幽は馬を走らせながら戦場を見渡す。
麗の部隊は速い、敵の展開は早くは無いが・・・小賢しい。
後方中央にに砂塵・・・援軍か、いやそんな大きな規模じゃない・・・
「『魔王の軍』が、嘗められたもんだ・・・」
凄い笑みを浮かべ、この状況下でありえない指示を出す。
「止まれっ」
ぴたっと足を止めた幽配下の騎馬隊、麗の部隊だけが先行して突っ込んで行く。
「アタシはね、コケにするのは好きだが、コケにされるのは一等嫌いだ。
何処の牝猫だか知らないが・・・『魔王の片腕』嘗めんなよ」
「麗が食いちぎる寸前に時間差で突撃する。
目標敵中央後曲、麗に向かってるクソ共のケツに槍ぶっさしてやれ。
・・・そろそろ敵が、アタシらとまってることに気付いて弓射掛けてくるぞ
全速前進、走れ兵隊」
『魔王』様はアタシに、翼を根元からもぎ取れと命令された。
あけてもらった道通してもらえなんて、こっちは言われてねぇんだよ・・・
無理矢理にでも、もぎ取らせてもらう。
足を止めた幽の部隊を横目に、麗は微笑を浮かべたまま、軽く手を振って突撃して行く。自分の三倍以上の敵に、突撃する軍のその先頭に立ちながら、たおやかに・・・
頭のねじが五六本すっ飛んでいる。
だが・・・いまの麗を見て、その感想を抱いたものはその後直ぐに驚愕に固まる。
自分の愛馬の首を愛おしそうになでつけ、左手で手綱を握るなり、胸を張り麗は高らかに宣言した。
「さあ、敵を蹂躙いたしましょう」
・・・その愛馬の背に立って。
『応』
低い山鳴りのような返答に優雅に頷いて見せ、そのまま敵の陣地へと突っ込んで行く。
そのドレスの裾を、金糸の髪を、風に優雅に揺らしながら。
彼女は『魔王の舞姫』・・・
無様に舞えば死を賜る。
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続いて5話投稿。
リレー小説ですね、これ。
もしかすると普段の作品の分量超えるかもしれません
どなたか一人でも面白いと思っていただけたら僥倖です