―痛い―熱い―
―それは突然の出来事だった―
俺の胸には、槍が刺さっていた……
刺さった部分から血が染み出してくる……
「星ちゃん、止めは、風が刺しますからもういいですよ」
命の恩人だと思っていた人は槍を抜き、そのまま血を振り払った。
「な……なん…かはぁ」
口からも血があふれてくる、正直何故刺されたのかわからなかった。
今は冷たい目をした風さんが、俺の前で頭の人形を振り上げ……
「風を汚したお兄さんが、いけないんですからねー」
「…………」
さっきの三人の一人に蹴られた痛みは感じず、今は胸の傷しか感じない……
何故、俺がここに居たのか、何故、今殺されるのか何もわからないまま。
「苦しみを長引かせ過ぎて勝手に死んでしまってはいけないので、そろそろ、止めを刺しますねー」
人形を振り落とされると…
俺は、意識を失う――死ぬときは暗くなると思ったけど
――まぶしいんだ……な――
「くっ風!」
突然あたりに光があふれた…
目が、慣れると……辺りには稟だけしか居なかった。
「どこぞの貴族だと思ったが、妖術使いだったのか?」
「情報が足りません……近くの村であの男の事を聞きましょう風の行方の手がかりがあるかも知れません」
「うむ」
「なんか今、凄い光が見えたのだ!」
「まだ昼間だというのに、妖か…?」
「きっと天の御使い様の乗り物だよ」
「ですから桃香様、あのエセ占い師の言う事は信じてはいけません」
「なんか血の跡があるのだ」
「…誰かが争っていたのか?」
「御使い様連れて行かれちゃったんだよ…」
「ですから…それは一体?」
「ここに落ちてたんだよ、こんなの見た事ないしきっと天の御使い様の持ち物だよ」
壊れた携帯電話を手にした少女は、無理に微笑んで
「もうちょっとでも早く来れたら良かったね……」
私は祭と一緒に偵察に来ている。
何か面白そうな事がおきそうな、そんな予感を感じながら
「どんな噂よ?」
「黒天を切り裂いて、天より飛来する一筋の流星。その流星は天の御使いを乗せ、乱世を沈静す。……管輅という占い師の占いじゃな」
「管輅ってエセ占い師じゃない…」
―キン―
「……なにこの音?」
「策殿!わしの後ろに!」
「大丈夫よ。それより祭、気をつけて……」
剣を抜き
「盗賊か、妖……何にせよ、来るなら来なさい。殺してあげるから……」
―キン―キン―
「なにこれ……視界が白く……っ!」
―キン―
「策殿ぉ!」
辺りが光に覆われ……そして収まったときに……
「血の匂い…祭!周囲の状況は!」
「先ほどと変わりは…あそこに人が倒れておる」
「さっきまでは居なかったのに……」
「あやつら、妖か……策殿待つんじゃ!」
「生きてるわね…祭連れて帰るわよ!」
さっきの光、占いに出た御使い……
怪我してる男の子と、女の子……
いろいろと面白い事になりそうね。
「風は、程立といいますよーこのお兄さんを置いていくので帰っていいでしょうかー?」
「ぐぅ―――」
「――むぅ、起きてますよ」
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呉の√での登場は、何故光の中から……
他の√は、寝てるのに。