なのです。 むしろ痛みが心地よいくらいですよ、フハハハハ」
侍女A 「ふ~ん、天の世界って変わってるのね」
ボロボロの俺を見て心配してくれる侍女さん達、ホントにこの屋敷の人達は優しいぜ。
そして冥琳さんはちょっと厳しいんだ。
祭 「おぉ、北郷こんなところにおったか」
一刀 「あっ、祭さん。 なんか用っスか」
突然部屋に現れた祭さん。
この人は呉の古株で雪蓮さんの母親さんの代から仕えているらしい。
たっぷり熟した色香と美貌が女の奥深さを俺に教えてくれる。
祭 「ん、冥琳の奴にちょっとお前の性根を叩きなおしてほしいと泣きつかれてな。 相変わらずあやつを困らせてるようじゃのう、眉間の皺が一層深くなっておるわ」
一刀 「ハハハ、そのうち祭さんより皺が増えるかもしれないっスね」
祭 「ハハハ、そうじゃ、な」
ボカッ
一刀 「へぶぅ」
なぜか頭を小突かれた。
侍女A 「あぁ……」
侍女B 「また……」
一刀 「いてぇ? なんで殴るんスかぁ~~!!」
祭 「まったく救えん馬鹿じゃのうお主は。 いいからちょっと来い」
そういって俺の首根っこを掴み、祭さんは俺を引きずって屋敷を出た。
その後、馬を走らせやってきたのは街から結構離れた森の中。
マイナスイオンが俺の心に安らぎをもたらします。
二人きりの雰囲気が俺の野生をたぎらせます。
一刀 「わかりました、祭さん!!」
祭 「なにがわかったか知らんが、服を脱ぐのはやめい」
一刀 「こんな大自然の中、服なんて無粋でしょう。 ……それで、ここでナニするんですか? (キリッ)」
そういって呆れ顔の祭さんが全裸の俺の露になっている下半身に目を移す。
……あぁ、そんな冷めた眼で凝視されると……はあぁぁ……そんな……目覚めちゃう!
祭 「ほほぅ、なかなかじゃのう」
一刀 「あぁ、この開放感と羞恥! たまらん!!!」
祭 「……まぁ、ナニする気満々の所悪いが、今日は別の事をしてもらうぞ。 それと下着くらいは履け、馬鹿モン」
断られては仕方なく、しぶしぶ差し出されたトランクスを履いた。
(祭さんって結構融通の利かないトコがあるもんな~~、力じゃ勝てないし……残念)
一刀 「……で、別の事ってなんスか?」
祭 「うむ、先程も言った通りお主にその曲がった性根を正してやろうと思ってな。 ここで狩りをしてもらおうと思うとるのじゃ」
一刀 「狩り?」
祭 「そうじゃ、狩りとは野生の獣との命がけの勝負。 その極限の駆け引きがお主のチャランポランな精神を少しは引き締めてくれるじゃろう」
一刀 「祭さんは?」
祭 「ワシは仕事があるので屋敷に戻る。 何、日が落ち時がくれば迎えに来てやるから安心せ___」
一刀 「全力で断る!!! そういって俺を捨てるんスね!! 俺も屋敷にもどります、替わりに祭さんが一人で森にいればいいじゃないっスか!!」
ガバッ
祭 「のぉ、近っ!? コラ、落ち着け!! ここにワシの大切な剣を置いていく!!それなら文句なかろう?」
一刀 「そんなもん信用できるかーーー!! 身体置いてけーーーーーー!!!」
祭 「ま、まて待て、唾を飛ばすな。 ……そうじゃ!! この森には大層大きく勇猛な虎がいるとか。 そいつを狩って男を上げることができれば冥琳の奴が抱かれてもいいといってたぞ!?」
ピタッ
一刀 「冥琳……さんが? ……俺に?」
祭 「お、おぉそうじゃ。 元々お主は天の御使いの血を呉に入れる事が狙いで保護しておるのじゃからな。 ここで男の器を見せれば身体を許すかもしれんぞ?」
一刀 「…………ぉぉぉ」
祭 「?」
一刀 「おおおおおおおぉぉぉぉおぉぉ!!!! やりまぁぁぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁっっス!!!!!」
祭 「!?」
その時、俺の魂が震え血が沸騰して、眼から怪光線が出た。
祭 「……化物じゃ……」
一刀 「祭さん!! 俺やります!! 冥琳さんとヤるっッス!!!」
祭 「へ? おぉ、そうか……じゃあまず狩りの仕方や罠の張り方の方法を教え____」
一刀 「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!! 漢北郷一刀、いっきまーーーーーーーーー~~~~っす!!!」
ダダダダダダダダダダダダダダダッダダダ
祭 「____っておい北郷!! どこへ行く!!!」
一刀 「うおしゃぁぁぁっぁぁ……………――――――」
ダダダダダダダダダ………
祭 「…………」
…………
祭 「_____と、いう風に何も持たず下着一枚姿で森の奥へと行方をくらまして二週間……」
雪蓮 「毎日探してようやくみつけたのはいいけど……」
一刀 「がるるるるる……」
冥琳 「…………」
一刀が消えた森の深く、三人の前には縄でぐるぐる巻きにされた一刀が歯を剥き出しにして明らかな敵意を向けている。
雪蓮 「ほら一刀、私よ? 雪蓮お姉さんよ」
スッ
一刀 「うがぁぁぁぁ」
ガチンッ
雪蓮 「きゃっ」
冥琳 「っ! 大丈夫雪蓮!? うかつに手を出すとあぶないぞ」
一刀 「がるぅぅぅ」
雪蓮 「……今この子、本気で私の手を噛もうとしたわ……」
祭 「なんというか……おもいっきり野生化しとるのぉ……記憶もなくしたみたいじゃし、どうしたもんか……」
冥琳 「どうしたもこうしたも、こうなったからにはもう野に放してあげましょう」
雪蓮 「ちょ、冥琳ヒドイ! この子はちょっと怖がってるだけじゃない!! こちらから心を開いて接すればきっと向こうも警戒をといてくれるわ。 ……ほらカズト、私たちはあなたのお友達よ、怖がらないで」
一刀 「がる!?」
雪蓮が今度は大きく両手を広げ、再び一刀へと近づいていく……
雪蓮 「ほら」
ス……
一刀 「ぐるうぅ……」
そしてゆっくりと一刀を抱きしめた。
一刀も身体を強張らせつつもおそうおそるそれをうけいれていく。
祭 「うむ、感動の場面じゃな」
冥琳 「どこが?」
一刀 「うぐぅぅぅ」
雪蓮 「いい子ね……」
ナデナデ
一刀 「うぅう…………くうぅぅん、ぐるるるるるる」
腕の中での抵抗がないと見た雪蓮、次にその頭をなであげると一刀は気持ち良さそうに喉を鳴らし甘え始める。
雪蓮 「はぁぁ……か、可愛い!! ね、大丈夫でしょ冥琳。 カズトつれて帰りましょうよ!!」
冥琳 「いや、しかしな……」
雪蓮 「いいじゃない、私がちゃんと世話するから……毎日散歩にだって連れて行くし躾もきちんとするわ!」
一刀 「あぅ」
冥琳 「いい加減なお前がそんな事続けられるハズないだろう。 明日明後日までの話ではないんだぞ? そういって最後はいつも私が面倒をみるハメになるんだから」
雪蓮 「ぶ~ぶ~、今度はちゃんとやるわよ!! ねぇカズト」
一刀 「がうっ♪」
雪蓮 「あぁ~~~~ん カズト可愛い~~~♪」
スリスリ
一刀 「くぅぅん」
冥琳 「ちょっと雪蓮!? まだ飼うとはいってないわよ!!」
雪蓮 「え~~~~、冥琳のケチ~~ カズトの一匹くらい飼ってもいいでしょ?」
冥琳 「虎もパンダもいいがカズトはだめだ!!」
両者の言い合いが段々と加熱していき、森が賑わいはじめる。
祭 「…………なんか論点が違う様な……ま、いいか」
一刀 「あおぉぉぉぉぉぉぉぉぉん」
呉は今日も波乱万丈です。
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カオスコメディ。 コメディかも不明です。