No.146132

飛天の御使い ~月~

eni_meelさん

恋姫†無双の二次創作です。
今回も「るろ剣」仕様です。
恋姫の話のはずなのに一刀と貂蝉しか出てないのは
いかんですね。今回から少しずつ登場させて
いきたいと思います。拙い未熟な文章ですが

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2010-05-28 20:55:02 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:7508   閲覧ユーザー数:6299

 

はじめに

 

この作品の一刀はチート性能です。

 

キャラ崩壊、セリフ崩壊の部分があることも

 

あるとは思いますが、ご了承ください。

 

一刀side

 

朝、起きると少年の姿が無くなっていることに気づいた。昨日の賊退治の後、村に着いた途端糸を切った人形のように倒れてしまったためろくに会話をすることなく休んでしまったため、話せずじまいだったのだが。宿屋のものに訪ねてみると、朝早く村をたったらしい。こんな世の中、子供一人で過ごしていけるほど楽な時代じゃないはずだ。だが、少年には少年の思うところがあるのだろう、と納得させつつ朝餉に向かう。テーブルに着き注文をしようとすると、店の奥のほうから元気の良い女の子の声が聞こえた。

 

「父様、このメンマ丼とっても美味しいです~。」

 

そういいながらニコニコ笑顔でメンマ丼を頬張る少女の姿を見て思わず目を見開いた。

 

「!!(あれは、星)。」

 

水色の髪に白い召し物はまさしくあの趙雲その人だったのだが、そこに居るのはまだ10歳前後の少女だった。

 

「どういうことだ、星がまだあんなに小さいということはこの世界は前に俺が居た世界よりも過去に世界に居るってことなのか?それともあれは星じゃないのかな・・・。」

 

しかし、外見は妖艶さこそなく子供な成りではあるが間違いなく星だろう。とするとやっぱりここは過去の世界になるのか。もしここが過去の世界なら愛紗や鈴々も子供ってことだよなぁ

 

(鈴々は生まれて無い可能性もあるが・・・・)

 

混乱する頭を整理しつつ朝餉を済ませ、昼前には村を出発する。星のことは気になるが、今は村人から依頼された賊退治を優先させよう。聞いた話では、先日村の若い娘が数名押し入ってきた賊どもに連れて行かれたという。賊は近くの山に砦を築いているそうだ。数自体は50数人と小規模のようだから俺一人居ればどうにでもなる数だし、昨晩のこともある。今後、また賊による被害で少年のような人間を増やさないためにもと、賊退治を買って出たのだ。

 

真昼間に堂々と正面から乗り込み、一刻もたたないうちに賊を殲滅することが出来た。しかし、残念なことにさらわれた女性たちは強姦されたあげくに殺されており、救うことが出来なかった。御剣の理にしたがって刀を振るっても、結局誰一人救えないこともある。俺が確実に出来ることといえば犠牲者の躯を葬ってやることくらいか。自分の非力さに歯軋りする思いを押し殺して、犠牲となった女性たちの躯を丁重に葬ってやった。

 

「そういえば昨日の者達も葬ってやらねばな。」

 

そう呟いて昨日の惨劇の現場へ向かった俺は、その場の光景に息を飲んだ。

 

そこで見たものは、平野を埋め尽くすほどの墓標の数とその先に見える小さな少年の背中だった。

その姿を見た俺は妙な違和感を覚える。

 

(あの少年、どこかで見たことがあるような・・・・)

 

そしてその違和感は少年の腕にあるアザを見たことで解消されることになる。

 

(俺と同じ位置にアザを持つ少年、今朝見た少女の星、以前居た世界より過去の世界)

 

それらの事象から、少年こそ1年間探し続けていたこの「外史」での北郷一刀に間違いないと確信する。

 

さて、北郷一刀は見つけた。あとはどうやって彼を導いていけばよいかだ。今見る限り少年には「武」も「智」も期待できない。「天の御使い」としての後ろ支えもないただ庶人だ。そんな庶人を主と慕ってついてくる者もいまい。となると、俺が鍛えるしかないか。あとは彼に「覚悟」があるかどうかだな。そんなことを考えながら少年の背中に語りかける。

 

「親だけじゃなく賊の墓まで作ったのか?」

 

そう問う一刀の言葉に振り返ることなく少年は答える。

 

「親じゃなくて人買い。親は去年病で死んだ。賊だろうと人買いだろうと死ねばただの躯だから。」

 

淡々と語る少年の前には不恰好で歪な石が三つ並んでいる。

 

「その石は?」

「茜さん、桜さん、香澄さん・・・。会ってまだ一日だったけど、 男の子は自分ひとりだったから命を捨てても守らなきゃって思ったんだ。」

 

流れ落ちそうな涙を堪え視線は動かさぬまま

 

「でも、みんな僕を庇って。『この子だけは』って。」

 

流れ落ちそうだったのか、涙を流さないように空を見上げながら

 

「自分が子供だったから、みんなを守れなくて。だからせめて墓くらいはと思っていい石探したんだけどこんなのしかなくて、添える花も見つからなくて。」

 

そういうと寂しげな目で墓を見ていた。

 

(そうか、この少年には「武」も「智」もないけれど、人に一番大切な「人を思いやる気持ち」を持っている。その「優しさ」こそがこれからの動乱の世には必要なものなのだ。民を導く者としての器は持ち合わせているわけか。あとは、俺が導いてやればよいだけのこと。この子はきっと立派な王になれるだろう)

 

徐に腰に下げていた酒瓶の蓋をはずし、目の前の墓にかけてゆく。

 

「旨い酒の味も知らないで成仏するのは不幸だからな。これは俺からの手向けだ。」

 

そういうと少年は俺の目を見て笑顔で

 

「ありがとう」

 

と言った。その笑顔は儚いまでに作られた心の底からの笑顔ではなかったが今、出来る精一杯の笑顔だったのだろう。

 

 

「俺は北郷。しがない旅の武芸者で剣を少々やる。」

 

そういうと腰をかがめ少年と同じ目線にあわせ静かに語りかける。

 

「君はかけがえのない者を守れなかっただけでなく、その三人の命をも託されたんだ。君の小さな手はその躯の重さを知っている。だが、託された命の重さはその比ではない。君はそれを背負ってしまった。自分を支え、人を守れる強さを身に付けなければならない。君が生きていくために、そして大切なものを守り抜いてゆくために。」

 

少年の目を見つめ静かに語るその言葉を真剣な眼差しで見つめ返してくる少年の瞳には力強い光があった。

 

「君、名前は?」

 

そう問うと少年は

 

「一(かず)です。姓の名も字もなくこの名前だけ。」

 

ふむ、名前まで『北郷一刀』ではないんだな。

 

「一(かず)か、優しすぎて剣客にはそぐわないな。お前は今から「一刃(かずと)」と名乗れ。」

 

そう言うと少年はその言葉を繰り返すかのように「一刃(かずと)」と呟いた。

 

この少年を来たるべく動乱の世へ強く進んでいけるようにするために俺は覚悟を決める。

 

 

 

 

「一刃、お前には俺の『とっておき』をくれてやる。」

 

決意に満ちた視線の先には沈んでゆく夕日が一際輝いて見えた。

 

 

 

あとがき

 

ようやく恋姫の世界へと入るための導入部が終了しました。

 

何書いてるのか相変わらず訳わかんなくなってますが・・・・。

 

さて一刃の登場により一刀の表記は今後「北郷」に変わる予定です。

 

拙い文章と乏しい表現力に情けなくなってくるんですが、

 

少しでも楽しんで読んでくれる方がいれば幸いです。

 

実はこれからが正念場なんですがね・・・・。


 
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