No.181657

彼の魅力

tanakaさん

バカテスで優子メインの小説を書かれているnaoさん(勝手に名前を書いてよかったのかな?)に触発されて自分も明久×優子ネタを書いてみました。
そんな感じです。

2010-10-31 18:20:39 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:4370   閲覧ユーザー数:3983

 学年一の……いや、学校一のバカである吉井君。

 顔はまぁ……悪くはないけど、なんでバカなのに彼の周りには多くの人が集まるのだろうか?

 バカなんて救いようの無い存在なのに。

「あれ? 秀吉こんな所でどうしたの?」

 しかも、アタシと秀吉を間違えてるし。

「あのね、吉井君。アタシは秀吉じゃなくて、姉の優子よ」

「えっ!? ご、ごめんっ」

「いいわよ。よく間違えられるし」

 ほんと、嫌になるくらい間違えられるのよね。

「そ、それで、木下さんはこんな所で何をしているの?」

「別に吉井君に言う必要は無いでしょ」

 特にたいした理由もないし、説明する意味もないしね。

「そっか。そうだよね」

 あ。吉井君が少しだけ悲しそうな顔をしてる。

 何? 今のアタシの言葉でショックを受けたっていうの? 少し軟弱なんじゃないの?

「よ、吉井君は、こんな所で何をしてたの?」

 あーもうっ! 何でアタシが気を遣わないといけないのよ。

「僕は夕飯の材料の買い物をしてたんだよ」

「へぇー吉井君って、料理とか出来るんだ」

「まあ……ね」

 ふーん。それはちょっと意外ね。

 料理とか出来なさそうな感じなんだけど……人は見かけによらないのね。

 うん。少しだけ吉井君の料理に興味が湧いてきたわ。

 

「ちょっと食べてみたいわね」

「……え?」

「あ、いや、今のは違――っ!」

 あ、アタシは何バカな事を言ってるのよ!?

 確かに吉井君の手料理には興味あるけど、それを口に出すなんて――

「いいよ」

「ふぇ……?」

「木下さんの好みに合うかは分からないけど、料理作るよ」

「……ま、まぁ、吉井君がどうしてもって言うのなら、食べてあげないこともないわよ」

 うぅ……アタシ何言ってるんだろ……

 自分で食べたいなんて言っておきながら、仕方なく食べてあげるみたいな言い方をして。

 ほんっと、アタシ何言ってるんだろ。こんなんじゃ、人の事バカなんて言えないわよ。

「ははっ。じゃあ、どうしても木下さんに食べて欲しいかな」

「そ、そう。じゃあ食べてあげるわ」

「ありがと」

「~~~~~~~~っ!?」

 もーっ! 何なのよ。何で吉井君は怒らないのよ?

 自分で言うのも嫌だけど、普通あんな感じで言われたら怒るでしょ。

 アタシなら間違いなく怒るわ。てか、へし折るわ。

 それなのに、それなのに――

「じゃあ、今度の休みの時でいいかな?」

「あ、うん。いいわよ……」

 吉井君は優しすぎなのよ。

 

 ああ。だから吉井君の周りには常に人が集まるのか。

 バカだけど、彼の優しい所に惹かれて――

 アタシもきっと、そんな彼に……

 

 って、ないない。そんな事はあり得ないわよ。

 アタシが吉井君の事を気にするなんて……ないわよね?

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
5
3

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択