「あれ、もう墨がないや」
自室での政務中に墨がなくなってしまったことに気がついた天の御遣いこと北郷一刀。
「仕方ない。買ってくるか」
本当はこれは建前でただ単に市へ行って羽を伸ばしたいだけなのだが、仕方がないと自分に言い聞かせ部屋を出て市に向かおうとすると、
「あ、父様」
と、声をかけられた。振り向くとそこにいたのは孫権こと蓮華との間に生まれた娘の孫登だった。
「ん?孫登?」
「父様、どこかにお出かけですか?」
「ああ、市まで墨を買いにね」
「はぁ、登も行きたいです!」
「え?でも墨を買いに行くだけだよ?」
「それでも一緒に行きたいです!」
ただでさえ綺麗な瞳をキラキラと輝かせて訴えてくる可愛い娘の頼みを断れることも無く
「じゃあ、一緒に行こうか」
「はい!!」
そうして、孫登を連れて市へ行くことになった一刀だったが、城を出て市へ行くまでに他の娘達(甘述、陸延、黄柄、周卲、呂琮)にも見つかってしまい、結局娘全員をつれて買い物に行くことになった。
当初の目的だった墨や他にも足りなくなりそうだったものや、娘達のために肉まんなどを買って一息ついていた一刀はあることを思い出した。
「そういえば、もうそろそろ母の日かぁ」
そう言った一刀に
「母の日とは何ですか?」
と、一番知識欲のある陸延と聞いてきた。
「あー、えーっと、年に一回お母さんにありがとうって気持ちを贈り物とかで伝える日のことだよ。」
と、教えると娘たちは皆そろって
『自分たちも何か贈り物がしたい!!』
と言い出した。そんな娘たちに一刀は
「じゃあ、みんなで何か作って贈ろうか」
と、提案し皆頷いた。
母の日当日
母親たちは皆娘たちにいつも家族で食事をしている所に呼び出されていた。
「一体これから何が始まると言うのだ?」
そう言ったのは一番年m・・・年上の黄蓋こと祭
「さぁ、私は何も聞かされていませんが・・・」
と言うのは、すっかり立派な軍師となった呂蒙こと亞莎
しばらくすると、一刀が入ってきた。
「一刀これから何が始まるというの?」
と質問する蓮華。
「すぐに分かるよ。皆準備はいい?」
『はぁーい!』
掛け声と共に娘たちが料理を運んできた。
「今日は俺の世界では母の日って言って、お母さんに贈り物とかをして感謝の気持ちを伝える日だって言ったらみんなが何かやりたいって言うから、みんなで料理をね。」
一刀が説明をしている間に料理は各母親たちの前に並べられた。見た目は決して良い物ではなかったが、娘たちが自分たちのために作ってくれたことが何よりもうれしかった。
娘たちは皆笑顔で
『お母さん、いつもありがとう!』
そう言うと、何時も凛としている甘寧こと思春を含めた全員が涙ぐんでいた。
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初めて小説的なものを書くので、変なところが多々あると思いますが、何となくな感じで見ていただけたらと思います。
もう母の日過ぎちゃってますけどね・・・
あと、コメントかくれたら嬉しいです。