No.145743

真・恋姫†無双 董卓軍√ 第十九話

アボリアさん

董卓IF√第十九話です
本当は両袁家についてはさらっと流してしまう予定でしたが書いている途中になんか長くなってしまい一話分になってしまいました
誤字脱字、おかしな表現等ありましたら報告頂けると嬉しいです

2010-05-26 22:24:50 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:18976   閲覧ユーザー数:13725

袁紹の軍勢を追い払った俺達だったが董軍、曹軍共に激戦後での連戦であったこともあり兵は満身創痍の状態だった

その上逃げ帰ったとはいえ袁紹は未だ広大な土地と大勢の兵を抱えていることもあり、一旦体制を整える必要がある俺達はそれぞれの国へと退却することを余儀なくされた

ちなみに華琳達には家臣の体裁をとって貰っているが統治の関係…特に人材が足りていない事や月の強い希望もあり今までと変わらず魏国の領土を治めてもらう事となっている

それはともかく、対袁紹戦に備えるため俺達は軍議を開き今後について話し合う事にするのだった…

 

 

 

 

 

「現状で分かっているのは、散々に打ち破ってやったとはいえ袁紹の兵力が未だ二十万以上居るってことね。兵たちの傷が癒えてない現状じゃ、華琳達曹魏の軍勢と僕達の軍勢を合わせてもまだ少し負けている状況よ」

 

詠の話によれば袁紹は、あの時破った袁術を支援するための兵達がやられた後、俺達に備えるために自国内で厳しい徴税を敢行し、その資金を使い兵力を増したらしい

その上その豊富な兵力を使い白蓮さんの幽州にまで食指を伸ばし始めているという

 

「やってやれない事も無いけど、南と華琳達の隣にある徐州に領土を持つ袁術が居る以上無理はしたくないし、なによりこちらの被害もあまり大きくしたくないのよね。暫く防戦に徹して兵の傷が治るだけの時間を稼げばこちらが徐々に有利になってくるんだけど…」

 

詠が嘆息しながら言う

 

「でも、そんな酷い政策を強いられている民の人たちの事を考えると放っては置けないよ」

 

確かに俺たちが時間をかければかけるほど袁紹の政策で苦しむ民が増えるだろう

 

「そうね。でも、だからといって自国の兵に無理な戦をさせるのは反対よ。…唯一の救いといえば袁術が袁紹救援のために兵を動かす心配が無い事ぐらいかしらね」

 

こちらの軍議に参加している華琳が言う…今回の軍議には曹魏の代表として軍師一人を連れて参加していた

そんな華琳の言葉に気になる部分があった俺は聞いてみる

 

「なんで?二人は親戚同士なんだし、この間だって袁紹は袁術の侵攻の支援のために兵を出したじゃないか」

 

「あの二人の仲は最悪…というより袁術が袁紹の事を酷く嫌っているのよ。普段はそんな素振りを見せないけれどね。袁紹だってこの前の徐州攻めは支援というよりも袁術が一人出し抜いて領土を広げるのが我慢ならなかったから割り込んで漁夫の利を得ようとしただけよ」

 

まあ実際は出遅れて全く意味のない結果になったのだけれど、と華琳が言う…そういえば三国志演技でも大陸を巻き込む規模の親戚争いをしてたんだったっけか

 

「ん?そうなると…。詠、袁紹は徐州攻めについては全く戦果が無かったって事になるのかな?」

 

「そうみたいよ。物見にも確認させたけど、袁紹が徐州に着いた時には劉備は民を連れて逃げた後で袁術が一人勝ちした形になったみたいね。劉備が逃げたのは袁紹の軍もいたからだったし、結果ただ働きになった袁紹は憤慨してたみたいよ」

 

袁紹の政策が厳しくなり不満を持つ民、袁術との不和、徐州での一件、俺達の現状と今ある情報を纏めてみる…するとそれらがうまく合致する案を思いついた俺は提案してみる

 

 

「だったら、邪魔者同士潰しあってもらうってのはどうかな?」

数日後 袁術の居城

 

「た、大変です!!袁紹様が徐州攻めで我らに遅れをとった事を逆恨みし、徐州に侵攻する準備をしているという噂が相次いで報告されております!!」

 

「な、なにー!!麗羽の奴が裏切ったのかのかえ!?」

 

「別に麗羽様とは盟を組んでるわけじゃないから裏切りではないですよ~、お嬢様♪」

 

報告をきいて思いっきり慌てる袁術だったが張勲はお気楽に答える

 

「でも、わらわの領地に断りも無く勝手に攻めてくるなんてずるいのじゃ!卑怯なのじゃ!!」

 

「そんな事言うなら美羽様だって劉備さんの所を攻めたときには宣戦布告もせずに攻め入ったじゃないですかぁ」

 

「わらわはいいのじゃ。そもそも劉備なんてたまたま前の州牧から土地を貰っただけの何処の馬の

骨かも知らぬ田舎物なんじゃから、それをわらわが貰っても何の問題もないのじゃ!!」

 

「もう、お嬢様ったら!!どっかのガキ大将みたいに横暴なんだから♪」

 

「とにかく!麗羽なんかには国は渡さないのじゃ!!七乃、出撃の準備をしてたもれ!!」

 

「美羽様がそうおっしゃるならそうしますけど…孫策さんたちは呼ばないんですか?」

 

「あいつ等なんか待ってられないのじゃ!!はーやーくーなのじゃ!!」

 

「お嬢様ったら、わ・が・ま・ま・なんですから♪」

 

そういって部屋を出て行く二人

そんな主君と将軍の漫才を見せられていた兵達は一斉に溜息をつくのだった…

 

 

 

 

 

袁紹の居城

 

「伝令!!袁術様が徐州を経由しこちらを攻めるため準備をしていると報告が入りました!!物見の報告では徐州に袁術様の兵が向かっているとの事です!!その規模から見ても報告は真実であると思われます!!」

 

「何ですって!!斗詩、猪々子!!急いで徐州に向かいますわよ!!私の国を攻めるなんてトチ狂った美羽さんを懲らしめてやりますわ!!」

 

「待ってください麗羽様!!今動いたら董卓さんたちが…」

 

もはやいつもの如くといった風に袁紹の暴走を止めようとする顔良

だがこちらもいつもの如く全く話を聞かない袁紹が言う

 

「大丈夫ですわ!噂では田舎者の董卓はあの小娘と仲違いをして一触即発の状況になってるらしいじゃありませんの」

 

城下では配下となっていた曹操が董卓に対し反旗を翻し、またもや董卓、曹操が決戦の準備をして

いるとの噂が流れていたのだ

 

「負けた将を生かしておく甘ったれの田舎太守も、恥知らずにも主君を裏切ったクルクル小娘もこの私の敵

ではありませんわ!!奴等が争っているうちにあの時手に入れ損ねた徐州を奪ってやりますわよ!!」

 

そういってさっさと出て行ってしまう袁紹

 

「噂は噂じゃないですかー!!…って麗羽様もう行っちゃったし」

 

落ち込む顔良の肩をたたいて励ます文醜

 

「まあまあ。なるようにしかならないって。いざとなったらアタイが斗詩のこと守ってやるって!!」

 

「…うう、これって大変な事になるときの典型的な形だよ…」

 

がっはっは、と笑う文醜を見てますます落ち込む顔良だった…

後日、徐州のある平原では袁紹、袁術の軍が今にもぶつかり合おうとしていた

 

「美羽さん!!名門袁一族の一員でありながらこの私の領土の攻め入ろうとはどういう了見ですの!!」

 

「麗羽姉さまこそわらわの領土を狙って進軍してきたのであろうが!!この間出し抜いた事をまだ根に持ってるなんて器がちっちゃいのじゃ!!」

 

両者の舌戦…とはほど遠い口喧嘩が繰り広げられる

 

「お嬢様、何か麗羽様達の所と情報の行き違いがあるみたいですよ?」

 

「麗羽様!やっぱり何かおかしいですよぉ~!!」

 

張勲、顔良が何とか二人を止めようとするのだが

 

「煩いですわよ斗詩!!このおチビを泣かせてやらないと気がすみませんわ!!皆さん、やーっておしまい!!」

 

「うう、チビではないのじゃ!!全軍、突撃なのじゃー!!」

 

 

こうして史上最もろくでもない戦いが幕を開けるのだった…

 

 

 

 

 

 

 

冀州との国境付近

 

「物見から連絡が入りました!!袁紹、袁術両名徐州にて激突!!お互いに甚大な被害を出しながらも両者共引く様子が全くありません!!」

 

「幽州の公孫瓚殿から返事が帰ってまいりました!!こちらの策に乗り、北部の袁紹領の領民、兵達を扇動、自軍に吸収しつつ南下を始めたとの事です!!」

 

「分かりました。曹操さんの軍も動いてくれている頃でしょうし、私達も領民、将兵を扇動、帰順させつつ北進を開始します。全軍出陣!!」

 

月が兵達に号令を下す

 

「自分で言うのもなんだけど、本当に上手くいくもんだな…」

 

あの時の軍議を思い出しつつ、俺はそう呟くのだった

 

「潰し合いをさせるっていっても、どうやって奴等を動かすの?」

 

俺の発言について詠が聞いてくる

 

「まずは董卓、曹操の両名の軍が仲違いを起こした、って噂を流すんだ。そうすれば袁紹の俺達に対する警戒心を解く事ができる」

 

「それで?」

 

「それで今度は袁術の所に、袁紹が逆恨みをして徐州を狙ってるって噂を流す。袁紹には逆に袁術が徐州を足がかりにして冀州を狙ってるって噂を流せば…」

 

「あの愚物達なら必ず仲違いを起こす…というわけね。でもそれだけでは決め手とは言えないわね。そこまでではあの二人が消耗するだけでこちらが勝つにはまだ足りないわ」

 

そう華琳に指摘されるが

 

「そこからが俺たちの出番だ。あの二人が争ってる間に袁紹の領土の人たちを扇動して不満を持っている兵や民の人達に寝返ってもらうんだ。その勢いで北上して袁紹が取って返してくるまでに居城を落とす。…どうかな?」

 

「…うん、悪くないわ。華琳達はどう?」

 

「風、貴女はこの策をどう見る?」

 

華琳が隣に控えている程昱さん…風に意見を聞く

 

「そうですねぇ~。それならついでに公孫瓚さんにも協力を依頼してはどうでしょうか?南北から攻めれば成功率はぐっと上がるでしょうし、月さん達は公孫瓚さんと交友があるみたいですから」

 

「なるほど、白蓮にも協力してもらえば何とかなるかも知れないわね…。いいわ、この策に意見がある者はいる?」

 

そういって皆を見渡す詠…皆特に意見は無い様だった

 

「ではこの策で行く事にしましょう。皆、準備を開始して頂戴!」

 

 

 

 

 

 

…というやり取りがあったのだが、ここまでスムーズに事が運ぶとは思っても見なかった

 

「董卓様!!近くの村の村民たちが我々に帰順したいと申し出てきました!!又、途中にある袁紹の支城の兵達が投降の意を示しております!!」

 

「村民の方々には了承と感謝の言葉を伝えておいてください。兵達はこの行軍に従軍するよう伝えてください」

 

「承知いたしました!!」

 

伝令が走っていく…それを見送りつつ月に話しかける

 

「ここに来るまで一回も戦闘が無かったな。まあいいことだけど」

 

「それだけ袁紹さんの政治に皆が苦しんでいたということでしょうね。…さあ、皆さんのためにも早く決着をつけてしまいましょう」

 

そういって俺達は袁紹の本城へと向かうのだった

袁紹軍本陣

 

徐州では未だ両軍による消耗戦とも呼べる戦が続いていた

 

「くぅー、あのおちびったら頑固なんですから!さっさと参ったといってしまえば良いのに!」

 

悔しがる袁紹に対し、顔良が説得を続けていた

 

「麗羽様!これ以上続けたら本当に軍が立ち行かなくなってしまいます!!ここは退いて…」

 

「伝令!!大変です!!」

 

そんな中、本陣に慌てた形相の伝令が転がり込んできた

 

「何ですの!!今…「董卓、曹操の仲違いの噂は偽報でした!!両者は二手に別れ、我らの領内に攻め入っております!!」な、なんですってー!!」

 

驚く袁紹だったが、その後も次々と伝令が入ってくる

 

「両者の動きに幽州の公孫瓚が呼応いたしました!!北方より攻め入ってきております!!」

 

「董卓、曹操、公孫瓚の軍の扇動により、領内の民はおろか将兵までもが奴等に付き従っており、徐々に大軍と化してきております!!このままでは本拠の守備も危うくなります!!」

 

このほうに慌てた袁紹は顔良にいう

 

「と、斗詩!!急いで戻りますわよ!!」

 

「無理ですよぉ!!ここでの被害が大きすぎてとても戦える状態じゃあありません!!」

 

「それをどうにかするのが将である貴女の役目でしょう!?」

 

そうしてワー、キャーと言い争いをしているとまた伝令が飛び込んでくる

 

 

「も、申し上げます…董卓の軍に投降する形で本城が無血開城されました…!!」

 

 

「なっ…!!」

 

 

「その上城を落とした董、曹、公孫が軍を纏め、徐州に向かっているとの報も入っております…!わ、我々はどういたしましょうか…」

 

「…斗詩、逃げますわよ」

 

「…え?」

 

突然の発言に思わず聞き返す顔良

 

「逃げるといってるんですわ!!急ぎ猪々子を連れ戻し遠方に逃れますわ!!」

 

「そんなこといったって兵の人たちはどうするんです!?」

 

「知ったこっちゃありませんわ!!私達だけでも早く逃げますわよー!!」

 

そういって袁紹は渋る顔良と戦闘中だった文醜を無理やり連れ、兵を残し逃亡してしまったのだった…

 

 

 

 

 

 

袁術軍本陣

 

「お嬢様、麗羽様たちの軍が降伏いたしましたよ。麗羽様ったら兵を置いて逃げてしまったらしいでんすって」

 

「本当かえ!?ほっほっほ!これでわらわが麗羽より優れていたという事が証明されたというわけじゃな!!」

 

張勲からの報告を聞いて有頂天になる袁術

 

「ほっほっほ!!やっぱり名門袁家を統べるのはわらわをおいてほかにはないということじゃな!!」

 

「もうお嬢様ったら調子に乗りすぎだぞ♪」

 

そう、ワイキャイと盛り上がる二人の下にも伝令が入る

 

「申し上げます!!孫策が謀反を起こしました!!現在、孫策の軍勢が袁術様の居城を取り囲んでおります!!」

 

その報をきき、一気に青ざめる二人

 

「な、なんじゃと!!七乃、急いで帰るのじゃ!!」

 

「お、お嬢様!!待ってください、危険ですよぉ!!」

 

その後、投降兵を引き連れ孫策軍に向かっていった袁術軍だったが孫策軍の圧倒的強さの前に全滅

 

こうして名門袁家の袁紹、袁術は歴史の表舞台から姿を消すのだった…


 
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