俺【北郷一刀】がこの有名人物が女だらけという三国志の世界に迷い込み、雪蓮達孫呉の面々に拾われてから幾分かの月日が経つ。
黄巾の乱や反董卓連合での戦場を共に駆け、ついには現在、袁術の客将という立場から反旗を翻した彼女等は宿願である呉の領地を奪還、そして江東の平定を成した。
という訳でこの俺、この世で天の御使いと称された北郷一刀が周から求められる事はたった一つ
当初呉に受け入れられた本来の目的。
天の血を呉に入れる事、 すなわち歴史に名をつらねる女性の武将や英傑を口説き孕ませろという事だ!!
はははっ、素晴らしいと思わんかねリュシータ・トエル・ウル・ラピュタよ!!
(父よ、母よ、俺を生んでくれてありがとう!あなた方の息子と息子のムスコは腹上死するその日までこの感謝を忘れません!! 種馬最高ーーーー♪)
雪蓮 「…一刀? どうしたの?空なんか見上げちゃって」
一刀 「ん? いやぁ俺も今両親に感謝してたとこ」
雪蓮 「ふぅ~~ん……天が恋しくなっちゃた?」
一刀 「ぶぁ~か、俺は自分の母親の胸より隠の胸のほうが何万倍も恋しい男ですよ?」
雪蓮 「まぁた~ つよがっちゃて♪ 隠のおっぱいもいいけど呉の至宝は蓮華のお・し・り、なんだからそっちも頼むわよ?」
一刀 「おう!呉の大戦艦にでも乗ったつもりで安心してくれ!!」
雪蓮 「ふふ………そういうことなんだけど母様、いいわよね?」
俺と雪蓮、[孫伯符]は彼女の母親である孫権の墓まいりに来ている。
袁術のせいで荒れ放題だったこの地を鎮める為あちらこちらと駆け回り、そりゃもう目が回る程忙しかったのだが、最近ようやっとひと段落つき王たる彼女はこうして先代への報告に来ている訳だ。
そこへなんで俺がいるのかは知らんが、どうにもこの場が居心地悪い
常なら享楽的で破天荒な性格の雪蓮なんだが、今の彼女はなんだかそういうふうに振舞っているという感じがして纏う空気がぎこちないからだ…
一刀 「…………」
雪蓮 「まぁ見た目こんな感じだけど結構頼りになるのよ?
彼と、そして蓮華達若い世代が、素晴らしい呉の時代をこれから作っていってくれるわ。だから安心してそこで見守っていてね……」
墓の前に立ちそう告げる彼女。
なんでだろう?その言葉がすごく寂しいと思うのは
一刀 「……なぁ雪蓮」
まるで散り逝く寸前の花の様な、彼女の存在感。
いかん、いかんぞ。 そういう言動は見ていてすごくヤキモキする
雪蓮 「何?一刀」
一刀 「どういうつもりか知らないけど俺、そういう達観した態度って嫌いなんだよね」
雪蓮 「っ…………それってどういう意味?」
一刀 「言葉通りの意味だけど?」
雪蓮 「…………」
一刀 「…………」
“ザアァァァァ”
互いに言葉なく見詰め合う二人、瞳で相手の真意を探りあい、次の言葉を探す。
石墓がぽつんと佇む静かな森の中、沈黙を風で揺らされた葉が補った。
雪蓮 「………一刀、私…」
一刀 「知ってるよ」
雪蓮 「え?」
一刀 「俺は天の知識で[江東の小覇王 孫伯符]がこの先、呉の歴史に関わる事がないのを知っている
……雪蓮が言いたいのはそういう事だろ。
だから妹の蓮華と俺との仲を気にするし、今日こんな大事な場所に俺を連れてきた。 違うか?」
雪蓮 「…………あ、あはは、ばれちゃた?……
…まっ、まったく勘がいいのも考えものよねぇ、自分の死期までなんとなくわかっちゃうんだから♪
あ~っ、それとみんなには絶対内緒だからね!! いいわね一刀♪」
雪蓮は明るく繕っているが目に見て驚き、動揺しているのがわかる。
そういう事をされるとこっちが対応に困るんだが、まぁ自分勝手な彼女らしいといえばらしい。
一刀 「了解……まぁ死ぬのは俺じゃないし、勝手にすればいいさ」
雪蓮 「む、なんだか一刀が私に優しくないぞ!! ぶ~ぶ~」
一刀 「はははは、まぁ雪蓮が心配しなくても間違いなく俺が呉の全員幸せにしてやりますって。 だからせいぜいあの世で指でも加えて見てろよ」
雪蓮 「ちょ、ちょっと、ちょっと一刀~~…言い過ぎじゃない? 私まだ死ぬと決まった訳じゃないんだけど__」
一刀 「だったらそんな何もかも知った風な口きくなよ!!!!」
雪蓮 「っ!?」
いい加減俺の我慢が限界に達した。
一刀 「雪蓮の勘がどれだけすごいか知らないし、俺の知識がどれだけアテになるかもわからないってのに、なんだってそんな格好つけようとするんだよ!!見ててむかつくんだよ!!!」
雪蓮 「なっ! …私は孫呉の王としての責任を__」
一刀 「責任だったら生きてとれ!!
冥林と交わした約束の責任、お前が孫呉に掲げた大儀の責任、俺を呉の種馬にした責任、 全部生きてとれよ!!!」
雪蓮 「…………一刀…」
………
ちょっと感情が昂ぶり過ぎたせいか視界がぼやけた
(…かっこ悪いな俺……)
涙を拭い再び雪蓮を見据える。
すると驚いた事に彼女も同じように目に涙を浮かべていた。
その顔からは普段の凛とした頼もしさが抜けていて、慎ましく儚げな雰囲気を醸し出ている。
[断金の交わり]と称される親友の冥林でさえこんな表情の雪蓮を見る事はそうそうないんじゃないか?
これは思わぬ収穫!!
雪蓮 「泣き虫ね…」
一刀 「どっちが?」
雪蓮 「両方♪」
そういって彼女も涙をぬぐい、顔に普段の凛々しさを宿す。
一刀 「…すぅ~~~……、はぁ~~~~っ」
それを見て俺は軽く深呼吸し、心を落ち着ける。
雪蓮はそれを静かに見守り俺が続ける言葉を待っていた。
後ろの孫権さんもそんな感じ……がするんだけどもしかしてすごく怒ってたりしないよな?
「何にも知らん小僧がほざくな!!!」
なんていって呪われた日には腹上死も何もかもが、全て遠き理想郷となる。
…まぁなにはともあれ、言いたい事はあと一つだ……
一刀 「いいか?」
雪蓮 「…聞かせて」
一呼吸置く
一刀 「……実は俺が雪蓮に、孫呉のみんなに受けた恩はこの大陸一でかい。
世間じゃ俺は、乱世を鎮める天からの御使いだなんていわれちゃいるが、なんの事はない俺にとっちゃあ雪蓮達こそが天の使者なんだ。」
雪蓮 「うん」
一刀 「だからその恩にむくいる為、呉のみんなが大陸一幸せだと言える日まで、俺はお前達の誰一人死なせない。
…誰一人もだぞ!!」
言い切る。 …っていうか言ってしまった。
雪蓮 「……そっか。 ふふっ、随分大きく出たわね。一刀のくせに」
一刀 「自分自身の力量の問題じゃない、俺がそう決めたんだ」
雪蓮 「嘘つきになるわよ?」
一刀 「例えなったとしても、なるつもりはない」
雪蓮 「もう……わがままね__」
そう言って雪蓮が俺の胸に飛び込んできた
フワッと果実の様な甘い香りが鼻腔に広がり、やわらかくは張りのある感触が俺の下半身を刺激する。
この日の思わぬ収穫 パート2
一刀 「いつもは雪蓮のわがままに引っ張りまわされているからな。おかえしだよ」
肩を抱き、胸に埋められた彼女の頭、絹のように滑らかなその髪を手ですくう。
この雰囲気でなら出来る限り紳士的に済ませるべきだが、下半身がそれを許さぬ状況へと変貌しつつある。
雪蓮 「……………ばか」
一刀 「はうっ!?」
俺の中の女性に言われてみたい言葉ランキング
「あなたみたいな×××はせいぜい私の足でも舐めてるがいいわ! おーほっほっほ!!」
に続きランキングインの「ばか」って言葉に、俺はハートを“ズバキュウン”と射抜かれた。
(やばい、やばいぞ、種馬紳士北郷一刀!!落ち着くんだ、自重するんだ、円周率を唱えて無駄な思考を排除するんだ!!!)
雪蓮 「ふふふ、母様に見せつけちゃてるわ♪」
顔を上げ、照れを隠す様にはにかむ表情を見せてくる雪蓮。
俺は更に主張を続けるソレを悟られない様にする為、腰を引き気味に理性を保つ
(3,14159265358979323846264338327950288419716939937510582097494459230781640628620899862803………)
雪蓮 「ねぇ一刀、もっと見せつけちゃおうか?…………ん…」
彼女がその腕をすらりと首に絡ませ、その憂いた瞳を閉じる。
一刀 「……………」
俺の中で本能という名の狂戦士を押さえ込んでいたもう一人の自分が言った。
「足止めするのはかまわんが、別にアレ〈雪蓮〉をヤッてしまってもかまわんのだろう?」
“プツン”
俺の欲望が理性を打ち滅ぼした
雪蓮 「………ん、ちょっと一刀 …私、待っているんだけど?」
片目を薄っすら開けてこちらを伺った雪蓮が催促してくる。
一刀 「…………雪蓮、ちょっと離れてくれ……」
雪蓮 「え?」
一刀 「いいから!!」
雪蓮 「…むぅ、ぶ~ぶ~ 何なのよ一体」
一刀 「いっち、に、さん、し、ほっ、ほっ、ほっと」
すごく不満たらたらに体を離す彼女、身体の自由を得た俺はアップを開始する。
既に野に放たれた俺の中のケダモノは、加減なく暴れまわるだろう。ならばしっかり準備運動しなくては
雪蓮 「……何してるの?」
一刀 「ほっ と、……よしっ、じゃあ…___」
適度に体を温め準備完了 腕を大きく広げ力一杯雪蓮めがけて飛び上がる。
一刀 「いったぁだっっきまーーーーーーーーーーーっす!!!」
“ブアッ”
雪蓮 「…へっ?」
突然の俺の行動に一瞬放心する雪蓮。
その彼女を今、押し倒そうとした その時
“プスッ”
一刀 「っなうっ!?」
雪蓮 「きゃっ!!」
“ドサッ”
雪蓮 「___ちょっと、もう、いきなりなんて、いやん♪」
一刀 「……………」
……
雪蓮 「…………一刀?」
一刀 「………うぅ……し、雪蓮………背中になにか…」
飛びかかったその瞬間、俺の背中に軽く突き飛ばされた様な違和感を感じると同時、身体の五感が一息に奪われた。…此れはいかなることぞ………
雪蓮 「…せなか?…………って一刀? 一刀!!!!」
雪蓮に覆いかぶさる様に倒れこんだままの俺、その彼女が何かに気付いたらしく、頭上で慌て始める。
一体何が起こっているんだ?、俺の背中は今どうなっているのだ?
一刀 「雪蓮、………一体…何が……」
雪蓮 「喋らないで!!!あなた、矢に射抜かれているのよ!!!」
や? あぁ、[矢]ね。………って矢ぁ!?
一刀 「矢って、まさか背中に矢が__ ゴフッ!!! 」
雪蓮 「一刀!!?? 一刀!!一刀!!!一刀!!! かずとぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
一刀 「しぇ_ ガフッ! う __ゴハッ!!」
(雪蓮……うるさい)
雪蓮の言葉が頭にガンガン響く。やめさせたいのだが口の中に充満している液体のせいでうまく喋れない。
…ところで、すごく気持ち悪くて、頭がぐるぐる回ってるんですけど、僕大丈夫なんでしょうか?
“ガサッ”
雪蓮 「っ!! 誰だ!!!」
「ちっ、見つかったか!」
雪蓮 「この矢、貴様らかぁ!!!」
「くそっ、 …こうなったら、いくぞお前ら!!」
“ザッ ザザザザザッ”
辺りから突如5~8人くらいの人の気配が生まれる。
おそらく敵襲なんだろうソレを迎えうつべく雪蓮が俺の体から離れた感じがする。
…ってゆうかさっきから視界が暗いんですけど、これって射抜かれたら良くある症状なんですか?
「死ねぇぇぇぇぇ孫策!!!!」
孫策 「っ!!」
“ザシュッ”
「ぐあぁぁぁぁぁぁ」
雪蓮 「…よくも……よくも一刀を……」
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁ!!!!」
“ドスッ”
「ぐふっ」
“ドシャッ”
なんか物騒な音が聞こえる……雪蓮が心配だ。
“ザシュッ バシュウゥゥゥゥ”
「ひぃぃぃぃぃぃ」
「化物だぁっ!!」
“ダッ タタタタタタッ……”
……あ、やっぱ嘘、心配ない、うん
雪蓮 「逃がすかあぁぁ!!」
“タタタタタタッ……”
走り去る複数の足音、それを追いかける様に続くのは雪蓮のものだろう。
がんばれ雪蓮、俺の仇はお前に任せた。
一刀 「…………」
いや、待て待て! 雪蓮さん?俺を見捨ててませんか!?
こんな状態で一人とか、どうするんだよ俺!!
(誰かっ、誰か助けてくださーーい!!)
…………
………
……誰も来ない…
…
……意識が遠のいていく…………
“……タタタタタッ”
冥林 「北郷!大丈夫か!!」
……このまま不貞寝気味に意識を手放そうとした時、誰かが俺を抱き起こす感覚がする………この声…
一刀 「………め、いり……?」
冥林 「そうだ、周公謹だ!!北郷、しっかりしろ!!」
一刀 「 ……ナイス…め、い…りん…………」
俺は…力を振り絞り…手を上げ親指を立てる。
…アンタ最高だよ……
冥林 「何を __っ!? その顔!!まさか毒に……!!」
…どく? …あぁ、[毒]…ね。…………って毒ぅ!!!
一刀 「っ、毒って冥り___ ゴフアァァッ 」
…今わかった…さっきから口に…充満してるコレ……[血]だ…
冥林 「北郷!! 待ってろ今医者のもとに……」
…抱き上げられる…感触…
一刀 「ガフッ ゴヘッ ……冥林…」
冥林 「…喋るな、黙っていろ」
“タッ”
…体…が揺れる。きっと…冥林…が俺を抱え……走り…だした……のだろう。
……意識を保つのが………もう限界…だ、このまま………死んで…しまう事も…………ありえるのだ…ろうか?
一刀 「…めいり……」
冥林 「喋るなと言っている」
一刀 「ちょ……ねる……あと…で…おこ…して」
冥林 「 っ!!……………あぁ………わかった」
いや……きっと…それはないな
俺は深い闇に身を投じた。
つづく
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ごめんなさいの3作目。だって呉が好きなんだもん。
魏あふたぬ~んもマフィアも順次投下いたします。
次はマフィアです。