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No.1136162
主任さん
機体名:アナヴィオス 搭乗者:ヴァウ・キリール ◎機体解説 CC212年10月、先の戦闘で右腕を損失した“ヴァウ・キリール”中尉は開発部へと転属となり、北アフリカ技術開発局の一員として敵機の解析と友軍FAの強化プラン立案に明け暮れて居た。元々技術者として防衛機構に入隊し、後にパイロットになった彼にとってデスクワークはそれほど苦になる物ではなかった。しかし、時が経つ程に彼は自身の中の燻りが大きくなっていく事を自覚していた。彼の魂は彼の愛機と共に今尚、戦場に縛り付けられたままだったのだ。
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CC213年1月、人道的配慮からFAと人体を繋ぐ戦闘用の義肢開発を却下されたヴァウは戦場に戻る為に除隊を申請、元本部所属のエリートとして前線兵達から彼が嫌煙されていた事を知っていた局は引き止める事もなくこれを受理し、ヴァウは晴れて傭兵の身となった。 同年2月、嘗ての愛機の亡骸と多数のFAパーツを回収したヴァウは、技術者としての師である“アミール・ナハラル”技師の元で義腕の開発と愛機の復元に着手していた。技術者としての知識やテストパイロット時代に知り得た情報と経験を駆使し、技師とその専属傭兵の助けを借りながら半年の月日を経てヴァウは“NFA-04R アナヴィオス”を完成させたのだった。 “RF-9 レヴァナントアイ”を始めとする数種の旧型FAパーツと僅かに残っていた“NEG-04F ヴァイスハイト・ディガンマ”の残骸から構成される本機は同年代の他FAと比べても基本性能が低く、戦闘に応じて多数の武装を使い分ける事でなんとか実戦に耐えている状態であった。結果として安定した撃破が可能な敵勢力はアントや武装フレームアーキテクトに限られ、それに伴う戦場回収品も良くて修理に使用できる程度の物しかなかった。本機に転機が訪れたのは同年10月、所属不明勢力として“XFA-CnV バルチャー”と共に戦場にあった“ジャン・B・ウィルバー”との共闘の中であった。二機の“NSG-04δ ヴァイスハイト”、一機の“NSG-X1 フレズヴェルク”から奇襲を受け防戦に追い込まれていたウィルバーの援護を開始したヴァウは、持ち前の知識と多数の試作兵器を使いこなしてきた器用さでもって敵機を撹乱、三機をXFA-CnVの攻撃範囲に誘い出し破壊に成功する。機体強化の為に回収したNSG-X1の残骸から得たベリル装備の情報は後に本機の機体性能を飛躍的に向上させる事になった。 CC214年1月、幾度かの改修を経た本機は依頼を受けて防衛機構の月面プラント奪還作戦に参加、増援部隊の一機として宇宙に上がった。第三次プラント突入に際し、本機は“YSX-24RD/BE ゼルフィカール・ブレイズエンド”の出撃後に艦隊への突撃を行なった“NSG-Z0/K ドゥルガーⅡ”と交戦を開始し、大破寸前にまで追い込まれながらも単機でこれを撃破する。その数分後、月面プラント中枢の機能停止によって敵部隊は沈黙。本機は満身創痍の姿で終戦を迎えたのだった。 ◎装備 [一型] ・大型ライフル “Fa/R-07h” 戦域全土に普及しているFAの標準兵装。旧型のFa/R-05から射程、威力が強化されている。これには“四八式一型 輝鎚・甲”が持つ“百二式機関砲 火引”の技術が用いられており、連射性能を下げる代わりに通常FAでも使用が可能なレベルまで反動が抑えられている。バリエーションとして連射性能と総弾数を優先したモデルFa/R-07sも存在するが、本機の場合相対する敵勢力は動きが遅く装甲が厚い地上型ばかりである為搭載されることは無かった。 ・ウェポンコンテナ “EXU-03/Lmc” 膝部の前面に取り付けられたウェポンコンテナ、多数の弾種を搭載できる。EXU-03に含まれるミサイルコンテナの一つをヴァウが独自に改造し運用している。一型では主に小型の誘導弾を装備していたが、二型以降に追加された中距離武装とは射程距離などの点から相性が悪かった為に補助兵装としての運用が主となった。特に使用頻度が多いのは炸裂弾を用いたロケットで、これは展開速度の速さから近距離戦で不意を突きセンサー類や関節に損傷を与えることが可能である。 ・マルチランチャー “Fa/ML-04” 両足首に搭載された、EXU-03/Lmcと趣を同じくする多弾種兵装。此方の方が口径が大きく、より重い弾を搭載できる。一型では高威力の中型ミサイルを装備し、EXU-03/Lmcの小型ミサイルと連動して時間差の攻撃を行なっていた。二型以降はFa/LR-13やFa-B-03Cとの併用を想定し、巡行距離の長い多弾頭ミサイルを装備している。高精度の射撃武装を活かす為に分裂後は広範囲に拡散し、面状の弾幕を形成する。 ・イオンサーベル “Fa/Is-11” 両腕下部に搭載された光学式格闘兵装。腕と一体化しており取り外しが出来ない。本機に搭載されているマニピュレータ保持型の武装群は、その全てにハンガーが用意されている。しかしそれらの切り替え速度は決して速くは無く、担架動作中は完全に無防備となる。本武装はこの隙を埋める為の武装であり、突発的な攻撃に対応するため刀身が発生するまでの時間が非常に短く調整されている。全体的なEN効率が改善された二型以降は出力が向上し、簡易な装甲程度なら問題なく溶断できるようになった。 [二型] ・フレームアーキテクトtype-NM “FAC-12tm” 二型以降のNFA-04Rに用いられるフレームアーキテクト。回収したNSG-X1の物を制御系以外そのまま流用している。後発故にEN出力、耐久性、運動性等に優れており、本機が強化後に敵新型と渡り合えるようになったのはこのアーキテクトに依るところが大きい。ベリルウェポンを含むEN系兵器とも相性が良く、攻勢においても優位に立つことができる。 T結晶保有量が有限である防衛機構にとって、フレームアーキテクトは最大戦力であると同時に1機たりとも失う事のできない生命線でもある。故にほぼ無尽蔵に生産される月面側のフレームアーキテクトを鹵獲しようとする試みは此れまで幾度と行われて来たが、月面側からの遠隔操作を完全に遮断できる保証は何処にも無い。結局終戦まで公的に実現することは無く、非公式な機体を含めても本項目のような例はごく稀である。 ・リニアライフル “Fa/LR-13” 破壊されたAML/BRA-18の発展型兵装。ヴァウが持つ知識によってリニア構造を復元し、Fa/R-07hに組み込むことで完成した。ライフルへの武装転換に伴う弾丸種・形状の再設計が行われている。弾種は榴弾から磁性を持つ徹甲弾へ変更、弾丸表面には他兵装とは異なる形の螺旋状の刻印を施され、弾速・装弾数の向上と高い貫通力の付加が実現した。また命中精度も高く、連射可能な兵装でありながら長距離狙撃も可能であったという。本武装は高威力・高弾速・多弾数という中遠距離戦の要として高い性能を持つ反面、従来のライフル系武装と比べ大型であるため取り回しが悪く、敵機の格闘攻撃によって損傷を受けることも少なく無かった。 ・レーザーマシンガン “Fa/RMsg-12” 小径のEN弾を発射する双発型のマシンガン。リニアライフルが不得手とする近距離射撃戦を想定している。運用距離が明確であり、それ故に近距離での迎撃に特化した性能を持つ。誘導弾の破壊や目くらましなど用途の幅は広い。また、本体ジェネレーターと直結した際の面制圧力は驚異的で、一般的なENライフルと同威力の弾をショットガン並みの広範囲にばら撒き続ける。敵FAのフレームを装甲ごと溶かす事すら可能であるが、当然負荷も高いため使用される機会は少ない。 ・エネルギーシールド “Fa/ES-abms” “三二式伍型己 堅雷”に搭載されるABFF(Anti Beryl Force Field)の強化モデル。Fa/RMsg-12の側面に搭載されている。 二型への移行に伴い、本機に主な強化が施されたのは機動性と火力であり、外部装甲への改修はコーティング等の最低限度しか行われなかった。これは後述の複合兵装の特性を殺さない為に積載量を制限した為であるが、通常のFAと戦闘を行うには問題がなかった。しかし、高弾速・高威力のベリルウェポンをもつNSGシリーズに対しては致命的な弱点であり、1発程度の被弾でも戦闘不能に追い込まれる可能性があった。そこでヴァウは限定的ながらも軽量で高い防御力を実現できるABFFに着目した。本機の開発より以前にアミール技師の元で建造されていたFA、三二式伍型己に搭載されていたこの兵装は、光学兵器の収束率を低下させる力場を局所的に展開する事でベリルウェポンをも防ぐことが出来る試作兵装である。技師の元に残っていた資料から、より出力が高く実体装甲を必要としない改良型の設計を完了したヴァウは、しかしEN消費の問題から作製を断念していた。だが、鹵獲したフレームアーキテクトの性能によってこの問題を解決し、二型の追加兵装として実装されることとなった。 主な改良点として前述のように実体装甲を必要としない為に重量が大きく低下している他、EN関連の性能向上に伴い防御力が増し再展開までのチャージ時間も低下している。 ・バックパック “BP-nfa/A” アナヴィオス背部の大部分を占める、大型複合兵装。地上戦用であった一型に空戦が可能になる程の機動力を付加させたこのユニットは推進部、火器管制部、制御部の3つから構成される。 ○推進部 両翼の4器と中央の1器の計5器のブースターと二本のプロペラントタンクから成るユニット。中央の1器はロケットブースターであり、時間は掛かるが機体を自壊寸前の速度まで加速させる。これに対し両翼のブースターは加速中の方向転換に用いられる。 ○火器管制部 複合兵装全体に配置されたハードポイントと腰部後方のサブアームから成るユニット。ポイントには後に火力増強として搭載される予定である様々な武装を制御する為のマイクロコンピュータが組み込まれ、背部からの武装展開と攻撃を可能としている。また、このポイントはウェポンラックも兼ねており、サブアームはこれらに担架される武装を腕部まで輸送する目的がある。 ○制御部 両翼のスタビライザーと中央部位からなるユニット。中央部位からの指令で翼と全身のスタビライザーを稼働させ、機体の体勢を常に最適な状態に保つ。これは自動制御を基本とするが、緊急時には手動に切り替えることも可能である。中央部位の核にはNSG-X1から鹵獲した外付けのジェネレーターが用いられ、FAC-12tmのT結晶動力と連動して莫大なエネルギーを発生させている。このエネルギーの制御も本ユニットが行なっている。 [三型] ・ビームキャノン “Fa-B-03C” 火器管制部に搭載された高収束率を誇る粒子砲。ベリルウェポンの一種であり、本機武装の中でも最後発の兵装となる。発射されるビームは非常に細く、直撃させると言うより照射中の薙ぎ払いによって溶断すると言った方が正しい。NSG-Z0/Kとの戦闘直前にEXU-06の余剰パーツをヴァウが組み合わせ背中に取り付けた即席の武装のだが、元々性能が高いベリルウェポンの特性によって実戦にも十二分に通用する。また単純な火器というだけでなく、内蔵されたジェネレーターセルによって機体出力を上昇させる補助としての機能も有している。 ・ビームソード “Fa-BS/07” NEG-04Fが持つBs-Q-D05を、ベリルウェポンのデータを用いて強化した大型の格闘兵装。火器管制部に搭載されている。斬撃力が更に高められ、EN系の刃ですら切断する程の出力を得た。腕部の膂力向上により剣速が増しており、前機では不可能であった至近距離での戦闘が行えるようになった。強化には主に“ベリルショット・ランチャー”のデータが使用されておりその特性の幾つかは本武装に受け継がれている。その一つである光波射出機構は射程こそ短いもののベリルウェポンに匹敵する威力を備え、放たれる光波が長大な為に命中率も高い。
2024-01-04 07:01:25 投稿 / 1024×769ピクセル
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CC212年10月、先の戦闘で右腕を損失した“ヴァウ・キリール”中尉は開発部へと転属となり、北アフリカ技術開発局の一員として敵機の解析と友軍FAの強化プラン立案に明け暮れて居た。元々技術者として防衛機構に入隊し、後にパイロットになった彼にとってデスクワークはそれほど苦になる物ではなかった。しかし、時が経つ程に彼は自身の中の燻りが大きくなっていく事を自覚していた。彼の魂は彼の愛機と共に今尚、戦場に縛り付けられたままだったのだ。
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