No.109121

明命奇譚 怪物狩猟絵巻 ~序の弐~

kzさん

明命がモンハンの世界に迷い込んだらどうなるだろうか?という妄想から生まれたお話です。
お楽しみ頂けたら幸いです。

2009-11-27 01:17:00 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:1647   閲覧ユーザー数:1473

 

 

 

眼下に広がるのは雄大なる白銀の世界と、

 

 

大自然に抱かれし人々の営み

 

 

 

 

 

それは、そう難しくない任務のはずだった。

 

 

 

冬が目前に迫った晩秋の昼下がり、明命は王宮より召集を受けた。

馳せ参じてみれば呉の重鎮が揃って明命を待ち構えていた。

 

「周泰、お呼びにより参上つかまつりました。」

 

膝を折り言を待つ。

 

「徹夜明けの所を済まんな、幼平。」

 

口を開く周瑜・冥琳。

口調と表情から事態を推測する。

(深刻ではないけれど面倒事の様です)

 

「お前も噂程度には耳にしていると思うが、今、曹魏領内で妖が出没しているという話、

聞き及んでいるか?」

 

(…噂…   っ!)

「はい。なんでもお猫様が」

 

「…猫?」

 

「はい!なんと人語を解するお猫様が山間の村にいらっしゃったとか!!」

 

「…」

 

「見目麗しく、耳目秀麗にして全身がまさに紅蓮の様な赤毛だとか!!」

 

「…明命」

 

「しかもなんとですよ!両のお御脚でお立ちになるそうなんです!!!」

 

「明命」

 

「はぁ、何と言う…!その様なお猫様に駆け寄られた日には…

そんなお姿を拝見出来たのならこの明命、もはや思い残す事h」

「明命!」

「はうあっ!」

 

微かに怒気を孕ませた声に、ようやくヘブンから帰ってくる明命。

 

「し、失礼致しました!!」

 

赤面し、小さな身体をさらに縮こまらせて畏まる明命。

その様子をみて軽く嘆息した後、改めて冥琳が口を開く。

 

「二月程前から曹魏領内で、見た事も無い、生き物の様なモノが目撃されたとの報告が相次いだ。

当初はその存在が人里離れた山中で確認された、程度であったのだが、

徐々に村の近くにも出没する様になり、遂には村に被害を及ぼす様になったと言うのだ。」

 

「そんな?まさか!」

 

「?まぁ、まだその事実をこちらで確認出来た訳では無いのだが、実際に被害を受けた者が複数居るそうだ。」

 

「そんな……」

 

「最初は家畜が襲われたらしい。物音とけたたましい家畜の声に叩き起こされ家の者が何事かと様子を見に行けば、

飼っていた鶏が無惨にも軒並み食い荒らされた後だったそうだ。」

 

「…」

 

「その様な事件が数件起こった後、今度は山菜を採りに山中な入った者が襲われたそうだ。」

 

「!!まさかそんな!」

 

「落ち着け明命。まだこちらで確認出来てはいないと言っている…」

「心優しきお猫様が鶏さんや、あまつさえ人を襲うだなんて…」

 

「…はぁ。明命、いいから猫から話を逸らせ。今は、言ってしまえば化け物の話をしている。」

 

こめかみを押さえる冥琳。

 

「そうなのですか!?良かったぁ…そうです。あの御仏の様な慈愛溢れるお猫様に限ってそんな蛮行をされるハズは有りません!!♪

  …化け物?」

 

「うむ。この半月で2人、襲われた。幸い命に問題は無いそうだが、この事態が続けば万が一も有ろう。」

 

「…」明命の表情が、将としてのそれに変わる。

 

「事態を重く見た曹操は早急に対応しようとしたのだが、時が悪くてな。主だった将は出払ってしまっているそうなのだ。」

 

「?… !五胡ですね!?」

 

「そうだ。国境近くで小競り合いが有り、今はまだ大事に至ってはいないものの、予断は許さない状況でな。

交代で終日警戒をしていて、ちょうど交代の為に人手が出たばかりなのだそうだ。

勿論親衛隊など幾名かの者は居るが、それらまで動かしてしまうと洛陽が空になってしまう。

この時期にそんな真似が出来るはずもない。そこで…」

 

「我等に応援要請が来たのですね?」

 

「うむ。」

 

実はこの時、曹魏の、国主をはじめ首脳陣のほとんどがとある事情により精彩を欠いていたのだが

それはまた別のお話。

 

「場合によっては道士や僧侶の方が良いとの案も有ったそうなのだが

どうやら相手は人を襲う獣の一種と考えた方が良い様なのでな。

お前であればいかなる相手、場所であろうと遅れをとる事はないだろう?」

 

「はっ!」

 

「補佐に亞莎を就ける。念のため、兵を100連れていけ。それで対処出来ぬ事態はほぼ無いと考えるが?」

 

「は。ご期待に沿える様、全力を尽くします。」

 

「ごめんねぇ。 …本来なら万一に備えて後衛を任せられる者を就けたい所なのだけど…」

 

申し訳無さそうに雪蓮が言う。

 

(後衛… …!!)

 

一瞬、懐かしい面影が脳裏を過る。チクリと明命の胸の奥に痛みが走る。

 

「いえ、問題ございません。それに呂蒙が居てくれるのならば百人力です。」

 

必要以上に声が硬くなる。

 

「(やはりまだ…)分かった。では休んだ後、早急に支度を…」

「いえ、大丈夫です。すぐに出立出来る様、準備致します。」

 

「なに!?だがお前は…」

「そうよ。急ぎではあるけどそこまで…」

 

二人の声を遮る様に明命は問う。

 

「亞莎、準備はどの程度?」

 

「え、ええ。すでに出立出来るけど…」

 

「そうですか。さすがは亞莎です。では私もすぐに支度を…」

 

答える明命に穏が堪らず声をかける。

 

「明命ちゃん、そんなに慌てなくても良いんですよ~?」

 

蓮華も声を揃える。

 

「そうだ。お前はここの所、かなり無理をしているだろう?勤務時間が他の者の2倍以上有ると聞いたぞ!?」

 

「根を詰め過ぎては肝心な時に集中力を欠く事になりかねん。知らぬお前ではあるまい?」

 

思春までもが口添えする。彼女らの目には明命の疲労はあまりにも明らかだった。

だがそれでも明命を止める事は出来なかった。

彼女自身気付いていなかったのだが、任務でも何でも良い、

没頭する事で深過ぎる悲しみから逃れようとしていたのだ。

 

「失礼します。」

 

固い表情のまま、明命は玉座を後にした。

 

「未だ吹っ切れていないのは、皆同じなんですけどね~」

 

穏がぽつりと零す。

苦笑しつつ、友人を弁護する亞莎。

 

「すいません、私から注意しておきますので今は…」

 

「まぁ仕方ないわよね~。あのコ、祭に懐いていたものね。」

 

明命の出て行った扉を見つめながら雪蓮が言う。

 

「亞莎、明命に少しでも異常が見られた時は無理にでも休ませろ。任務は勿論大切だが、

お前達次代を担う者達とでは天秤にかけるべくも無い。」

 

「冥琳さま… はっ。ありがたきお言葉。」

 

「よし、では頼む。遂行が難しい状況ならば無理せず帰ってくるのだぞ。華琳殿には予め、私から伝えておく」

 

冥琳の言葉を受け、恭しくお辞儀をして亞莎も玉座を後にした。

 

「冥琳、あの二人だけで大丈夫なの?」

 

雪蓮が親友に尋ねる。

 

「…どうだろうな。普段の二人であったなら特に問題も無いのだろうが。

だが我が国にも五胡の侵略が無いとも限らん。これ以上人手を割く訳にもいかんのでな。」

 

「あの二人で無理ならあとは人海戦術で当たるしかありませんよ。

特に野戦絡みの任務で明命ちゃん以上の適任者は居ません。」

 

穏の言葉に思春が言葉を繋ぐ。

 

「とにかく今は静観するしかあるまい。」

 

そう。

例え英傑なれど神ならぬ人の身、明命の身に降り掛かる波乱を、この時は誰一人、知る由も無かった。

 

 

 

 

玉座を退出し、自室に戻る。

本当ならばすぐにでも寝台に潜り込みたいほどに疲労しているのだが、

眠った所でどうせまたあの夢に叩き起こされるに決まってる。

 

(ならこのまま動いてしまった方が良い。馬に揺られれば嫌でも目が覚めるだろう。

亞莎を待たせている。早く準備しなくては。)

 

気を抜けば意識が暗転してしまいそうな状態のまま本人としては手際良く、

だが傍目には明らかに鈍重な所作で支度を整える明命。

それでも、と靄のかかった思考の片隅で考える。

この任を終えたらしっかりと休もう、と。

それは皆の心配に甘えようていったモノではない。

来るべき五湖との戦いに備えなければならないという、将としての責任感から来る結論だ。

万が一、任務に失敗したとしても単独先行ならば自分が死ぬだけで済むだろう。

がしかし、軍を率いている時に失態を犯せば、それは国の敗北に直結してしまいかねない。

それは絶対に阻止しなければ。

帰ってきたらちゃんと休もう。例え悪夢に苛まれようとも。

 

 

-それを自覚出来る程に明命は憔悴していた―

 

 

 

 

「二人で任に就くなんて、久し振りですね、明命♪」

 

「そうね、私達が登用して頂いたばかりの頃はよく一緒に斥候に出されていたものね。」

 

努めて明るく振る舞う亞莎。

今の明命にはそれがありがたい。会話を続けてさえいれば、意識が散漫になるのを防げる。

任務が始まってしまえば後は何とでもなる。何より今は緊張の糸が切れてしまうのが恐い。

その辺りは亞莎も弁えており、口下手なりに必死に話題を繋ぐ。

本当ならば無理矢理にでも寝台に叩き込みたいのだが…

親友の仲なればこそ、易々とそうさせてはくれない娘だという事も良く分かっている。

一度こうと決めたら梃でも動かぬ性質なのだ。

 

「でも明命、化け物ってどんな感じなのでしょうね?」

 

ふと感じた疑問を亞莎が口にする。

 

「うーん…魏の方のお話だと身の丈六~七尺で全身が白毛に覆われ、

二本の脚で歩き、鼻が犬の様に突き出ていて口は頬まで裂け、そこからは無数の牙が覗いたとか…」

 

「うっ…嫌だなぁ…そんなの見ちゃったら夢でもうなされそう…」

 

「くすっ。亞莎、まだそんな化け物がほんとに居るなんて、決まった訳じゃないでしょ?」

 

「まぁそうなんですけど。悪霊や魑魅魍魎の類ではなさそうなのがせめてもの救いなのかも知れません。」

 

「そんなのが相手だったら私達じゃ歯が立たないもんね。道士様やお坊様の出番ですもん。」

 

「明命としてはもう一つの方の噂通りだったら嬉しいかも知れないのにね。」

 

あえて地雷を踏みにいく亞莎。当然、明命の目は異常なまでの輝きを放ち始める。

 

「歩くお猫様でしょう!?私もそうだったらどれだけ嬉しかった事か!!だって言葉を話すお猫様なんですよ!?」

 

「うんうん、そうみたいね。それだったら私も会ってみたかったわ。」

 

「そうだよね~♪はわ~…本当に、夢のよう…呉に帰る前に探してみましょうか!」

 

「でも、それって南蛮の方々のお仲間さんじゃないの?あの子達も猫みたいよ?」

 

「あー…そうなんでしょうかー…いやでも何だか違う気がします!」

 

「それは明命の希望的観測というもので…」

 

「そんな事は!」

 

「いやでも…」

 

「…!」

 

目的地に着くまで、話題が尽きる事は無く、代わりに亞莎の体力が尽きそうになったのはここだけの話。

 

 

 

 

目的の村には意外にも出迎えの者が居た。

魏の誇る軍師の一人、程昱・風が数十名の兵と共に明命達の到着を待っていてくれた。

 

「遠路はるばるご足労頂き、まことにありがとうございますなのですー」

 

「お久しぶりです、風さん。」

 

二人は既知の仲。

三国同盟樹立当初から同じお猫様を愛する者同士としてすでに真名を交換し、何度も話を会って話をし、

あまつさえ文をも交わす程の仲良しだ。

 

「村の方にはすでにお話はしてありますので、滞在は中通に在る酒家をお使い下さいー。

時間が許すのなら心行くまでお猫様の話をしたい所なのですが、

あいにく風はすぐにでも洛陽に戻らなければいけないのですー。」

 

「とんでもない。この時期にわざわざお出迎えして頂いただけでもありがたいですから。」

 

「こちらが華琳さまからの正式な委任状ですー。」

 

これは亞莎が預かる。受け取りながら問う亞莎。

 

「状況はどうなのですか?」

 

「そうですねー。今はまだ睨み合いといった所でしょうかー。まだ大事には至らないと思いますよー。」

 

「そうですか。」

 

思案する亞莎。彼女が同行を命じられた要因はこの辺りにも有る。

 

「でもこのまま何事も無く、という訳には行かないのでは?」

 

「はい。華琳さまも桂花ちゃんも大変そうなのですー。」

 

「…」

 

「ですから明命ちゃん達がお仕事終わったら連絡下さいー。報奨と共にお聞かせできるだけの五胡の情報を

お渡ししますのでー。」

 

「ありがとうございます!」

 

「いえいえ、困った時はお互い様なのですよー。と言うかむしろ今困ってるのは風達なのです」

 

小さく笑いが起こり、穏やかな空気が流れる。

 

「では任務終了のお知らせはどのように?」

 

「はい。まず狼煙を上げる。そして…半刻ほどで良いでしょうか、経った所で伝令さんを寄越してください。

そうすれば伝令さんが来るまでに準備が出来ると思うので~。如何でしょうか?」

 

「了解致しました。そのように。」

 

風は二人が荷解きを終えるのを待って村を発つつもりだった。

だが精彩を欠く明命を目の当たりにして声をかけずにはいられなかった。

 

「明命ちゃん。あまり無理をするのは良くないのですよー?

いかにどう猛とは言え獣相手に明命ちゃんが遅れを取るとは思いませんが、

そんなに疲れちゃったままだと万が一が起きてしまいかねません。

明命ちゃんの身に何か起きてしまったら、風は悲しいのですー。」

 

国を違える友にまで心配をかけてしまっている事に明命は心を痛めた。

 

「大丈夫です、私はいつでも元気ですから!」

 

せめてその心配の種を小さくしようと空元気を振り撒く。

 

「これが終わったらまたお話しましょう!『歩くお猫様』の事もお聞きしたいですし!!」

 

「おぉっ!?流石にご存知だったのですね?」

 

「勿論です♪」

 

「では風と風親衛隊の総力を挙げて情報をかき集めておくのですよー」

 

「はい!楽しみにしています♪あ、でも今はそれ所じゃないんじゃ…?」

 

「ぐぅ」

 

「風さん!!」

 

「おぉっ!?急に耐え難いほどの眠気が」

 

「もう」

 

くすくす笑う明命と亞莎。そしてしばしの別れ。

 

「では風殿、道中お気をつけて」

 

「ぐー…」

 

「「寝ないでください!!」」

 

二人と共に幾人かの兵士までがツッコミを入れる。

 

「おおっ!?急に現実から逃げ出したくなってしまいましたー」

 

「ほんとにもう…」

 

苦笑いの亞莎。おかげで親友を元気付けてくれた事への感謝を言いそびれてしまったではないか。

 

「ではでは~。お二人もお気をつけて~」

 

そして風は洛陽へと帰っていった…

 

 

 

―獣であるならば動き出すのは恐らく夜―

 

そう当たりを着けた二人は、まず村人から出来るだけ話を聞き、日が暮れるのを待って村を出た。

夜になっても辺りが闇に包まれる事は無かった。

鮮やかな真円の月が大地を照らす。

明命にとっては昼と変わらない明るさ。むしろ視界を奪われない分、この方が都合が良い。

そして二人は打ち合わせした通り隊を二つに分け、森の探索を始めた。

アーシェとて、今は文官として仕えてはいるが元はその勇をもって名を馳せた武人。

元来の視力の悪さをカバーする為に微かな物音や僅かな気配、

そして相手の氣を察知して戦う術を身に付けた彼女にとって

宵闇である事も森の中である事も何の妨げにはならない。

むしろ視界の確保もままならない兵士たちを先導し、奥深くへと向かう。

慎重に、意識を全方位に集中させゆっくりと進む。

息を飲む事すら憚られるほどの静寂。

草を踏み分ける音が、微かな息づかいが、まるで騒音の様に感じられる。

それはまるで首まで泥に浸かったまま歩くかのような不快な感覚。

時間の流れがおかしくなったようだ。ほんの数分がその何十倍にも感じられる。

 

ふと水の音が遠くに聞こえるのに明命が気付く。近くに河でも有るのだろうか?とその時

 

「うわっ!」

 

突然明命隊の中から声が上がった。

 

(まさか…!?)「どうした!」

 

明命はとっさに声を上げてしまった。

 

(そんな?まだ何の気配も感じなかったのに!?)

 

率いる者の動揺は容易く周囲に伝染する。隊員の統率が乱れる。

不安の影は人を混乱の沼に引き摺り込む。

何が起きた?

敵か!?

だが自分たち以外の気配はやはりここには無い。

では何が?

不安は次いで恐怖に転ずる。

自らの心が作り出した幻影にまとわりつかれ、次第に混乱の度合いが色を濃くする。

逸る者はすでに刀に手を掛けている。

皆が恐慌に陥るかと思われたその時

 

「申し訳ありません!」

 

声がした。先ほどの者だ。

 

「どうしたのですか!?」

 

明命が鋭く問う。

 

「は!お気をつけ下さい!我が隊の側面が崖の様になっております!」

 

「何ですって!?」

(しまった…注意を怠ったか? )

 

確かに進行方向左手に空間が広がってる感覚が有り、かつ水音がしていたのもそちらからだった。

ならば自分が隊員達に『河』の存在を示唆し注意を促すべきだったのだ。

 

(くっ…)

 

「大丈夫ですか?」

 

「はい!脚を滑らせましたが幸樹の根か何かに指が掛かりました!

膝を少々打った程度ですので問題有りません!」

 

報告を受け取り敢えず安堵する隊員達。

 

「皆さん、聞いての通りです。左方注意!河が有ります。それに、音が遠い…恐らくかなり下、

落ちると怪我じゃ済まないかもです!」

 

『はっ!』

 

「誰か明かりを!」

 

「御意!」

 

隊員達が火を起こし、松明を点す。

山火事を恐れて火を使わない方針だったがこうなってしまっては仕方ない。

近くの葉や枝に火が移らない様に松明を振って仲間に合図を送る。

 

 

 

(あれ、明かりを点けた!?何か有ったのかな…)

 

「呂蒙将軍!周泰将軍の隊から合図が!」

 

「こちらも松明を!」

 

「はっ!」

 

直ちに合図を返す。

 

 

 

「呂蒙隊より返信来ました!」

 

「良し!呂蒙隊に伝令!『我が隊左方に崖有り、注意を怠らず索敵を続行!』」

 

「御意!」

 

 

 

明命は明らかに疲弊していた。

普段の彼女ならこの闇の中、伝令を走らせる事などしなかったろう。

いや、それ以前に周囲の異変に気付かぬはずが無く、河の存在を誰よりも早く察知し注意を促しただろう。

ましてや火を起こすなど…

そう、明命は明らかに集中を欠いていた。

 

 

「周泰将軍より伝令!『我が隊左方に崖有り、注意しつつ索敵を続行!』以上であります!」

 

「了解です。総員、作戦行動には細心の注意を払って下さい!」

 

返事はするものの。

 

(…おかしい。明命は私が河が有るのに気付いていなかったと思っているの?)

 

そう。亞莎は気付いていたのだ。目が悪いからこそ身に付いた、人一倍鋭い感覚。

そして親友たる明命がその事を知らぬハズが無いのだ。

信用されていない、等という感情は無い。

ただ、友への心配があ有るのみ。

 

(まさか…明命は…この気配に気付いていないの!?)

 

 

 

 

あとがきと言う名の言い訳

 

 

いやー、時間経つのって凄く早いんですね!

 

…はい、私がいけないのです。

自分の中で感覚がぶれない様にと再開したモンハンに時間を取られてしまい、

気付けば序章を上げてから随分時間が経過してしまいました…

しかも、今回で回想は終わらせるつもりだったのに、書ききれませんでした…

次はもうちょっと早く上げますので良かったら読んで頂いて、感想など頂ければ幸いです。

 

それでは。

 

 

 

 
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