No.120798

リリカルなのはSS 『はやてとスバルの おっぱい帝国 建国』

リリカルなのはStrikerSの二次創作です。
最近の映画の気運と、騎竜まことさんの描く4コマに影響されて書いてしまいました。なのでインスパイアさ作品に入れさせていただきます。

内容は完全ギャグ、キャラ壊れ注意、作中のセリフにミッドチルダに存在しえない用語なども散在しますが、メタネタだと思ってスルーしてください。

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2010-01-27 01:50:24 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:18441   閲覧ユーザー数:17741

 

 

 機動六課の朝は早い。

 

 

 たとえ事件のない平時でも、隊員たちは厳しい訓練に打ち込み、日々 気の緩む暇もない。

 機動六課スターツ分隊所属、ティアナ・ランスター二等陸士も その一人であり、人一倍 努力を重ねるタイプの彼女は とりわけ皆より早く一日を始めようとする。

 しかし―――。

 

ティアナ「む……?」

 

 いまだ夢の中にいる彼女より先に、ベッドの上で蠢く人影。

 小柄で細身の、少女のようなヒトの影。

 その影は、ティアナが依然 覚醒していないことを確認すると、毛布の上から おもむろにティアナの胸部を鷲掴みにした。

 

ティアナ「むぅん………?」

 

 16歳の発育期ながら、女性であるティアナの胸は当然ながら柔らかい。甘美なほどに柔らかい。

 その極上の洋菓子に匹敵するティアナの乳房を傲然と揉みしだいている輩は何者か?ティアナ自身も夜明けのレム睡眠で かなり眠りが浅くなっており、その刺激によって次第に意識が覚醒していく。

 

ティアナ「はん……っ?」

 

 あわく艶を含んだ吐息、さておき、いまだ重い目蓋の向こうに、はっきりとした人の気配を感じる。

 

ティアナ「(この感触、まさか……?)」

 

 自身の おっぱいが超 揉まれまくっているのだが、ティアナは こんなことをしでかす犯人に、一人しか心当たりがなかった。

 チームの同僚かつルームメイトでもあるスバル・ナカジマ。

 この娘は、隙あらばセクハラしてくるので ちょっとの間も油断ができない、ルームシェアの相手とするには多分に致命的な性癖をもっていた。

 多分今朝も、自分の方が先に起きたのを いいことに朝駆けセクハラをかましたのだろう。度し難い。

 

ティアナ「…………い・つ・ま・で」

 

 彼女の意識が、完全なる覚醒へと向かう。

 

ティアナ「ヒトの おっぱいで遊んでんのよ この変質者ーーッッ!!!」

 

 迅雷一閃。

 覚醒とともに体が弄ばれることへの怒りが爆発したティアナは、覆いかぶさっている変質者を巴投げの要領で蹴り飛ばす。

 

???「きゃああーーーーッッ!!?」

 

 見事にベッドの外に蹴り出され、絨毯の上をゴロゴロ転がる侵入者。しかしその程度でティアナの怒りが収まるわけがない、女の純潔を踏み荒らした罪は重いのだ。

 ティアナはのしのしと床を踏み鳴らすと、うつ伏せに伸びた変質者の尻へ、遠慮会釈のないストンピング攻撃を浴びせる。

 

ティアナ「この! この! アンタは! アンタは!」

 

 ゲシン、ゲシン、ゲシン! 尻を踏む。

 

???「にゃあッ! 痛い痛い、ちょっと止めてティアナ! 痛いて!」

 

ティアナ「黙んなさい! アンタは毎度毎度! 私の胸は! アンタのオモチャじゃ! ないっつーの!」

 

 変質者の尻を踏みにじるティアナの様は、邪鬼を踏みつける四天王像のごときもの。その形相には鬼気迫る。

 

???「痛いーッ! 尻が割れる、尻が割れて二つになるーッ!」

 

ティアナ「五月蝿い このバカスバル! 死ね、死ね! 死んで真人間に生まれ変われーッ!」

 

スバル「…ボクが どーしたの、ティア?」

 

 へ?

 

 後ろからの声にティアナ振り返る。

 するとそこには二段ベッドの上段から、寝ぼけ眼をこする朋友スバル・ナカジマが……。

 その姿を確認した瞬間、ティアナの顔からサッと血の気が引いた。

 スバルが そこにいるということは、さっきまで自分の乳を揉んでいたのは彼女ではないということ。では今自分が踏みつけている尻は、誰?

 ティアナは恐る恐る視線を落とし、その侵入者の正体を確認した。

 するとその人物は、ティアナの踏みつけている尻は、なんと機動六課トップ、八神はやて であった。

 

はやて「いたたたた……、ティアナひどいわ、こんなに踏みつけんでも いいやないかぁ」

 

ティアナ「ごごごごごごご ごめんなさぁーーーーーいッッ!!!!」

 

         *

 

 

 機動六課での朝食風景。

 皆が集まる宿舎の食堂、大きな窓から差し込む朝日、焼きたてパンの香り、テレビからはニュースを読み上げるキャスターの声、そして土下座するティアナ。

 

ティアナ「すみません! はやて部隊長すみません!」

 

 寝起きのこととはいえ、自分の所属する部隊で一番偉いヒトの尻を踏みつけてしまったティアナは生きた心地もしなかった。

 

はやて「はぁ~あ、痛い痛い、ティアナが踏んでくれたおかげで お尻が痛い、これじゃ迂闊に椅子にも座れんわぁ」

 

 機動六課における総指揮官・八神はやて二等陸佐は、大袈裟に痛がるフリをして青くなったティアナの顔をさらに青くさせる。

 なにせティアナと はやての地位の差は、まさに底辺から頂点なのである。ボトムがトップの尻を足蹴にするなど まさに下克上、軍法会議抜きで即銃殺刑もありうる狼藉なのである。

 なので やらかしたティアナの恐縮振りは、見ていて哀れを催すほどであった。

 

シグナム「謝ることなどないぞ、ランスター二等陸士」

 

 端から見ていたライトニング小隊 副隊長・シグナムが、納豆をグネグネしながら口を挟む。今は朝飯時だから皆が食堂に集合していた。

 

シグナム「そもそも主・はやてが お前たちの部屋にいた理由を考えろ。主・はやては家主に断りもなく不法侵入し、未成年の女性に対して猥褻な行為を働いたのだ」

 

スバル「そういう言い方をすると犯罪行為以外の何者でもないですね……」

 

シグナム「よって、それを撃退したランスター二等陸士に非はない。お前は自身を防衛する権利を行使したにすぎん。たとえ相手が上司であったとしても その正当性は変わらん」

 

 言い切るシグナムであった。

 そんな決然とした彼女に、はやては駄々っ子のように体を揺らす。

 

はやて「あぁん、シグナムは いけず やな。自分 一体どっちの味方やねんッ?」

 

シグナム「ベルカの騎士は、つねに正しい者の味方です。主・はやて、アナタももう少しご自重願います、寝室に侵入してまで他者の乳房を揉もうなど、ヴォルゲンリッターの主のなすことですかッ!」

 

スバル「うわー、シグナム副隊長言い切るー」

 

 さっきから他人事発言全開のスバルであった。

 

シグナム「大体アナタは抱える性癖に問題がありすぎます! 見る女性 見る女性の胸部に触れようとするのですから! なんですか その業の深さは、闇の書の蒐集本能ですかッ?」

 

はやて「あーあー、聞こえなーい、はやてさんの耳には何も聞こえなーい」

 

シグナム「都合が悪くなると すぐそうやって!」

 

 守護騎士としてのシグナムの苦労は絶えない。

 ―――機動六課の総司令官、八神はやてが重度のおっぱいフェチだというのは、関係者の間では有名な話であった。親睦を深めるためなのか それとも単に変態なだけなのかはわからぬが、女性を見ると必ず おっぱいを触らなければ気がすまない。そうして彼女の毒牙にかかった女性は数知れず、機動六課の中では被害を受けていない女性はいないというほどだ。

 そんな残念な上司を抱えてしまった機動六課。残念な部隊長は拗ねたように呟く。

 

はやて「なんやねん、シグナムたら いけず しよってからに。私はただ下々の隊員とも親睦を図ろうと、私なりに考えて行動しただけやないか」

 

シグナム「その行動を具体的に言うとどうなります?」

 

はやて「上司の権力をかさにきて おっぱい揉んだ」

 

ティアナ「それはセクハラで かつパワハラです」

 

 複雑化する職場問題。

 

はやて「…んもう、皆いけず なんやから。ティアナの おっぱいは大きいし、形もいいし、理想的な おっぱいなんやもの。触ってみたくなるやないか」

 

スバル「わかります部隊長ッ!」

 

 何故かスバルのテンションがバイキルトした。

 

スバル「ティアナはねッ、ティアナはですねッ、知り合ったときからドンドンおっぱいが大きくなってるんですよ。それって愛だと思うんですよねッ!」

 

 は?

スバル「ティアナの おっぱいにはボクへの愛が詰まっていると思うんですよ!」

 

ティアナ「何言ってんのよ このバカ。みんなの前で そんな恥ずかしいこと言わないで……」

 

スバル「ボクはティアナが大好きで、ティアナはボクが大好きなんです! その大好きが、ティアナの胸を大きくしたと思うんですよ! これって愛ですよね? そうですよね部隊長ッ!?」

 

はやて「わかっとるやないかスバルちゃん!そや愛や!おっぱいには愛と夢が詰まっとるんや!あと自由、平等、平和が詰まっとるんや!」

 

ティアナ「…それはフランスの国家理念です」

 

シグナム「………シャマル、あのバカ二人は何とかならないか?」

 

 万策尽きたシグナムは、ヴォルゲンリッターの同志であるシャマルに助けを求める。

 湖の騎士・シャマルさんは、やはり納豆をグネグネさせながら言った。

 

シャマル「私は とっくに諦めたわ♪」

 

ティアナ「お医者さん匙投げないで!」

 

 医者に見離された はやてとスバルの頭の中は それはもう深刻であった。

 

シグナム「まあ、とにかく今回、夜中に侵入してセクハラを働いた主・はやての方にこそ非はある。主に代わって私から詫びておこう、すまなかったなランスター」

 

ティアナ「い、いえ、シグナム副隊長が謝罪することなんて………!」

 

シグナム「また主・はやてが不埒を働いたときは、何度でも蹴り飛ばしてかまわんからな。ヘタに手加減すると本人のためにならん、遠慮なく ブチかましてやってくれ」

 

ティアナ「は、はあ……」

 

 そんなやりとりを見て面白くないのは、他ならぬ はやて本人であった。

 

はやて「フンだ…、シグナムちゃんたら いい子ぶりおってからに。なんや つまらんなぁ、私だけワルモノみたいやないか」

 

 ワルモノもなにも、状況的にアナタの過失10割なんですが。

 

はやて「つまらんなぁ、こうなったらシグナムをぎゃふん言わせるか、ティアナちゃんを あはん言わせる ええ手はないかな…?」

 

スバル「ハイハイ部隊長、それならボクに一つ思案がございます!」

 

 元気よく手を上げるスバル。

 はやての耳元で唇を寄せる。

 

スバル「(ごにょごにょごにょ………ですね)」

 

はやて「(……ははぁん、それは ええやないか。採用や!)」

 

スバル「ありがとうございます部隊長!」

 

 ガシッと硬く手を握り合うスバルとはやて。

 ここにリリカル史上 稀に見る残念なタッグが結成された。

 

 

             *

 

 

 そして時刻は下って夕刻。

 訓練終了である。

 アタッカーの新人たちは なのは・フェイト両隊長から こってりと絞られて、精も魂も尽き果てたような状況だ。しかしながらティアナに限っては執務官を目指している関係で、執務官補佐試験へ向けた試験勉強もしなければならない。つまり訓練が終わっても休めないということだ。

 無論 大変なのは言うまでもない。しかしそれも夢を叶えるためには必要なことだった。

 

ティアナ「仕方がないから もう一がんばりしますか」

 

 気合を入れなおし、参考書を片手に自室へ戻るティアナ、そんな彼女を待っていたのは。

 

スバル「おかえりティアナー」

はやて「おかえりなさいティアナちゃんー」

 

 ルームメイトのスバルと、一番上の上司であるはずの八神はやてだった。

 

スバル「ティアナ遅かったねー、訓練終わったのは同時だったのに今まで何してたのさ?」

 

ティアナ「……いや、フェイトさんに、補佐官試験の参考書を借りに行ってた、…んだけども………」

 

はやて「なんや、それなら私んとこにもテキストあるで。執務官には指揮官特性も問われるさかい、私からもアドバイスしたろか?」

 

ティアナ「いや、それはありがたいんですが………」

 

 問題は、何故アナタが この期に及んで ここにいるかということです はやてさん。

 今朝、部下に性的悪戯を行うために不法侵入した人が、性懲りもなく今また居座っている。

 いや、それだけならばいい。居座るだけならティアナだって こうも言葉を濁したりはしない。問題は、はやてが今現在とっている体勢にあった。体勢というか、彼女が今取っている行動に問題があった。

 はやてが何をしているのかというと、スバルのおっぱいを揉んでいた。

 そして、スバルもまた はやての おっぱいを揉んでいた。

 

 

 ………………。

 

 

 ありのまま今起こったことを話すぜ。

 

 

『部屋に戻ったら同僚と上司が おっぱいを揉みあっていた』

 

 

 何を言っているか わからねーと思うが、おれも何をしているのか わからなかった。

 レズとか、百合とか、スールとか、そんなチャチなもんじゃ断じて ねえ。もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ。

 

はやて「はぅあ~、揉み心地ええなぁ……。さすがスポーツ系ボクっ娘のおっぱいはハリがあるわ」

 

スバル「そう言う はやて部隊長こそ、大きい おっぱいじゃないですかァ。自分 巨乳でなおかつ他人の おっぱいに興味があるなんて欲張りですねコノコノぅ」

 

 ………仲いいなコイツら。

 イヤ飲まれてはダメだ、戦わなくては。ア○ドゥル、○ギー、おれに力をくれ。

 

ティアナ「ああ、あの、はやて部隊長…」

 

はやて「なんや?」

 

ティアナ「頭は大丈夫ですか?」

 

はやて「部下に正気を疑われたッッ!!!」

 

 はやては、スバルのおっぱいを鷲掴みにしたまま衝撃を受ける。

 

ティアナ「いやだって、アナタが あくまで正気だと言い張るなら あえて聞きますよ。――何をやっているんですかッ?」

 

はやて「ふふふん、よくぞ聞いてくれはりました。これはな、新しい健康法や」

 

 健康法?

 

スバル「おっぱい揉まれ健康法だよッ!」

 

 ダメです、この状況は もはやジョ○フさんや承○朗が助けに来てくれたところで安心できません。

 もはや機動六課に課長不信任案を提出しないといけないかもしれません。さもなくば、こんな人をトップに据え続けておくと組織そのものの危機に繋がりかねます。

 そんなティアナの げんなりした視線に、当の はやても憤慨し、

 

はやて「なんやねん その目はッ?この健康法はな、ちゃんと根拠のある健康法やねんよッ!」

 

スバル「そうだよ、おっぱいを揉むことによって表皮を刺激し、血行がよくなって体の新陳代謝が活性化されるんだよ!それによって肌のツヤもよくなるし、脂肪が燃焼されてダイエット効果も上がるんだよ!」

 

ティアナ「それなら別に 乳以外の部分を揉んでも………」

 

スバル「ダメだよ!おっぱいは体で一番柔らかい部分だから、一番大きな刺激を受けやすいんだよ!」

 

 なんか そう言われると説得力があるような………。

 

スバル「…て、発掘あ○あ○大事典で言ってた」

 

ティアナ「説得力大崩壊ッッ!」

 

 何がしたいんだコイツら。

 

はやて「まあともかく、実際効果があるかどうか確かめるためにも、こうして二人で実践しとるちゅーわけや、なースバル?」

 

スバル「ねー はやて部隊長?」

 

ティアナ「なんで そんなに仲いいんですかっ………?」

 

 なにやら絶妙なコンビネーションを見せる組織の長とヒラ隊員に、ティアナは戸惑い通しだ。

ティアナ「と、とにかく、実際に効果があろうとなかろうと私は やりませんからね。変に知恵をめぐらせて私を仲間に引き込もうとしても無駄ですよ」

 

はやて「ああ、ええよ」

 

 アレあっさり引いた。

 てっきり、合法的にティアナのおっぱいを揉まんとするための二人の姦計だと思ったのだが。

 

はやて「私たちは私たちで おっぱい健康法を試しとくさかい、ティアナは気にせず試験勉強したってや」

 

スバル「がんばってねティアー」

 

 などと言いつつ、二人組は再び互いのおっぱいを揉む行為に没頭してしまった。

 なんだか肩透かしを くらったような気分のティアナであったが、こうなっては二人を追求することもできず、釈然としないながらも机に向かうしかない。

 

ティアナ「元々そのつもりだったわけだし………」

 

 卓上のスタンドに明かりをつけ、机の上に参考書やらを広げるティアナ。

 その後ろでは例の二人が なおも おっぱいを揉みあっていた。

 

はやて「どやスバル、なんか健康に良さそうな感じしてきたか?」

 

スバル「まだまだです…。はやて部隊長、もっと強く、もっと激しく揉んでください!」

 

 ………………。

 

ティアナ「無視無視」

 

 後ろで何か騒いでいても、ネコが盛っていると思えばいい。

 健康法と語り自分の興味を引こうという魂胆など見え透いている。ここで自分がとるべき方法は『無視』、徹底的な『無視』によって、バカ二人のアクションを無意味にさせてしまうのだ、とティアナは結論した。

 そんなわけで、相手を黙殺するためにも、より一層 試験勉強に集中しなければ。

 

ティアナ「えっと、じゃあまず過去問から………」

 

 参考書を開くティアナ。そして乳を揉み合うスバルと はやて。

 

はやて「もみもみ、もみもみ……。おお! なんか胸が熱くなってきたで? これが おっぱい健康法の効果かッ?」

 

スバル「ボクも、部隊長が触れてる辺りがムズムズしてきましたよ! こんなに早く効果が出るなんて! これなら飽きっぽい人にも最適ですね!」

 

 ………………。

 

ティアナ「問題、ミッドチルダの歴史と社会制度について……」

 

 ………………。

 

はやて「おおお、スゴイで これはッ? これが かぷさいしんこうか ちゅーヤツかッ?」

 

スバル「まいなすいおん も顔負けですね!」

 

 ………………。

 

ティアナ「判断推理は、現場での対応能力を測るための問題であり……」

 

 ………………。

 

スバル「おおおおおッ! なんか、スゴイですよ! 体中の悪いものが すべて消えていくかのようですよ!」

 

はやて「まったく違う自分に生まれ変わるかのようやで! もう、明日からの自分は超人類やないかッ?」

 

 ………………。

 

ティアナ「この公式に、Xを代入、して…………」

 

 ………………。

 

ティアナ「あ、あの」

 

スバル&はやて「ん? なに?」

 

 二人は互いの おっぱいから手を離さずに振り向く。

 

ティアナ「そ、そんなに効くんですか、おっぱい健康法?」

 

 おずおずと尋ねてくるティアナ。そんな彼女のリアクションに、心の奥底でニヤリと嗤う策士二人。しかし その笑みは心の裏に隠し、決して表には昇らせない。

はやて「そやなぁ、私もデスクワークのせいで肩凝りに悩まされとったけど、スバルが おっぱい揉んでくれたら一発で吹き飛んだわ」

 

スバル「ボクも、昼間の訓練で溜まった疲れがウソみたい! に消えてなくなったよ、ホントだよ!」

 

 そ、そうなのか? ゴクリと息を呑むティアナ。

 二人の言っていることはマユツバ臭い、超ウソ臭いけれども、ここまで臆面なく褒められると『本当に効果あるのかも?』と思ってしまうのは人の悲しい習性だろうか?

 

ティアナ「そ、そんなに効くんなら……」

 

 ティアナは恐る恐る、おっかなびっくり言葉を選び。

 

ティアナ「私も やってみようかな?その健康法?」

 

 ついにティアナは二人の話術に引き込まれてしまった。

 おっぱいの悪魔、はやて&スバルは、罠にかかった子羊とも言うべきティアナを無言で凝視し、

 

 

 

はやて&スバル「「じゃあ、やってみれば」」

 

ティアナ「アレッ?」

 

 

 なんか突き放されたッ?

 

ティアナ「どうしたんですか二人ともッ?私が『やる』って言ったら、その場で狂喜してル○ン・ザ・サード並に飛び掛ってくるんじゃないんですかッ?なのに何ですか その淡白な反応ッ?私の乳を揉みたくないのッ?」

 

はやて「だって私、スバルの おっぱい揉むのに忙しいねやもん」

 

スバル「ボクも はやて部隊長の おっぱい揉むのに忙しいです。ティアナは他にパートナーを見つけて揉んでもらうといいよ」

 

ティアナ「こんな変態じみたことアンタら以外に頼めるかッ!何よ、今まで散々纏わり付いておいて、こっちが乗る気見せた途端ハブるなんて どういうことよッ!ねえもう聞いてよ、私を仲間外れにしないでよ!」

 

 できないとなると益々やりたくなるのが人の情。

 ティアナは揉み合う二人の傍で悶え苦しむ、私も おっぱい揉みたい!揉まれたい!ティアナは もはや完全に二人の術中にはまってしまったのだった。

 

 そこへ、このティアナ・スバルの部屋のドアを開けて、入室してくる者がいる。

 新たな入場者は、まるで小学生のように背が小さい、その割に不敵な面構えをした赤毛の少女だ。

 

ヴィータ「ああーッ!はやて いたーッ!」

 

 機動六課スターツ分隊 副隊長のヴィータだった。

 

ヴィータ「探したぞ はやてッ!こんなところで何してるんだよ、朝から仕事してないってグリフィスが泣いてたぞ!」

 

 そこへティアナが猛然 進出。

 

ティアナ「ヴィータ副隊長おっぱい揉んでください!」

 

ヴィータ「どうした お前!!?」

 

 入室するなり部下が吐いた、発狂したとしか思えないセリフにヴィータは仰け反る。

 しかしティアナは必死だ。絶好のタイミングで現れてくれたパートナー候補を逃がすまいと目の色を変える。

 ティアナは かくかくしかじか、ヴィータに事情を説明した。

 ヴィータは苦々しい表情を作り、

 

ヴィータ「………いや、お前それ絶対はやてとスバルに騙されてるよ。乳揉まれたぐらいで病気治るわけないじゃん」

 

ティアナ「でもでも、本当だったら どうします?」

 

 グイと迫るティアナ。この上昇しきったテンションは何であろうか?

 

ティアナ「本当だとしたら健康になれるチャンスをみすみす見逃すことになるんですよッ。逆にやって嘘だったとしても失うものはないじゃないですか!」

 

ヴィータ「なんで お前そんなにテンション高いんだよ?」

 

 普段ツンと澄ましたティアナの鬼気迫る気配に、上司でありながらヴィータはたじたじだ。

 

はやて「まー、ヴィータも騙されたと思って やってみたら どないや?身長伸びるかも知れへんで?」

 

ヴィータ「うぐっ」

 

 寸鉄刺す言葉は策士はやての真骨頂。

ヴィータ「あーもーわかったよ!やるよ!やればいいんだろ!」

 

ティアナ「やたっ」

 

 こうして、おっぱい健康法二組目が めでたく結成された。

 ティアナとヴィータ、向かい合う二人がモジモジしているのは、はやて・スバルよりも常識人だからであろう。それでも目的を果たすために、互いの胸部へ手を伸ばす。

 

ヴィータ「ちょっとだぞ、ちょっとだけだからな!気持ち悪くなったらスグやめるからな!」

 

ティアナ「わ、わかってますよ…!」

 

 そしてティアナの手がヴィータの胸に、ヴィータの手がティアナの胸に、触れる。

 

 ぴとっ。

 むにっ。

 

ヴィータ「………………」

ティアナ「………………」

 

 ヴィータの胸は、身長その他の体格とあいまって、非常に慎ましやかなサイズをしていた。

 対して、ティアナは十代半ばながら順調な発育を遂げており、既に大人の魅力をかぐわせる おっぱいに成長している。

 触れているだけでは進まないので、双方 五指をしきりに動かし始める。

 

 ぺたぺたぺたぺたぺた………。

 もみもみもみもみもみ………。

 

 ティアナはヴィータの おっぱいを揉む。そのたびに伝わってくる感触を文字に表すと、

 

『ぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺたぺた………』

 

 ヴィータはティアナの おっぱいを揉む。そのたびに伝わってくる感触を文字に表すと、

 

『もみもみもみもみもみもみもみもみもみもみ……』

 

 ぺたぺたぺたぺたぺた………。

 もみもみもみもみもみ………。

 

 ぺたぺたぺたぺたぺた………。

 もみもみもみもみもみ………。

 

 ぺたぺたぺたぺたぺた………。

 もみもみもみもみもみ………。

 

ヴィータ「………ケンカ売ってんのか?」

 

ティアナ「え?なんでです?」

 

 なぜかヴィータ副隊長は大変機嫌を損ねてしまった。

 

ヴィータ「うわぁぁぁん!はやて、ティアナがいじめるーーッ!」

 

ティアナ「上司からイジメ告発を受けたッ!?」

 

 

         *

 

 

 こんな騒ぎがあったせいか、『おっぱい健康法』は瞬く間に機動六課中に広まりを見せた。

 そもそも女性というのは健康法とかダイエットとか そういうのが大好きである。それが お金いらない、手間暇もいらない、ただ互いに おっぱい揉み合うパートナーがいればいいという お手軽さもあって女性陣からは意外なほどの好評を得る。

 たとえば、このように…………。

 

 

         *

 

アルト「ねえねえ、ルキノ知ってる? 最近流行りだした健康法」

 

ルキノ「知ってる知ってる、聞いてる限り お手軽そうだけど、やるのに相手がいるってのが問題よね」

 

アルト「そうなんだー、てなわけでさー、一緒にやろうよルキノー」

 

ルキノ「まったくアルトってば しょうがないんだから。でもわかってるでしょ? こんなことさせるのはアナタだけよ……」

 

アルト「わかってるよルキノ……」

 

         *

 

 

マリエル「あのねスバルちゃん、誤解しないでね。今私がやろうとしているのは研究心、そう! 技官としての純粋な研究心からであって、やましい気持ちなんか一切ないのよ? 本当よ?」

 

スバル「マリーさん、そう言ってる割に瞳に邪気が燃え上がりっぱなしなんですけど、ボク貞操の危険を感じるんですけど…!」

 

マリエル「そんなことないわよ、ささ、アナタの主治医である私に! 心を開いて! 胸元も開いて!」

 

スバル「ニャーッ! まさかこんな弊害に見舞われようとはーッッ!!!」

 

 

         *

 

 

ヴィータ「うわぁぁぁぁぁんッッ! シグナムなんかキライだぁぁぁぁぁぁッッ!!!」

 

 

         *

 

 

エリオ「ちょっと待ってキャロ! なんで僕を相手に おっぱい健康法やろうとするのッ? それ一方的な僕へのご褒美じゃん! よく考えて! 男の胸板なんか触って何が楽しいのさ!」

 

 

         *

 

 

ヴィータ「うわぁぁぁぁぁんッッ! シャマルなんかキライだぁぁぁぁぁぁッッ!!!」

 

 

         *

 

 

 などと、機動六課の其処彼処で おっぱい健康法によるブームが渦巻いているのだった。

 それらの騒動を眼下に見下ろし、一連の元凶とも言うべき八神はやて は 込み上げる笑いを抑え切れなかった。

 

はやて「くっくっく…、くくくくくくく………!」

 

スバル「ふう、やっとマリーさんを撒くことができた……、って、はやて部隊長どうしたんです、いかにも悪そうな笑い方して?」

 

 はやてとスバル、今回の首謀者そろい踏み。

 

はやて「スバル……、アンタの妙案、こんなに上手くいくとは思わんかったわ。健康法の名を借りて、おっぱい揉む行為を合法的なもんにする。こんだけ流行れば、私らが誰のおっぱいを揉んだかて許容範囲内や」

 

スバル「いゃー、ボクもここまで上手くいくとは思いませんでしたけどね」

 

はやて「これで私らは、いつでも誰の おっぱいでも揉み放題やで!」

 

スバル「そうですね! もう笑いが止まりませんね!」

 

 あーはっはっは!あーはっはっは!

 機動六課に二人の勝利の哄笑が響き渡る。

 

はやて「こうなったら、私はここに宣言するで!」

 

スバル「何をです部隊長?」

 

はやて「おっぱい帝国の設立をや! 機動六課は本日ただいまをもって おっぱい帝国に改称し、領土権を主張する! そして私は おっぱい帝国の皇帝に即位するんや!」

 

スバル「なんか凄いこと言い出しましたよね部隊長! もとい皇帝陛下! ジークはやて! ジークはやて!」

 

はやて「スバルには おっぱい帝国 副皇帝の地位を授けたる!」

 

スバル「とんでもなく頭の悪い称号を授与された!」

 

はやて「おっぱい帝国憲法第一条! おっぱいは宝や!」

 

スバル「おっぱいは宝だ!」

 

 何故復唱する?

 

はやて「第二条、おっぱい帝国の国民は いついかなるときも断りなく他人の おっぱいを揉んでよい!」

 

スバル「断りもなく揉んでよい! …って、えッ? マジですか皇帝陛下ッ!?」

 

 あまりに夢のような法律であるためか、スバルは我が耳を疑って皇帝に聞き返してしまう。

 

はやて「マジに決まっとるやないか! おっぱい帝国には宗教の自由、表現の自由、職業選択の自由、そして おっぱいを揉む自由があるんや!」

 

 そういう言い方をすると とても民主的な印象を受ける帝国であった。

 

シグナム「あ、あの……一つ よろしいだろうか?」

 

はやて「アレ?シグナムおったんか?」

 

 いつの間にかシグナムが二人の傍らに控えていた。おずおずと手を上げて おっぱい皇帝へ質問をしたためる。

 

シグナム「他人の乳房に触れてもよい、というのは、……その、他人というのは、その中には………」

 

はやて「ん? どうしたんや、何が言いたいんやシグナム?」

 

 ごにょごにょと唇を噛み、照れる仕草で まごついていたシグナムであったが、やがて意を決して大声を張り上げる。

 

シグナム「……テスタロッサも含まれているのだろうか?」

 

はやて「は?」

 

 

 

シグナム「フェイト・テスタロッサの胸も揉んでいいのだろうかッ!!?」

 

 

 

 炎の騎士シグナム、人生最大のカミングアウト。

 かねてからの意中の人であるフェイト・T・ハラオウンの乳房に触れられるとあれば、ムッツリスケベであるシグナムの情熱はマックスモードであろう。

 

はやて「……うん、アリやで」

 

スバル「あっさり承認したッ!!?」

 

はやて「当たり前やァ! このおっぱい帝国に、触れてはいけない おっぱいなど ありひん!聖域なき おっぱい改革が おっぱい皇帝のマニフェストやッ! どこぞのハトみたく換骨奪胎とかせぇへんで!」

 

 そんな決然たる宣言を聞き、シグナムはパァっと表情を輝かせる。

 

シグナム「ありがとう主・はやて! それでは早速テスタロッサの下へ行ってくる!」

 

 そう言って、嬉々としてシグナムが駆け出そうとした その時である。

 

ギンガ「ちょっと待ったァーーーーー!!」

 

スバル「アレ、ギン姉?」

 

 超スピードで飛び込んできた紫銀の長髪。スバルの姉、ギンガ・ナカジマがシグナムの進路に立ちはだかる。

 

スバル「ギン姉…、ブリッツキャリバーまで使って乱入してくるなんて、何がアナタを急がせたの……?」

 

はやて「ギンガさんがローラーブレードで通った後、バック・トゥザ・フーチャーみたいになっとるで…」

 

 おっぱい皇帝と副皇帝がビビるくらいの勢いで登場したギンガ姉さんが、シグナムと対峙する。

 

シグナム「何のつもりだギンガ? 私とテスタロッサの恋路を邪魔するとは……」

 

ギンガ「それは こっちのセリフですシグナムさん、抜け駆けはズルいんじゃないですか」

 

 え?

 

ギンガ「私だってフェイトさんの おっぱいを揉みたいです! シグナムさんに先は譲りませんよ!」

 

シグナム「私とて譲る気持ちは毛頭ない! テスタロッサの乳房は最高だ!」

 

 えぇ~?

 

シャリオ「ちょっと待ったぁーーーーッ!!」

 

スバル「また なんか来たッ!!?」

 

 さらに現れたのは、機動六課の後方支援メンバー、シャリオ・フィニーノ。通称シャーリー。

 

シャリオ「フェイトの おっぱいを揉むって言うんなら、私にもその権利はあるわッ。私はフェイトの補佐官を三年間務めてきたのよ!この中にいる誰よりもフェイトと心が通じ合っているわッ!」

 

リンディ「ちょっと待ったぁーーーーッ!!」

 

はやて「いつまで続くのコレッ?」

 

 またまた現れたのは、時空管理局本局の総務統括官にしてフェイトの養母、リンディ・ハラオウンその人であった。

リンディ「皆聞いて、私はフェイトの母親よ! あの子のことを あんなに立派になるまで育てた私にこそ、フェイトの おっぱいに触る権利があると思うの! 皆、ここは私に譲って頂戴!」

 

アルフ「私もいるぞ~♪」

 

 出るわ出るわ、フェイトのおっぱいを狙う女傑たちが次から次へと。

 はやて・スバルらのおっぱい帝国 凱旋の場は、いつの間にかフェイトの おっぱいを巡るバトルロワイヤルの闘技場へと様変わりしてしまった。

 

はやて「ううむ、おっぱい帝国の建国が、このような火種を生んでしまうとは……」

 

スバル「大丈夫でしょうかね、コレ……?」

 

はやて「そう言うても、なるようにしか なりひんやろ? ともかく最後の勝者が出るまで見守るしかないわ」

 

スバル「いや、そういうことじゃなくてですね。コレ、フラグ立ってません?」

 

はやて「フラグ? 何のフラグや? まあフェイトフラグなら立ちまくってるけど………」

 

スバル「違うんです、ボクが言ってるのは、フラグはフラグでも………」

 

 

 魔王フラグ。

 

 

 フェイトを狙う美女たちは互いに火花を散らしあっている。

 

シグナム「退くがいい! テスタロッサの乳房を揉むのは私だッ!」

 

ギンガ「いいえ!フェイトさんの おっぱいは私のものです!」

 

シャリオ「私ですってば!」

 

リンディ「お母さんのものよ!」

 

アルフ「私もいるぞ~♪」

 

なのは「いいえ、私よ」

 

 

 

 

 

 

 ざわ。

 

 

 

 

 

 

 雛見沢のオヤシロさまでも これほどじゃないだろう、というほどの禍々しい妖気が、その場にいる全員を包んだ。

 今、一人多かった。

 フェイトのおっぱいの領有権を主張する女性たちの中に、一人、新たな存在が混入していた。

 それは誰か。

 冷や汗を流す全員の視線が、そこに集中する。

 

 白衣をまとった魔王、高町なのはの下へと。

 

 高町なのは、今世最強の魔導師にしてフェイトを溺愛する困った人。フェイトのためなら神をも殺す、と言われるほど分別のない この人にとって、目の前で争っているシグナムたちは どれほど罪深い存在であろうか?

 

なのは「皆、わかってるよね……、おっぱいどころかフェイトちゃんの全部は、私のものなんだよ」

 

シグナム「ままま、待て なのは…、これは違うんだ、違うと言うか……」

 

はやて「なのはちゃん? 私らは関係ないよね? お仕置きされんでも ええよね?」

 

 そんなことは魔王にとっては瑣末なことでしかない、抹殺する者が一人増えようが千人増えようが。

 

なのは「ちょっと、頭冷やそうか」

 

 なのはの操るインテリジェンスデバイス・レイジングハート(ブラスターモード3)から放たれる桜色の閃光。

 

 スターライトブレイカー。

 

 シグナムが泣いた。

 ギンガが失神した。

 シェリオが必死に弁解した。

 リンディが困った。

 アルフは他人事だった。

 はやてはハメ外しすぎたことを ちょっぴり後悔し、

 スバルはとっくに諦めていた。

 

 

 そして、許された者は誰もいなかった。

 

 おっぱい帝国は建国数分にして、破壊神の怒りに触れたことによって滅亡の道をたどった。

 はやてとスバルは、その後 正座のまま3時間、なのはからの説教を受けることになるのだが、このお話は それを語ることなく、ここで終了と相成る。

 

 

            *

 

 

 おまけ

 

ティアナ「私は弄ばれただけだった………」

 

                       END


 
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