No.160208

真・恋姫†無双 董卓軍√ おまけ物語 華雄外伝

アボリアさん

董卓軍√ おまけ物語華雄外伝です
タイトル通り、今回は華雄さんのみです……董卓√のはずなのに月さんが出ませんw
本来は作る予定は無かったのですが、ht84様の熱い華雄愛とyagami様の萌将伝発売についてのイラスト及びそのコメント欄の皆様に触発されて、愚作ではありますが投稿させていただこうと思い書かせていただきました
急ぎで書いたのでいつもにもまして間違い等があるかもしれませんがw
あと、余談ですが、最終話は予定通り投稿するつもりです

続きを表示

2010-07-24 04:29:45 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:9721   閲覧ユーザー数:7861

 

華雄おまけ物語外伝

 

 

 

ある日、仕事が休みの俺は、華雄から相談を受けていた

その相談と言うのが……

 

「料理を教えて欲しい?」

 

「ああ、是非、頼めないだろうか?」

 

俺の言葉にそういって頷く華雄

 

「どうしたんだ?急にそんな事言い出して」

 

華雄の突然の相談に疑問、というわけでは無いが気になった俺は聞いてみることにする

 

「私は物心ついた時から武、一辺倒に生きてきた。だが、平和な世の中になった今、それだけではいけないと思うのだ。武を鍛えること以外に趣味らしい趣味も無いのでな」

 

「それで料理を教えて欲しいって事か」

 

華雄の言うことももっともだと思う

武を鍛えるのはもちろん悪いことではないし、戦っている華雄も輝いているが、折角平和な世の中になったと言うのに楽しめる趣味が少ないのではもったいないしな

 

「でも、それならもっと他の人に頼んだ方がいいんじゃないか?」

 

そう俺は華雄に聞いてみる

俺だって料理が出来ないわけではないが月のほうが上手いだろうし、それこそ料理人の人達に習った方が上達は早いと思う

だが、華雄は首を横に振って答える

 

「料理を仕事としている者に素人が教えてくれなどと言うのは失礼が過ぎるであろうし、主君である月様に教えてもらうわけにもいかん。詠、ねね、霞、恋も料理が出来んとなると、お前にしか頼めんのだ。この通りだ!!」

 

そういって頭を下げる華雄

俺は華雄のその行動に慌てて答える

 

「わ、わかった、教えるから!だから頭なんて下げるなよ!」

 

「おお!!助かる、一刀!!」

 

そんなこんなで俺と華雄は厨房へと向かうのだった……

「それじゃあ、何を作ろうか?」

 

料理人の人達に厨房の一角を借りた俺達は作るものを話し合う

 

「うむ……一刀の、天の国の料理で何か無いか?」

 

「俺の国の料理?」

 

華雄からのリクエストに、初心者でも出来そうな料理を考えてみる

 

(ハンバーグや肉じゃがは案外難しいし、味噌汁……は味噌が無いな。う~ん……あ!!)

 

「オムライスなら何とかなるかな」

 

「おむらいす……?」

 

華雄が首を傾げて聞いてくる

 

「うん。チキンライス……炒飯みたいなご飯を卵で包んだ料理なんだ。ケチャップっていう調味料が無いから本格的なのは無理だけど、これなら何とかなるかも」

 

もちろん半熟だとか、デミグラスソースだとか言い出したら初心者では無理だが、それ以外は作り方はシンプルだしなんとかなるかもしれない

 

「一刀はその……おむらいす、という料理は好きか?」

 

「え、うん。けっこう好物だよ」

 

俺がそう答えると、華雄は気合が入ったような目つきになる

 

「ではそれにする。一刀、作り方を教えてくれ!!」

 

「ん、分かった。それじゃあまず……」

 

そうして俺達は調理に取り掛かる

調理開始から数刻経ったが……今の所、結果は芳しくなかった

 

「むぅ……」

 

華雄が唸り声とも、溜息とも取れる声を漏らす

まず、包丁で食材を刻む所までは順調に進んでいたのだが、やはり火を扱うのは難しいのか、チキンライスを作る段階で焦がしてしまったのだ

その後も何度か作ってみたものの、火を使う卵やご飯の段階で味付けの失敗、焦がしなどを連発してしまうのだった

 

「すまない、一刀。わざわざつき合わせたというのに、私は失敗ばかりだ……」

 

華雄がそういって項垂れる

俺はそんな華雄を元気付ける意味も込めてフォローを入れる事にした

 

「初めてなんだから仕方ないだろう?大丈夫。もうちょっと頑張れば、華雄ならできるようになるって」

 

いいながら華雄に向かって笑いかける

 

「……一刀。お前はいつも、私なら大丈夫、頑張れば出来る、といってくれるな。その自信は、一体何処から出てくるんだ?」

 

華雄がこちらに向き直り、窺うようにそんな簡単で当たり前の事を聞いてくる

 

 

 

「そんなの決まってるだろ?華雄なら大丈夫だって信じてるからだよ」

 

 

 

「……は?」

 

ぽかんとした顔をする華雄……そんなにおかしなことを言ったかな?

 

「いや、だから何故そこまで私を信じてくれるのかを……」

 

「それこそ決まってるさ。今まで華雄と一緒に居て、華雄がどんだけ頑張り屋かは分かってるつもりだからね」

 

「なっ!!へ、変な事をいうな!!」

 

そういって顔を赤らめる華雄だったが、構わず続ける

 

 

「だってそうだろ?こんな事言うのは悪い気がするけど、会ったばっかの頃の華雄は猪武者って言葉がぴったりだった。汜水関の時には死ぬ寸前の大敗をした。でも、そこで腐らずに、頑張って武を磨いて、軍略を学んで、華琳達との戦いでは相手を見事に欺いて、呉の時には雪蓮に勝つほどの腕前になったじゃないか」

「そんな、頑張って、努力して、常に上を向いてきた華雄だから信じる事が出来るんだよ。華雄なら、どんな事でも必ずできる、ってね」

 

 

俺がそういって笑いかけると華雄は俯いてしまう

だが、直ぐにバッと顔を上げると、真剣な、それでいてやる気に満ちた目で俺を見据え、

 

「……一刀にそこまで言われては、努力せん訳には行かないではないか。よし!!必ず、成功させて見せる!!」

 

そう、宣言するのだった

「で、出来た!!」

 

そこから更に数刻後、調理場に華雄の声が響いた

 

「うん。見た目もいいし、よく出来てるよ」

 

皿に盛られた華雄作のオムライスは、少しばかり歪ではあるが焦げも大きな型崩れも無い見事な出来だった

 

「では……一刀、試食してみてはくれないか?」

 

「え?いいのか?あれだけ頑張ったんだから、最初は自分で……」

 

そういいかけるのだが、華雄は無言でオムライスをズイッとこちらに突き出して来る

 

「……ん、分かった。じゃあいただきます」

 

折角の華雄の気持ちなので有難く頂く事にする

そうして蓮華で一口分を掬い、口へと運び咀嚼する……

 

「ど、どうだ……」

 

そんな俺の様子を凝視し、心配するような、期待するような眼差しを送ってくる華雄

俺は口に含んだオムライスを飲み込み、

 

「うん、とっても美味しいよ!!」

 

そう答え、がっつくように残りのオムライスを食べ進める

 

「ほ、本当か!?」

 

「嘘なんか言わないって。華雄も食べてみなよ」

 

「う、うむ!!」

 

そうして、俺達は残りのオムライスを二人で分けて食べるのだった

「ふ~、ご馳走様」

 

空になったお皿を机に置きながら俺が言う

 

「うむ、お粗末様だ。……今日は本当にありがとう、一刀」

 

そう礼をいう華雄に俺は否定するように手を振り答える

 

「だから礼を言われるようなことじゃないよ。それに、こんな美味しいオムライスを食べさせてもらったんだから逆にこっちが礼を言いたいぐらいだ」

 

「いや、それもお前が教えてくれたから……」

 

「いやいや……」

 

そういって二人で謙遜しあい……そしてどちらからとも無く笑いあう

 

「ふふふ、これではきりがないな」

 

「あははは、そうだね。……それにしても一日でよくここまで出来るようなったよな。もうちょっと練習すれば、他の皆にも振舞えるようになるんじゃないか?」

 

俺がそういうと、華雄は少し考え込むような素振りを見せ、しかしはっきりと答える

 

「……いや、これからも練習はするだろうが皆に振舞う事は無いだろうな」

 

「え?何で?」

 

疑問に思った俺は聞いてみる

すると華雄は顔を赤らめ、答える

 

 

 

 

「わ、私の料理は、一刀にだけ食べてもらえれば満足だ。だから、他の者には……」

 

 

 

 

そういっているうちにどんどん顔が赤くなっていき、沸騰しそうなほどまで赤くなると

 

「いや、その、……すまん!!先に帰る!!今日は本当に有難かった!!」

 

そういって俺が口を挟むまもなく走り去ってしまう華雄

 

 

 

「……俺だけに、か」

 

一人残された俺は華雄の言葉を反芻し、俺自身顔が真っ赤になるのを感じる

 

「……まぁ、華雄の言葉とオムライスのお礼じゃないけど、片付けは俺がやろうか」

 

そんな風に顔が熱くなる自分を必死に抑えつつ、片づけを始めるのだった……


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
98
15

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択