No.150002

真・恋姫無双 刀香譚 ~双天王記~ 第六話 前編

狭乃 狼さん

刀香譚、六話です。
 
黄巾の乱が終結し、幽州へと戻った一刀たち。

そこにもたらされた一報。

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2010-06-12 15:45:31 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:29346   閲覧ユーザー数:24459

 

 「じゃあ、また旅に出るんだ」

 

 一刀が目の前の三人に問いかける。

 

 「ええ。私と風はもともと、兗州の曹操様に仕官するつもりでしたので」

 

 「そうか、華琳に。なるほど、彼女なら主君として申し分ないだろな」

 

 「あの~、今のは曹操さんの真名でしょうか?」

 

 「ああ。私塾時代の友人でね。何でか俺を気に入ってくれて、預けてくれたんだ」

 

 「はあ・・・」

 

 呆気にとられる、稟と風。

 

 「それで、趙雲さんは?」

 

 「私はこの二人を兗州まで送ってから、また旅に出るつもりです」

 

 「惜しいな。出来ればその武、うちで振るって欲しかったんだが」

 

 白蓮が残念そうに言う。

 

 「それは光栄ですな。・・・まあ、私としては、公孫賛殿より、そちらの御仁が気にはなりますが」

 

 一刀を見る趙雲。

 

 「俺?俺に仕えたって、たいしたことは出来ないよ?」

 

 「ふふ。まあ、そういうことにしておきましょうか」

 

 

 

 趙雲たちを見送った一刀たちは、そのまま、幽州へと帰還した。

 

 その三日後、今度は涼州へ戻る華雄を、みんなで見送っていた、その時だった。

 

 幽州の牧、劉虞から送られてきた早馬の知らせで、隣接する併州が賊徒に制圧されたと聞かされた。

 

 小さいとはいえ、州一つを制圧する規模の賊である。

 

 一刀たちはすぐさま、賊徒鎮圧に乗りだした。

 

 最後にもう一働きさせてもらう、と華雄も協力してくれることになり、翌日、白蓮と一刀率いる三万の軍勢が北平を出立した。

 

 その途中で劉虞率いる二万と合流し、総勢五万が、併州に入った。

 

 だが、

 

 「なんか、抵抗らしい抵抗もなく、ここまで来ちゃったんだけど」

 

 桃香の言うとおり、併州に入ってから、ここ、州都に至るまで、賊軍は全く現れなかった。

 

 「周辺に斥候を放ってるから、状況はすぐにわかると思う。けど問題は・・・」

 

 「ああ、城に立つ旗だな。・・・なぜ、ここにあの旗がある」

 

 一刀たちの視界に映る、城に立てられた旗には、信じられない文字が書かれていた。

 

 黒地に赤でかかれたその文字は、「徐」。

 

 「義兄上、あの旗と字をご存知で?」

 

 愛紗が一刀に問う。

 

 「ああ、よーく、ね」

 

 「・・・あれ、輝里(かがり)ちゃんの旗だよね?」

 

 「間違いない。・・・徐庶元直だ」

 

 

 

 併州城の城門前。

 

 その上に立つ人物に、一刀が声をかける。

 

 「輝里!!これはどういうことだ!!」

 

 「・・・見てわからない?この城は私が貰ったの」

 

 その人物、青い装束をまとう、黒髪の女性が、一刀に答える。

 

 「輝里よ!!賊を率いて城を乗っ取るなど、気でもふれたのか!!」

 

 今度は白蓮が、徐庶に対して叫ぶ。

 

 「・・・私は正気よ。・・・白蓮、いえ、公孫賛伯珪、そして劉翔北辰。ならびに全ての幽州の軍に告げる。この城に住む者たちの命が惜しくば、そこにいる劉虞の首を差し出しなさい。返答の期限は日没まで。いいわね?」

 

 それだけ言って引っ込む徐庶。

 

 「輝里!!おい待て!!」

 

 「・・・劉虞どの、何か心当たりは?」

 

 「な、何じゃその目は。わしは何もしとらんぞ!!あんな女、見たこともない!!」

 

 あからさまに狼狽する劉虞。

 

 「・・・どちらにせよ、何か対策を立てないとな。相手はあの輝里だ。生半可な手じゃ通用しない」

 

 「斥候が戻ってきたら、すぐに軍議を開く。愛紗、陣を」

 

 「は!!」

 

 走り去る愛紗。

 

 「さて、その前に」

 

 くるりと、劉虞のほうを向く一刀。

 

 「洗いざらいしゃべってもらいますよ?劉虞殿?」

 

 冷徹な顔を劉虞に向ける一刀。

 

 「あ、いや、その、じゃな」

 

 おろおろとする劉虞。

 

 日はいまだ中天にあった。

 

 

 

 あとがき

 

 さて、時間がなくて短いですが、六話の投稿です。

 

 風と稟はやっぱり華琳のところに行かせることにしました。

 

 星はもう少し後で、仲間に入る予定です。

 

 

 で、賊徒討伐に来たはずなのに、とんでもないのと再会した一刀たち。

 

 果たしてその真意とは。

 

 劉虞との因縁とは一体?

 

 

 

 第七話で、またお会いしましょう。

 

 それでは。

 

 ご意見ご感想、お待ちしております。

 

 


 
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