No.1075229

新大陸の140字集 その2

ぽっぽさん

溜まってきたので140字をまたまとめました。
※ストーリーのネタバレを含みます。

2021-10-21 22:32:32 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:356   閲覧ユーザー数:356

・躾…2p

 より良い密偵になるために厳しく作法をしつけられた幼少期メルハードさんというテーマで140字ss。

 

・追った面影…3p

 コレオ君を失ったオライオンさんと撫でられるルベンスで140字ss

 

・鎧にもなり得るもの…4p

 他の皇族に会う前に化粧されるロゼルタ部長と、おかかえの化粧係に化粧をさせた皇子をテーマに140字ss。

 

・過ぎ去った晩餐…5p

 主人公くんに祝われるので事前に晩餐を断るロゼルタ部長と、その様子から何かを察するエルフリック皇子で140字ss

 

 

『躾』

 

「違う、何度言えば分かる」

弾き落とされたナイフが皿に当たって不快な音を立てた。

 

こんな食事が始まってからもう何日になるのだろう。姿勢に持ち方、手順など、間違えるとすぐこうだ。仕方がないので落としたナイフを拾う。何かしたところでいつもの言葉が返ってくるだけだから。

 

─お前のためだ、と。

 

 

『追った面影』

 

「ど、どうしたんだよ急に」

 

声をかけられて気付いた。香色の髪に伸ばした手、伝わるくしゃりとした感触。─意図せずにしていた己の行いに。

「す、すまない」

咄嗟に詫びると、別にいいんだけどさ、と照れくさそうに目を逸らされる。再度作業に戻るその背中を見て、失ったものの大きさを思い知らされた。

 

 

『鎧にもなり得るもの』

 

きめ細かに仕上がった白い肌。艶を帯びた唇。髪には花の香りを纏わされていて、指で弄ぶとさらりと流れた。その様を見ながら尋ねる。

「……ここまで飾り立てる必要があるのでしょうか?」

仕上げさせた男は答えた。

 

「それは隙を見せないためのものだ。甘く見ない方がいい。─彼らの目敏さと陰湿さをな」

 

 

『過ぎ去った晩餐』

 

年に1度、用意させる豪華な食事。毎年その日は来るはずだった。「休暇を入れたい」と連絡が入るのはもう三度目で。帰ることすら面倒がる相手がわざわざ作る用事、あるはずがなかった変化に青年の影が過る。

 

─もし余計な口を利くようなら、彼女には『こちら側』の人間であることを自覚させなければな。

 

 


 
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