はじめに
この作品の主人公はチート性能です。
キャラ崩壊、セリフ崩壊、世界観崩壊な部分があることも
あるとは思いますが、ご了承ください。
北郷軍・本陣
「朱里、まずいぞ押され始めてる。このままじゃ戦線が維持できん。」
敵将との交戦に入った途端、他の兵たちを一手に受けていた白蓮たちだったが、敵のあまりの数に対処できなくなってきた。朱里や詠もこのままではと難しい顔をして考えている。先程飛び出していった舞華の事も気になったが、今は現状を打開する策を考えなくてはならない。そんな中、本陣へ伝令の兵が飛び込む。
「諸葛亮様、北方に砂塵を確認。旗印は深紅の呂旗です。」
その報に重苦しかった本陣の空気が若干和らいだ。
「それじゃあ、ご主人様や恋さんと連携しつつ現状を打開します。白蓮さんと関靖さん、それに張昭さんと張承さんは敵兵を受け止めてください。その後、ご主人様たちが反対側から挟撃して混乱したらすぐさま反撃に移ります。」
「わかった。」
朱里の指示に頷く白蓮。その後一刀たちが合流し敵兵は突然の増援に混乱する中、白蓮たちはその混乱に乗じて反撃へ移り徐々に戦況を盛り返していく。
「劉璋様!北郷と呂布が現れました。兵たちは混乱しており、それに乗じて反撃に出てきています。」
「くっ、北郷め・・・こしゃくな真似を。張松、法正、孟達、当初の予定通り北郷と呂布はお前たちに任せるぞ。」
「「「御意。」」」
劉璋の言葉に張松、法正、孟達の3人は答えると部隊を率いて一刀たちの部隊の方へと向かっていった。
「みんな、大丈夫か?」
合流した一刀の言葉に、疲労感いっぱいだった白蓮たちは笑顔で答える。
「ご主人様、現在敵将の出現により中央、左翼、右翼とも膠着しており動きがありません。そこでご主人様と恋さんを中心に、曹仁さん、曹洪さんを加えて劉璋のいる敵本陣への急襲をかけたいと思うのですが・・・・。」
朱里は手短に作戦の内容を一刀に報告する。その内容に一刀も頷くがそんな所に報告が入る。
「北郷様、蜀軍の『張』、『法』、『孟』の旗印の部隊が本陣に真っ直ぐ向かってきております。」
「早速手を打ってきたというわけか。恋、柊(しゅう)、杏(きょう)、奴らを迎撃するぞ。」
「・・・(コクリ)」「・・・分かった。」「分かりました。」
こうして迎撃に向かった一刀たちと対峙する張松、法正、孟達。そんな奴らには余裕なのだろうか、笑みが見て取れた。
「北郷!劉璋様の為、貴様にはここで死んでもらうぞ。」
「覚悟するがいい!」
「お前たちに構っている暇はない。そうそうに片付けさせてもらうぞ!」
そういうと一刀は素早く刀を抜刀し、3人に斬りかかっていく。
しかし・・・・・
ガキン
「なっ!!」
一刀の繰り出した一撃は張松の手甲を填めた右腕に受け止められる。
「北郷、我等を見くびるなよ!」
張松が刀を弾くと、そのまま手甲で殴りかかる。それを冷静にかわした一刀だったが、そんな一刀の身体からは血飛沫が舞う。
「ははは、貴様でも我が『手甲鉄鋼線』はかわせまい。このまま貴様を切り刻んでやるぞ!」
張松は猛烈な勢いで一刀に迫る。そんな一刀のまさかの劣勢に恋、曹仁、曹洪は助勢に向かおうとするが、法正、孟達がその行く手を遮る。
「・・・・どけ。」
恋は方天画戟を構えると法正に斬りかかるが、法正は軽い身のこなしでその攻撃をかわす。
「ふん、飛将軍・呂布と言われていてもその程度か!温いわ!」
そういうと法正は短槍でものすごい数の刺突を繰り出す。恋はそれを一つ一つ丁寧にかわして後方へ跳躍し間合いをあける。
「ふむ、3箇所か・・・。」
恋の身体は3箇所傷つけられていた。そんな法正の攻撃に恋は警戒を増す。一方、曹仁・曹洪は孟達と対峙していた。
「杏、私が攻撃を仕掛ける。この武器だから相手は受け止めたりはしないと思うから、避けた所への追撃お願いね。」
「分かったわ。」
そういうと曹仁は得物の大鎖鎌を握り締め孟達へと斬りこんでいく。その曹仁の動きに曹洪も追撃の構えを見せる。繰り出された曹仁の一撃に孟達は動く気配がない。
ドーーーーーーン
「なっ!」
気がつくと曹仁の大鎖鎌は鎌の刃の部分が付け根から斬り落とされ地面に突き刺さる。
「っ!柊!上。」
曹洪の言葉に曹仁は視線を上に移すと、孟達の攻撃が迫っていた。曹仁は身体を倒してなんとかその攻撃をかわす。追撃を試みようとする孟達を曹洪は間髪いれずに攻め立てて隙を与えない。だが、そんな曹洪の攻撃も孟達を捕らえることが出来ない。こうして一刀、恋、曹仁・曹洪は劉璋軍の3将軍の前に突破口を開くことが出来ず膠着状態へと陥ってしまう。
「轟伎様!轟伎様!」
徐栄・牛輔らと交戦中の戦場に舞華の声が響き渡る。突然現れた舞華に一刃は一瞬驚きの表情を浮かべたが、
「舞華!ここは危険だ、下がって!」
一刃の注意も今の舞華には届かない。舞華の目には目の前の徐栄しか映っていなかったからだ。
「轟伎様、私です、舞華です。」
舞華の語りかけに黙して何も語らない徐栄。その瞳は何の感情も伺えないが、手に握った得物は舞華の方へと向けられていた。
「・・・轟伎様、もうやめてください。こんな悲しい戦いは・・・・。優しい貴方に戦いなんて必要ないんです。一刃たちと戦う理由なんてないんです。私はここにいますから・・・、ずっと貴方の傍にいますから・・・・だから・・・お願い、もうやめて。」
切実に訴える舞華に徐栄は何も言葉を発しない。そんな舞華のところに牛輔の凶刃が襲い掛かる。牛輔の動きに一刃は気付くのが遅れて反応が遅れる。
「っ!舞華、危ない!」
そんな一刃の言葉に舞華も反応するが、凶刃は舞華を確実に捕らえていた。
ガキン
しかし、そんな凶刃は舞華へ届く前に愛紗によって防がれた。愛紗が防いだと同時に、鈴々が牛輔に向かって攻撃を仕掛ける。愛紗はそんな鈴々に視線を一瞬だけ向けると、再び舞華へと視線を戻す。
パァーーーン
愛紗の平手が舞華の頬を張った。
「舞華殿、ここは戦場です。そして相手は蜀の将。あなたのような甘い戯言は自分だけでなく多くの味方をも危険な状況へ陥れることになるのです。武将でないあなたにはここにいる資格はない!すぐに下がられよ。」
愛紗の冷たい言葉に下を向く舞華。
「愛紗、少し言いすぎだぞ。」
「義兄上は黙っていてください!」
注意した一刃の言葉を切り捨てた愛紗は舞華に向かって言葉を続ける。
「あの者が貴方の想い人だということは分かりました。しかし、あの男は義兄上が虎牢関で確かに討ち取りました。貴方の知っている者ではないのです。それでも貴方はあの者を想い人だとおっしゃるのか?あの者が本物だとおっしゃるのか?あの者と戦わないというおつもりか?もしそうだというのなら貴方は我等にとって『敵』。ここで討たせてもらおう。」
そういうと愛紗は得物を舞華に突きつける。
「愛紗!やめるんだ。」
一刃は愛紗を止めようとするが愛紗の視線は舞華へと向けられたまま。
「義兄上、舞華殿の行動を許されるということは、それすなわち蜀の劉璋の行動を許すということになります。私にはそんな事は出来ない。あの者が舞華殿の想い人であったとしても、劉璋に付いて劉璋と行動を共にしている以上、あの者は我らの敵。それを庇い立てするのなら、たとえ舞華殿であったとしてもそれは我らの敵であるということ。私にはそれを見過ごすことは出来ません。」
「だからといって舞華を討ってどうなることでもないだろう!もう少しよく考えて・・・・。」
「くどい!私には私の信念がある。それは例え義兄上であっても、義叔父上であっても止めることなど出来ぬ!」
そんな一刃と愛紗のやりとりに横槍を入れる者が・・・・。
「なんじゃ?仲間割れか?しかし、そこの娘よ。貴様、この男のことが好きなのか?我が軍へ降ったらこの者をやっても良いぞ。こんな『人形』でよかったらな!ぎゃははは。」
高笑いする劉璋の言葉を聞いて反応したのは一刃たちと同様中央へ配置されていた趙雲隊の黄忠だった。
「劉璋!!!」
黄忠によって放たれた矢は真っ直ぐ劉璋へ向かっていく。が、その矢は劉璋へと届く前に落とされてしまう。
「昔の主に対して礼儀がなってないな、黄忠。貴様の矢なぞ儂には届きはせんぞ。貴様らは簡単には死なさん。じわじわ甚振ってから殺してやるわ、ぎゃははは。」
その劉璋の言葉通り、蜀本隊の兵たちが次々と襲い掛かってくる。
北郷軍・本陣
「朱里、このままじゃやばいわよ。」
戦況を見守っていた詠がそう声をかける。膠着状態のこの状況を打開するためにとった一刀たちによる敵本陣強襲の作戦も、敵の3将軍の前に崩されてしまった。一刀・恋という北郷軍の武の結晶であっても敵の将を討てずにいることに、朱里はそうとう焦っていた。そんな中、さらに追い打ちをかけるような報告が飛び込んできた。
「諸葛亮様、南方に砂塵を確認。数はおよそ10万を超えると思われます。」
その報告に本陣にいた誰もが顔色を青くする。北郷と蜀の2国になっている状態で南方よりの軍勢は自軍ではないことをまざまざと見せ付けていた。
「まさか、これだけの兵数がいてなおも増援を用意しているとは・・・・。」
朱里はそう呟いた途端に下を向く。他の面々の顔色も悪くなる。しかし、この軍勢が思わぬ展開を引き起こそうとは、この時の誰もが知る由がなかった。
???
「劉璋軍、見えました。どうやら戦の最中のようですね。」
遠くから北郷軍と劉璋軍の戦を見ていた一人の女性がそう呟いた。
「劉璋と戦っているのなら、それは私たちの敵ではありませんわ。このまま劉璋軍に突っ込みますわよ!」
指揮官らしき女性がそう指示を出すと、巨大な剣を握った水色の髪の少女が戦場へと目を向けて
「とうとう見つけた。覚悟しろよ、劉璋!」
そう呟くと、一部隊を率いて馬を走らせる。
――――――――――――兀ちゃん、アタイに力を貸してくれ
「行くぞ!この戦いは兀ちゃんの弔い合戦だ!みんな、アタイに続けぇぇぇぇぇ!!!!」
少女の号令に兵たちは声を上げて駆け出した。
あとがき
飛天の御使い~第参拾四幕~を読んでいただきありがとうございます。
北郷VS蜀 最終決戦中編です。
中々時間が取れず小出しにするような感じで申し訳ありません。
拙い作品ではありますが、少しでも楽しんでいただければ
幸いです。
コメントや感想、応援メッセージ大歓迎です。
よろしくお願いします。
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北郷VS蜀 最終決戦中編です。
押され始めた北郷軍へ一刀たちが合流する。
しかし、そんな一刀たちの前に立ちはだかったのは・・・。
恋姫無双の二次創作です。
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