No.182710

一刀の記憶喪失物語~袁家√PART11~

戯言使いさん

さて、今回は蜀での一刀たちの生活を書きます。まぁ、くだらない話ですが、よろしくお願いします。

ps、僕の中の悪い虫が言うんです「シリアスなんてくそくらえ」って。だから今回は僕の責任ではありません。

ps2 次回は全く無意味な番外編です。蓮華好きの人にしかお勧めしません。それぐらい、くだらない日常です

2010-11-05 11:52:37 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:9825   閲覧ユーザー数:6632

 

 

 

 

一刀が蜀に来て数日がたった。

 

 

あれほどの騒ぎを起こしたにも関わらず、桃香は一刀を蜀の城に置くことを決定し、それと同時に真名を許した。それを見た武将たちは次々と真名を許し、結局はその場に居なかった武将含めてほぼ全員が一刀に真名を許したのであった。

 

 

どうして、その場に居なかった武将も真名を許したのか?

 

 

それは、一刀がマジギレをして殺気を垂れ流している最中に、恋がその殺気に気が付き、暴走しかけたのだ。そしてどうしたどうした、と集まったその他の武将は玉座の間の隅で一刀たちの話を盗み聞いたと言うわけだ。

 

 

 

 

さて、そんな出来事がありながら、一刀は平穏な蜀の生活をしている。

 

 

桃香は同盟を組むことを決意したその日には呉に向けて承諾の手紙を出し、愛紗などの主な武将たちはさっそく軍事力を拡大させるために右往左往している。

 

それを一刀は眺めているだけなのだが、今の一刀には心労が多い。

 

 

 

 

理由は一つ、蜀の武将たちの自分に対する扱い方だ。

 

 

 

 

 

 

あの恋すら暴走するほどの殺気を出しながらも、人を叱咤し、そして大事なことを気付かせるその聖人ぶりに、蜀の武将たちは一刀を尊敬していた。いや、尊敬しすぎている。

 

天の使いじゃない。これは神だ。

 

だれもがそう思った。

 

 

そして、一刀に対する扱いが、まさに神を扱うような、そんな扱い方だった。

 

 

 

武将たちが一刀に惚れている・・・・・・・わけではなかった。もちろん、嫌いでもないし、どちらかと言えば、惚れているであろうが、蜀の武将たちから言わせれば「自分のような下々があのお方と釣り合うわけがない」と、勝手に壁を作っているのだ。

しかも、敬い方が尋常ではない。

 

 

 

 

この前一刀が「このお菓子、美味いな」と呟いただけで、貢物として一刀の部屋いっぱいにお菓子が置かれていた。また「あー、暇だな」と呟いた時にはわざわざ街の本屋に走り、ある本すべて購入して、一刀の部屋に置いたりなど、まさに神の扱い。

 

 

 

 

 

しかも、蜀の面々は悪意があってではなく、心の底から一刀を敬ってのことなので、一刀も怒るに怒れず、斗詩は嫉妬でいつも不機嫌だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在、一刀は数少ない普通に接してくれる紫苑と璃々、そして桔梗と中庭でお茶を楽しんでいた。

 

 

「・・・・ふぅ」

 

 

「あらあら、一刀さま。そんなため息をついて、どうしたのです?」

 

 

「美女3人に囲まれて何をため息つくのですかな?」

 

 

「おい。もしそれを本気で言ってるなら、俺はすぐにここを出ていくぞ」

 

 

「ふふ、ごめんなさい。みんなのことですね?」

 

 

「あぁ・・・・」

 

 

一刀はぐいっとお茶を飲み干した。

 

すると、脇で控えていた月がすぐさま新しい湯のみを持ってやってくる。

 

とてとて、と音が聞こえてきそうに急ぐ姿は見ていて微笑ましい。

 

 

「あの・・・・一刀さま。代わりのお茶ですぅ・・・・」

 

 

「おぅ。ありがとな」

 

 

ずずず、と一刀はお茶を飲む。

 

こうしている分には平和そうなのだが、今、実際に一刀を狙う陰が一つ。

 

 

「北郷一刀!桃香さまに働いた無礼!その身を持って償え!」

 

 

がさがさ、と草陰から飛び出してきたのは焔耶。手には愛用の棍棒を持ち、そして一直線に一刀めがけて突撃してくる。

 

だがしかし、一刀を含め、紫苑や桔梗、そして月までもが対して興味なさそうに見ている。それもそのはず、今の一刀にはアイギスの盾がいるのだ。

 

 

「こぉらぁ!一刀さまに何するのよ!」

 

 

と、叫び声をあげながら焔耶に飛び蹴りを食らわせたのは

 

 

「僕の眼の黒いうちは、一刀さまに指一本触れさせないんだからねっ!」

 

 

詠だった。

 

 

「くそ!またお前か!」

 

 

「それはこっちの台詞よ!あんただって分かってるでしょ!?一刀さまのお陰で、武将たちはやる気に溢れ、そしてこの大陸を平和にしようと頑張ってるのよ!?あんたもそんなことをしている暇があれば、兵の鍛錬でもしなさーい!」

 

 

「く、くそ!北郷一刀!私は諦めないぞ!」

 

 

そう捨て台詞を言い残すと、焔耶はすぐさま逃げだした。ちなみに、その台詞も今までで二桁ほど聞いている。

 

蜀の武将の中で唯一、一刀を敵視しているのは焔耶。大好きな桃香に殺気を振りまき、そして偉そうに説教をした北郷一刀が憎くてたまらないらしい。

 

 

「一刀さま!ご無事ですか?」

 

 

「ん?あぁ、いつもありがとな」

 

 

詠はすぐさま一刀の傍によって来て、何かを期待するかのように見上げる。。

 

 

「ったく。はいはい」

 

 

一刀はお礼に詠の頭を撫でてやる。

 

それだけで、詠の顔はふにゃぁとだらしなくゆがむ。

 

 

「今日は髪の毛洗えないわ・・・・」

 

 

「いいなー、詠ちゃん。ねぇ、一刀さまが触れた髪の毛触っていい?」

 

 

「駄目よ。月でもさせてあげない」

 

 

「なら匂いだけでいいから・・・・だめ?」

 

 

「しょうがないなぁ」

 

 

「(すんすん)あぁ、一刀さまの手の匂いがするぅ」

 

 

「そうだ。一刀さまが触った髪の毛を数本抜いて、お守りに持っておこう」

 

 

詠の髪の毛の匂いを嗅いで光悦とする月に、自分の髪の毛を抜いて丁寧に紙にくるんで懐にしまう詠。

 

 

 

 

 

 

もし焔耶が極度に一刀のことが嫌いならば、月と詠は極度に一刀を尊敬し過ぎていた。それも、変態的なまでに。

 

 

 

 

 

 

もともと、敵将だった二人には頼れるものがなかった。いくら蜀に受け入れられたと言っても、元は敵国。絶対普遍の頼れる存在、そんな物が欲しかった。

 

そこにやってきたのは天の使い、北郷一刀。

 

そして噂以上に頼れる、男らしい一刀に、月は運命を感じていた。

 

しかし、最初の詠は違った。

 

天の使いと言う胡散臭い物にうつつを抜かす月を救うために、最初は物凄く敵対していた。

 

 

 

 

だが、色々あって月と並ぶほど、一刀を尊敬するようになってしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

そう、色々とあったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

回想

 

 

それは一刀が蜀に来たその当日のことだった。

 

桃香の命令で、一刀の世話役として月と詠が任命されたのだ。月はともかく、詠はとても不満そうだった。

 

そして、月が掃除のために水の入った桶を運んでいた時、たまたま通りかかった一刀が、それを見かけ

 

 

「おい。貸せ。持ってやるよ」

 

 

「あ、いえとんでもございません。一刀さまにこのようなことをお任せするわけには・・・」

 

 

蜀の武将に対してのあの振舞い、そして聖人のような言葉。月にとっては、まさに一刀は生きた神のように思っていた。

 

一刀はその月の振舞いに少し苛立ちながら、強引にその桶を持った。

 

そして、その時に月と手が触れてしまう。

 

 

「あ、わりぃ」

 

 

「と、とんでもございません!一刀さまの手を私のような者の手で触れてしまい・・・・あぁ、一刀さまが私の手に触れてくれた・・・・」

 

 

うっとり、とその手を眺める月に、一刀は少しだけ気味悪そうに一歩引いた。

 

 

「こらぁ!月に何するのよ!」

 

 

と、その光景を遠くで見ていた詠は、思わず一刀に対して飛び蹴りをかましてしまうのだ。

幸い、桶を寸前で床におくことが出来たので、水はこぼれなかったが、一刀にはもろ詠の蹴りが食らったわけであって、当然一刀は怒り。

 

 

「おぃ・・・・何すんだよ。あぁ!?」

 

 

と思わず詠に怒鳴ってしまい。

 

そして事件が起きた。

 

もちろん、怒鳴っただけで、殺気など微塵もなかった。だが詠の中ではあの殺気がトラウマのように残っているわけであって、一刀の怒鳴り声を聞いた瞬間、その時のことがフラッシュバックされてしまい、

 

 

「あ、あぁ・・・・」

 

 

と、思わず腰が抜けてしまった。

 

 

「あぁん!?何んか言ってみろや!」

 

 

「あ、あぁ・・・・・あぁ・・・・・」

 

 

ちょろちょろちょろ

 

 

 

詠は恐怖のあまり、失禁してしまった。だが、本人は目を見開いて、恐怖のあまり固まっている。

一刀は詠の状態に気が付き、っちっと舌うちをした。

 

 

しまった。つい、いつも通りに怒鳴ってしまった。今詠が失禁したのも、自分があの時にマジギレしてしまったせいだ。俺の責任だ。

 

 

だが今ここで長々と後悔しても駄目だ。一刀は今だに動かない詠をお姫様だっこで抱きかかえた。

 

 

「月。悪いが、ここの後片付けを頼む」

 

 

「は、はい。あの・・・・詠ちゃんは・・・・」

 

 

「俺が部屋に連れていく。俺の責任だからな」

 

 

「一刀さま・・・・お優しいですね(っぽ)」

 

 

一刀は月から詠の部屋の場所を聞き出すと、他の武将たちに気づかれないように静かに、だが早く移動した。

 

詠はいつの間にか自分が一刀に抱かれていることに気が付き、そして何処か人気のない所で、自分は一刀殺されるのではないか、と不安になり泣きだしてしまった。

 

 

だが一刀は「っち」と舌打ちをすると、少し恥ずかしそうにしながらも謝った。

 

 

「・・・・ごめんな」

 

 

「・・・・えっ?」

 

 

「俺のせいだ。お前の責任じゃない」

 

 

「あ・・・・でも・・・・・」

 

 

「お前は月をずっと守ってきたんだろ?その大事な月が、俺みてぇな男と一緒に居たら、そりゃあ怒るよな。安心しろ、もう月には近寄らねーから」

 

 

「あ・・・う・・・・」

 

 

「蹴りは気にすんな。なかなかの蹴りだったぜ」

 

 

「お・・・・・おしっこ・・・・」

 

 

「ん?あぁ、汚くねーよ。それに恥ずかしくもない。もし、そのことで誰かに言われたら、俺に言え。俺がお前を守ってやるよ」

 

 

「北郷さま・・・・(っぽ)」

 

 

「俺のことは一刀って呼べ。いいか?詠」

 

 

「は、はい・・・・一刀さま(っぽ)」

 

 

 

 

 

 

 

絶対的な恐怖の存在が、ぽろっと優しい言葉を投げかける。

 

 

 

 

 

『不良が捨て猫を拾う法則』だ。

 

 

 

 

 

 

これにより、詠は簡単にオチてしまった。

 

 

回想終了

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・はぁ」

 

 

何度目になるか分からないため息を漏らした。

 

月と詠はあれ以来、一刀のことをまさに神として扱うようになり、一刀と同じ空間の空気を吸えるだけで幸せだと言い、今では使用済みの下着を月とどちらが洗うかで言い争うほどだった。

 

 

「紫苑、桔梗、お前たちからも何か言ってやってくれないか?」

 

 

「あら、私たちも一刀さまのことは尊敬しておりますゆえ、何も言うことはございませんわ」

 

 

「ふむ。わしも紫苑と同じじゃ。一刀殿の男気に惚れてしまっているのでな」

 

 

うふふ、あはは、と笑う二人に一刀はまたため息をついた。

 

 

「はわわ、一刀さま」

 

 

「ん?何だ、朱里と雛里じゃねーか。どうした?」

 

 

一刀に控え目に声をかけたのは軍師の二人。一刀の殺気を真正面から受けた二人だが、それほど一刀のことは怖がっていなかった。それはやはり、その後の説教が効いたのであろうか。

 

 

「お、お願いがあります」

 

 

「ん?なんだ」

 

 

「お、おっぱいを撫でてください!」

 

 

「・・・・はぁ?」

 

 

「あわわ、一刀さまに撫でてもらえると、大きくなると・・・・・」

 

 

「んなわけねーよ!」

 

 

「でも、斗詩さんが仰っていました「私なんて、一刀さんに手を握られただけで、胸のてっぺんがピンってたって、大きくなりましたよ」と」

 

 

「それは違うとこが大きくなったんだろーが!ってか、あいつ俺に触れる度にそうなってたのか!?」

 

 

「あわわ、それでお願いできますか?」

 

 

「しねーよ!大きくならねーよ!」

 

 

「むしろ、一刀さまのが大きくなるんですね?」

 

 

「何上手いこと言ってんだよ!・・・・・・いや、全然うまくねーけどさ!」

 

 

「こら二人とも止めなさい!一刀さまが困ってるじゃない!」

 

 

「そうだよー、二人とも」

 

 

と、間に入ってくれたのは詠と月の二人だった。

 

何だかんだ言いながら、この二人は一刀のことを大切にしているのだ。

 

 

「最初に撫でてもらうのは僕なんだからね!」

 

 

「わ、私はお腹を撫でて貰らうんだ。そうしたら、子供が出来るんだ」

 

 

「しねーし、子供もできねーよ!触るだけで妊娠とかって、俺は全身精液男か!」

 

 

「出来ないのですか!?」

 

 

「何その意外そうな顔!?お前ら俺を何だと思ってんだよ!あぁ!?」

 

 

「でも、一刀さまなら「あぁん?めんどくせーな」とか言いながら、子供を作ってくれそうな気がしますよ?」

 

 

「確かにキャラはその通りだが、やってることがありえねーよ!」

 

 

「じゃあ、僕が一刀さまの使用済み下着をこっそり履いても子供は出来ないんですか!?」

 

 

「出来ねーよ!・・・・・って、ちょっと待て。今、なんて言った?」

 

 

「詠ちゃぁん。私は部屋で頭に被る程度で我慢してるのに、酷いよぉ」

 

 

「酷いのはてめぇらの頭の中だ!この変態!!」

 

 

「へ、変態・・・・ねぇ、今、僕たちを変態って言ったんだよね?」

 

 

「そ、そうだね詠ちゃん。私、一刀さまの口からそんな卑猥な言葉が聞こえただけでもぅ・・・(びくびく!)」

 

 

「あ、・・・・・・あの、一刀さま。僕たち、ちょっと下着を履き換えてきます」

 

 

「へぅ。し、失礼しますぅ」

 

 

「何が起きた!?下着の中で何が起きたんだよ!!」

 

 

下半身を押さえて退場する二人に、一刀の叫びがむなしく響いた。

 

 

これじゃあ、駄目だ。

 

 

 

と、一刀は珍しく心が折れかかり、斗詩と猪々子を見つけるために中庭を探しまわった。

 

そして、一人で自分の武器である大きな槌を振るっている斗詩を見つけた。

 

 

「おい。と・・・・」

 

 

「(ぶん)何が・・・・・(ぶん)一刀さまよ・・・・(ぶん)私なんて最初から一刀さんと一緒だったんだから・・・・・(ぶん)下着なんてすぐに濡れちゃうから・・・・・(ぶん)最近は履いてすらないんだから・・・・・(ぶん)」

 

 

斗詩が一心不乱に武器を振りながら、ぶつぶつと小さな声で呟いている。

 

思わずツッコミを入れそうになったが、ここで斗詩にばれると怖いと思い、一刀はこっそりと退散することにした。その途中でも

 

 

「何よ・・・・・(ぶん)正妻は私なんだから・・・・・(ぶん)調子のらないでよ・・・・・(ぶん)つぶれろ・・・・・(ぶん)みんなつぶれろ・・・・・(ぶん)」

 

 

今度、斗詩と二人きりで街に行こう。うん、そうしよう。

 

 

一刀は胸の中でそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてその夜、一刀にとっては唯一心休まる時間、つまり、睡眠の時が来た。今の一刀にとって、誰もいないこの時間は、至福の時だった。

 

 

だが、しかし一刀が布団に入って間もない時間、コンコン、とドアがノックされた。

 

 

しかし夜に来る来客でマシな奴がいない。

 

 

一刀は寝たふりを決め込むと、そのまま無視した。

 

コンコン、と何度かもう一度なり、廊下からひそひそ声が聞こえてきた。

 

 

「うーん。一刀さま寝ちゃってるみたいだねー」

 

 

「・・・・・・」

 

 

どうやら桃香らしい。もう一人の方はよく聞き取れない。

 

 

「明日の朝に挨拶したらどうかな?お部屋準備するよ」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「ううん。いいよ、それじゃあね」

 

 

そう挨拶を告げる桃香の声が聞こえ、そして廊下を歩く足音が響いた。

誰だったのだろうか?いいや、どうせ明日の朝には分かる。

 

 

がちゃ

 

 

しかし、そう思っていた一刀の予想は外れ、その誰かは一刀の部屋に無断で入り込んできた。一瞬、怒鳴ろうかと思ったが、結局は寝たふりを突き通すことにした。

 

 

「もぅ。私が夜も寝ないで昼寝しながらここまで来たのに、一刀さんは呑気ですねぇ」

 

 

七乃の声だった。

 

どうして?美羽と麗羽も一緒なのか?と色々と考える一刀。しかし、七乃は一刀が眠っているのだと思い、そのまま独り言を続けた。

 

 

「まぁ、明日には驚く一刀さんが見れそうなので、それでよしとします」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「一刀さん。女は待つだけじゃないんですよー。女にだって、大切な人に会いに行くための足があって、大切な人を抱きしめるための手があるんです。それに、一刀さんは遅いから、私を迎えにきた時には、私はお婆ちゃんになっているかもしれません」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「だから、私が会いに来ました。おそらく、次は斗詩ちゃんと猪々子ちゃんでは手に負えないことが起きると思います。だから、今度は私と旅をしましょうか。その時は斗詩ちゃんたちみたいに、楽しく旅をしましょうねー。それでは、おやすみなさい」

 

 

ちゅ

 

 

と、一刀の頬に何かが触れた。

 

そして、ドアが閉まる音。外からは廊下を歩く音が聞こえる。

 

 

一刀は静かに起きあがると、はぁ、とため息をついて何かが触れた頬を触った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――夜の空には月が出ていて、そして星が出ていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀は少しだけ夜風に当たって頬の熱を冷ますと、またベッドの中へと戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回に続く。

 

 

 

 

 

 


 
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