No.150494

飛天の御使い~第拾六幕~

eni_meelさん

恋姫†無双の二次創作です。
群雄割拠編です。
一刀たちの元に突然現れた訪問者、そして
一刃を襲う者とは一体・・・・。
拙い未熟な文章ですが、少しでも楽しんでいただければ

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2010-06-14 01:33:39 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:3515   閲覧ユーザー数:3006

 

はじめに

 

この作品の主人公はチート性能です。

 

キャラ崩壊、セリフ崩壊、世界観崩壊な部分があることも

 

あるとは思いますが、ご了承ください。

 

 

 

冀州・鄴

 

酒宴から一夜明け、まだダルさの抜けていない朝、城門に配置している兵が玉座の間に駆け込んできた。

 

「北郷様、西涼の馬騰様のご息女・馬超様が北郷様に取次ぎを願い出ておりますが、いかがいたしましょう?」

 

兵のその報告に一刀は思わず立ち上がる。西涼の馬騰軍が益州の劉璋軍に破れ、馬騰は死んだと言う報は受けていたのだが、馬超たちの安否が不明だったためその本人がこちらに来ているということに驚いたからである。一刀はすぐにこちらへ通すように指示を出す。しばらくすると兵に連れられて馬超と他に2名の姿が見える。

 

「目通りいただき感謝する。連盟軍以来だな、北郷殿。」

「そうだな、しかし無事でなりよりだ馬超殿。」

 

簡単な挨拶を交わした二人だが、一刀は早速本題に入る。

 

「ところで馬超殿、此度は何用で我が城を訪れかな?」

 

その問いに馬超は俯き、搾り出すように声を出す。

 

「力を貸してもらいたくてここに来た。多分、話は聞いているとは思うが、私の母・馬騰は先の劉璋軍との戦いで命を落とした。あたしらはそれまで五胡との戦いを繰り広げていたのだが、ある日突然、劉璋たちが国境を越えて進軍してきたんだ。でも五胡との戦で疲弊していたあたしたちの軍にはもう劉璋たちと戦えるほどの兵数はなかったんだ。だから母上は、あたしら3人だけを戦場から逃がしてくれたんだ。いつの日か劉璋の手から涼州を取り戻すために。だけど、あたしらにはそんな力がない。だから力を貸して欲しくてここにきたんだ。北郷殿なら信頼に値すると思っているから・・・・。」

 

自分の思いを一刀に訴える馬超。しかし、一刀から出たのはみなの予想とは違うことだった。

 

「信頼をしてくれているのはありがたいが、残念なことに今の段階では君たちの力になることは出来ない。」

 

一刀のその言葉に一刃や愛紗たちは声を荒げて抗議する。

 

「師匠、馬超殿が我等を頼って涼州から赴いてくれたというのに何故そのようなことを言うのですか?馬超殿たちは肉親を殺されて相手に一矢報いたいと思っている。ならばその願いのために我等が手を貸してあげればよいではありませんか。」

 

 

一刃たちの抗議の声に答えたのは一刀ではなく詠だった。

 

「私たちは今、河北四州の内政と人心を安定させなければならない大切な時期なの。それをしないまま他国へ出向いていたりしたら内側から瓦解させることになりかねない。それに劉璋軍は恐らく大陸一と言っていいくらいの大国になったわ。そんなところにノコノコ出て行ったりしたら返り討ちにあうのがオチよ。それに、私たちの国は、曹操、孫権、劉表の国と接している。隙を見せればそれら諸侯に漬け込まれる可能性だってあるのよ。馬超たちの気持ちも分からなくはないけど、今は国力を高めていくことこそ今の課題なのよ。」

 

「しかし・・・・。」

 

なおも食い下がろうとする一刃たちの態度に一刀が口を開く。

 

「一刃、お前は連合での戦いで何を学んだんだ?目の前のことだけに囚われていては肝心なところを見落とすことになる。もっと広い視野で物事を見ることを覚えろ。お前たちが言うこともわかるが詠も言ったとおり、今益州へ侵攻する事は、他の有力諸侯の自国への侵略を許すことになりかねん。」

 

一刀の言葉に一刃たちは何も言えなくなってしまう。そんな一刃を庇うように馬超が口を挟む。

 

「こちらもいきなり押しかけてきて自分たちの要求ばかり押し付けようとは思っていない。でもいつの日か劉璋との決戦の時に私たちも参加させてくれればいい。だから出来ればここで世話になれると助かるんだが・・・・。」

 

馬超のその言葉に一刀はニッコリ笑顔で

 

「無論、今すぐは力にはなれないけど馬超殿たちを迎え入れることには賛成だ、歓迎するよ。」

 

その言葉に馬超達は安堵の表情を浮かべた。

 

「これからお世話になるから真名を預けるよ。姓は馬、名は超、字は孟起、真名は翠だ。よろしく頼む。」

「私は馬休。姓は馬、名は休、字は孟虔、真名は碧(みどり)です。よろしくお願いします。」

「あたいは馬鉄。姓は馬、名は鉄、字は孟弧、真名は楓(かえで)。みんな、よろしく~。」

 

一刀たちは馬超達と真名を交換した。その後、今後についての話し合いを始める。

 

 

「さて、先程詠の話にもあったようにしばらくは内政と人心の安定を図るために行動することになる。ただ、周辺諸侯の動きにも注意をしておかなければならない。劉璋が西部を固めたということは、西侵を狙っていた曹操たちの動きには特に注意をしておかなければならんだろう。」

 

一刀の話に朱里が追随する。

 

「各地の細作の調べでは、南の孫権さんの所は今のところ揚州の掌握に手こずっているらしく、まだ地盤固めに時間がかかるようです。一方、曹操さんのところでは西侵を見合わせるらしいとしか分かっていませんが、そうなると自ずとこちらへ侵攻するのは時間の問題かと思われます。しかも、曹操陣営では騎馬隊を率いる将を欲しているという情報も入ってきています。我々の陣営には大陸屈指の騎馬隊があり、尚且つ率いる将も多いのでそれらを狙ってとも考えられます。」

 

今回、仲間になった馬超たちも入れると間違いなく大陸一の騎馬部隊であろう。

 

それを狙うのはある意味必然なのかもしれない。

 

「そうなると敵さんは何か計略を考えて行動にでる可能性が高いな。」

 

その一刀の言葉に場にいた全員が頷く。

 

「だが、とりあえずは内政が先だ。敵の動きが分からない以上無闇やたらに動いては危険だ。国境にある程度の数の兵を配置して様子を見ることにしよう。」

 

そうして軍議は終わった。みんな玉座の間から出て行く中で、一刀は考え事をしていた。

 

 

それは、洛陽での舞華襲撃騒動があった翌日のこと。舞華の一刃を見る目が妙に気になってその事を舞華に尋ねた時の事だった。

 

「なぁ舞華、君は一刃の事をどう思ってる?」

 

一刀のその質問に舞華は少し動揺する。そんな舞華の態度に気がついたのか一刀は続ける。

 

「君の事は霞から聞いた。君のいい人を手にかけたのが俺のバカ弟子だったということも・・・・・。俺がこんなことを言っても仕方のないことなのかもしれないが、本当に済まないと思ってる。俺があいつらを導いてやれていれば君の大切な人は死ななかったかもしれない。その事を許してくれとは言わない。君の幸せを奪ったのは間違いなく俺たちだ。だが、俺は君のような人間をこれ以上増やさないような世界を作りたいと思っている。それは一刃たちも同じだ。だが、あいつら・・・・一刃はその想いが強すぎて暴走をすることがある。力を持つあまりそれを正義と勘違いすることもある。今のあいつは『抜身の刀』なんだ。そんな状態で放っておけば、あいつはこれからもその力を、その刀を振るい続けるだろう。これからの戦いは賊退治のようなものではなく、相容れない正義、自分たちの信じる理想実現のための戦いだ。そんな中で抜身の刀を振るい続ければきっとあいつは修羅の道に堕ちるだろう。だからあいつにはその刀を納めるための『鞘』が必要なんだ。・・・舞華、あいつの・・・・一刃の『鞘』になってはくれないか?」

 

その一刀の言葉に、舞華は目を見開いた。まるで一刀の心の中を覗き込もうとするように。しかし、一刀の瞳はどこまでも透き通ったまま、彼の心の中を表しているようだった。

 

「どうして、・・・私なんですか?」

 

そんな疑問をぶつけるが、一刀は苦笑いしながら

 

「どうしてかな・・・・、君ならあいつの・・・一刃の心を救ってくれるんじゃないかって思ったんだ。ほとんど俺の勘だけどね・・・。あいつにはまだまだ学ばなければならないことは多い。今は、俺がいるから間違いそうになっても導いてやることが出来るけど、いつ俺がいなくなるかわからない。そうなったらあいつはきっと道を踏み外していくような気がするんだ。そうならないためにあいつのことを導いてやる人間が必要なんだ。愛紗や鈴々は一刃と兄妹の契りを交わしているが、あいつらの思いは同じところが多い。一刃の暴走を止めることは出来ないだろう。だから・・・・。」

 

そういうと一刀は舞華に頭を下げた。その態度に舞華は驚いたが、小さな声で

 

「・・・・・分かりました。でも私は彼のことをまだあまり知らない。だから、彼の人となりを知ってからでもいいですか?」

 

「あぁ、それで構わない。・・・・・・舞華、・・・・・ありがとう。」

 

そういうと舞華は王允の元へと戻っていった。

 

 

 

 

(あれからもう3ヶ月か・・・・。未だに二人の距離が縮まった風には見えないんだよなぁ・・・・)

 

そう一刀は頭を抱える。

 

「まぁ、時間の流れに任せるしかないか・・・・。」

 

そう呟くと立ち上がり玉座の間を後にした。

 

 

徐州・下邳

 

一刃と舞華は下邳の城下町に来ていた。というのも最近この街近辺に賊が集結しているという情報があったからだ。その報告を受けた一刃が兵を率い無事に賊の沈静化に成功した。その余暇をぬって舞華と城下町の視察をしているのだ。あの日以来、少しずつではあるが二人の距離は縮まっているように見えた。というか一刃はそう感じていた。舞華がどう思っているのかは分からないが・・・・。二人で視察していると、向こうの方で何か騒ぎが起こっている様子みたいだったので二人はそこへ急行する。そこで目にしたのは、警邏兵にボコボコにされている少女の姿だった。

 

「おい、何をしている。」

 

警邏兵に一刃は尋ねる。

 

「あっ、一刃将軍。この少女が窃盗をしていたので対処していたところです。」

 

そういう兵士の足元には盗んだものだろうか、食べ物を抱えた少女が力なく横たわっていた。殴られた跡だろうか、痛々しい青あざがあちこちにあった。

 

「ここはいい。お前たちは警邏にもどれ。」

 

そういうと「はっ」と短く言い、警邏に戻っていった。一刃は横たわる少女に話しかける。

 

「大丈夫かい?」

 

そう問いかけるが少女は何も言わない。

 

「どうして盗みなんかしたの?」

 

そう尋ねても答えは返って来ない。う~ん、と困ったように少し考えたが、

 

「とりあえず俺たちについておいで、傷の手当をしてあげるから。」

 

そう言って手を差し伸べると、少女は手を掴んで立ち上がった。

 

「ねぇ、君名前なんていうの?」

 

一刃は少女にそう尋ねると少女は、

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・左慈。」

 

と小さな声で名乗った。

 

「俺は北郷の一刃って言うんだ。」

 

その名前を聞いた瞬間、左慈と名乗った少女の表情が変わった。

 

 

気がつくと一刃の腹部には少女の持っていた小刀が突き刺さっていた。

 

少女の目は鋭く一刃を睨みつけて

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・兄さまの仇・・・・・・・・・・・・・・」

 

そう叫んだのだった。

 

 

 

 

 

 

 

あとがき

 

群雄割拠編です。

 

ここで新しいキャラクターが出てきました。

 

無印をやっている方なら分かるあのキャラです。

 

この外史でどういった位置づけになるのか

 

書いている本人も分かりません・・・・・・。

 

かなり行き当たりバッタリな感じがしますが、ご了承ください。

 

ちなみに馬休と馬鉄の字はなかったのですが、馬超だけあるのもバランスが

 

悪いなぁと思い、こちらで勝手に付けました。

 

馬超が『孟起(もうき)』だったから孟だけもらって後ろは語呂的に

 

『孟虔(もうけん)』『孟弧(もうこ)』とカ行で合わせてみました。

 

真名については適当です。ちなみにキャラ設定として大人しい感じのが『馬休』、

 

馬岱よりもワンパクな感じにしたのが『馬鉄』です。

 

馬超を含めたこの3姉妹でジェットストリームアタッ・・・・・ゲフン。

 

そんな技は作りませんが・・・・・。

 

拙い未熟な文章ですが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。

 

感想、コメントも大歓迎です。

 

 

 

 

 


 
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