第二幕虎牢関の戦い 第一話北郷警備隊
「華琳。凪、真桜、沙和の三人を俺にくれ。」
俺のこの一言に王座の間は、一瞬の沈黙が流れる。
そして、玉座の間が騒然となる。
「か、一刀。それはどういうことかしら?」
「貴様、華琳様が居られるのにあの三人が欲しいとはどういうことだ?」
「女と見たら見境なく手を出すなんて、やはりあんたは変態よ。」
「一刀様。私が必要だと仰って下さったのは、嘘だったのですか?」
華琳、春蘭、桂花、翡翠が抗議をしてくる
件の三羽烏は完全に蚊帳の外であった。
「お前たち、何か勘違いしてないか?」
「北郷。それはどういうことだ?」
声を掛けてきたのは、秋蘭だった。
彼女は常に冷静に物事を判断できる。
「返答によっては、この矢が貴様を貫くぞ?」
前言撤回。かなりお怒りのようです。
お願いだから、弓を構えないでくれ。
「今度、警備隊の見直しと少数精鋭の部隊を作ろうと思うんだ。区画ごとに警備隊を配置し、交代制にする。しばらくは本隊の人を借りることになるけど、民間から集めた警備隊の人にも軍本隊との訓練に参加してもらって、武力や指揮能力の高い人を本隊に引き抜こうと思ってる。」
「そうね。この件は一刀に一任するわ。」
「そういうことだ。凪たち三人はこの後、調練場にきてくれ。」
「「「了解です。」」」
「他に何かあるかしら?ないのなら軍議は終わりね。」
「本日の軍議は終了だ。解散。」
俺達は、今調練場に居る。今回は凪たちの実力を見るためのものだ。
「さて先ずは凪からかな。凪、本気で来い。」
「はい。隊長。」
凪は姿勢を低くして一気に間合いを詰める。
俺は動きを見極めるために繰り出す拳や蹴りをぎりぎりでかわす。
動きは悪くないがあまりにも直線過ぎる。
「凪。もっと虚実も入れてみろ。ある程度、打ち合ったら動きを見切られる。」
「は、はい。」
凪はフェイントを混ぜながら拳を繰り出す。フェイントが入りだしてから一つ一つの動きに鋭さが増す。俺にも余裕がなくなってきた。
―たった一言でここまで動きが良くなるとは、末恐ろしいな。
凪は俺との間合いをあけて、低く構える。そして、凪が右腕から氣弾を放つ。
俺は残月に氣を纏わせ、凪の氣弾を切りつけ相殺する。
凪は俺に氣弾を相殺されたことに、驚き固まっている。
「何を固まっている。戦場ならただの的だぞ。」
「す、すみません。」
「まあ、これは凪の実力を見るためのものだ。これからは、気をつけてくれよ。」
「はい。」
それから何合か凪打ち合った後、沙和、真桜と模擬戦を行った。
「さてまずは、三人とも技量的に問題なし。しかし、戦場ではこのままじゃ将の中では真っ先に死ぬだろうね。」
「「「!」」」
「まあ、そうならない様に課題を出す。まずは沙和から。沙和には、右手で攻撃、左手で。防御。これを徹底して体に叩き込む。それができるようになったら攻守を逆にする。次に真桜だが、その獲物じゃ大振りした時に隙が出来る。それを補う為に小技を覚えることだね。ちなみに相手は沙和とだ。最後に凪は俺が直接相手をして氣の使い方を覚えてもらう。それでいいかな?」
「了解です。」
「なんか面倒なの。」
「せや。なんかいまさらやなぁ。」
「お前達。」
「いや、凪。これは自主的にやらなきゃ意味がない。」
「しかし、それでは。」
「まあ、仕方ないね。せっかく飴を用意したんだけどね。無駄になっちゃたね。」
「飴ですか?」
「そう飴。」
俺は2冊の本をとりだした。
「組み手で勝った方にあげようと思ったんだけどね。今月発売予定の『阿蘇阿蘇』と『からくり夏候惇将軍』の設計図なんだけどね。」
「「!」」
「『阿蘇阿蘇』の方は、天界の服や小物特集だったよな。」
「!」
「『からくり夏候惇将軍』には天界の技術も加えてもみたんだがな」
「!」
「まあ、仕方ない。俺には必要ないし、街の商人にでも譲るか。」
「隊長、沙和がんばるの。」
「せや、沙和を倒してその設計図を貰うんや。」
「沙和だって、真桜ちゃんを倒してもっとおしゃれさんになるの。」
そう言うと、二人は(欲塗れの)組み手を開始した。
普段では見ることの出来ない動きをしている。
俺は飴を用意したことに後悔し始めた。
「二人のやる気を出すために用意したんだが・・・。ちょっとやりすぎたか?」
「やりすぎですね。」
この後も二人の欲に塗れた戦いはダブルノックアウトとなり、引き分けに終わった。
俺たちはその様子を見てため息を吐きつつも、弓兵の鍛錬場に向かった。
「隊長。私は、その・・・。弓は苦手なんですが。」
「弓を射るんじゃないよ。まぁ、見てて。」
俺はそういうと残月を上段に構え、一気に振り下ろした。
すると十数メートル先の的が二つに割れた。
「隊長。いったいどうやったんですか?」
「残月を媒体にして氣を放っただけだよ。」
「今のも氣なんですか?」
「ああ。必要な場所に、必要な分だけ集めて打つんだ。凪のはただ撃ってるだけだから無駄が多い。だから、氣の収束法を学んでもらう」
「はぁ。」
「ちなみに、氣の収束が身についたらこんなことも出来るから。」
そう言って左手の拳に氣を集め、近くにあった岩を殴りつける。
ドッカンっと大きな音をたて岩が崩れさる。
「まぁ、こんな感じかな。」
「私に出来るでしょうか?」
「それは凪の努力しだいだよ。でも、凪なら出来るよ。」
「はい。」
「じゃあ、今日はこのくらいにして二人を起こして、ご飯にでも行こうか。」
「了解です。」
凪は二人を起こしに走り出した。
「さて、俺も明日から頑張りますか。」
そう言って俺も凪の後を追った。
第二幕の虎牢関の戦いですね。はっきり言いますが、華雄姉さんが強くなってます。
少しぐらいは花を持ってもらいたいので。
しかし、このままでは関羽との一騎打ちで死んでしまいそうです。
ではまた次の作品でお会いしましょう。
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第二幕虎牢関の戦いですね