No.169503

すく~るみずぎという名の神器

tanakaさん

皆大好きハムこと、白蓮さんです。
あまりに不憫なこの子に光を!
テーマに沿ってるか微妙かもしれませんが、夏といえば水着。水着といえばスク水ですよね。……ね?

少し祭に参加しすぎな気がするけど自重はしない。

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2010-08-31 18:49:54 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2810   閲覧ユーザー数:2625

「はぁ……どうすれば、もっと目立つ事が出来るのかな?」

 別に麗羽みたいに派手になりたいわけじゃないけど、もう少し皆の視界に収まりたいよなぁ。

 最近じゃ、影が薄いどころの問題じゃなくなってるし、ほんとただの空気だよな。

 高望みはしないから、少し……ほんの少しでいいから自分の個性が欲しい。

 

「ほぅ。そこまで個性を望むのでしたら、一ついい方法がありますぞ」

「せ、星!? 何処から湧いて出てきてるんだよ?」

「むっ。その言い方はまるで私が虫のように聞こえるのですが……」

「あ、いや、そういう意味で言ったわけじゃないんだ。ちょっと驚いて……」

 急に自分の部屋に出てきたら、誰だって驚くだろ。

 まぁ、そんな事よりも今は――

「それで星。いい方法があるって言ってたけど、それは一体どんな方法なんだ?」

 星の提案なのが少し怖いところだけど、そんなのを気にしてる場合じゃないよな。

「個性が付く方法。それは――」

「それは……?」

 

「これを着る事です!」

 

 星が自信満々で差し出した物。それは――

「せ、星……それは一体なんだ?」

 初めて見る服? のような物だった。

「これは天の国に存在する夏の定番の服で、主の説明では、すく~るみずぎというやつらしい」

「すく~るみずぎ?」

 何だ? 変な名前の服だな。というより、見た目がエロイ気がする……

「本来は紺色が主流らしいが主いわく、白のすく~るみずぎは至高らしい」

「全然意味が分からないな。それよりも若干嫌な予感がするんだけど、私がそれを着るのか?」

 北郷の煩悩が詰まってそうな服を……  

「その通りですが、何か問題でもありますかな?」

「あるに決まってるだろ!」

 そんな恥ずかしい物、着るなんて出来るわけがないだろ!

「だがこれを着れば、間違いなく個性が出ると思いますぞ」

「ぐ……っ」

 確かにそれを着れば個性は出るかもしれないけど、その代わり何か大切な物を失うような気がするんだ。

「更にこれを着れば主も喜ばれると思いますが?」

「北郷が……」

「そう。白蓮殿も主が喜ぶところを見たくはありませんか?」

「北郷が喜ぶところ……」

 私が北郷を喜ばせる……私の個性で北郷が喜ぶ。

 私の姿で北郷が――

 

「白蓮殿。この、すく~るみずぎ。着る気になりましたかな?」

「あ、ああ。その、すく~るみずぎを着よう!」

 すく~るみずぎを着て私だけの個性を。

「それでこそ白蓮殿。だが一つだけ注意して欲しい事があります」

「ん? 注意?」

「その白のすく~るみずぎは、濡れると透けるらしい」

「す、透けるのか!?」

 やっぱり着るの止めようかなぁ。

「そうみたいですが、それでも着られるのでしょう?」

「…………」

 これも全て自分の個性を出すためと、北郷のためなんだ。

 そうだ。北郷が喜んでくれるのなら私は――

 

 

「ど、どうだ北郷。似合うかな?」

「あ、ああ。白蓮の白スク姿。完璧すぎる」

「そ、そうか。それはよかった」

 恥ずかしい想いをした甲斐があるってもんだ。

「きっと白スクは白蓮が着るためにあるんだろうな」

「北郷♪」

 ああ。今の私は今までで一番輝いてるよ。

 ここまで輝いているのは初めてだよ。

 すく~るみずぎを着て本当によかった。

 そして、北郷が喜んでくれて本当によかった。

 

 すく~るみずぎ。これはもう影の薄い人間にとっては、一つの神器だな。

 


 
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