No.180141 真・恋姫無双 魏end 凪の伝 11北山秋三さん 2010-10-24 17:49:23 投稿 / 全5ページ 総閲覧数:4848 閲覧ユーザー数:4124 |
※この作品は魏endで一刀が"完全"に消滅した事を前提としているため、
記憶が戻るとかは無いので御容赦下さい。
後、オリジナル設定もあり、登場人物の行動や言動が原作と一致しない場合も
多々ございますので、その点も御容赦下さい。
「雛里、ダメだ。やっぱりいくら探しても見つからない」
「そう・・・ですか・・・では、国外にまで探索の手を伸ばすしかないでしょう・・・」
ポニーテールの頭を掻きながら話す翠の気まずそうな報告に、雛里は盛大に溜息をついた。
「愛紗と鈴々も一緒だから、滅多な事は無い筈なんだけど・・・」
「蒲公英ちゃんと焔耶さんには、引き続き探索をお願いしましょう・・・」
二人は成都の城にある一室でひっそりと会話している。
その内容はとても他人には聞かせられない話だったからだ。
「星さんが呉に向かってくれましたけど、魏はどうしましょうか・・・」
「ああー・・・蒲公英・・・って訳にはいかないもんなぁ・・・」
翠が難しい顔をするが、それもそうだろう。
蒲公英ではとても隠し事ができるような人材ではない。
雛里もその大きな帽子の隙間から見える顔は曇りがちだ。
「ここは紫苑さんに頼むしか無いですね・・・でもそうするとあちらの城の防御が・・・。ハァ・・・」
二人が頭を悩ませている原因は、桃香、愛紗、鈴々、朱里の四人が突然姿を消したからだった。
そしてそれと連動するように、突然謎の敵が蜀を襲い始めたのだ。
その敵の正体はまったくの不明。
突然現れ、蜀の備蓄している食糧等を焼き討ちしたり、他国との行商人を襲ったりしているようだった。
何度も討伐隊を派遣したが、影さえ見えないその敵は確実に蜀を追い詰めている。
すでに他国への輸出、輸入が滞り、経済にも相当な被害が出ていた。
このままでは蜀という国自体が危ういかもしれない。
四人の不在は他国への訪問中であるとしているが、四人が消えてからすでに二週間。
いつバレるかヒヤヒヤしている状況だ。
さらに敵が狡猾なのは決して役人には手出しをせず、必ず民間人を狙っている事。
いくら討伐隊を民間人の馬車に紛れ込ませても、まるで分かっているようにそれだけを避けるのだ。
────どこかから情報が漏れている。
最初はそうも考えて内密に翠、蒲公英、星、焔耶がそれぞれ民間の馬車に紛れ込んだりもしたが、
その時も敵が現れる事は無かった。
それらが敵の策士のものだとすると、その能力はすさまじく高いものだろう。
こちらの動揺を見抜き、先手先手で攻めてくるやり方は朱里に近いものを感じるが、朱里が冷酷に
民間人だけを狙うようなやり方をする筈は無い。そもそもにして、自分の国を攻撃するなどありえなかった。
こんな事が他国に知れたら、間違いなく華琳に怒られ、雪蓮には呆れられる。
何としてもそれだけは避けたい雛里だった。
「雛里、居るか!」
そこへ勢い良く扉を開けて入ってきたのは酔の字の入った肩当をつけた爆乳の桔梗だった。
「あわわ!どうしましたか桔梗さ────」
血相を変えた桔梗の様子に言葉を失う。
「大変じゃ!今、魏の沙和が城に到着したんじゃが許昌の城が落とされたそうじゃ!」
「「ええええええーーーーー!!!!」」
翠と雛里の絶叫が部屋に響いた。
「それでは・・・あなたが国を出発してすぐに許昌の街は襲撃されたのね・・・」
玉座の間では沙和の報告を聞くために紫苑と詠、音々音が来ていた。
「うう・・・そうなのー。後から来た連絡だと、人形がいーーーっぱい現れて許昌の街に火を放ったらしいのー」
涙ながらに話す沙和に三人共に困惑する。
「にわかには信じられない話ね・・・」
「でも、こんな事で偽ってもどうしようもないですよー・・・」
メイド服姿の詠の呟きに音々音が答え、詠は
「そう・・・よね・・・」
と沈んだ声しか出ない。
まさか、という思いしかなかった。
三国同盟の覇者である魏が、こんなに容易く落ちるとは夢にも思わない。
しかし話を聞けば、敵は妖術使いであるという。
「妖術使い・・・」
紫苑が考え込む。
もしその話が本当なら桃香や愛紗達が消えたのも、もしかしたら妖術使いの仕業ではないだろうか。
「あわわ!い、今きましゅた!」
そこへ雛里と翠、桔梗が玉座の間に飛び込んでくる。
「すみません、沙和さん・・・もう一度みなに話していただけますか?」
主要な人員が揃った所で、紫苑が沙和に話を促す。
「うう・・・最初は蜀にいる商人さんと連絡がつかないって人が増えたから、その調査を沙和が
頼まれたのー・・・出発してしばらくしたら、後から遅れてきた来たクソ野郎が大慌ててで許昌の
街が襲撃されたって報告してきたの~・・・グスッ・・・それで戻ろうとしたんだけど、皆は洛陽
に下がるから私はそのまま蜀と連絡をとりあえって言われたのー・・・」
へたり込み、ふぇーんと泣く沙和を紫苑がなんとか宥める。
「街を襲ったのは数え切れない程の人形だったらしいのー・・・」
「それにしても・・・華琳殿がいながら許昌が落とされるとは・・・」
桔梗の呟きに、沙和の体がビクッ!とする。
「それが・・・華琳様は倒れてから意識が戻らないのー・・・」
「「「「「「ええええええええええええええーーーーーーーーーーーー!!!!!!」」」」」」
「秋蘭様も誰かに刺されて意識不明の重体なのー・・・」
「「「「「「ええええええええええええええーーーーーーーーーーーー!!!!!!」」」」」」
成都の城の玉座の間は叫び声で包まれた。
一刀と白蓮は、建業近くの村で宿をとることにしていた。
野宿の時は交代で見張りをしていたが、白蓮はもしや・・・まさか・・・と、ドキドキして寝るに寝れずに
目の下にクマが出来ており、その事に気を使った一刀が宿をとったのだ。
あまり路銀に心許無く一度は断った白蓮だったが、一刀が思わぬ大金を持っている上に、
あの、こちらを心底心配しているようなとても労わる優しい笑みで、
「公孫賛さん・・・休もうか」
と言われては、ああ、もうどうなってもいいやと思った白蓮だった。
今、一刀は村の人に『にゃあ黄巾党』の事を聞いているらしく、不在だ。
白蓮はこの先の旅に必要なものを買い足して宿に戻って来た時、思わず買った物をボトッと落とした。
「お客様、申し訳ありません・・・。二部屋という事でしたが、こちらの手違いで部屋が足りなくなって
しまいまして・・・その代わりとは言っては何ですが、一番上等な部屋を一部屋、料金は最初の一室分で
結構でございますので、そちらに御変更していただけますでしょうか・・・」
恐縮しまくって申し訳なさそうに話す老主人の言葉に、白蓮は
「し・・・しししししし、仕方ががが、仕方がぁ無いんじゃないかな!!??うん、それは仕方が無い!」
と何度も頷いて、震える手で鍵を受け取る。
(みんなごめん、みんなごめん、みんなごめん、みんなごめん・・・もう・・・ごーるしてもいいよね・・・)
白蓮の顔は赤いのを通り越して、すでにヤカンが沸騰している状態だ。心臓も張り裂けそうな程鳴り響いている。
その時、老主人の倍はある恰幅のいい妻が白蓮にそっと近づき、ニヤリとしながら
「今夜のお食事は精のつくものにいたしますからね」
とぽそっと呟いた時、白蓮の心臓は口から飛び出た。
お送りしました第11話・・・。
あんれー?何故か蜀だと、緊張感が出ないですなー・・・。
それが今まで蜀を出さなかった最大の理由でもあるんですけどね。
妙にホンワリとしているのを感じていただければ幸いです。
そして・・・ハムさん・・・どうなる・・・どうする・・・どんどん暴走しているぞぅ。
ではちょこっと予告。
「ウェディングドレス」
あー・・・ついにとか思わないように。
多分違いますよ・・・多分。
では、また。
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