No.180351

真・恋姫無双 魏end 凪の伝 12

北山秋三さん

真・恋姫無双の魏end後の二次創作SSになります。
凪すきーの凪すきーによる、自分の為のSSです。ご注意ください。

2010-10-25 17:24:06 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:4886   閲覧ユーザー数:4138

※この作品は魏endで一刀が"完全"に消滅した事を前提としているため、

 

記憶が戻るとかは無いので御容赦下さい。

 

後、オリジナル設定もあり、登場人物の行動や言動が原作と一致しない場合も

 

多々ございますので、その点も御容赦下さい。

 

 

 

一刀は『にゃあ黄巾党』の事について街の人に聞いてみたが、一様に"たまに現れる"というくらいの

 

情報しかなかった。この村は建業から程近い事もあり、しばらく防御に徹していれば呉の主力がすぐに

 

現れる為に数百人程度の『にゃあ黄巾党』ではまさに鎧袖一触で蹴散らされるらしい。

 

「ふぅ・・・やっぱり建業まで行ってみるしかないか・・・」

 

かなり歩いて汗が出ていたのでハンカチでその汗をぬぐって、ふと自分が汗臭いのに気がつく。

 

今まで野宿が続いたので水浴びぐらいしか出来ず、服もあまり洗濯できずにいたからだ。

 

自分は女性と一緒に旅をしているので、あんまり汗臭いのも嫌だろうと一刀は服屋を探す事にした。

 

「えーっと・・・服屋は・・・っと・・・」

 

辺りを見回す一刀だったが、目的の店はすぐに見つかった。

 

「おお・・・なんでメイド服がこんなところに・・・?」

 

店先にこれでもかと飾られていたのは、元の世界で見覚えのあるメイド服。

 

近づいてみれば、メイド服、ナース服、セーラー服、バニー服など色とりどりの服が飾ってあるのが見える。

 

「お客様、何かお探しでしょうか?」

 

おおお・・・と、目を輝かせる一刀に、店の店主らしき中年の男が声を掛けてきた。

 

「ああ、いや、出来れば男物の服が欲しかったんだが、この店ではあるのかな?」

 

店内を見渡せば女物が殆どのようだ。

 

「ございますよー。ここにあるものは女物が多いのですが、男物は奥の方にありますよ」

 

そういって一刀を案内する主人に着いて行こうとした時、ある衣装に一刀の目は釘付けとなった。

 

一段高い所に飾られたその衣装は、店内の賑やかな色合いとはまったく違う純白の衣装────

 

ウェディングドレスだ。

 

だがそのデザインは、正に凪が着る筈だったウェディングドレスのデザインだった。

 

しばらく呆然と見ていた一刀に、店主が微笑む。

 

「どうやら、いい人がいるようですねぇ」

 

「あ、ああ・・・」

 

あまりにも呆然と見ていたため、店主の声に思わず驚いて一刀は頭を掻く。

 

「結婚を約束した人がいてね・・・まぁ、旅から戻れば式を挙げるんだけど・・・」

 

照れながら語る一刀に、店主の目尻が下がる。

 

「これは天の御遣い様が考案したもので、結婚式に女性が着る物だそうですよ。

 

まぁ、この店にある女性物の意匠は殆どが天の御遣い様が発案されたものなんですけどね」

 

店主が指差す先には小さく『十文字』の印があった。

 

「なるほど・・・」

 

さすがオレ。と豊富な種類のエプロンドレスを見て頷く。

 

「・・・ん?」

 

ふと、女性物の中にワイシャツがあるのに気がついた。

 

「これが何で女性物の中に・・・?」

 

「その服は『男女兼用』なのだそうですよ」

 

「男女兼用・・・?」

 

そこでピン!と来る。

 

ほほぅ・・・『男性は普段着で、女性は寝間着として』・・・か。

 

ますますさすがオレ。と思う一刀であった。

 

 

白蓮は、綺麗で広い部屋にある寝台の上でちょこんと正座していた。

 

寝台は二人用で広く、枕が二つ並んでいる。

 

「どどどどどどうしよう・・・こここここれは、ももももももう、決定的だだだだよねねねねね」

 

両膝に置いた両手はガタガタと振るえ、顔も真っ赤で次々と湧き上がる妄想に鼻血が出そうだった。

 

「は、は、は、初めての時ははははは・・・どど、どうやるんだっけ?」

 

思い出すのは朱里と雛里の読んでいた本だ。

 

以前、ちらっと読んだ事がある。

 

「あ、あれは・・・たしか、『つなぎ』とかいう服を着て、『やらないか』って言うんだっけかかか」

 

白蓮は混乱していた。

 

 

店で数枚のワイシャツとネクタイを買い、一刀は店を出た所で────誰かに見られている気配を感じる。

 

その気配はよく知っているものだった。

 

だが、その気配が随分小さく感じる。

 

それは自らを二つに分けた影響からだろうか。

 

この場は人が多いのでマズイと、裏の路地へと歩を進める。

 

ニセ凪が必ず『剣』を手に入れようとしてくる筈だと、この数日常に警戒していた。

 

この外史に来てからいつかは現れると分かっていたが、"もう来たか"という思いと、"とうとう来たか"

 

という思いがせめぎ合う。

 

貂蝉から聞いたニセ凪の事・・・。

 

この外史から消えてしまったもう一人のオレを追いかけて、同じく消えるために『鏡』と『剣』を奪おう

 

とした全身に傷跡のあるニセ凪。

 

その気持ちが痛い程分かった。

 

それは一刀の愛した凪を見ていれば、容易に想像する事ができる。

 

「もし・・・オレが死んだらどうする?」

 

いつかの日、デートしていた時に見た映画の影響でそんな事を凪に聞いたら────

 

「追いかけます」

 

即答だった。

 

その表情は真剣そのもので、一切の冗談が無い。

 

そんな凪と、ニセ凪・・・。

 

外見の多少の違いはあるけれど、その中身は同じだと感じる。

 

一刀は歩きながら戸惑う自分自身の心に問いかけていた。

 

どうすればいいのか。

 

どうするのが"正解"か・・・。

 

路地裏の少し開けた場所の中央に立ち、出口に背を向けたまま立ち止まる。

 

気配は、間違いなく着いて来た。

 

「そろそろ出て来いよ・・・凪・・・」

 

出た声が優しい響きなのに自分自身で驚く。

 

何故か『ニセ』と付けれなかった。

 

それは最後に見たこの外史の凪が泣きそうな顔だったからだろうか────

 

「隊長・・・」

 

小さい、呟くような声が背後から聞こえる。

 

その声に含まれた悲しげな響きが怖かった。

 

だが、『剣』を渡す訳にはいかない。

 

姿は違っても、例えニセ凪だとしても、その心を利用するヤツは許せなかった。

 

意を決し、振り向いた一刀の目が驚愕に見開かれる。

 

見えたのは、一対の『黒い閻王』────

────を抱っこして、ボロキレのような布を纏った3歳くらいのチビ凪だった。

 

 

「ヤバイ、可愛い!」

 

お送りしました第12話。

 

やーっと凪が出てきましたよ。

 

小さいですが・・・。

 

ハムさんは・・・やっぱりハムさんですから・・・残念・・・という事で・・・。

 

でも、これでようやく第1話の伏線が回収できました。

 

補足すれば今この外史には凪が3人います。

 

本体の凪と、『鏡』を持った凪、そして『黒い閻王』を持った小さい凪です。

 

小さい凪の持つ役割は何か、そして何故『黒い閻王』なのか・・・。

 

次回予告は

 

「目覚め」

 

なんですが・・・ここでお知らせです。

 

えー・・・私、仕事でえらい失敗をいたしまして・・・。

 

そのフォローとリカバリーで時間が取れなくなってしまいました。

 

しばらくの間、休載となります。

 

折角10日連続更新でようやくここまで来て、さぁ折り返し地点だぞと

 

思ったのですが・・・無念。

 

再開をお待ち下さい。

 

では、また。

 

 

後書き追加。

 

皆様、いつも一言コメントありがとうございます。

 

大変力になっております!

 

実は最初に書いた300kb版だと話が重過ぎると言われたので

 

コメディーパートを増やしているんですが、

 

もしかしてもっと少ない方がいいですかね?

 

そこで一つアンケートをお願いしたいんですが、

 

 

ここからは300kb版に近い方がいいという方は1を、

 

コメディー入れてもokの方は2でお願いします。

 

 

現在2つあるプロットの大きな分岐点でもあります。

 

ちなみに例としては、300kb版の方だと蜀はほとんど出てきませんでした。

 

あ。チビ凪は300kb版でも当然出ますよ。

 

もし1が多いようでしたら、このシリーズが終わったら

 

再編集して300kbに近い形で投稿しようかな?とも思います。

 

では、再開までお待ちください。

 


 
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