No.157117

真恋姫無双 おせっかいが行く 第十二話

びっくりさん

U「これは私ことU・KI・TUと左慈の愛の物語です」
S「変なこと言うんじゃねぇ!」
U「ふふっ、左慈は照れ屋ですね」
S「照れてねぇよ!」

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2010-07-12 01:26:03 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:20535   閲覧ユーザー数:15026

 

「それにしても・・・」

「どうかしましたか?」

「管輅さんの占いってすごいなって。予言みたいだよ」

「・・・それが私の仕事でしたから」

 

一刀の言葉に管理者のときのことを思い出してしまい暗くなる管輅。一刀はそんな管輅の額を軽く小突いた。

 

「こらっ。なんで暗くなるの!」

「で、ですが・・・」

「それは管輅さんの特技なんだよ?誇ることはあっても、落ち込むことなんて何ひとつないじゃないか」

「・・・」

「俺はすごいと思うよ。それじゃ駄目なのかな?」

 

微笑みを浮かべて一刀は言い切った。その言葉に管輅の中で気分が軽くなるように感じた。

 

「駄目・・・じゃないです」

 

管輅も自然に笑顔を浮かべることが出来たのであった。

 

「あっ・・・」

 

そのとき、ふとまた管輅の様子が一変する。まるで、予言を言うような雰囲気である。一刀は予言があるのかと反応する。

 

「管輅さん・・・もしかして」

「(コクッ)」

 

やはり、予言があるららしい。一刀は固唾を呑んで身構える。どんな言葉も聞き逃さないようにと。そして、管輅の口が開かれる。

 

きゅ~・・・

 

「お腹がすいてしまいました///」

 

これは、そんなお茶目さんを救ったおせっかいの物語である。

 

 

 

 

 

 

 

「おっす。左慈、于吉。調子はどうだい?」

「北郷か。やっと仕事に慣れてきたところだ」

「ええ、他の人にも受け入れられてきましたし。問題はありませんね」

 

大工として村で働くことになった二人。賊によって陥落した街の復興をするという計画の為、彼らはコツコツと建物のパーツを作り続けていた。これは少しでも復興を早める為に、今の内に材料を作っておき、復興開始と共に組み立てて完成させる方法である。人数が少ない今、いかに早く建設するかを考えた末の方法であった。

 

「お、長!」

「やぁ。進捗はどのくらいになってるかな?」

「ん~、やっぱり人数が少ないですし、建設する建物が多いんでまだ一割くらいですね」

「そうか。でも、急ぎじゃないから怪我しないようにね。引き続き頑張ってくれ」

「おう!!」

 

大工に進捗を確認し、まだまだ動ける状況ではないことを確認した一刀は再び左慈、于吉の二人と話を始める。

 

「やっぱ、人数増やさないと駄目か~」

「そうだな。やはり数がなければ生産力も上がらない」

「ですが、そう簡単に人数なんて増やせません。とりあえず、現状を維持してコツコツと溜めていくしかないでしょうね」

 

まだ出会って間もないが、一刀、左慈、于吉の三人は旧来の仲のように意気投合した。一刀にとっては懐かしい男友達とのやりとり、左慈、于吉にとっては初めて出来た心を偽ることなく接せられる友人である。お互いに話に夢中になり、気付いたときには結構な時間になっていたりして驚く程に。そして、わかったことが一つ。

 

「頑張りましょうね。左慈」

「ああ・・・って顔が近い!」

 

于吉の左慈を見つめる目が異様に熱い。まるで、恋する人を見ているような。だが、もし違っていたら于吉に悪い。一刀はそれを黙って流すことしか出来なかった。

 

 

 

 

「北郷さん。ご飯の準備が出来ましたよ」

「ありがとう。管輅さん。今行くよ」

 

左慈との一件以来、管輅も活力を取り戻し、料理や掃除などを手伝ったり、行ったりするようになった。それにともない、笑顔も増えて雰囲気が明るくなっている。それが一刀には嬉しく感じられた。

 

「どうかしましたか?」

「いや、元気になったな~ってね」

「うっ・・・その節はお世話になりました」

「確かに、お風呂まで「きゃああ!それは言わないで下さい!」あはは。ごめんごめん」

 

この村へ連れてきた当初のことを持ち出され赤面する管輅。当初は自分の身体まで洗わせてしまったことを思い出したのだ。活力を取り戻した現在ではお風呂は自分で入っている。活力と共に羞恥心が復活し、一刀に裸を見られることを恥ずかしがった。自分の身体は自分で洗ってください、当時の私!と後悔しても後の祭りである。そんな自分をニヤニヤし見る一刀を悔しげに見つめて、管輅はささやかな反撃をする。

 

「でも、私は北郷さんに身体の隅々まで洗われてしまったんですよね・・・」

「う、うん」

「ってことは、私の身体を全部見られてしまったと」

「あぅ・・・」

 

改めて言われると恥ずかしくなる。言葉だけ聞くとなにやらいやらしく感じてしまい、一刀は赤面してしまう。一方、管輅のほうも余計に恥ずかしくなってしまい、お互いに赤面してしまうのであった。

 

「「この話はもうやめにしよう(ましょう)」」

 

そして、お互いに恥ずかしさがピークに達しギブアップするのである。お互いに居た堪れない空気になり、会話が途切れてしまう。このまま、就寝して明日に何事もなく過ごすことになりそうだった雰囲気を一変させたのは・・・。

 

「(ピクンッ!)」

「管輅さん?」

 

「二匹の子猫。犬の群れからひたすら逃げる。狼の群れは一族に在らず、複数の族が子猫を襲う。後ろから虎子が虎視眈々と近づいてくることも気付かずに」

 

管輅の予言である。一刀はすぐさま左慈、于吉の下へと向かう。そこで于吉に法術で村の周りの様子を探ってもらおうと考えたのだ。かくしてそれは実行され、結果。

 

「見つけましたよ。この近くにいますね。寿春方面からこちらに向かってきてます」

「ありがとう」

「どうするのだ?」

「もちろん、助けに行くよ。知ってしまったからには助けるさ」

「お前らしい・・・俺も行こう」

「助かるよ。左慈」

 

于吉の指定した場所に、一刀と左慈が向かうこととなった。

 

 

 

 

 

 

 

「左慈。見えるか?」

「ああ。人数は・・・逃げる二人に対し、追うのは二十人ってとこだろう」

「多いな」

「問題ない。あの程度なら、俺一人でどうとでも出来る」

「・・・わかった。俺は二人の保護をする。追手は任せていいか?」

「了解だ」

 

二人は木の上に待機しながら大まかな作戦を決める。そこから見えるのが、こちらの方へ逃げてくる二人の少女の姿。その後ろからは笑みを浮かべて追ってくる兵士達の姿である。格好から言って賊ではなく、どこかに属している兵士と見える。一刀達はこちらに向かってきてくれるのを好都合と捉え、敵が下を通過する際に木の上から奇襲をかけることにした。

 

 

 

~???サイド~

 

「お姉ちゃん。頑張って!あの森の中で隠れて逃げ切ろう」

「はぁ・・・はぁ・・・うん。頑張るよ」

 

息を切らせて走っているのは二人の少女。二人は双子の美人姉妹と評判だった。その姉妹を手に入れようと幾多の諸侯が彼女達を訪問してきたが、悉くを断った。それでも、諦めきれない諸侯はついに武力で無理やり姉妹を手に入れようとした。その日から彼女達の安息はなくなってしまった。幾度も襲撃される我が家。その度に父親が機転を利かせて乗り切ってきた。家を変えても時間稼ぎにしかならず、しばらくすると襲撃される日々。しかし、それも限界が来ている。今まで一人で頑張ってきた父親が調子を崩してしまったのだ。このままでは、姉妹はどこかの勢力に奪われてしまうだろう。そう危惧した父親は親交のある家に保護してもらおうと考えた。

 

「お前たち。今度、父さんの知り合いの人に会おうと思っている。二人も紹介するから準備をしておきなさい。ゴホゴホ・・・」

「「お父さん!?」」

「大丈夫だ。その人は昔、私がお世話になった人の娘さんでとても信用出来る人だ。それに、私一人では限界を感じていた。今の内にどこかに保護してもらったほうがいいと思ってな」

「「・・・・わかりました」」

「すまんな・・・」

 

姉妹は渋々了承した。彼女らも父親の限界を悟っていたのである。自分達を命がけで守ってくれている父親に、これ以上負担をかけさせることが出来なかったのである。

そして、とある将と会合する当日。その道中に襲われてしまった。運よく逃げることが出来た二人だが、父親とははぐれてしまう。探そうと思ったが、すぐそこに追手が迫ってきている為、二人は立ち止まることは許されず、必死に追手から逃げてきたのである。

 

「お姉ちゃん!!」

「まだ、大丈夫だよ!」

 

「ひゃはははは。逃げても無駄だぜ!」

「ほ~ら。捕まえちゃうぞ~」

「ハァハァ・・・おとなしくしてろぉ」

 

「「(イライラ・・・)」」

 

二人を追いかける 下品な笑みを浮かべる兵士達。上で気配を殺し、様子を見ている一刀と左慈の二人はその兵士達に苛立ちを覚える。だが、まだ距離がある為飛び出すわけには

いかず、二人は怒りを抑えて待機し続けるしかなかった。

 

「(俺がこの光景に苛立ちを覚えるとは・・・変わったな)」

 

ふと、そんなことを思う左慈。以前の彼ならそんなことは絶対になかった。冷静に対処するか見捨てていただろう。しかし、今の彼は管理者ではなく、外史の人と交流もある。気付かぬ内に心境の変化が起こっていたのであろう。そうこう考えているうちに、姉妹が下を通過し、作戦決行の時に近づく。

 

「ほ~ら、捕まえ「「きゃあああ」」ぐふ!?」

 

一人の兵士が姉妹に追いつき捕まえようとしたとき、頭上からの襲撃を受けて地面に倒れ付す。一方、姉妹のほうは足に縄がかかって逆さまに吊るされた状態になってしまっていた。

 

「な、何よこれ~!?」

「なんなんですか~!?」

「すっかり忘れてた・・・これは予想外だ。落ち着いて、今外してあげるから」

 

頭上からの襲撃を行ったのは一刀だった。姉妹が引っかかったのは村の防衛の為に設置していた罠の一つで、姉妹を助けようと思うあまり、この辺りには罠が多数設置してあることをすっかりと忘れていた一刀であった。

 

「ごめんね~」

 

一刀は心底反省しながら、謝罪して二人のかかった罠を解除する。

一方、残りの兵士達はというと。左慈の大立ち回りによって人数では圧倒的に有利だったはずなのに、完全に押されていた。

 

「しっ!!」

「がはっ・・・」

「ぐふっ・・・」

 

その多彩かつ洗練された足技で、兵士達の意識を一瞬にして断ち切り確実に数を減らしていく。今、この場は左慈の独壇場と化していた。二十人近くいた兵は瞬く間に人数が減り、壊滅することになる。

 

 

 

 

 

「はい。取れたよ」

 

罠を解除した途端、姉妹は一刀から距離を取る。明らかに一刀のことを警戒した行動だ。その行動に少し傷つきながらも、男たちに追われていたのだから仕方ないと思う。助けたとは言え、同じ男なのだから何をされるかわからない。一刀は姉妹の心境を考え、軽くため息をつくのであった。

 

「北郷」

「左慈か。終わったか?」

「ああ、殲滅しておいた」

「ご苦労様」

 

罠の解除以外なんの進展のないまま、左慈が敵を壊滅させ戻ってきた。後は姉妹だけである。いつもならこの姉妹を村で保護しようと思うのだが、姉妹の警戒っぷりにそれは難しいと悟る。ここは彼女らの意思を尊重しようと考えた。

 

「俺は、姓は白、名は士、字は北郷。この先にある村の長をやっている者です」

「俺は、性は左、名は慈、字は元放。こいつの村でやっかいになっている」

「あいつらなら叩きのめしたから大丈夫だよ。でも、またさっきみたいな奴らが来るかもしれない。もしよかったら俺達の村にこないか?迎えが来るまで場所を提供するよ。それか、目的地まで向かう為の準備を手伝おう」

「嫌よ!」

 

案の定、一刀の提案は拒否された。即答で返された答えは予測通りだった為、一刀は冷静に言葉を紡ぐ。

 

「わかった。じゃあ、お気をつけて。ここら辺は俺達の村への侵入を防ぐ為に罠が設置してあるから、引き返すことをお勧めするよ。行こう左慈」

「ああ」

 

一刀は最後に忠告だけして左慈と一緒に立ち去る。男達に襲われたことで拒否反応が出ている今、こちらがいくら保護すると言っても信用できないし、受諾はしないとの判断である。ましてや、このご時勢だ。信用出来る人がいるのが稀なのだから。だが、この反応は少女達にとっては予想外の物だったらしい。

 

「え?あなた達、私達を捕まえにきたんじゃないの?」

「ん?誤解をしているようだね。俺達は君達を捕まえにきたわけじゃないよ?それに君達が何者なのかすらもわからないしね」

「え?じゃあ、本当に私達を助けただけ?」

「うん。まぁ、さっきの後じゃね・・・信用出来るわけないと思うけど」

「「・・・」」

「質問は以上かな?それじゃ、気をつけてね」

 

そして、今度こそそこから立ち去るのであった。姉妹はしばらくは移動せず佇んでいた。追手と思っていた少年が、自分たちのことを知らないで善意で助けてくれた人だったことに驚いたと同時に、そんな人を無碍にして大きな態度を取ってしまったことによる罪悪感で。だが、彼女達は強かった。自分達で気持ちを切り替えて歩き出そうとしていたのだ。

 

「・・・行こう。お姉ちゃん。ここにいたら、また襲われるかもしれないよ」

「・・・そうだね。行こうか。まずはどこにいく?」

「そうね。呉へいきましょ?もしかしたら、お父さんがそこにいるかもしれないし」

「わかった。呉へ行こう」

 

襲われたのは何回目だろうか?数えるのも馬鹿らしくなるくらいだ。その度に姉妹は励ましあって前に進んできた。彼女達は泣かない。泣いたって状況が変わるわけではないから。だから、彼女達は止まらない。止まったら生き残れないから。生き残る為にただ前進あるのみ。今感じる罪悪感も振り払い、彼女達は前に進む。生き残る為に。

 

「「頑張ろう!!」」

 

彼女達は生き残る為の一歩を踏み出して・・・

 

「「きゃああああああああああああああ!!」」

 

また、罠にかかるのであった。

 

 

 

 

「北郷・・・こいつらを捕まえてどうするんだ?」

 

あの場を立ち去った一刀と左慈は、さきほど殲滅した兵士達のところにきていた。殲滅したといっても首を強打したことによる脳震盪によって、気絶しているだけなのだ。彼らが気絶している間に一刀は彼らの手足を縛り、動きを封じる枷をつけていた。

 

「今抱えている問題の解決をしてもらうのさ」

「なるほど、労働力にするのか」

 

今抱えている問題。街を復興する為の労働力不足である。それを、捉えた者達を働かせることで解消しようとの考えだった。

 

「うぅ・・・」

「おっ!おきたようだね。ちょうどいいや」

 

目を覚ました様子の兵達。一刀は早速、彼らの今後のことを話す。当然、彼らは反対した。なんで俺らがそんなことをしなければならないのかと。俺らはお前に仕官していないなど、文句もあったが。

 

「お前らが誰に仕官してるか知ったこっちゃないね。誰かが帰還して報告でもしなければ知らぬ存ぜぬを貫けるし」

 

との問答無用の台詞により、全部却下されるのであった。もちろん、彼らは抵抗しようとしたが、手足がしばられた状態では何もすることが出来ず、頑として動かないことでせめてもの抵抗を試みた。それも一瞬の抵抗にしかならなかったが。

 

「大人しく従ったほうがいいぞ。こいつらに刺されたくなかったらね」

 

一刀の向けた視線を追うとそこには黄色いモヤが音を響かせている。良く見ればそれは、モヤではなく、スズメバチの群れであることがわかるだろう。これを見た瞬間。兵達の反抗する気力がなくなった。大人しく従うしかないことを悟った為である。

 

「北郷・・・こいつらはどこに放り込んでおくんだ?」

「今度、家畜を飼おうって話があっただろ?その家畜小屋へ放り込んでおけばいいさ」

「了解」

 

手足を縛られた状態でなんとか歩いているというか、飛び跳ねている兵達を縄で引いて歩きながらの会話に、後ろでうめき声が聞こえる。二人は聞く耳持たず、村へと歩くが・・・

 

「なぁ、左慈。あれってさ」

「たぶん、お前の想像通りのものだろうな」

 

二人が向けた視線の先に。

 

「くの!くの!外れなさいよ!」

「ふえぇええええん。余計に絡まってるよ~」

 

罠に引っかかってまた宙吊りにされていた双子姉妹の姿であった。

 

「ほら、とれたよ」

「ありがとうございます・・・」

「ふん。一応、礼は言っておくわ」

 

あの後、見かねた一刀が左慈に兵を任せて二人の引っかかった罠を解除した。二人は同じ人物にまた助けてもらったことが恥ずかしいのだろう。視線を合わせずに感謝の言葉を言う。一刀もそのことを察して、言葉少なく早々に立ち去ることにした。

 

「じゃ、今度は気をつけてね」

「わ、わかってるわよ」

「で、では!失礼しますね」

 

一刀の最後の言葉にさきほどの失敗を思い出し、顔を真っ赤に染める二人。今度こそと歩き出すが・・・。

 

「あっ!そっちは「「きゃあああああ」」あちゃ~・・・」

 

また、罠にかかる二人。額に手を当てる一刀は、『この二人、大丈夫かな?』と心配になるのであった。

 

 

 

 

 

「本当に大丈夫かい?」

「だ、大丈夫です!・・・たぶん」

「もう、大丈夫よ!」

 

心配になった一刀だが、二人(特に気の強い方)は頑として聞いてくれなかった。そして、歩き出すのだが。

 

「「きゃあああああ」」

「やっぱりか・・・」

 

リトライ!

 

「「うきゃああああ」」

 

テイク2

 

「「いやああああああ」」

 

ワンモア!

 

「「ふぇええええええん」」

 

悉く罠に引っかかり、ついに二人は。

 

「俺のとこにくるかい?」

「よろしくお願いします」

「お世話になってあげるわ」

 

一刀の元にくることになったのだった。

 

 

 

 

 

 

「私は双子の姉で、大喬と申します」

「私は妹の小喬よ」

 

二人は三国志で美人姉妹として有名な人物だった。そして、二人の村での生活が始まった。

 

~小喬サイド~

 

私達はやむをえない事情により、白士って言ったっけ?そいつの家で世話になることにしたわけよ。何?罠にかかっちゃって出れなかっただけですって!!ちょっと、私をそんなドジする娘みたいに思わないでよね!!前のは運が悪かっただけなんだから!あと、疲れてたのよ・・・。そうよ。私は天然の姉と違ってしっかり者なんだから!

 

「小喬ちゃ~ん。管輅さんが、白士さんにお水持っていって~って。一緒に行こう?」

「なんで私がそんなことしなきゃいけないのよ?」

「だって、暇だ~って言ってたのは小喬ちゃんじゃない」

「う・・・」

 

確かに言ってたこともあったかもしれないわね。仕方ない、行ってあげるか。お姉ちゃんが可哀想だし。

 

「仕方ないわね。行ってあげるわ」

「もう、小喬ちゃんったら」

 

管輅の話によると白士は村の入り口にいるらしい。私達は水、蜂密が混ぜてあるものが入れてある竹筒を持って向かうと、短剣で木を傷つけ、それを足がかりにして登る白士がいた。白士は上まで登りきるとすぐ下に降りる。そして、今度は違う人がその木に登り始めた。

 

「長~!準備できたぜ~」

「よし!それじゃ、行くぞ!気をつけろ~」

「おう!いつでもいいぜ」

 

村人の返事を聞いて白士は縄の先端に石をつけて、それを木の上に放り投げた。最初は何をしてるかわからなかった。投げた縄は枝にかかって先端は下に落ち、その縄を反対側に結び、一つの輪の状態にする。それで板を縛ると縄を引き始めた。

 

「よし、きたきた。早速、作業を始めますぜ」

「よろしく」

 

縄を引くと、縛られた板がそれにつられて上へと上がり、上に待機していた村人の手に渡った。なるほどね。板を上に持っていく為に、縄をかけたのね。この方法なら、一回一回下に降りて運ばなくてすむし、大量に運べるし、効率がいいもの。良く考えてるわ。それを、ちょっとだけ感心してみてた私達に白士は気付いた。

 

 

 

 

 

「ん?小喬ちゃんに大喬ちゃん?どうしたの?」

「白士さん。これ、管輅さんからです」

「ああ、これをもってきてくれたんだ。ありがとう」

「別にいいわよ。それより、あれは何をしてるの?」

 

私が指差したのはさきほどの木の上に板を運んでいる光景である。今、運ばれた板は張り合わされて床とも壁とも見れる形状になっている。何かを作っていることはわかるけど、何を作っているのかは検討もつかない。

 

「あれはね。見張り台だよ」

「見張り台?」

「そ。名前の通り、村の入り口から外を見張る台。木の上にあるからある程度距離があっても見えるようになってるはずだよ。これをここだけじゃなくて、最終的には村の四方八方に設置するつもりなんだ」

 

これは村の防衛の為に造っているらしい。この村も驚いたことに過去に賊に滅ぼされていたのだとか。だから、今度は滅ぼされないように出来る限り対策を練っているんだって。これもその対策の一つらしい。

私達がそんな会話をしていると、今度は白士が私達を連れてきたときに一緒にいた左慈って奴が話しかけてくる。

 

「北郷・・・」

「左慈か。なんだ?」

「家畜が届いたぞ」

「そうか・・・んじゃ、小屋に移動させておいてくれ」

「了解だ」

 

私達が何の話?とばかりに首をかしげると、白士がそれに気付いて教えてくれた。なんでも、今度は牛を飼うことにしたらしい。以前から注文していた牛が本日に届いたのだという。

 

「いただきます」

「「「いただきま~す」」」

 

その日の夜。管輅さんと私とお姉ちゃんと白士での夕飯。管輅さん作の料理を食べながら、今日の出来事を語り合う、穏やかで楽しい夕飯。今まで、こんな平和な夕飯なんて経験できなかった。

 

「どうしました?」

「なんでもない・・・おかわり!」

「はいはい。ちょっと待ってくださいね」

 

箸がとまってたのがバレたみたい。私は強引に誤魔化すとおかわりを要求する。この平和な雰囲気を壊したくなかったから。ご飯もおいしいし・・・。

夕食後、寝るだけとなり私はお姉ちゃんと一緒の布団に入っている。悔しいけど、私達の身体は小さいので、一つの布団で十分だったりするから。こ、これから大きくなるんだから!

 

「ねぇ。小喬ちゃん」

「ん?」

「ここはいいところだね」

「・・・そうね」

「後は、お父さんがいれば最高なんだけどね」

「・・・・うん、そうだね」

 

そう、ここにいると楽しい。管輅さんは優しいし、白士は何かと面倒を見てくれる。食事の楽しい雰囲気も好きだし、村人も私達を好意的に受け止めてくれている。私はまだ短い期間しかいないこの村をすっかり気に入っていた。でも・・・だけど。どうしても、はぐれたままのお父さんのことが気になってしまう。白士が探してくれているらしいが、まだ見つかっていないのだという。

 

「もう、寝よっか」

「・・・うん。きっと見つかるよね」

「うん。だから、そのときに元気に会えるようにもう寝ましょ」

「うん。おやすみなさい」

 

不安な気持ちを押し殺して私達はその日は眠る。明日にこそ、お父さんが見つかると信じて。

 

 

 

 

 

 

 

「長~!お客人ですぜ」

 

あれから、しばらくの月日が立ち、私達はすっかり村の住人として馴染んだ頃。白士達と昼食を食べていたときだ。村人の一人が慌てた様子で駆け込んできた。

 

「客だって?」

「へぇ。それも悪い意味でのかもしれないですぜ」

「わかった。みんな。俺はちょっと、いってくるから、食べてていいよ」

 

私達に聞こえない声で会話していたが笑顔を浮かべ、白士は足早に客を出迎えに出かけた。私達も言われた通り、食事を続けたんだけど。しばらくして白士は戻ってきた。

 

「あら?速かったのですね。もう、よろしいのですか?」

「いや、まだなんだけど。大喬ちゃん、小喬ちゃん。君達にお客さんみたいなんだ」

「「私達に?(ですか?)」」

「うん。きっと喜ぶと思うよ」

「「ま、まさか!!」」

 

私達に白士は笑顔で返す。その瞬間、私達は走り出した。外に出て村の入り口に向かう。そこにいたのは・・・期待通りの、私達が良く知っている人、もっとも会いたかった人だった。

 

「「お父さん!!」」

「大喬、小喬!本当に無事でよかった」

 

私達は勢いそのままにお父さんに抱きついた。幻じゃない。触れたし、暖かいし、これが現実だって知らせていた。私達親子三人は涙を流しながら再会を喜び合ったのだった。

 

 

 

 

 

 

「よかったわね・・・喬玄」

「そうですね。三人とも嬉しそうだ」

「ふふっ、あなたが二人を預かっていてくれたおかげでね」

「いや、あなたが喬玄さんを助けてくれたからですよ」

 

親子三人の再会を優しい笑顔を浮かべて見守る一刀と、桃色の髪に意思の強い眼差しと褐色の肌の抜群のスタイルを持つ美女。無言だが、優しい眼差しで見守る黒髪で眼鏡をかけた知的な美女。

 

「改めて礼を言うわ。彼女らを預かっていてくれてありがとう。私は姓は孫、名は策、字は伯符。今は袁術の客将をやってるわ」

「私は姓は周、名は喩、字は公瑾という」

「あなた方の武勇はこちらでも聞いております。私は姓は白、名は士、字は北郷。この村の住人です。周りからは長と呼ばれていますが、明確な代表はいません」

「へ?どういうこと?」

「この村は元は廃村でしたので、県令などはいないのですよ」

「なるほど・・・どうりで見つからなかったわけだ」

 

周喩曰く、廃村だった為情報がなく大喬、小喬の二人を見つけるのに時間がかかったということらしい。だが、廃村だったおかげで二人を狙う者達にも気付かれなかったのだから、悪いことだけではなかった。

親子の再会が終わるまで三人は談笑を続けるのだった。

 

 

 

 

 

 

さぁ、ついに呉の人達とも知り合いましたよ♪

予想は出来た人もいたと思います。

 

呉は難産でしたけどね。

魏や蜀は旅をしているキャラは何人かいて絡ませるのは楽でしたけど。

呉は旅をしているキャラがなく、どうやって絡ませるか難しかったので。

 

でも、これでようやく呉にも知り合いが出来たことになりますね。

 

果たして、このまま双子の姉妹は呉へと向かうことになるのか!

 

 

 

 

話変わって。

 

投稿した作品を確認しているとき。

前回投稿した11話の隣に王冠のようなマークがついてたのですが・・・。

あれなんだったんですかね?

 

それ以前の話にはついてなかったので、少し気になってしまいました。

まぁ、別にいいんですけどね。問題がなければ。

 

 

最近、私の悪い癖が出てしまって。

まだこの話が完結していないのに、新しい話のネタが思いついてしまって。

書きたくて仕方なくなるっていう癖が・・・。

今は、収まりましたが。

 

この作品が完結してたら書いてましたけど、まだ完結どころか序盤ですからね。

頑張らないと。

 

それと、短編なのですが現在書いている話があります。

これは近々投稿できそうな勢いです。

上記とやってることが違うじゃん!と言われそうで怖いのですが、短編なのでいいかな。

と思って書いちゃいましたw

 

まぁ、メインはおせっかいなので、更新ペースを落とさないよう合間合間で書いているので

問題ないかと。

では、今回はこれで。

ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

考えていたネタ①

 

 

 

「あら?姉さん。あんなところに男の子が」

「ん?お!将来有望な子を発見!かがみん。あの子を捕か・・・げふんげふん。介抱しよう」

「なんか、言い直しませんでした?というか、かがみんってなんですか!!」

「水鏡でかがみん。可愛いじゃない」

「あのですね・・・元々、水鏡も姉さんが考えたものじゃないですか」

「細かいことは気にしちゃ駄目よ♪ほら、いくわよ~」

「待ってください姉さん」

 

 

 

「北郷一刀?字、真名がない?珍しいわね~」

「知らない土地に一人は大変でしょう?ここにいるといいですよ」

 

 

 

「あんたは今日から鳳白と名乗りなさい!私が名前を考えてあげたのよ。ありがたく思いなさいな」

 

 

 

「わ、私は諸葛亮でしゅ!ここに入門させてくだしゃい!」

「あわわ・・・ほうとうっていいますぅ。私もにゅうも・・・おばさん!!」

「あ?誰がおばさんですって?」

「ひぃい!ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

「私はなんだって?」

「と、徳公姉さんでしゅ!」

「よろしい!」

 

 

 

「はぁ・・・誰もちぃ達の歌を聞いてくれないわ」

「どこがいけないのかな~?」

「そうね。何も問題がないように思うのだけれど・・・え?魅せ方を工夫する?どういうことです?」

 

 

 

「今日もたくさん人がいたね~」

「最近、稼ぎもいいわ~。これも一刀のおかげね」

「そうですね。勉強も楽しいですし・・・私も入門していいですか?」

 

 

 

「お断りします。私はどの方にも仕官するつもりはありません」

「おとといきやがれwwwあんたんとこの無能君主の配下なんてまっぴらごめんね!」

「だから、お断りしますと言ってますでしょう?」

「しっつこいわね~。これだけ言ってもまだくるの?あんたって趣味おかしくない?」

「私が仕官するとしたら、ただ一人。鳳白しかいませんよ」

「私はすでに鳳白の配下なの。だから、あんたの誘いに乗るわけないの。わかったらとっとと去れ!時間の無駄むだぁ」

 

 

 

「これで、あなた達は卒業です。もう、どこに仕官しても恥ずかしくないです。自信を持って頑張りなさい」

「「「「「「「はい!」」」」」」

「あら?雛里?あなたも主を探しに行くんじゃないの?」

「わ、私はもう見つけました」

「あら?そうなの?それは誰かしら?」

「はい!鳳白先輩です!先輩しか考えられません!」

 

 

 

「ここに鳳白軍の結成を宣言します!」

「我らの智で平和な国を創るわよ!」

「「「みんなも私達に協力してね~」」」

「「「「「「「「「「ほわ、ほわ、ほわああああああああああああああ」」」」」」」」」」

「頑張りましょう!」

 

 

 

 

 

 

 

考えていたネタ②

 

 

 

ドドドッドドドッドドドッドドド

 

「はっ!」

 

トンットンットンットンットンットンッ

 

 

「さすがじゃな。もう、流鏑馬の腕でお前に敵う奴はいないのぅ。それこそ、戦国時代の武将や三国志の武将とか探さないとなぁ」

「それは言いすぎだって。俺なんてまだまだだよ」

 

 

 

「あれ?ここは?な、なんだよ。お前らは!!」

「へ?烏丸?ここは烏丸山なのか!?三国志じゃあるまいし」

 

 

 

「掟で騎射の腕が一番の者が一族の代表になる。一刀・・・お主の腕は一番じゃ。お主が代表じゃ!」

 

 

 

「今日の夕飯は豪勢に焼肉だ。早く焼けないかな~」

「腹減った~」

「誰だ!?」

「す、すいません。いきなりで失礼だとわかっていますが、食べ物をわけていただけませんか?何日も食べてなくてもう限界なんです」

 

 

 

「助かりました。私は姓は顔、名は良、真名は斗詩といいます」

「あんがとな。アニキ。おかげで助かったぜ。あたいは姓は文、名は醜、真名は猪々子。よろしく」

「あのままだったら、盗賊をやるしかなくなってました。是非、あなたの配下にしてください」

「あたいもアニキだったら、配下になってもいい。お願いします」

 

 

 

「あんたらが、ここらで有名な義賊かいな」

「うちは張遼。あんたんとこに入れてくれへん?」

 

 

 

書くかどうかもわからないネタ達。

プロットも何もない。ただ、思いついただけです。

面白そうだな~って。思って。

 


 
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