No.148571

花園の護り人

横島忠夫ファルガイア紀行verその2
「WILD/WEST/WIND」 が動ならこっちは静
横島忠夫が迷い込んだ、たったひとりの少女が護る「秘密の花園」。
ほのぼの路線。どこの「彼女」かは・・・まぁこれから?

2010-06-06 20:58:54 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3029   閲覧ユーザー数:2880

 

 

 

 

彼の覚醒を促したのは、花のものと思う生命力溢れる香りだった。

自分の生活圏では縁遠い・・・まぁ「散歩」で気がついたら山中とかは珍しくないのだが・・・・・・土のにおいを伴ったそれに誘われ目を開こうとし・・・

 

その視界が白く焼かれ、顔をしかめた。

どうやら太陽を直視してしまったらしい。

 

「って外かよ?!」

 

お約束の「見知らぬ天井だ」も言えず、自身が判断した結論にワンテンポ遅れてツッコみ、がばりと彼はその半身を起こした。

やっと馴れた目はいくらかの残像を残し、緑とも紫とも知れぬ歪なカタマリを映し出すが、それでも周囲を確認するのは役立ってくれたらしい。

もっとも、香りである程度の予見はあったのだが・・・・・・

 

「天国・・・・って割りにゃ、こぢんまりとしてるよな」

 

庭、という表現が一番見合っているようにも思えた。

学校の校庭ほどでも、その手入れされた木々と奥にある柵が、この場所の印象をそうと形付ける。

それにしても、東京辺りの地価を考えればとんでもない広さとはいえるが、知人宅にはもっと広いところもある。

ここほど、花の支配下にはないのだが。

 

色とりどりに香る、小さな花園。

彼は自分を責めるように、そっと呟いた。

 

「場違いだ」

 

 

 

 

 

 

 

小さなこの楽園の主は直に姿を見せた。

もっとも、主と判断したのは彼個人のそれに過ぎないが。

彼の周囲にはいなかった・・・・あえて近いと言うなら(元)貧乏神憑きの少女だろうか・・・酷く気の小さそうな、厚手の実豚やコートにみをつつんだ、幼い印象のある少女だ。

なんとなく、対象外。

彼女は怯えきった様子で、遠巻きに彼を見ていた。

 

「いえ」なのだろう。小さな、そういう意味では彼女の印象にぴったりなログハウス風、な小屋。

その、扉の隙間から。

 

「あ、えーと」

 

彼は迷ったが、それでも立ち上がり、そちらに向かってみた。

微妙な距離での見詰め合いは、正直苦痛だったのだ。

だが彼女はそんな積極的なコミュニケーションの手前の行動だけで怖がってしまい、慌ててその戸にできていたわずかばかりの隙間(つながり)すら拒絶しようとし・・・

 

 

ぶべっ

派手な音を立てて転んだ彼の様に、結局その手を止めた。

 

「ってーぇえ」

「だ、だいじょうぶですか」

 

印象どおりのまるで消えてしまいそうな声で、少女が声をかけてきた。

無意識に駆けつけようとすらしたのだろう。

戸の隙間は、さっきよりも僅かながら大きい。

 

何もないところでこけた彼は、本当に嬉しそうな顔でそう声を掛けてくれた少女に笑った。

 

「よかった」

「え?」

「優しい子だったからさ。

オレは、横島忠夫。GSなんだけど・・・・・ここ、どこかな?」

「じーえす?えっと、私はマリエル・・・

ここは、私の、花園です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・

なんか、データあさってたらでてきた(笑


 
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