緑の海を白銀が駆ける。
空を飛べる連中がいるので移動はガルルモンに世話になることになった。
その白銀の風に身を預けた二人の少年とオレンジ色の塊。
もどかしくも心地よい時間の中、彼らの言葉は風に浚われる。
監視とも不安とも知れぬ目線に色々思うものがないわけではないが、それでも協力的かつ自分たちを心配してくれている相手に不快を言うほど子どものつもりはない。
「っかし、流石八神家」
「は?」
移動というタイムラグをもどかしく思っているのは事実なのだろう。
「なんの話だよ」
疾走の中の親友殿からの声に、太一は間の抜けた声を上げた。
対して言い出したほうは至極真面目にその態度こそ心外だとみせる。
「いやいや褒めてるんだぜ、本気で」
「褒めてねぇよ、っつーかヒカリは魔法少女じゃないし」
「いやいや、彼女は魔法少女だよ。っていうかお前その時点で認めてるから。
多分オレじゃなくてもいろんな人が賛同するって」
気づけ金髪へたれ。それは事実だが確実に電波だ。
「大体本題。
思った以上にオレ様な組織と関わってるらしいぞ、俺たち」
「言いたいことはわかるが、平たく言や文明なんて良くも悪くも略奪の上にある歴史そのものだろ。
大英博物館なんてのはその代名詞みたいなところで、返還訴訟はほぼ日常。
米国なんぞはいうに及ばず、大和民族だって北や南に本来の住人たちを追いやっていた歴史がある。ま、先住民なんて言葉自体も何様って話になるわな。
農業自体が火種って考え方もあっていいかもしれないが、まぁつまりその辺気にしてたら」
流石素人とはいえロッカー。
さらさら出てくるちゅーに的言葉の物騒さはいいようもない。
太一の表情も自然と苦笑いのものに変わる。
因みにアグモンはすでに聞くことを放棄している。
「いやクォーターのお前が大和民族とかどーよ、っておもわないでもねーけど、そーじゃなくて生きるためならなんとなく理解できるんだ。
本当はもっと平和的な、なんてきれいごといわねぇよ。実際俺たちだって戦ってきたんだし」
「ああ」
「でも、支配する意味ってあるのか?めんどそうなだけだと思うんだけど」
「暇なんだろ。権力者って奴は」
戯言を交わしているうちに……戦場が、見えた。
「はやてちゃんや、例のアースラってとこの連中なら、現場だからな。
案外馬もあいそうだったけど」
「あいつらにとっちゃ俺たちのことは"よけいなもの"だろ。
背負わせる道理はないさ」
ディスペイズマン・シード 3-⑤
目がチカチカするような、冗談めいた光の砲撃の中、蒼と翠が舞い踊る。
光と色彩は幾度となくぶつかり、そして有無言わさず色彩が全ての勝利を収める。
幻想的であり、なお無慈悲な爆発の繰り返しの中を風が駆け抜けた。
「大輔」
「賢。無事か」
それを睨みつけ、相棒たちに冷静なようなやけくそのような指示をしていた二人の少年が、先輩たちの声に反射的に目線を走らせた。
「太一さん!」
「ヤマトさん」
あからさまにほっとしたのは救援が来たからではなく、そこにとある姿がないからだろう。
そんな失礼な後輩の心理がわからないでもない先輩たちは決してあからさまなことは言わず、純粋に戦況を問う。
「ジョグレスしなかったんだな」
「はい。威力よりも小回りが利いたほうがよさそうだったので」
「それ、賢の意見だろう」
「今更確認するまでもないッス」
「知ったかの顔でいうなよ大輔…それより、太一」
「わかってる。どうしたって長く持つ戦法じゃねぇしな」
指示の通りはいいのだが、防御ばかりではどうしようもない。
向こうさんにも体力はあるだろうが、デジモンには敵うまいが……「組織」である。
そういう場合も心得ているんだろう。
となるとどちらが不利か。
「根競べッスよ。とはいえ反撃すれば死にかねないし」
彼らは自分たちを攻撃してくるのが非殺傷能力を持っているということを知らない。
っつーか知るはずもない。なんだかんだでそんな説明は聞いてないのだし、魔力も存在もすべてが「データ」という一律のものになっていることがその機能を有効にしているかどうかは実は不確かだったから、その前提は必然的なものでもあった。
とはいえ。
「話を聞く限りは比較的丈夫らしいけどな。体力ならこっちで勝つんだし」
「とりあえずお前らは防御に徹してくれ・・・・・・・・・こっちが叩く」
「え、でも攻撃は」
駄目って言った本人らがやったるとか言われても、という後輩の反応に、先輩たちは寛容だ。
「大丈夫だ」
「あぁ。なにせ、出来レースだからな」
「はぁ?!」
「どういう……」
「っつーわけで。いくぜ、アグモン!」
「頼むぞ、ガルルモン!!」
そして。彼らの力(進化)が光を放つ。
はやてはヒカリのパートナーと紹介されたテイルモンと、丈のパートナーだというゴマモンに逢っていた。
勿論、監視をしている一部を除き、アースラのメンバーも画面越しに。
最初の顔合わせの時に隠していたのは正解だったらしく、この世界の存在が意志の疎通のできるものだということを確認した上の邂逅は余計な混乱を避けることになった。
特にひとなつこいゴマモンと理知的なテイルモンという組み合わせは、様々な存在を示す格好のテストケースとして機能した。
特にはやてはどこか自分の騎士の将をも思わせるきりっとした・・・・どでか手足のにゃんこと、どこか海洋生物を思わせるのに、ぬいぐるみみたいな感じの、えっとあざらし?
データの塊だといわれても、それを言われれば自分の家族も、観るものが見れば「おなじもの」なのだろう。
だから、というわけではない。
むしろ受け入れることが出来る心をくれた家族に感謝すらして、甘えてくる、確かに暖かい身体を抱きしめる。
「ごまもんかわえぇなぁ」
「えへへ~やはてすきーw」
とまぁデジモンの方は平和だったのだが、その相方である人間の方は質問攻めにあっていた。
いかんせん彼の性分はアレである。
ごまかすというスキルは彼にはないが、刺し当たって彼に投げかけられたのは比較的公平な部類に入るものだった。
一度はやてにも説明されたが、改めてこの世界がデータであること、独自の生命体であるデジタルモンスター。そして、この世界に存在する全てのものが、同質のものになるということ。
それを説明されて、ふと執務官が首を傾げた。
彼らは基本マルチタスクという生身でPCみたいなスキル持ちだ。
意識の半分を監視に回しながら、この世界の安全を考える。
「それは魔法をキャンセルすることも出来るんじゃないだろうか?」
「え?」
そうといわれてしまって、戸惑ったのは丈の方だ。
だってそんな、彼は大真面目に、自分たちのある意味存在理由そのものをさくっと否定したのである。
ついでにそのかーちゃんも。
「そうね。こちらの魔法もプログラムだもの。データとして処理されるとしたら、AMFなんて目じゃないんじゃないかしら」
「そういうものなんですか?僕は解析が担当じゃないので詳しくは……」
わからないけれど、意図が理解できないでもない。
っていうか理解していいのか?これ。
「もし問題ないなら、ミッドチルダのシステムを概要だけでも」
「えぇえ?!いいんですか、そんな」
むしろ聞くほうが問題ありそうな言い出しに、戸惑わない理由はない。
だが言いだしっぺと言えば、そんな当然の同様に笑ってすら見せる。
「なに。上層部がアホなことに予算を削らなくなればこちらとしても都合はいい」
「使えないなら使えないで無茶しませんか?」
「逆を言えば海にいる連中は魔法が使えなければ何も出来ないと思ってるからな。それで地上を馬鹿にしてるようなものだ。
魔法無効世界と知れば勝手に離れるだろう」
・・・・・・
「大丈夫ですか?そちらの世界」
思わず聴いてしまった言葉は、きっと間違いではないと信じたい。
・・・・・・・・・・多分。
「君は実に誠実だな。
・・・・・・大丈夫じゃないんじゃないか?
僕としては魔王様に一度すっきり破壊してもらえたらなとも思っている」
「クロノくんー。わたしの親友をテロリストにしたてあげんといてやぁ」
「僕がであったときから彼女はテロリストだったよ。しかも第1級の」
不思議なことに、その言葉に関しての反論はなかった。
どんなだよ、とか突っ込める人間がここにいないのは残念だ。
特に、その後に続いた言葉というのが不思議と優しく響いたせいでうやむやになってしまうのも、一つの気概。
「結局、物語をハッピーエンドにするのは不屈の心と絶対的なプラス思考。
ついでに有無を言わせないお話の為の砲撃言語なんだと悟ればこれくらいは褒め言葉さ。
こんなはずじゃなかった世界を覆すのは、いつだって権力なんてチンケなものじゃない」
・・・・・・・・・・
ごめん。なんだろう、話が進まない方向のカオスは問題あると思う
けっこう手直すと思われ
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「時空管理とかwwぷっwwwなにその妄想」
というカラー的アンチのっつーかこういうのアンチっていうのやら、ディスペイズマン・シード。久しぶりの更新ですが、殆ど生存報告的短ぁあああっorz
地味なパンクでロックな方向に。主に反社会的な思考の意味で。
デトックスの結果がこれだよ!!
ごめん、書き直すかもしんない!