目を覚ますと、それはもう立派な部屋だったのですよー
ですが、困った事に稟ちゃんも星ちゃんも居なかったのですよー
風が寝ている間に、星ちゃん達がどこかに仕官したのでしょうか?
「お、目が覚めたようじゃな」
「おぉぅ、考え事に夢中で寝たふりをするのを忘れてましたよー」
「そういうのは困るのじゃが……」
「風は、程立といいますよーところで宝譿を知りませんか?」
「宝譿?あぁ、連れなら怪我をしていたので別室で寝かしておる」
「ぐぅ――」
「安心して眠ってしまったようじゃな」
「起きてますよー」
おかしいですねー宝譿は確かに男でしょうが……怪我をしていたとは――
「ところでここは何処でしょうかーずいぶん立派な部屋なのですが?」
「うむ、ここは、荊州南陽…孫策の屋敷じゃ」
「ぐぅ――」
「やはり疲れておったか……」
「むぅ、起きてますよー!」
しかしおかしいですねー、稟ちゃんたちと幽州の辺りを旅していたはずなのですが……
「あ、起きたね、あの男の子は、まだ起きそうも無かったからこっちに来ちゃった」
「策殿…また怒鳴られますぞ」
「大丈夫よ、ところでこの子はもう平気?」
「疲れがたまって、たまに眠りそうになるが大丈夫じゃろ」
……寝たふりは、控えた方がいいのでしょうか、考えても仕方無いですけどねー
とりあえず貰えるだけ情報を貰いますか……
困りましたねー
風は殺されてしまうかもしれませんよー
夜中に町の外れで、光とともに現れて、一人は怪我をしていてもう一人が私と……
どうやら、稟ちゃん達は一緒に来ては無い様ですねー
それから…あのお兄さん…名前が私がさっき聞いた宝譿と勘違いしたのか、
その名前と思われてますねー
意識を失ってもまだ生きてるとは…やっぱり止めは星ちゃんに任せるべきでしたか……
それともあのお兄さんの天命なのでしょうかー
「このお兄さんを置いていきますので、風はもう帰っていいでしょうかー」
「駄目ね、天の御使いか、妖か、まだ判断できないし……それに―」
「ぐぅ」
「寝ないでぇー」
「おぉぅ、面白そうで済まされそうだったので眠ってしまいましたよー」
「うぅ…」
大陸を旅をしていたことを伝えると風を御使いとして祀り上げるのは諦めてくれましたが…
さすがにここからはまだ離れられそうに無いですねー
嘘は言ってませんが、光から出てきた…
その事実で縛られてしまってるようですねー
調べるために風を拾ってくれた場所に黄蓋さんに案内をしてもらい……
やっぱりここに置いていかれたんですね…
久しぶりに宝譿を定位置に置いて
「おぅおぅ、こんなとこに俺を置いていくなんて酷いじゃないか」
「これこれ、宝譿、夜の闇の中だったのですからしょうがないですよー」
「宝譿?…む、おぬし……」
…調子に乗りすぎましたねー
さてどう誤魔化しかすか……
「まさかその人形を通じて屋敷に居るあの男と会話できるのか!?」
「あの男の手がかりは無しか…風は一体何処で連れて行かれたんだ」
「しかしこのままだと、路銀も尽きてしまいます」
「しかしここで仕官すると風を探すのが…」
「その間は、私が探します」
「すまぬ……これを稟に預ける」
「いえ…メンマは貴方が持っていてください」
「では、お兄さん…宝譿が目覚めたら風は旅に戻りますねー」
「宝譿三号は相変わらず寝たままですねー」
「はうぁ、お猫様!」
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外史も人の煩悩の数くらいは、ありそうですね…