一刀がフランチェスカから消えた少し後。
一刀の実家。祖父たちが住む家に一人の美女が侵入していた。
その美女の名は――
「うっふ〜ん。ここがご主人様の実家……どきどきしちゃうわぁ」
キュートな三つ編みをした美女。
チョウ蝉であった。
「さっき外史の扉が開いたのを感じたわん。
流石ご主人様、想いだけで外史への扉を二つもあけちゃうなんて……惚れ直しちゃった、うふっ」
妖艶?な笑みを浮かべながらも美女?は家の奥へと進んでいく。
「あらん、ここね」
そう言って彼女?はある一室……和室に入る。
その和室の奥、そこに目的の物があった。
それは素人でさえ名刀とわかるオーラを出す二振りの刀。
北郷家の家宝。
『一天』に『地刀』である。
「どぅふふっ、これくらいのサービスは許されるわよね」
二つの刀を手に取り、手を何もない空間に掲げる。
「後はこれをご主人様に送れば……」
「ウチの家宝をどうするつもりじゃ?盗っ人よ」
「あらん?気づかれないようにはしてたのに……流石はご主人様のお祖父様ねん」
のそりと、魅力ある?裸体に近い体を一刀の祖父に向ける。
唯一隠されている股間部は一目で分かるほど膨らんでいた。
「……凄く、大きいのぉ……。」
「どぅふふっ、やらないかしら?」
「断るっ!!死んでもごめんじゃ!」
身を護るように後ずさる彼に誰も文句は言えないだろう。
引き締まった体をうねらせて誘うチョウ蝉の姿はかなりの鳥肌ものだ……。
「それよりご主人様のお祖父様じゃと?
ワシには孫は一人しかおらん……まさか一刀のことか!?」
「どぅふふっ、正解よ。私はご主人様の愛すべき肉奴隷、チョウ蝉よん」
「肉奴隷……ってチョウ蝉じゃと!?その成りでチョウ蝉じゃと!?」
三国志好きの祖父にしたら許せない言葉だった。
あの美女と名高いチョウ蝉がこんな筋肉ダルマ!?
「誰が見ただけで失禁するくらいの筋肉質な化け物ですってぇ!?」
「そ、そこまでは思っておらんわ!」
あまりの形相に顔を引きつらせながらも話を戻す。
「しかし一刀にそんな趣味があったとは………。おほん、でその肉奴隷さんが何故ワシの家にいて家宝の刀を持ち出そうとしておる」
視線はするどく。
その視線は常任なら思わず財布をだしてしまいそうなほど鋭い。
だがチョウ蝉はきにしたふうもなく、答える。
「もちろんご主人様に渡すためよ。これからご主人様には必要なものだもの」
「一刀に必要じゃと?一体どういう――」
「ごめんなさい。もう時間がないみたい……。今は私も長くここには居られないのよん」
「ちょっと待たんか!!」
「安心して、この二つの刀はキチンとご主人様に渡すわ。
どぅふふっ、じゃあね」
「おいっ………消えおった」
暗闇の中の部屋。
瞬きする間にチョウ蝉は刀を持ったまま消え、立ち尽くす祖父だけが残されていた。
そして消えたチョウ蝉はというと……
「刀は送ったわ……、さぁて私も行かなくちゃ、どぅふっ」
そう言って光になってどこかへと向かった。
あとがき。
間幕なので短いです。
あとコメントの返信は次の話の最後に書きます。
コメントくれた方、ありがとうございました。
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どうもテスタです。
またまた前回のも多くの方に見てもらえて嬉しい限りです。
今回は文章量の関係で間幕と一章のその1を投稿します。
また見て貰えれば幸いです。