No.183493

真恋姫無双~愚者を守る忠義の者~ 第4話 落鳳坡の襲撃

ちいたさん

投稿です。生暖かく見守ってください。

2010-11-09 01:43:30 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:11698   閲覧ユーザー数:9209

この作品は原作のキャラの性格が変化したり時代背景が変わったりします。またオリジナルな展開などもいれようと思っています。

なので原作好きの方また特定のキャラが好きな方はスルーしてください

 

出陣した一刀と北郷隊は現在、ある場所で待機していた。

兵士「報告します!!劉備軍は現在こちらに向かってきています」

  「……わかりました。ご苦労様です…」

兵士の報告を聞いた一刀は目を閉じる。張任はそんな一刀の後ろに控えていた。目を閉じた一刀は出陣する前の劉璋との会話を思い出す。

 

劉璋『やっと…出るのか』

  『はい……』

玉座の前で片膝をつき劉璋に報告する一刀。劉璋は相変わらず冷淡な目で一刀を見ていた。

劉璋『あまりにも遅いからてっきり俺を殺す準備でもしていると思っていたぞ。何しろ成都には貴様の北郷隊がいるからな…それに貴様を支持して集まって来ている者達もいるみたいだしな』

  『そのようなことは決して…………』

劉璋『ふんっ…口では何とでも言える、結果が全てだ……俺への忠誠を示したいのなら結果をだせ』

  『……御意』

 

一刀が目を開けると、張任が後ろで首をコキコキ鳴らしていた。

張任「さてと…いよいよですね……大将」

  「そうですね……奇襲は最初の一手で決まります…全軍気を引き締めるように……」

張任「わかりやした!!お前ら聞こえたか!!大将の足を引っ張るんじゃねえぞ!!」

兵士「「「「応!!」」」」

張任が一声上げると兵士達がそれに応える。

  「……では参りましょう……」

 

劉備軍

朱里「成都に近づいているのに何もないなんて…」

雛里「うん…おかしいよね」

朱里と雛里は成都に近づいても何も起きないことに逆に不安になってきていた。あまりに手応えがない行軍に劉備軍は徐々に緊張感が無くなりつつあった。

朱里「この状態で奇襲なんてされたら危ない」

雛里「うん……気を引き締めるようにしないと……」

馬上でそんな会話をする劉備軍の両軍師。そこで朱里は地図を見る。

朱里「現在の場所は……え~と落鳳坡っていう場所かな」

雛里「あわわ……何か嫌な名前です…」

地名を聞いて鳳雛と呼ばれている雛里が帽子を目深にかぶり直す。そんな雛里を見て朱里が慌てる。

朱里「だ、大丈夫だよ!!地名とかは関係ないよ!!雛里ちゃん」

雛里「あわわ~……」

再び落ち込み始めた雛里を励まそうとする朱里。そんな二人を見て周囲の空気が暖かくなった瞬間、

兵士「て、敵襲です!!!」

突然の報告に劉備軍に緊張が走った。

 

一刀の作戦とは地の利を利用して伏兵の弓隊を仕掛け劉備軍へ奇襲を仕掛けて、混乱する相手に騎馬隊がさらに追い討ちをかけるものであった。突然の奇襲に混乱する劉備軍を見て奇襲は成功したと言える。

張任「おらぁぁぁ!!どきやがれ!!」

張任も自ら騎馬隊を率いて相手を次々と蹴散らしていく。

張任「お前ら!!遅れるんじゃねえぞ!!」

兵士「「「「応っ!!」」」」

自軍の兵に声をかけて突き進んでいく張任。

張任「なんだぁ…劉備軍は大した相手がいねえな!!」

??「だったら……」

張任「あん…?」

鈴々「鈴々が相手なのだぁ!!!」

張任が振り返ると、そこに自分の身の丈以上の長さの蛇矛を持った少女が立っていた

 

兵士「何だ…ただのガキじゃないか」

鈴々「なっ!!鈴々はガキじゃないのだぁ!!」

鈴々の姿を見た北郷隊の面々がおもわず気を抜きそんなことを呟いた。

張任「馬鹿野郎!!!!てめえら死にてえのか!!!!」

兵士「「「っ!!」」」

しかし、張任が怒声で北郷隊の面々を叱責する。張任はそのまま鈴々の前に対峙する。

張任「おめえら……大将の顔に泥を塗るつもりか……相手を見た目で勝手に判断するな。」

兵士「「「……」」」

張任「それにあの蛇矛……俺の予想が正しければ……あの嬢ちゃん、張飛だ」

張飛の名前を聞いた北郷隊の面々が息をのむ。そして、張任は愛剣・斬鉄を強く握る。一連の会話を聞いた鈴々張任が構えるのを見て鈴々も蛇矛を構えた。

張任「ウチのもんが悪かったな……嬢ちゃん」

鈴々「へ~……おっちゃんの名前は?」

張任「おっ……おっちゃん……一応黄忠や厳顔の姐さんよりは年下なんだけどな……」

鈴々「そうなのか?…それは悪かったのだ」

鈴々におっさんと呼ばれて張任は少しへこむ。

張任「いや…気にしていないさ…。俺は張任…この北郷隊の副官をやっている!!」

鈴々「鈴々は張飛なのだ!!」

張任「んじゃ……嬢ちゃん…ちょっと俺の相手をしてもらおうか!!」

鈴々「来いなのだぁーーー!!」

そのまま互いに動き出し、それぞれの長剣と蛇矛がぶつかる。

 

一刀は別行動を取り、高い崖の上で一人混乱する劉備軍を見ていた。

  「では……行きますか……飛電」

飛電と呼ばれた白い馬が鼻をならす。一刀が手綱を強く握ると飛電がそのまま走り出す。

そして、飛電はそのまま勢いで崖の上から飛び降りる。

 

 

劉備兵「ん……何だ?空から何か落ちて……」

  「……邪魔です」

劉備兵「がっ!!」

飛電で崖から飛び降りた一刀はそのまま混乱する劉備軍の中に着地する。かなりの高さから飛び降りた飛電であったが何事もなかったように走り出した。

そんな一刀の手には弓が握られていた。飛電で駆けながら手綱を左手に巻き、馬上から右側に身体を倒して弓を構える一刀。左手で弓を右手に三本の矢を持ち、目の前の劉備軍を見つめる。

  「はっ!!」

劉備兵「な、何だ!!きさ……ぎゃあ!!」

一刀が放った三本の矢はそれぞれ劉備軍の兵達を的確に射抜く。一刀は再び三本の矢を持ち、矢を放っていく。驚くべきはこの一連の流れを動く馬上で行っていることであった。

  「ふっ!!」

そのまま単身一騎で劉備軍の中を駆け抜ける一刀。そこで、一刀は一人の少女を見つけた。

 

混乱する劉備軍で雛里は的確に指示をだしていく。

雛里「落ち着いてください!!…混乱すれば相手の思う壺です。一度しっかりと体勢を整えてください」

奇襲を受けた後、朱里は桃香の元に向かい、雛里はそのまま前線に残り指示をだしていた。いきなりの奇襲で混乱はしたが、雛里の指示の下に体勢を立て直してきていた。

雛里「敵は僅かな騎馬隊だけだから…こちらの混乱を起こすのが目的…」

雛里の頭の中で戦術が組み立てられていく。そこで雛里の前に漆黒のマントを纏った一人の青年が現れた。

雛里「えっ……あなたは……」

劉備兵「なんだ…貴様は!!」

突然現れた得体の知れない青年に兵士達が雛里を守るようにその前に立つ。

  「……あなたが鳳統ですね…」

雛里「あわわ……」

まるで確認するかのように尋ねる青年。

  「これは幸運です……ここで劉備軍の二大軍師の一人と出会えるとは…」

その言葉を聞いて劉備軍の兵達が武器を構える。

  「私の名は北郷…劉璋様に仕える将です」

そして、一刀は腰の長刀を抜いて雛里に先を向けた。

  「……あなたにはここで死んで頂きます……鳳統」

 

雛里「ひっ……!!」

一刀が長剣を抜くと同時に、一刀から凄まじい殺気が発せられた。

劉備兵「鳳統様!!お逃げくださ……」

雛里を守る兵が逃がそうとしたが次の瞬間、一刀が長剣を横に振るう。

  「邪魔しないでください」

雛里「えっ……」

一刀が長剣を動かした瞬間に、雛里を守る兵達の首が全部飛んだ。あまりに一瞬の出来事に雛里は呆然とする。見たところ漆黒の刀身である一刀の剣には血が一滴もついていなかった。

  「これで邪魔者は消えました」

一刀は馬から降りて、雛里に近づく。雛里は恐怖のあまりその場から動くことができなかった。

雛里「あっ……あっ……」

  「……安心してください……痛みはありません。全ては一瞬で終わります」

一刀が持つ漆黒の刀身が紫色に染まる。そして、雛里の前に立つと、一刀は長刀を振り上げた。

雛里「………っ!!」

迫りくる一刀の武器に雛里は目を閉じた。

 

??「雛里ーーーーー!!!!」

一刀が長刀を振り落とす直前、一刀の背後に誰かが現れた。

愛紗「どけーーー!!」

一刀の背後に現れたのは愛紗であった。愛紗はそのまま偃月刀を一刀に向けて振り落とす。

しかし、一刀はその一撃を跳躍してかわして少し離れた所に着地する。愛紗もまた雛里を庇うかのように彼女の前に立ち武器を構える。

愛紗「雛里…無事か!!」

雛里「あ、愛紗さん……はい…何とか大丈夫です」

愛紗は一刀に視線を向けたまま、雛里にそう尋ねた。一刀は動くことなく愛紗を見ていた。

  「その偃月刀に……美しく艶やかで腰まで伸びる黒髪……あなたが関羽ですか」

愛紗「ああ…そうだ。あなたが北郷か……」

  「……いかにも……私が北郷です」

愛紗「あなたのことは紫苑達から色々聞かせてもらった……」

  「………」

愛紗「何故……いまだに劉璋に仕えているのだ?」

愛紗の言葉を聞いて一刀は一瞬、目を細めた。

  「何故?……ですか……それはあなた達には関係ない」

そう言って一刀は長刀を構えると、一刀の全身から紫色の氣が纏い始める。

  「ちょうどいいです。あなたにもここで死んで頂きます。」

愛紗「できるものなら……やってみろ!!」

愛紗は愛刀・青龍偃月刀を強く握り、そのまま一刀に向かって攻撃を仕掛ける。

 

後書き

お久しぶりです。何とか投稿できました。今回は…ファーストコンタクトみたいなものです。一応題名の通り雛里の危機を書きましたが…そうでもなかったですね…。次回は愛紗との戦いになると思います。なかなか話が思いつかないので大変です…しかし、頑張っていこうと思います。でも卒論が……ぐふっ

ではみなさんまた

 

 


 
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