No.184794

真・恋姫†無双~天より来たりし戦士~ 第2話

マーチさん

まさか、あんなにたくさんの人が読んでくれるとは思わなかった。


読んでくださった方々、本当にありがとうございます。

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2010-11-15 21:25:16 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:5091   閲覧ユーザー数:4244

少女はおそるおそるその青年に近づく。

 

 

すると、あることに気づいた。

 

 

 

 

「え?光ってる・・・・!」

 

 

 

 

その青年の全身は、うっすらと光を帯びていたのだ。

 

 

まるで、天使のように。

 

 

 

 

 

 

「あ、あの!。」

 

 

 

「(ん?・・・・何か聞こえる。誰かいるのか?)」

 

 

「大丈夫ですか!?起きてください!」

 

 

 

 

青年がゆっくりと瞼を開けると同時に、光が消えた。

 

 

 

 

「・・・・・ん。あれ?」

 

 

 

青年は上体を起こす。

 

 

 

「よかった、大丈夫ですか?」

 

 

「あ?あぁ・・・。」

 

 

 

青年は落ち着いて状況を整理する。

 

 

 

 

「あー・・・・あ、そうか。ここが『外史』か。なるほどなるほど。」

 

 

 

 

ブツブツと呟く青年に、少女は警戒しながら尋ねた。

 

 

 

「あの、えっと・・・・」

 

 

「ん?ああ、俺は『北郷 一刀』。」

 

 

「えっと、姓が『北』、名が『郷』―――。」

 

 

「いんや、姓が『北郷』で名が『一刀』だ。」

 

 

「字は?」

 

 

「んなもんねぇよ。」

 

 

 

一刀は立ち上がり、あたりをキョロキョロと見回す。

 

 

 

「(目の前には女。見たところ武器は持ってない、か。)」

 

 

 

もしこの少女が襲って来たら、というケースに備えて対策を考える。

 

 

 

「(なんか隠し持ってたとすれば、肩を撃って無力化、それでも暴れるようなら膝を・・・・・)」

 

 

 

一方、少女は一刀の格好について気になっていた。

 

 

 

「(・・・・変な格好。)」

 

 

 

 

 

一刀はいつでも即応できるようにしつつ、少女に話しかける。

 

 

 

 

「なぁ、腹減ってんだけど、何か持ってる?」

 

 

「ふぇ?いえ・・・・。」

 

 

「そっか。んじゃ我慢すっか。」

 

 

 

少女は一刀への質問を続ける。

 

 

 

「あの、あなたは何処から来たのですか?」

 

 

「質問ばっかだな。ん~、何処からって言われても・・・・・ま、『天の彼方』からやって来たってのが一番正解に近いか。」

 

 

 

 

一刀は冗談のつもりで言った。

 

 

だが、少女はそれを鵜呑みにした。

 

 

 

 

「『天』から・・・・」

 

 

口元に手を添え、考える少女。

 

 

 

「(なるほど、だから体が光っていたのね。)」

 

 

「で?アンタは??」

 

 

 

今度は一刀が少女に質問した。

 

 

 

「私ですか?我が名は『徐福』。字は――。」

 

 

 

徐福。という名前に、一刀は疑問を抱いた。

 

 

 

「(徐福??たしか三国志でそんなのがいたような・・・・。)」

 

 

 

 

『徐福』。晩年に『徐庶』と改名した三国志時代の武将・政治家である。

 

だが、一刀はそこまでわからなかった。

 

 

 

 

「どうかなさいました?」

 

 

「いや、別に。で、徐福はここで何を?」

 

 

「ちょっと眠れなくて、星を眺めてました。」

 

 

「ふぅん。ま、夜更かしは大概にな。」

 

 

 

そう言うと、一刀は川に沿って歩き始めた。

 

 

徐福はあわてて一刀に声をかける。

 

 

 

「あ、あの、どちらへ??」

 

 

「さあな。」

 

 

 

一刀は再び歩き始める。

 

 

 

「お待ちください!」

 

 

すると、一刀は立ち止まった。

 

 

そして、肩に掛けてた『ある物』を手にする。

 

 

 

「徐福。こっちに来い。」

 

 

「え?」

 

 

 

 

徐福は言われるがままに一刀の元へ向かう。

 

 

すると、一刀は徐福を自分の左側へ引き寄せた。

 

 

そして、一刀の目の前には誰かが立っていた。

 

 

 

 

「徐福。俺達の後ろに誰かいるか?」

 

 

「い、いえ。」

 

 

「よし。」

 

 

 

徐福は一刀の前に立つ人物を凝視した。

 

 

すると、あることに気づいた。

 

 

暗くてよくわからないが、他に何人もいること。

 

 

そして、その者達は、手に何か鈍く光るものを持っていることを。

 

 

 

「盗賊・・・!」

 

 

徐福は声を震わせながら呟いた。

 

 

 

「なんだお前ら??そんな物騒なもん持ちやがって。」

 

 

 

一刀は物怖じ一つすることなく盗賊に話しかける。

 

 

 

「へへへ、お前こそこんな夜更けにそこのイイ女と何してたんだぁ??」

 

 

「お前らが期待するようなことはしてねぇよ。おら、さっさとその武器を捨てて消えろ。」

 

 

「だったら、その女をよこすんだな!ふへへへ・・・・」

 

 

「イヤに決まってんだろ。バーカ。お前はどっかでブタとヤッてろ。」

 

 

「んだとぉ!?」

 

 

 

一刀の言葉で盗賊達に怒りの炎が灯る。

 

 

 

「おい、これが最後だぁ!女を置いて消えろ!!!さもないと・・・・」

 

 

「どうすんだ??」

 

 

「斬り刻んでブタの餌にしてやる!!!!!」

 

 

 

 

盗賊は怒鳴るが、一刀はまったく動じない。

 

 

 

 

「徐福、俺が「いい。」って言うまで耳塞いで目ェ瞑ってろ。」

 

 

「は、はい??」

 

 

「早くしろ。」

 

 

徐福は不安だった。

 

 

目を瞑った瞬間、盗賊達に引き渡すのではないか。

 

 

そう思っていると、目線は盗賊に向けながら、一刀は少し微笑んだ。

 

 

「大丈夫。絶対、お前を護るから。」

 

 

「あ・・・・/////。」

 

 

 

目線は盗賊に向いていたが、その微笑みは明らかに徐福に対する微笑み。

 

 

うっすらとだったが、とても柔らかく、暖かい表情。

 

 

徐福はこの微笑みと、彼の言葉を信じることにした。

 

 

「わ、わかりましたっ!」

 

 

徐福はキュッ、と目を瞑り、スッ、と耳を塞ぐ。

 

 

 

「さて・・・・」

 

 

一刀はニヤリと笑い、盗賊達に話しかけた。

 

 

 

「さて、問題です。俺が持っているのは『XM109ペイロードライフル』。使用弾は25mm弾。」

 

 

 

一刀の言っている事がわからない盗賊達は、首を傾げる。

 

 

 

「何言ってんだぁ??頭イカれちまったのか??」

 

 

 

一刀は構わず喋り続ける。

 

 

 

「コイツを人間に当てたらどうなるでしょうか??」

 

 

 

「めんどくせぇ!!答えならお前が死んでから考えてやるよ!!!」

 

 

 

盗賊の一人が正面から斬りかかって来た。

 

 

 

「正解は・・・・・・。」

 

 

 

 

 

《ドッッコォォォォン!!!》

 

 

 

 

 

轟音と共に、盗賊達は赤い『何か』を浴びた。

 

 

 

「ヒッ!!」

 

 

「ウッ、ゲェッ!!」

 

 

「うあああぁぁぁあぁぁあぁぁぁ!!!!!!!」

 

 

 

硬直する者、叫ぶ者、吐き出す者、逃げる者。形はどうあれ、皆はさっき起こった事に恐怖した。

 

 

 

そして、一刀は無表情で話し続ける。

 

 

 

「正解は、『消し飛ぶ』。でした。」

 

 

 

そう、さっき一刀に襲い掛かった盗賊は文字通り『消し飛んだ』のだ。

 

 

彼が最後に居た場所には、何も残ってなかった。

 

 

全てが破片となって、飛び散ったのだ。

 

 

 

一刀は自分から一番近い位置に居る盗賊に銃口を向ける。

 

 

 

「これが最後だ。武器を置いてとっとと消えろ。」

 

 

 

盗賊達は叫び声を挙げながら、姿を消した。

 

 

 

一刀はライフルを肩に掛け直すと、徐福の頭をワシャワシャと掻き毟る。

 

 

急に頭を掻き毟られて、徐福は驚いた。

 

 

「ふわぅ!!」

 

 

「おい、もういいぞ。」

 

 

 

徐福は目を開け、周りを見渡した。

 

 

「あの・・・・・盗賊は??」

 

 

「逃げたよ。さ、お前も帰るんだ。家まで送ってやるから。」

 

 

「は、はい!」

 

 

 

一刀は、約束どおり徐福を護った。

 

 

 

 

 

 

少し歩くと、小さな家が見えた。

 

 

ここが、徐福の家だった。

 

 

 

 

「じゃあな。」

 

 

 

一刀は徐福の家の前まで来ると、後ろに振り返り歩き出した。

 

 

 

「あの!」

 

 

「ん?」

 

 

「北郷様は、その、行く宛て・・・・無いんですよね??」

 

 

「ああ。それがどうした??」

 

 

「よ、よろしければ・・・・・その、えっと・・・・今夜だけでも・・・・・泊まって行きませんか////??」

 

 

「・・・・ありがてぇが、断らせてもらうわ。」

 

 

 

 

一刀はフッ、と笑い、立ち去ろうとする。

 

 

 

 

「で、でも!!何かお礼をさせてくれないと、私の気が・・・・」

 

 

 

「じゃあ・・・・明日の朝、メシ作っててくれ。」

 

 

と、一刀は歩きながら呟いた。

 

 

 

「は、はい!!」

 

 

徐福は笑顔に満ちていた。

 

 

「絶対に、来てくださいね!!」

 

 

 

一刀は「おう。」とだけ言い残し、その場を去っていった。

 

 

 

 

 


 
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