ギャグ回ですが前回よりもぶっ壊れてます。ネタ的な意味で。ぶっちゃけ飛ばしていい回なのでシリアス重視の人は飛ばしてください。
十一話・外 日常 ~LOVE&PEACEwithWALKER~
* 戦わなければ生き残れない *
「さあやってまいりました!三国同盟締結を記念する祝賀祭!その最初を飾るのは三国料理王決定戦!どんどんぱふぱふー!!」
「ねえちぃちゃん。どんどんぱふぱふーって?」
「いや、ケインに盛り上がるから言っとけーって」
「ほら、雑談が聞こえているわよ」
壇上では三国同盟を記念する祝賀祭を、初登場の数え役萬☆姉妹の三人が司会進行していた。
その少し離れた主賓席には三人の御遣いがご丁寧に祭り上げられていた。
正史での戦いも一段落つき、一応の均衡が保たれている。今はただ相手が仕掛けてくるのを待つのみだった。
「おい、何を教えたんだ?」
「何、○○○と×××をだな」
「聞くまでもなかったか……」
もはや突っ込みという拳をいれることも面倒になったのか、それとも大声で叫ばなかっただけマシだと思ったのか、今日の一刀は沸点が高かった。
「なんだ、今日はご機嫌だな。一刀」
追いかけっこか殴り愛が始まると思って耳を蓋しようと思っていたジェームスが怪訝そうに一刀を見る。
「今日は拳をこいつの血で汚すわけにはいかん」
「ああ、料理王決定戦か」
「くっくっく、なるほど。今日の俺は無敵のようだ!さあ行こう!桃源郷という名のパラダイ!」
スと続くはずだったがウェルナー家直伝のサマーソルトキック(※)がケインの首に直撃した。放った人物は言うまでもない。
「手が汚れなかったらどうでもいい」
「お前はつい最近までオカマたくさんの島に行ってた女ったらしのコックか」
「?その話は二十年以上前の話じゃないか?」(この物語は西暦2034年)
「……あれ?すまん、気にしないでくれ」
正史に帰ると週刊少年J○MPを一気読みするジェームスにしては珍しい。どこかから「タイムパラドックス!(CV:青野武)」という渋い声が聞こえるが気のせいだ。
「よし、じゃあお前たちの舌を唸らせてくる」
「間違っても颯爽登場すんなよ」
「声優ネタ……しかも新作はわかんない人多いからやめとけ」(この物語は西暦2034年)
「いいじゃないか、銀河美少年」
「美少年ってとこ嫌みだな?絶対に嫌みだな!?」
* その想いは何のために *
「あなたも大変ね」
壇上に上がると、華琳をはじめ料理に自信があるものをはじめ、桃香を含め料理に自信がないものも集まっていた。
この人数を試食するジェームスとケイン、流琉も結構大変だろう。
「華琳、君がちゃんと手綱を持っていてくれればあんなことにはなるまい」
「ケインじゃなくて美少年の方よ」
「君が試食する分には笑いきのこを仕込んでおこう」
「あら、最近腹の底から笑ってないからちょうどいいわ」
「ご、ご主人様。一応平和の祭典なので血生臭いことは……」
一気に絶対零度と化した一刀と華琳の雰囲気を見かね愛紗がなだめ始める。
「安心しろ、血は一切出ない。血反吐を吐くかもしれんが」
「まあ冗談はさておき、とっとと始めましょうか」
「しかし食材が早い者勝ちとは、どうやっても私が不利じゃないか」
「あら、雷を放てばいいんじゃくて?」
「それこそ流血沙汰だよ」
・・・
・・
・
「さーて、出場者のみなさんに料理の出来を聞いて回りましょう。まずは桃香さまからー。どうですか、桃香さま」
そういって天和は桃香に寄っていった。
「ご主人様に教えてもらったけど……やっぱり師匠には勝てそうにないねー」
そんな桃香の目の前には不恰好ながらも食べれそうな料理が出来上がりつつあった。
経験不足は眼に見えているが、しっかりと想いは篭っているだろう。
「さーてお次は……翠さん、何をやっていらっしゃるのございましょうか?」
「なんだ、その何重敬語は……」
処変わって人も変わって地和が裏で料理をしている翠に話しかける。
「何って……丸焼きだぞ」
妖術で創りだされたスクリーンを見てジェームスが横で控えている流琉に話しかける。
「なあ、流琉ちゃん。あれって大丈夫か?」
「ダメです。丸焼きはかなり時間をかけないといけないので……時間内にはとても……」
「ジェームス、胃薬の貯蔵は十分か?」
「じょ、上手に焼けましたー!?っていうかこれ旦那の台詞だかんね!?」
・・・
・・
・
「さてさて、愛紗さんですね。おや、炒飯ですか?」
「これしか作れないので……逆を言えばこれが一番得意かと」
そういう愛紗の中華鍋には黄金色の炒飯が出来上がりつつある。一刀に正座で説教されたかいがあったようだ。
「なるほどなるほどー。さて白蓮さんは置いといて。お次は……蓮華さまですね!どうですかー?」
「ええ、順調よ。ただあそこの二人を見るだけで自信をなくしそうだわ……」
「ああ……もうなんか纏ってる気合が違うものね」
もちろんその二人は華琳と一刀である。
華琳はきらびやかな器に、これまた色鮮やかな料理が盛り付けられている。
一刀に関しては……舟盛りが出来上がっているのは気のせいではない。
「一刀さん、この船は一体……」
「ああ、盆代わりだ。外観も楽しんでもらうと思ってな。華琳がかなり綺麗な器を使っているので少し見栄を貼りたくなった」
「あら、皿ならたくさん用意しているのに」
「なに、どうせ載せる料理は正史では世間一般の家庭料理だからな」
そんな彼の目の前には日本の代表的な家庭料理が並んでいた。
* FOXHOUND隊員は決してあきらめない *
「さてさてー、途中でケインが血反吐はいたり、玲二さんが漢方薬をがぶ飲みしたりと、いろいろ面白いことがありましたが結果発表に移りたいと思います!」
まさに(吐)血と(冷)汗と放送禁止の液体が飛び交った試食が終了して、司会の天和が観衆の勢いをもり立てていく。
「えー、ぶっちゃけみなさんこの二人しか興味ないと思いますので他は飛ばします。飛ばすったら飛ばしますねー。じゃあ人和ちゃん、お願いねー」
「では発表します……。
曹操,百五十点!
北郷,百四十九点!」
「なん……だと……」
人和が点数を読み上げた瞬間、一刀が膝から崩れ落ちる。
もうなんか崩れ方が悔しいとかそんなものを通り越して絶望すら感じさせるものであった。
「馬鹿な……地元の料理大会の賞を総なめにし、巷の主婦からスネークイーターと恐れられたこの私が敗北だと……」
もう一刀の台詞にはどの方向からも突っ込み入れ放題だったが、それを一切合切スルーして華琳が勝どきを上げた。
「おーっほっほっほ!一刀!!貴方には決定的に足りていないものがあるわ!!」
「馬鹿な!この私が!家庭料理の申し子として世界各国の家庭料理をマスターしたこの私に足りていないものがあるだと!!」
多分彼の今の台詞を聞いた兄弟のような親子のような方々は、草陰でちょっと泣いているかもしれない。悲哀か感動かは皆さんの想像にお任せしよう。
「そう!それは愛よ!!」
「愛……だと!?」
「そうよ、一刀!あなたには流琉に対する愛がないのよ!それが私と貴方の決定的な違いよ!」
「この私が……家庭料理はすべてこなすこの私が愛を忘れていただと!?」
一刀が熱血料理漫画顔負けの愕然っぷりをさらけ出している端で、流琉とジェームス、ケインがコソコソと小声で会話する。
「なあ、旦那。一刀には何点つけたんだ?」
「満点だ。ちなみに華琳にも満点をつけている。双方これ以上ない素晴らしい料理だった」
「流琉ちゃんは?」
「実は……私も双方満点です」
「俺が原因か……おふくろの味噌汁はしょっぱかったんだよな……」
バレると殺られると思ったジェームスは点数表をこっそりライターで焼くのであった。
* その強さは何のために *
「さて天下一品武道会の日がやってまいりました!みんなー、飛将軍呂布に喧嘩を売る準備はできたー!?」
「Yeah!!」
「それとも血に飢えた小覇王に血を差し出す準備はできた!?」
「Yes!!」
「はたまた超絶変態に股開く準備はできた!?」
「DIE!!」
地和と観衆の掛け合いに肩をすくめた一刀は、自他認める変態に視線を移す。
「随分な嫌われようだな」
「ふっふっふ、こんな時だからこそ!俺は最高最強の策を用意したぞ!」
「うわー、旦那が言うともう性的な意味にしか聞こえない」
「この天下一品舞踏会に勝利したとき!これにより俺はこの男達の人心を掌握するのだ!」
「ほーそれでそれで」
「それは猫耳DA!」
ケインがある意味心から……否、魂の叫びである。ちなみに"DA"の部分は、一刀がウェルナー家直伝のラリアットスイング(※)を彼に浴びせかけたところである。
もっともこの程度では正史最強のサイボーグは砕けない。否、そのサイボーグは正史だけでは飽きたらず外史の最強も奪い取ろうとしていた。
吹っ飛びはしたものの何事もなかったように、観衆に向かって猫耳党結成演説を行っているのは流石だろう。
「お、一刀も出るんだな」
「ああ。正史で修行もしたし、どれくらい通用するのか試してみたくてな」
「一刀、あんな対戦表だが大丈夫か?」
一回戦
関羽 対 于禁
張飛 対 甘寧
周泰 対 夏侯淵
馬岱 対 夏侯惇
魏延 対 許緒
孫策 対 文醜
孫権 対 公孫賛
馬超 対 けいん
典韋 対 顔良
北郷 対 呂布
「おい、ちょっとまて。問題ないとか言える問題じゃないぞ!?明らかに一番下が取ってつけたような対戦表じゃないか!?」
「………ご主人様、本気でいく」
「待て待て待って!?恋!?私が強化服着てても勝てないからな!?」
・・・
・・
・
「……で大丈夫だったか?一刀」
「一番いい対戦表を頼む……」
「ご主人様!?死なないでよ!?」
結局天下一品武道会は、想像通りというか順当というか、決勝戦はケインと恋の組み合わせになった。
しかし二人の怪物顔負けの暴れように試合場が耐えきれず、引き分けになったのは恐ろしい話である。
* その聡明さは誰のために *
「では最終日となりました。天下一品象棋大会。軍師の皆さんが繰り広げる知略合戦をご覧あれ」
「……地味だな」
「そうね……」
完全武闘派……もとい脳筋ともいえる雪蓮とケインは観覧席で知略合戦を面白くなさ気に観戦していた。
「雪蓮、せっかくきたジェームスの晴れ舞台なんだからしっかり応援してやらないと……」
「してやらないと?」
「……仕事が増える?」
「頑張れ!玲二!負けるな!めいりーん!」
観覧席もずいぶん寂しく、一刀とケイン、雪蓮しかいない状態だ。
急に元気になった雪蓮をよそにケインは昨日の激闘が引きずっているのか元気が無い。
「変態も疲れる時があるんだな」
「褒められても困るな。しかし昨日は疲れた……歳かもしれん」
「えー?歳って言っても祭よりは若いでしょ?」
「いや、御年三十だから祭殿より年寄りだな……」
「え、全然見えないわ……」
・・・
・・
・
比較的早く第一回戦が終了し、第二回戦に入ったところであった。蓮華と争い敗北した桃香が観覧席に戻ってきている。
「うーん、もっと努力しないと!」
「大丈夫だ、桃香の努力は皆がよく知っているよ」
「桃香はどっちかといえば戦より政向きよね。こういうのは向いてないかも」
二人で桃香を労っているところ、ケインはじっと華琳の卓を眺めていた。
もっとも視線の角度はやや怪しく、華琳というよりかは華琳の太ももを見ている気がする。
「椅子……なるほど、椅子を透明にすれば……」
「おい、変態。企んでいることが丸分かりだが……」
「見たいものはMI☆TA☆I!」
「ふん!」
そんなことを言うから再び一刀の一撃が顔面に突き刺さる。今度は!の部分でウェルナー家直伝の鉄拳パンチ(※)が直撃したところだ。
「やるねぇ、雛里ちゃん。十手先くらい読まれてりゃ投了しかないな」
そんなじゃれ合いも終わったとき、ジェームス対雛里の卓から投了宣言が聞こえてくるのであった。
・・・
・・
・
「いやー、しかし蜀も魏もいい頭脳派が集まって居るなぁ。対戦相手と眼の保養に借りたいくらいだわ」
「やらんぞ」
「わかってるわかってる」
ほぼ即答だった一刀の反応に苦笑いしながら、ジェームスはごちそうさまと言うのであった。
「しかし呉の軍師はお前と打たないのか?」
「いや、呉では冥琳くらいしか付き合ってくれなくてな。正直冥琳の手は殆ど覚えた気がする」
「穏さんと亞莎さんがいるじゃないか」
「いや……まあいろいろあるんだ」
「……はぁ……?」
おまけ:ネタ参考資料
※ウェルナー家直伝のサマーソルトキック
ウェルナー家に伝わる格闘奥義。ウェルナー家に百年に一回誕生する稀な変態を沈めるための一撃。変態をホーミングするため必中、ただしガード可能。後に華琳に引き継がれるが、ケインはスカートの中を見たいがためにこれを顔面から受け止める。
※ウェルナー家直伝ラリアットスイング
ウェルナー家に伝わる格闘奥義。ウェルナー家に百年に一回誕生する稀に見る変態を沈めるための一撃であり、腰の回転を効かせ後ろから強襲する。変態はこのラリアットに首を突っ込みたくなるので回避不能でガード不可。この奥義は後に春蘭に引き継がれることになる。
※ウェルナー家直伝鉄拳パンチ
ウェルナー家に伝わる格闘奥義。ウェルナー家に百年に一回誕生する稀に見る変態を沈めるための一撃であり、文字通りの怒りの鉄拳である。変態はこの拳に引き寄せられるためなぜか回避できない。この奥義は後に桂花に引き継がれることになる。
おまけ:次回予告
誇り、血統、証。
蛇はもつ。誇りも、血統も。
山猫は求める。誇りを、血統を、そして証を。
十二話・外 山猫 ~Lynx~
求める証、それは愛国者の銃。
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諸 君 、 久 し ぶ り の 日 常 編 だ 。