5分してから俺は繭を持ってきた。
サイ「! これってジラーチの繭じゃないですか!何処で見つけたんですか!?」
ジュウゴロウ「永遠亭でだ。パチュリー、この繭の中に願いを叶えさせてくれるポケモンが眠っている。起きるのはいつかは知らない」
パチュリー「それなら無理やりでも起こします。私のスペルカードで・・・」
やめてくれ!そんなことしたらジラーチがえらい目にあってしまう!
ジュウゴロウ「だいたいなんでまた願い事を言おうとしたんだ?」
パチュリー「それは・・・」
顔を下に向けて何も言わなくなってしまうパチュリー。すると小悪魔が俺とサイの顔を借りて小声で話す。
なんと彼女は魔理沙が好きらしいので、今まで告白していないのだ。しかしあんな女に好かれるなんて、代わった奴だ・・・
サイ「これは彼女自身の問題ということですね。会長さんにはこんなこと興味なさそうだと思いますけど・・・」
ジュウゴロウ「言えてるぜ。だけどお前はそろそろ帰ったほうがいいんじゃないか?用は済んだだろ?」
サイ「あ、僕はここで一日泊まっていくって慧音さんに言ったんです」
・・・は?
ジュウゴロウ「今なんて言った・・・?」
サイ「ですから、一日だけ泊まっていくって言ったんです」
・・・はあああぁぁぁぁっ!!?
ジュウゴロウ「お前正気か!!?お前には危険信号が点滅してるんだぞ!!?」
サイ「ウル○○マンみたいに例えないでください!!それに僕はいまさら引き返せませんよ!!」
予想外なことに俺は大ショックを受けた。ならば言うことは唯一つ・・・
サイ、死ぬなよ・・・。
霧の湖では、誰かを待っているチルノがイライラしながら立っていた。しばらくすると待ち合わせである者がチルノの前にやってくる。
緑色のショートヘアに水色の服を着た少女がやってくる。
「ごめんチルノちゃん、遅くなっちゃった・・・」
チルノ「こんなときに遅れたら駄目じゃないのよ大ちゃん!これからあたいの子分のじゅうごろーに会いにいって、強くなったあたいを見せるために呼んだのよ!?」
そんなチルノに怒鳴られているのは大妖精といい、チルノの親友である妖精である。
チルノ「とにかくに行こ!グズグズしていられないんだから!」
大妖精「ま、待ってよチルノちゃん!」
二人は意気揚々に紅魔館へ向かった。
門までやってくる二人人の前に美鈴が仁王立ちしていた。
チルノ「おーい、中国~」
美鈴「だから私は中国じゃないです!・・・って、君達はよく遊びに来る妖精じゃないですか」
大妖精「お久しぶりです。私達、ジュウゴロウっていう人に用があってきたんですけど・・・」
美鈴「でしたらどうぞ、昼になってますから食堂へ行けばいるかと」
チルノ「お邪魔しまーす!」
速攻でチルノは門をくぐり抜ける。大妖精も慌てながら後を追いかけ、紅魔館の中へ入っていった。
一方の俺達は昼になったので食堂に来ていた。
サイ「さすがですね。エビスさんの料理もうまいけど、咲夜さんのほうも悪くはないですよ」
咲夜「それは嬉しいことです」
ジュウゴロウ「フラン、フォークはこうやって持つんだ。それで肉を刺して支えるようにしながらナイフで反対側を切りとり、それを食べるんだぞ」
フラン「えっと、これがこうで・・・あ、できた!」
それぞれの席で楽しむ俺達、サイは一味違った料理を食べて満足し、俺はフランに食事のマナーを教えていた。
咲夜「ジュウゴロウ様は教えがうまいのですね。妹様があんなに上手になられるなんて私でも信じられません」
サイ「なんたって僕達の会長ですからね(あの子もよく見たら可愛いなぁ・・・)」
別にエスパーじゃないから、その話など俺には聞こえはしなかった。ただ美味しく食べているフランを見届けるだけ・・・と同時にメイド妖精が俺の所にやってくる。
メイド妖精「ジュウゴロウ様に訪問されている方が来ているのですが・・・」
ジュウゴロウ「俺に?一応通してくれ」
メイド妖精「かしこまりました。・・・どうぞお入りください」
扉がゆっくりと開く。そこにいるのはチルノと連れの妖精がいた。おそらくはチルノの親友だろう。
チルノ「じゅうごろー!あんたに弾幕勝負を申し出に来たわ!」
ジュウゴロウ「(果たし状か・・・)どうやらやる気になったようだけど、俺達は今食事中だ。その間はお前もどうだ?そこの妖精も遠慮いらないさ」
大妖精「は、はい、喜んで・・・」
チルノ「早めに持ってきてくれたら嬉しいな~・・・って、ああっ!この間の人間!」
サイ「! そういう君は湖にいた女の子じゃないか!」
まずい雰囲気になりつつあるこの瞬間、俺はすぐにチルノを黙らせる。
ジュウゴロウ「チルノ、あいつは結構悪戯好きな俺の仲間なんだ。子分である俺から大目に見てやってくれないか?」
チルノ「そこまで言うなら許すわ。あたいがさいきょーっだってことを理解してくれてるもんね!」
とりあえず燃え上がった火は鎮火するように、チルノは大人しくなる。しかしチルノ、お前は単純でいいよな・・・
食事も済み、チルノから申し込まれた勝負を受けることにし、面へ出る。
サイ「もしかしてこの子、ポケモンを持つんですか!?」
チルノ「ぽけもん?それって美味しいの・・・」
ジュウゴロウ「妖獣のことだ。・・・サイ、これからやるのは実に大変な勝負だ。よく見ておけ」
俺は準備体操をして万全な状態に整える。
ジュウゴロウ「開始の合図で始めるぞ。サイ」
サイは頷いて右手を上へあげる。
サイ「よーい・・・始め!!」
手を振り下ろした瞬間、俺は物凄いスピードでチルノへ接近する。
ジュウゴロウ「皇符「破壊弾拳」」
小手調べとしてチルノの前にある地面へ一発叩き込む。小さい体のせいで転がるチルノが起き上がった直後、彼女の目には地面に小型の穴が開いている様子があった。
チルノ「凍符「パーフェクトフリーズ」!」
距離が短さを狙っていたのか、体勢を立て直すチルノは得意のカードを使って俺に攻撃を仕掛ける。
ジュウゴロウ「なるほど、近距離なら避けれるのも難しいし、威力も良くなった。なかなかやるな」
俺は次の手段に移る。空であるモンスターボールを取り出し、足に力を貯めた。
ジュウゴロウ「皇符「皇帝ペンギンシュート」」
ドカンと蹴った瞬間にボールが爆進し、燃えるペンギンと化しながらチルノに襲いかかる。
慌てながら避けることに成功するチルノだが、彼女はあんなのを食らったらひとたまりもないと確信しているのは言うまでもない。
だが俺の勢いはまだまだこれから、目の前に鏡が出現する。
ジュウゴロウ「さぁ、この難関を突破して俺に強いという証明をしてみろ!鏡符「デメンショントリック」」
鏡の中へ消えた俺を見て、チルノは訳が分からなくなっていた。そりゃ何処へ消えたのか分からないという動揺がチルノ自身にきているのだ。
次の瞬間に右側から飛び出してきて、軽いビンタをした後にまた鏡の中へ消える。
手に足も出ないチルノはだんだんとイラついて、次ぎに現れたところを凍らせようと考える。すると目の前に俺の映った鏡が出現、そこだとチルノは氷の針を作り出して鏡へ飛ばす。
ジュウゴロウ「どわっ!!」
針が命中し、鏡が割れてしまう。ファインプレーだ。
チルノ「まいったかじゅうごろー!これがあたいのいさいきょーよ!」
チルノはワッハッハッと勝利を得た嬉しさのあまりに大笑いする。
が・・・
ジュウゴロウ「⑨だなお前も、今のはフェイクに決まってるだろ」
チルノ「へ?」
次の瞬間にピチューンと音を立て、勝負がついたのである・・・。
チルノ「ムキーッ!勝ったと思ったら騙しやがってー!」
ジュウゴロウ「悪い悪い。しかし今のプレイングは見事だ、よくぞあのカードの弱点を見切ったな。マグレだと思うが・・・」
サイ「弱点・・・あの鏡みたいな?」
ジュウゴロウ「そうだ。あの鏡は偽者も作り出せるのだが、本物の俺がいる鏡に弾幕を当てると大ダメージを受ける仕組みになっている。つまりチルノが本物を当ててたら、勝てたかもしれないからな」
チルノ「ほんとに?」
ジュウゴロウ「可能性はあるな」
チルノ「そーなのかー」
さっきまで怒っていたチルノの顔が急に機嫌のいい笑顔になると同時にチルノは俺に指をさしてこう言う、
チルノ「次は絶対に負けないよ!」
ジュウゴロウ「望むところだ」
大妖精「チルノちゃんがお世話になりました。では、さようなら!」
チルノと大妖精は手を振りながら空へ飛び去った。クタクタになった俺だが、この後の夜に俺はフランと遊ばれることには知るよしもなかった。
「また激しい弾幕勝負でもしてたのかしら?ジュウゴロウ」
サイ「え・・・!?」
突然サイの後ろにレミリアが日傘をさしながら立っていた。いつからそこにいたのかも俺は気づかなかったが、とりあえずお帰りと言っておく。
ジュウゴロウ「ちょうど勝負が終わったところだ。あと客も着てるぜ」
俺がサイを前へ突き出す。
サイ「か・・・会長さんが世話になってます!僕はこういう者ですけど・・・」
そう言ってレミリアに会員カードを見せる。ってか、サラリーマンじゃないんだからそこまでしなくても・・・。
レミリア「・・・そう、貴方がジュウゴロウと同じ外来人の一人ね。私はレミリア・スカーレット、よろしく。それとジュウゴロウ、貴方に会いたい人が私と一緒に来ているの」
ジュウゴロウ「誰なんだそいつは?」
「私さ」
知らない声に俺は顔を上げる。汚れた白衣に白く荒れた髪に眼鏡をかけている男が俺の前に現れた。
ジュウゴロウ「・・・親父!?」
それは、死んだはずの親父だった。
第21話でした。
チルノファンの皆さんには何かとイメージを壊すようなことをしてしまって申し訳ありません。
けどチルノの熱心さが伝われば自分は幸いだろうと願っているのです。
さらに親父も登場!何故彼がレミリアと一緒にいるのか・・・?次回で意外な事実が判明します。どうぞお楽しみに!
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ポケットモンスターの世界に住むトレーナー達が幻想郷へやってくる不思議な物語。