No.108328

新たなる外史の道 25 蒼王の決断

タナトスさん

恋姫無双の愛紗ルート後の二人が真の世界にやってきたら?
という妄想から生まれた駄文です。
読んでもらえれば幸いです。


2009-11-22 15:18:42 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:8183   閲覧ユーザー数:6066

食堂は一時大混乱に陥った・・・

 

それはそうだ・・・

 

一国の王が王に弟子入りするなど聞いたことも見た事も無い・・・

 

取り敢えずは混乱は脱したが、やはりまだ混乱していた・・・

 

 

まず口を開いたのは過去愛紗だった・・・

 

「何を考えているんですか!?!? ダメに決まってるでしょう!!!! 気は確かですか!? 桃香様!!??」

 

次に焔耶が叫ぶように言う。

 

「そうです!! 何を考えてるんですか!?!?!?!? 桃香様がこんな男などに弟子入りするなど!?!?!? 正気に戻ってください!!!! 桃香様!!!!!!」

 

朱里は桃香にお説教をしようとする。

 

「桃香様!! 何を考えているのですか!?!? 相手は大陸随一の超大国、蒼王国、全蒼軍最高大元帥、蒼最大君主、蒼天王北郷 一刀さんですよ!?!?!? 仕事量から言ったら私や雛里ちゃんより遥かに膨大なんですよ!! そんな人が桃香様の為に時間と知識と動力割いて、弟子を取るとお思いですか!?!?」

 

雪蓮はなんか思う所がある素振りで呟く。

 

「なるほど・・・弟子入りか・・・その手があった・・・」

 

蓮華が姉の呟きに突っ込む。

 

「お姉様!? 何馬鹿なこと呟いているのですか!?!?」

 

もうグチャグチャだ・・・

 

「何だか・・・もうゴチャゴチャですね・・・」

 

愛紗・・・達観してる場合か・・・

 

「いやはや・・・おもろい事になってきたな~」

 

佑・・・テメー、人事の様に言いやがって・・・

 

「これは、これは・・・楽しい展開ですね」

 

トライフ・・・テメーもか・・・

 

いい加減、五月蝿くなってきたので、俺はこの事態を収拾する事にした。

 

「テメエら・・・だあまあれえええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!」

 

俺は全力で拳を握り、氣を解放、机を下に殴りつけ、そう叫んだ。

 

机が粉々に砕け散り、その衝撃波で床が割れ砕け、その余波で部屋が揺れる。

 

 

『・・・・・・・・・・・・』

 

 

OK・・・それでいい・・・

 

「お~揺れたな・・・震度3ぐらいか~」

 

佑が陽気に呟く。

「話を戻すぞ・・・桃香・・・何で俺に弟子入りを希望した・・・?」

 

俺がそう問いかける。

 

桃香は俺を真剣に見つめ意を決した様に俺の前に進み出て言う。

 

その顔は、決意に満ち溢れていた。

 

「・・・私は蒼に来て思ったんです・・・私達、蜀は破綻しかけています・・・多分、魏や呉とも町の様子も同じぐらいひどい状況なんじゃないかと思うんです・・・私達の国ではどんなに頑張っても北郷さん程の国力にするのは無理なんです・・・例えその知識だけを教わっても・・・例え曹操さんがその知識を利用しても、雪蓮さんが北郷さんの知識を使っても同じです・・・多分・・・例え繁栄は出来ても蒼には・・・北郷さんには届かないと思うんです・・・その理由が何なのかは解りません・・・でも、ソレを理解できたら、この大陸の人達を救えるかもしれないんです・・・だから・・・」

 

桃香の言葉を聞いて俺は口を開く。

 

「悪いが、我が国もそんなに余裕がないんだ・・・外にいる君達から見たら確かに豊かで栄えている様に見えるだろう・・・だが、実際には消費は低迷し、税収も落ち込んでいる。

ソレが国庫を圧迫し、我らも消費を促進させる為に国庫を解放したり改革を行ったりして、何とか保っているのが現状だ。それに立法府からはばら撒きだと批判されているぐらいだ・・・

我が国もそこまで余裕がないんだよ、残念ながら・・・」

 

ハッキリ言ってしまえばお金に余裕がない、国も不景気でデフレ状態、証券取引所も元気

が無いのが解る位、何処の株も低迷を見せている。

更にそれに連動するように、軍事費に回せる金額が少なくなる。

兵数が多い三カ国に対抗する為に技術力を上げて対抗してきたが、諜報機関の報告で、魏

に大砲や小銃の技術が漏れたことが判明している。

技術革新で数の多さをカバーしていたのはばれていないみたいだが、あの曹操がそれに気

付くのは時間の問題だろう。

確かに国力では15対7だが、最大兵動員数で言えば、蒼は70万、対し魏は約百万以上・・・

これで魏が製鉄技術が蒼並みに発達し、火薬技術が進歩すれば最悪負ける可能性が出てくる。

だからこそ外交でケリをつけたかったが妨害でソレも出来なかった。

唯、唯一の救いはこの不況と呉蜀と同盟が組めたことだな・・・

 

この不況で曹操は自分達が苦手とする物量戦が出来ない。

そもそも物量戦は、優れた工業製品を大量に生産、ソレを効率よく、大量にかつ均等に戦線に配備しなければならない・・・

悪いが今の魏にそれに耐えれる生産能力や運搬手段、経済力があるとは考えにくい。

 

この事から今は曹操が侵攻してくることは考えにくい。

 

それに気付かない曹操でもない。

 

今の状態なら同盟か、不可侵条約なりを結び、俺等から技術を盗む為の時間稼ぎをし、準備が整えば宣戦布告してくるはずだ・・・

 

俺達の世界ではそんな事はザラだ。

 

俺としては曹操の牙を折り、そこから条約に結び付けたかったが、この不況では俺等も無茶な軍事侵攻は財政の圧迫になる。

 

まずは経済を回復してからだ。

俺がそんな事考えっていると愛紗が体内通信をかけてきた。

 

『いいじゃないですか・・・桃香殿を弟子に向かえ入れても』

 

我が国の金庫番であり俺の半身であり、我が国のナンバー2が何を言っている・・・

 

『愛紗・・・我が国の現状を一番理解しているお前の口からその様な言葉が飛び出すとは思いもよらなかったぞ・・・』

 

愛紗は俺の言葉にシレッと答える。

 

『我が国は確かに財政危機ですが1人や2人を養えないほど酷い状態ではありません。

私がお金を管理しているのです。それとも一刀様は私の仕事をお疑いになりますか?』

 

愛紗の言葉に俺は答える。

 

『いや・・・愛紗の働きを俺は否定しない。だが・・・』

 

すると愛紗は挑発的に言う。

 

『一刀様・・・貴方は何時からその様なケツの穴の小さい男になったんですか? 貴方なら例えこの状況でも笑い飛ばしながら“弟子の100や200など訳ないぜ”なんて軽口飛ばしながら即OKしたはずです・・・私はそんな貴方を止めるのが楽しみだった。

思い出しなさい! 北郷 一刀!! 貴方は私達に気を使わなくていいんです!! 

もう少し、本当に少しでいいですから私だけにでも頼ってください・・・

私達、夫婦なんですよ・・・私が貴方の重荷を背負う手伝いをします。

貴方が私に教えてくれたことです・・・

一人では何もする事が出来なくとも、多くの想いと力を束ねるとどの様な苦難でも乗り越えられると!! 

私に甘えなさい!! 北郷 一刀!! この北郷 愛紗が貴方の全てを受け止めて見せます!!!!』

 

『愛紗・・・』

 

『せやで~かずピー、ワレ、何時から俺等の上司になった。俺等はツレや、ツレが苦労しとんのに俺がノウノウ休んどる程、友達がいの無い奴でも薄情者でもない!! 

見損なうなや!! 北郷 一刀!! ワイはそこまでヤワでも薄情モンでもない!!!!!」

 

『佑・・・』

 

『全く・・・貴方は何時からその様な気遣いするようになったんです・・・

私等に命じなさい・・・“俺の仕事を手伝え”と・・・私達は喜んで貴方の仕事を手伝いますよ・・・

私達はソレを全力で答えて見せますよ!! 北郷 一刀!!!!! 我らを見縊るな!!!! 」

 

『トライフ・・・』

 

3人が俺にそう言う・・・

 

解って・・・いたんだな・・・

 

俺が無理して仕事していたのが・・・

 

愛紗だけなら兎も角、佑とトライフにまでバレていたとは・・・

『・・・どうなっても知らんぞ・・・』

 

3人はニヤっとしてこう答えた。

 

 

『『『上等!!!!!』』』

 

そこまで言うか・・・

 

『馬鹿だな・・・お前ら・・・』

 

『『『馬鹿で結構!!!!』』』

 

本当に・・・お前等は・・・

 

『無理は・・・するな・・・』

 

『『『無理は承知!!!!』』』

 

俺は幸せなのかも知れない・・・

 

俺が迷った時に支えてくれる妻が・・・友たちが・・・

 

俺にはいる・・・

 

いいだろう!! 劉備玄徳を何処に出しても恥ずかしくない王にしてやる!!

 

「桃香・・・お前を弟子にすることを認める・・・」

 

俺の言葉に全員が固まる。

 

桃香が俺の言葉に縛り出すように呟く。

 

「・・・本当にいいんですか・・・?」

 

「俺がいいといったんだ・・・誰にも反論させん。教えてやるよ、俺の、俺や愛紗、佑やトライフがいる世界をお前に見せてやる。期間は1年だ! ただし、死ぬより辛く、地獄よりも厳しい世界が待っている。下手したら死ぬかも知れない。それでも俺に教えを受けたいとおもうか?」

 

俺の言葉に桃香は意を決した様に叫ぶ。

 

「はい!!」

 

その言葉に雪蓮が口を開く。

 

「桃香を弟子に取るならウチの蓮華も弟子に取ってくれないかしら?」

 

雪蓮の言葉に俺は質問する。

 

「何故だ?」

 

「今の蓮華では国を任せられない・・・ハッキリ言えばお嬢様なのよ、蓮華は・・・そんなんじゃこの大陸を生きていけない・・・孫呉の民を危険に曝す事になる。

ソレゆえの決断よ・・・」

 

そう珍しく真剣に雪蓮は言う。

 

「・・・どうかしら・・・?」

 

俺の結論は決まっていた・・・

 

「いいだろう・・・ただし、死ぬかもしれないぞ・・・ソレでもか?」

 

「ええ、いいわ・・・その代わり、甘やかして育てる事は一切許さないわ」

 

俺の問いかけに雪蓮は迷い無く答えた。

 

「蓮華はそれでいいのか?」

 

俺は今度は蓮華に聞く。

 

「望む所だ!! 見せてくれ!! 貴方方の世界を私に!!」

 

そう決死の覚悟で俺に叫んだ。

 

「解った。ならば蓮華も修行期間を1年とする」

 

 

その時だった、魏の曹操が会談の為、我ら蒼に来るとの手紙が来たのは・・・

 


 
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