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真・恋姫無双呉ルート外伝「俺と愛紗の夏休み」第三章

海皇さん

 皆さんお待たせしました。
 今回は北郷一家総出で海水浴に行く話しです。
 愛紗が最近不遇なので(出番がない)私の外史で活躍させ てサティスファクションするしかねえ!


2010-08-09 08:50:06 投稿 / 全14ページ    総閲覧数:11516   閲覧ユーザー数:9999

 「爺ちゃん、頼む、今日は修行を休みにさせてくれ」

 

  俺は爺ちゃんにそう言って頭を下げた。

 

 「・・・・なぜじゃ?」

 

 「だってそうだろ!?せっかくの夏なのに海水浴もデートも花火もやらずに毎日毎日修行修行!!いくらなんでも味気なさ過ぎるわ!!」

 

 そう、夏休みが始まってからもう2週間経つけど、毎日毎日修行ばっかり、しかも全部一歩間違えれば、・・・いや、一歩間違えなくても死ぬレベルだから味気ないを通り越して

地獄の夏休みとしか言いようが無い。こんなんじゃ・・・満足・・・できねえぜ・・・。

 せっかく愛紗と一緒に鹿児島来たのに修行で休みを終わらせていいのか!?いや、良くない!!だから俺は爺ちゃんに休みをくれるよう頼んだんだ。

 

 「まあどうせ駄目って言うだろうけど・・・「うむ、良いぞ」・・・ってええ!?まじで!?」

 

 俺は爺ちゃんの言葉に驚いて思わず爺ちゃんの顔を凝視してしまった。爺ちゃんはそんな俺の顔を見て笑っていた。

 

 「高校二年でたった一度の夏休みじゃろう?わしも鬼ではない。毎日修行ばかりでは味気ないじゃろう?せっかくじゃし近くの海に海水浴でも行こうではないか?」

 

 おお・・・ま、まさかオッケーが出るとは思わなかった・・。しかも海水浴、まさに夏にふさわしいじゃないか!爺ちゃん、ナイスチョイスだ!!

 

 「おお~!!爺ちゃん、ありがとう!!恩にきるぜ~!!」

 

 「フォッフォッフォ、そうと決まれば早く明日の支度をしてきなさい。明日は早いぞい」

 

 「わかってる!!」

 

 俺は爺ちゃんにそう返事を返して愛紗の部屋に向かった。

 海水浴のこと、言いたかったしな。

 

 でも俺はこの時気付かなかった。

 

 爺ちゃんの目が怪しげに光ったのを。

 

 「海水浴、ですか?」

 

 俺の言葉を聞いた愛紗はきょとんとした顔をしている。いきなりの話で驚いたのかな?

 

 「ああ、爺ちゃんの許可も出たし明日愛紗も一緒に行こうぜ!」

 

 「そうですか、ならば是非!・・・・と、言いたいんですけど・・・」

 

 と、突如愛紗の顔が曇った。

 

 「ん?どうしたの?」

 

 「水着・・・持ってないんです・・・」

 

 あ、そうかしまった!確か愛紗この世界に来てからプールとか行く機会無かったからな・・・。そのせいで水着持ってなかったんだ。

 

 「そっか・・・、どうしようか・・・「なら、今から買いに行けばいいじゃない」・・・って母さん!?」

 

 俺と愛紗が話していると、いつの間にか扉の前に母さんが立っていた。

 母さんはニコニコと笑いながら俺達の驚いた顔を見ていた。

 

 「水着が無いのなら、今からでも買いに行けばいいわ。調度私も買い物に行こうと思っていたし」

 

 「で、でも私今持ち合わせが・・・「お金なら私が出すわよ、将来一刀のお嫁さんになる人だもの、それくらいサービスするわ♪」・・・お、お母様!?!?」

 

 母さんの言葉を聞いた愛紗は顔を真っ赤にして慌てふためいていた。そりゃあいきなり俺のお嫁さんとか言われりゃあな。愛紗恥ずかしがりやだから。

 「母さん、愛紗をからかうのもそれ位にしてやってよ」

 

 「あら一刀、あなたは愛紗ちゃんをお嫁さんにしたくないの?」

 

 「え!?そ、そりゃあ愛紗が嫁になってくれたら嬉しい・・・って、何てこと言わすんだ!!」

 

 ああ~、愛紗顔がさらに真っ赤になって今にも湯気が出そうだよ。

 そして俺もすごい恥ずかしい。何しろ愛紗に告白じみた事言っちゃったんだから。

 母さんはそんな俺たちを見ながらくすくすと笑っていた。

 

 「うふふ、それじゃあ買い物に行きましょうか、愛紗ちゃん♪」

 

 「う・・・は・・・はい・・・」

 

 母さんの言葉に途切れ途切れに小さな声で答えながら愛紗は母さんの後について出て行った。

 俺はそれをただ呆然と見送った。

 やれやれ、母さんって昔っからああいう性格なんだよな・・・。

 人をからかうのが好きで、俺や一菜も被害にあったもんだ。

 

 それにしても、愛紗の水着か・・・。何か楽しみになってきたな・・・。

 

 俺は床に寝転がりながら愛紗の水着姿を想像していた。

 

 

 一菜side

 

 ふふふふふ・・・。

 

 いい事を聞いてしまいました・・・。

 

 明日修行が休みになって皆で海水浴に行くことになったのです・・・。

 

 海水浴といったら海。海といったら水着!

 

 「ふっふっふ、兄さん、私のセクシーな水着姿で悩殺して上げますよ~♪」

 

 そう言って私は高笑いをした。

 この私の水着姿を見れば兄さんも愛紗に見向きもしなくなるに違いない!!

 そして兄さんは私のもの~♪

 ん~、我ながら最高の計画♪

 

 「くっくっく、愛紗め・・・、兄さんは必ず返して頂きますからね!!!」

 

 と、その為にも水着を準備しないと!

 こんな時の為に、とっておきの水着を用意してきたんですから!

 ふふふ・・・。待ってて下さいね~♪兄さん♪

 一刀side

 

 そして翌日、俺達は家の近くにある海水浴場に来ていた。

 

 さすがに夏だけあってあちこち人だらけだった。

 

 「うっひゃー、人が多いな・・・。場所取れるのかな、父さん」

 

 「ああ、それならお父さんが既に場所を取っているはずだから大丈夫だよ」

 

 爺ちゃんが?なんか少し不安だけど・・・。

 

 「おお~い!!お主等!!ここじゃここ!!」

 

 と、何やらでかい声が聞こえたのでそっちを向くと、そこには褌姿の爺ちゃんが仁王立ちしていた。

 ・・・・結局探すまでも無かったな、というか二メートル以上の背丈の筋肉ムキムキの爺さんなんて他には居ないよ・・・。おまけに褌を着けて海水浴に来る人も・・・。

 

 「ちょっ、爺ちゃん!目立つからあんまりでかい声出さないでよ!」

 

 「なんじゃあ!お主達が迷わぬようにわざわざでかい声をあげておったんだろうが!」

 

 「爺ちゃんの姿は遠目でも十分目立つわ!!わざわざ大声出さなくても分かるっての!!」

 

 そんなに目立つかの~、と、爺ちゃんは自分の体を見る。っていうか目立たんほうが不思議だろ、実際。

 

 「それより一刀、早く水着に着替えないと」

 

 「ん?ああ、そうだね父さん」

 

 父さんが俺にそう促してきたため、俺達は浜辺に設置された公衆用の脱衣所に向かった。

 

 

 その後俺と父さんは水着に着替えて爺ちゃんの居る場所で母さん達が着替え終わるのを待っていた。

 

 「遅いな、愛紗達」

 

 「ははは、女の子の着替えは遅いものだよ、一刀」

 

 そんなものかな?

 

 「そんなものじゃ、わしなんぞ、婆さんの着替えに付き合わされて30分待たされたことがあったわい」

 

 隣で爺ちゃんがそう答える、って人の心読むな!怖いだろ!!

 

 「何、お主の顔に書いてある言葉をそのまま読んだだけじゃよ。そう驚くことではあるまい」

 

 いや、十分すげえだろ。それって。

 と、そうこうしていたら、着替えが終わった一菜と母さんが俺達の所にやって来た。

 

 一菜の水着は水色をしたビキニ姿で、清楚な色合いが一菜によく似合っていた。

 

 そして一菜はなぜか真っ先に俺に近づいてきた。

 

「兄さん・・・あの、どうでしょうか、私の水着・・・」

 

 一菜は俺の前に来るや否や、少し顔を赤らめて、俺にそう聞いてきた。

 俺はそんな一菜の頭を撫でながら

 

 「うん、とってもよく似合ってるよ」

 

 と、正直に答えた。と、一菜はうつむいたまま、「・・・ありがとうございます」と小さな声で言った後、父さんの後ろに隠れてしまった。

 

 「?どうしたんだ、一菜」

 

 「ははっ、恥ずかしかったんだよ、一刀に褒められたのが」

 

 「そうね、一菜ったら昔っからお兄ちゃん大好きっ子だったからね」

 

 俺が一菜の行動に疑問を持っていると、父さんと母さんがそう答えた。

 しかし、お兄ちゃん大好きねえ・・・。いい加減学校でボーイフレンドの一人でも作ればいいのに・・・。

 俺がそんなことを考えていると、爺ちゃんが「一刀よ、愛紗ちゃんが来たようじゃぞ」

と言ってきたので、俺は思考を中断して海とは反対側に目を向けた。

 そこには、真っ白なビキニを着た愛紗が立っていた。

 日光を反射してまるで輝いているように見える白いビキニは、愛紗の白い肌と調和していて、まるで愛紗を、ひとつの芸術品のように見せていた。

 俺はそんな愛紗に見とれていたのだが、愛紗は恥ずかしいのかもじもじしていた。

 

 「か、一刀様・・・そ、そんなに見ないでください・・・」

 

 俺は両腕で体を隠すようにする愛紗に向かって近づき、優しく抱きしめた。

 

 「大丈夫、よく似合ってるよ、愛紗」

 

 「うう・・・本当ですか?一刀様・・?」

 

 「本当だよ、愛紗、俺が言っているんだから間違いないって」

 

 俺が愛紗から体を離すと、愛紗の顔は真っ赤だったけど、嬉しそうな笑顔をしていた。

 

 

 「ふぉっふぉっふぉ、熱いのう、二人とも。若い頃のわしと婆さんを思い出すわい」

 

 「そうですね、僕も由美との事を思い出しますよ」

 

 「うふふ、それだけお似合いって事ですね♪結婚式が楽しみだわ♪」

 

 (ぬおおおおおおおおおおお!!!!ま~た~し~て~も~!!!

 おのれえええええ!!!ディケイド・・・じゃない!愛紗ああああああ!!!!)

 

 そんな俺達を家族が面白そうに見ていたので、俺達は恥ずかしくなりパッと離れた。

 しかし、なんか一菜から真っ黒なオーラが滲み出ているんだが・・・。

 なんかテラー・ドーパントのフィールドみたいなのが・・・。

 まじで怖いんですけど・・・。

 

 「ではまずスイカ割りといこうかのう!」

 

 で、全員揃ったところで、いざ遊ぼうとしたとき、爺ちゃんの一声でなぜかスイカ割りすることになった。

 

 「ではまず一刀よ!やってみよ!」

 

 と、これまた爺ちゃんの一声で俺が最初にやることになった訳だが・・・。

 

 「一刀様!もう少し右です!」

 

 「兄さん!あと左斜め48度です!」

 

・・・とまああちこちから方向を指示されるから逆にどこにスイカがあるのか分からなくなった、っていうか一菜、その指示逆に分からなくなるから!まじで!

まあしかたないから、視覚以外の感覚をフル動員させてなんとかスイカの位置を察知して・・・。

 

 パコーン!

 

 一気に振り下ろしたところ、何かが割れる手ごたえがしたため、目隠しを外したところ、そこには真っ二つになったスイカが転がっていた。

 

 「お見事です!一刀様!」

 

 「さすが兄さんです!これも一菜のナビのおかげです!」

 

・・・いや、正直一菜のはあてにならなかったな・・・。

 それで俺の後に愛紗がやったんだけど、これは一瞬で真っ二つにしちゃったから特に言うことは無いな。

 問題は爺ちゃんだ・・・。なんせ愛紗いわく全力の三分の一でも出したら三国の武将全員を全滅させられるって実力だからな・・・。スイカ粉々にならないかな・・・。

 

 「爺ちゃん・・・、くれぐれも手加減してくれよ・・・?」

 

 「なんじゃあ、心配そうに・・・。安心せい!ちゃんと手加減するわい!」

 

 なんかまじで心配だけど、俺・・・。

 それで、爺ちゃんに目隠しをさせて数回回転させて開始の合図をした瞬間、

一瞬でスイカの前に立つと振り上げた木刀を・・・

 

 「ぬりゃあああああああああ!!!!」

 

 一気にスイカに振り下ろした。

 

 

 んだけど、次の瞬間

 

 

 ドバアアアアアアアアン!!!!

 

 

 

 と、凄まじい音を立て、スイカが木っ端微塵に砕け散った。

 

 「「「「「・・・・・・・」」」」」

 

 俺達はただ呆然とかつてスイカがあったであろう場所を見つめていた。

 

 「むう・・・、少々加減ができなくなっておるのう・・・。やはり歳はとりたくないものじゃの」

 

 隣で爺ちゃんが呟く声が空しく周囲に響いた。

 

 結局スイカが無くなってしまった為、スイカ割りは中止、海や浜辺で遊ぶことになった。

 

 でだ、今目の前で愛紗と一菜が遊んでるんだが、一菜が愛紗に向けて水鉄砲撃ったり、ボール投げたり、と一菜が愛紗に一方的に絡んでいるだけにしか見えない。

 

 「おいおい、二人とも怪我しないだろうな・・・」

 

 「はは、大丈夫だよ、どれも怪我するようなことやってないし」

 

 まあ確かに父さんの言うとおり、どれも子供の喧嘩みたいなもの(ちなみに愛紗は完全にスルーしている)だし、まあ怪我することはないだろう。

 

 「しかし一刀よ、お主も変わったの」

 

 「?何が?」

 

 突然の爺ちゃんの言葉に俺は爺ちゃんの方を向く。

 

 「うむ、まさかお主が自ら望んで修行をしたいと言い出すとは思わなかったからの」

 

 「うん、それには僕も驚いたよ。いつもは嫌がってばかりだったのにね」

 

 爺ちゃんの言葉に父さんも続けて答える。そういえば俺っていつも爺ちゃんの修行から逃げてばかりだったな・・・。今も時々逃げ出したくなることがあるけど。でも・・・。

 

 「強くなりたいと思ったんだ。大好きな人を、守れるくらい強く」

 

 俺は爺ちゃんと父さんに向かってそう言った。

 俺の何一つ偽りの無い本心を。

 その言葉を聞いた爺ちゃんと父さんはどこか懐かしそうに微笑んでいた。

 「大好きな人を守れるくらい強く、か・・・。昔、わしも言ったことがあったのう・・・」

 

 「僕も、一度言ったことがありましたね。そうか、一刀も誰よりも守りたい人が見つかった   か・・・」

 

 爺ちゃんも父さんもなんだか昔を思い出しているかのような表情を浮かべていたが、しばらくすると爺ちゃんは俺に鋭い目で見つめてきた。

 

 「じゃが、お主も分かっておるじゃろうが、修行はさらに厳しくなるぞ。途中で投げ出したくなるかもしれん。下手をすれば命にかかわるものもあるぞ。それでも続けるか?」

 

 俺はそんな爺ちゃんの真剣な目を見返しながら、爺ちゃんの質問に答えた。

 

 「ああ、そんなこと、分かりきってるさ。俺だってそれを覚悟してやってるんだから」

 

 「フォッフォッフォ!それでこそ我が孫じゃのう!雷刀よ!」

 

 「ふふ、当然、僕の息子ですからね」

 

 俺の言葉に爺ちゃんと父さんは嬉しそうに大笑いしていた。それを見ていた俺も、自然と笑みが 浮かんできた、んだが、

「ところでのう、一刀よ」

 

 と、突然爺ちゃんが話し始めた。

 

 「な、何だ?爺ちゃん」

 

 「うむ、お主は、修羅場というのを体験したことがあるか?」

 

 しゅ、修羅場!?まあそんなのは前の世界で嫌というほど体験してきたけど・・・。

 まさかそんなことを言うわけにはいかないし・・・。

 

 「い、いや、ないけど・・・」

 

 「そうか、では・・・・」

 

 なにやら爺ちゃんが怪しい笑みを浮かべながら立ち上がる。

 身の危険を察知した俺は急いで逃げ出そうとするがすぐに首根っこを掴まれ・・・

 

 

 

 「ちとばかし体験してこおおおおおおおい!!!!」

 

 「なんでだああああああ!!!!!」

 

 

 

 

 愛紗と一菜が遊んでいる場所に放り投げられた。

 そして結局二人にもみくちゃされ、挙句の果てに二人の大喧嘩にまで巻き込まれて、文字通り、修羅場を味あわされたのであった。

 

 「覚えてやがれくそ爺いいいいい!!!!」

 

 愛紗と一菜の闘争に巻き込まれながら俺は青空に向かって叫び声を上げた。

 

 

 「ふぉっふぉっふぉ、なかなか面白いのう」

 

 「・・・というかお父さん、もしかして初めからこれが見たくて海に来たんですか?」

 

 「なあに修行じゃ修行、男ならばこれくらい一度は経験せんとのう!」

 

 「そんなものですか?」

 

 「そんなものじゃ、おお!由美さんが戻って来たようじゃぞ!」

 

 「あ、そうですね、それじゃあ僕達はのんびり昼飯の支度でもしますか」

 

 「そうじゃな、腹が減れば収まるじゃろうしの、フォッフォッフォ」

あとがき

 

皆さん、本日更新させていただきました、真、恋姫外伝、第三章です!

 

今回は家族総出で海水浴に行く話しになりました!

 

 まあ夏休みですから海水浴イベントは外せないと思いまして、色々試行錯誤して書きま

 

した。私はここ3年行ってませんけど・・・。

 

しかし気付けば三作目、しかも更新速度もだいぶ落ちていますね・・・・。

 

本編再開できるか、心配です。まじで。

 

それでは次回またお会いいたしましょう。

 

 


 
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