No.139963

『偽・悲恋姫†異聞録』5

Nightさん

続いて5話投稿。
リレー小説ですね、これ。
もしかすると普段の作品の分量超えるかもしれません

どなたか一人でも面白いと思っていただけたら僥倖です

2010-04-30 21:40:24 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:5741   閲覧ユーザー数:4696

幽は馬を走らせながら戦場を見渡す。

麗の部隊は速い、敵の展開は早くは無いが・・・小賢しい。

後方中央にに砂塵・・・援軍か、いやそんな大きな規模じゃない・・・

「『魔王の軍』が、嘗められたもんだ・・・」

 凄い笑みを浮かべ、この状況下でありえない指示を出す。

「止まれっ」

ぴたっと足を止めた幽配下の騎馬隊、麗の部隊だけが先行して突っ込んで行く。

「アタシはね、コケにするのは好きだが、コケにされるのは一等嫌いだ。

 何処の牝猫だか知らないが・・・『魔王の片腕』嘗めんなよ」

「麗が食いちぎる寸前に時間差で突撃する。

 目標敵中央後曲、麗に向かってるクソ共のケツに槍ぶっさしてやれ。

 ・・・そろそろ敵が、アタシらとまってることに気付いて弓射掛けてくるぞ

 全速前進、走れ兵隊」

 

 『魔王』様はアタシに、翼を根元からもぎ取れと命令された。

 あけてもらった道通してもらえなんて、こっちは言われてねぇんだよ・・・

 無理矢理にでも、もぎ取らせてもらう。

 

 足を止めた幽の部隊を横目に、麗は微笑を浮かべたまま、軽く手を振って突撃して行く。自分の三倍以上の敵に、突撃する軍のその先頭に立ちながら、たおやかに・・・

 

 頭のねじが五六本すっ飛んでいる。

 

 だが・・・いまの麗を見て、その感想を抱いたものはその後直ぐに驚愕に固まる。

 自分の愛馬の首を愛おしそうになでつけ、左手で手綱を握るなり、胸を張り麗は高らかに宣言した。

「さあ、敵を蹂躙いたしましょう」

 

 

 ・・・その愛馬の背に立って。

 

 

『応』

 低い山鳴りのような返答に優雅に頷いて見せ、そのまま敵の陣地へと突っ込んで行く。

 そのドレスの裾を、金糸の髪を、風に優雅に揺らしながら。

 

 

 彼女は『魔王の舞姫』・・・

 

 無様に舞えば死を賜る。

 


 
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