No.148294

真・恋姫†無双‐天遣伝‐(2)

さて、今回は以前から考えていた分ですので、投稿は早目です。

最も、これからの更新速度はかなり差が出てくるでしょう。

読んで下さる皆様に大いに感謝を!

2010-06-05 23:34:21 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:15799   閲覧ユーザー数:11206

 

・Caution!!・

 

この作品は、真・恋姫†無双の二次創作小説です。

 

オリジナルキャラにオリジナル設定が大量に出てくる上、ネタやパロディも多分に含む予定です。

 

また、投稿者本人が余り恋姫をやりこんでいない事もあり、原作崩壊や、キャラ崩壊を引き起こしている可能性があります。

 

ですので、そういった事が許容できない方々は、大変申し訳ございませんが、ブラウザのバックボタンを押して戻って下さい。

 

それでは始めます。

 

 

 

 

 

真・恋姫†無双

-天遣伝-

第一話「北郷一刀」

 

 

 

・・・ここは何処だ?

 

どう見ても、日本の首都圏にあるとは思えない森を見渡しながら思う。

 

俺は確かにフランチェスカの剣道場を出てから真っ直ぐ寮に帰る途中、何かにぶつかって・・・・・・ん?

 

何故か、その後の記憶が無いぞ?

 

くそっ! 思い出せ! 何か、不味い事が起きている予感がするのに!

 

必死で今日の記憶を引っ張り出そうとするが、思い出せるのは昨晩お世話になったばかりの及川プロデュースのエロ本の中身ばかり。

 

ええい、自重しろ俺のリビドー!!

 

 

「ッ!?」

 

 

突然殺気を感じてその場から飛び退くと、さっきまで俺の頭があった場所を、切れ味の鋭そうな刃が通り過ぎ、そのまま地面を割っていた。

 

あ、危ねえ! 爺ちゃんとの修行が無かったら、俺は今頃・・・

 

その事実にゾッとする。

俺を殺そうとした、血の涙を流しているみたいな奇妙な仮面を付け、全身を返り血で染めている奴を全力で睨み付ける。

 

けれど、全く動じない。

柳に風、暖簾に腕押し。

奴の背後にいる全く同じ姿をした奴等も同様だ。

 

間違い無い、ここは普通じゃない。

少なくとも、こいつは俺を殺す事に何も感じてない。

 

ゴクリ、と咽が鳴る。

 

殺される。

相手を倒さないと、俺が死ぬ。

 

咄嗟に掴んでいた、袋の上から愛刀を握り締める。

 

・・・確かに、俺が学んだ剣術は所謂殺人剣だ。

だけど、実際に人を殺すのか? 俺が?

 

けど、相手は当然待ってくれない。

 

俺が迷っている間に、『敵』は既に剣を振りかぶっていた。

 

 

「くそっ!」

 

 

体を、唐竹の軌道を描いて振り下ろされる剣から逃がす。

 

迷っている暇さえくれないか。

 

ええい、覚悟を決めろ、北郷一刀!!

心の中で自分自身を、そう叱咤する。

 

袋の紐を解き、俺の愛刀『暁』を引っ張り出し、左手で鯉口付近を掴む。

剣を習い始めてから何度も繰り返して来た工程だ、ミスは有り得ない!

 

今度は横薙ぎに振るってきた剣に対し、身を屈めて避ける。

う、髪の毛が2,3本飛んだ。

 

頭の上を剣が通過したのを見計らって立ち上がり、右拳を敵の顔面に思い切り叩き付ける!

 

敵が怯んだのを見てから、暁に添えた左手で鯉口を切り、相手の右脇腹に狙いを定め、俺は暁を振り抜いた。

 

一息に抜いた暁の刃を、敵に届く直前に峰を返す。

 

刃が敵に当たり、骨が砕ける音が聞こえ、俺の手にも嫌な手応えが返ってくる。

苦悶の声を上げる敵は、そのまま横に吹っ飛んで木に激突。

動かなくなった。

 

くそっ、手が震えてきやがった。

自分の意思で、人を傷付ける事が初めてだとは言え、これ程辛いものなのか。

 

でも、今は。

生き残る為に集中しろ!

 

必死にそう体に言い聞かせて、暁を片手で構える。

 

他の敵が向かってくる。

今倒した奴と同じ様に、こちらを殺す事なんて屁とも思っちゃいないだろう。

 

思った通り手加減無しに唐竹に振り下ろしてきた剣を、暁を横にして受け止める。

けど、そのまま堪えたりせずに力を抜き、剣を暁の刃の上を滑らせて、脇の地面に落とさせる。

 

大いに体勢を崩した敵の右米神を狙い、鞘で思い切り殴打する。

効いたらしく、敵はその場で倒れる。

二人目。

 

残りの敵二人が、同時に襲い掛かってくる。

 

今度はコンビネーションを組み、一人が俺を真正面から引き付け、もう一人が俺の死角に回り込もうとしてくる。

 

俺は、鞘と暁を同じ様に構える。

正面の敵が袈裟斬に振るってくる剣を先程と同じ要領で、今度は鞘で受け流し、刃先に背後の敵を映しながら、機を窺う。

 

―――刃先から敵の姿が消えた、来る!

 

背後から振られた剣を避け、今度はこちらが敵の虚を衝いて、死角を取りながら敵の背後に回り込む。

 

こちらを追って振り向こうとした敵の背中を正面に向かって蹴り飛ばし、二人とも転ばせ、鞘を使って二人の頭を殴る。

 

これで全員が動かなくなった・・・

 

 

「―――――ウッ・・・・・・」

 

 

集中を解くのと同時に、意識が遠くなる。

 

っく、不味い。

まだこいつ等の仲間がいないとも限らないのに。

 

けど、そんな気持ちとは裏腹に、俺の意識はブラックアウトした。

 

 

 

 

 

 

 

聖フランチェスカ学園2年の男子生徒北郷一刀は、その日の日の出と共に目を覚ました。

 

 

「・・・知らない天井だ」

 

 

ある種お決まりの寝起きの台詞と共に、一刀は寝所から身を起こす。

 

現在の一刀は軽く混乱していた。

無理も無い。

記憶の上では、さっきまで命のやり取りをしていた筈なのに、眼を覚ましてみれば、明らかに何処かの部屋のベッドに寝かされていたのだから。

 

これで、電化製品でも近くにあれば何時もの朝だったのだが、生憎とそんな物は無く、その事実が一刀に重くのしかかる。

 

だというのに、一刀は心の何処かでこの状況を喜んでいる自分がいるのを感じ、ブルリと体を震わせる。

 

生き残り、少なくとも問答無用で殺される事は無いだろう、という事から来る喜びだと、己に強く言い聞かせる。

 

そうでもしなければ、自分の中の何かが壊れてしまいそうだと、感じてしまったが故に。

 

そこでようやく、一刀は自分が酷い寝汗をかいている事に気付き、制服の上着とインナーを脱いで上半身裸に。

 

 

“バタン!”

 

 

なった瞬間勢いよく開け放たれる、部屋の扉。

して、そこには。

長い茶髪を、頭の後ろで高く結い上げた、所謂ポニーテール美少女が十文字槍を持って立っていた。

見た目、一刀と同年代だろうか。

後マユゲが恋、もとい濃い。

 

フランチェスカで不動如耶を筆頭とする美少女軍団を見慣れている筈の一刀でさえ、思わず見惚れた。

それ程に美しかった。

 

互いを暫し眺め合う両者。

そこには、朝独特の穏やかな空気が流れていた。

 

だがしかし、忘れないで欲しい。

一刀の格好は、現在半裸なのである。

 

故に、再起動した彼女が真っ先に行ったのは。

 

 

「☆□※@▽○∀→←↓→AB――――――――――!!!!!」

 

 

顔を真っ赤にして尻餅をつき、声にもなっていない絶叫を城中に響かせる事であった。

 

 

 

 

 

 

時は少し遡る。

 

 

「ハァ・・・」

 

 

あたしの口から、今日何度目になるかも解らない溜息が出る。

 

元はと言えば、母様が三日前に拾ってきた、あの男が原因なのに。

 

あの日、流星が落ちた夜。

いきなり『黒鶯』に乗って出て行ったかと思えば、帰って来た時に変てこな服着た男を抱えてて。

 

しかも、その男の正体が解るまでうちで面倒見るとか言い出すし。

 

五胡の間諜かもしれないからって理由で、あたしと母様と葵(あおい)の三人で、目を覚ますまで順番に様子を見に行く事になってる。

 

因みにこれを決めたのは、あの朔夜。

 

絶対いい加減に出来ない。

もし手を抜いたりなんかしたら・・・・・・

 

 

“ガタガタガタガタ・・・・・・”

 

 

くそう、お仕置きの事思い出しちゃったじゃないか。

よし決めた。

あの男、起きたら一発ぶん殴ってやる。

 

あいつの寝ている部屋に着いたから、気合を入れて扉を思いっ切り叩き開けた。

 

 

“バタン!”

 

 

さ~て、あいつは・・・・・・・・・・・・・・!?

 

頭の中が真っ白になった。

 

てっきり寝てるもんだと思ってたあの男はもう起きてて。

で、上半身が・・は、は、は、裸でっ!

 

初めて見た時は服に隠されてて解んなかったけど、凄く理想的に引き絞られた身体で。

 

なんか、綺麗だな。

そう思った。

 

じ~っと、眺めてたら、向こうもあたしの事をじっと見てて。

 

あ、あれ?

あたし今、すっごい恥ずかしい事してね?

半裸の男を見詰めてるって。

 

あ、あぁぁぁぁ・・・・・・・・・・

 

 

「☆□※@▽○∀→←↓→AB――――――――――!!!!!」

 

 

気付けばそう絶叫してた。

 

 

 

 

 

 

「☆□※@▽○∀→←↓→AB――――――――――!!!!!」

 

 

彼女がそう絶叫してから然程掛からず、ドタドタと人々の足音が響いたかと思えば。

 

 

「どうしましたか、翠!」

 

「ついにあの坊主が起きたのかい!?」

 

「何があった!?」

 

 

等と言いながら、三人の女性が姿を見せた。

 

その内の二人は、互いに『碧』、『朔夜』と呼び合っていた者達。

 

残りの一人は、藍色の長髪を単純に結んで垂らしただけの、これまた凛とした女性。

 

しかし、今の状況は一刀にとっては最悪以外の何者でも無かった。

 

半裸で固まっている男+顔を真っ赤にして尻餅をついている女=女が男に襲われそうになっている。

そう、藍色の髪を持つ女性が結論付けるのに刹那の瞬間も要さず。

 

碧が止めるのも間に合わず、彼女は一刀に向かって己が双戟を抜き放っていた。

 

双戟には人一人を殺すのに十二分な力が籠められている。

 

虚を衝かれた上に、達人の攻撃。

如何な妖魔の類であっても、避ける事は不可能。

 

だから、一刀は避けなかった。

 

代わりに、脳天を割ろうとする両の戟の攻撃の軸を、ほんの少しだけずらした。

本人はそこから全く動かずに。

 

たったそれだけで、戟はまるで一刀を避けたように、床へと吸い込まれた。

 

碧を始めとする、三人は驚愕していた。

 

不意打ちに等しい攻撃。

それを冷静に対処し、無傷でやり過ごした。

自分達だったら、どうあっても無傷ではいられない。

思った以上に凄い奴だ。

 

という感想を抱いている一方、一刀は心中で滝の様な冷汗をかいていた。

 

 

「(やべぇ、また同じ事されたら、今度はマジで死ねる!!)」

 

 

今の一撃で、一刀の命を狩り取るつもりだった彼女は、目付きを一層鋭くし、極度の緊張感の所為で声を出せない一刀が、心で悲鳴を叫ぶ。

 

 

「ほい、そこまでだ葵」

 

 

碧が、葵の手を抑えながら止める。

 

 

「碧様、しかしこ奴は翠を・・・!」

 

「いえ、翠の様子を見れば。

大方、彼が服を脱いでいた所に誤って進入してしまい、悲鳴を上げた。

といった処でしょうね」

 

「あたしも、朔夜が言った通りだと思う。

で、翠、実際はどうなのさ」

 

「・・・・・・」

 

 

思い出したのか、再び顔を真っ赤にしながら、一度だけ首肯する翠。

 

葵から殺気が引く。

それを感じて、一刀もホッと安堵した。

 

 

「そんで、少年」

 

「・・・あ、はい?」

 

 

直後に碧に話しかけられ、そちらに顔を向ける一刀。

 

 

「あたしは、姓は馬、名は騰、字を寿成と言う。

正直に答えて貰いたい事がある」

 

 

馬騰の名乗りを聞き、一刀の両目が驚愕に見開かれる。

 

無論、馬騰はその反応に気付いたが、先に言葉を繋げた。

 

 

「少年は、『天の御遣い』かい?」

 

 

今、北郷一刀の新たな外史が幕を開ける。

 

 

 

 

 

第一話:了

 

 

 

後書きの様なもの

 

はい! 投稿二つ目です!

 

うぅむ、テンションを上げてみても、自分で読んでみても、びみょ~な感が否めない・・・・・・戦闘描写って難しいよね。

 

さて、タイトルにも書きましたが、この作品の主人公は北郷一刀君その人です。

 

彼は、昨今のエロゲには珍しく、ハーレムルートを突き進んでも妬ましくならない主人公なんですよね・・・なんでだろう?

 

皆さんはどうお思いでしょう?

 

因みに本作の彼、かなりのチートキャラです。

 

でも、パワーバランスはちゃんと考えてます。

 

ですので、そこんとこは安心して下さい。

 

ではまた次回! ノシ

 


 
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